ブラック・ブレット〜天童民間警備会社の新入社員〜   作:梨味

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3話目でも延珠は登場しない模様。


First work!

 

「これは…………」

かなり多くの野次馬がいた。野次馬を掻き分けながら、商店街のアーケードの入り口までたどり着いた。その先には、モデルスパイダーだろうか。ガストレアがいる。

「あなたが、担当の刑事ですか」

「そうですが。あなたはどちらさまですか」

「こういう者です」

そう言うと、僕は刑事に許可証を差し出した。刑事は吟味するようにじっくり許可証を見つめる。

「あなた、今日許可証交付されたばかりじゃない」

「それが、何って言うんですか。他に民警はいないんでしょう?」

「まぁ……………」

刑事は、なにかもの言いたげに自己紹介始めた。

「私は、担当の木崎 美羽(きさき みわ)。警視庁の捜査一課所属です。そちらは?」

「僕は、前山っていう。天童民間…………と、こっちにガストレアが向かってきたぞ」

「どうやら、ガストレアは私たちに自己紹介する暇もくれないみたいね」

そう言って、木崎刑事は仮説のバリケードの扉を開け、僕をアーケード内に入れた。密閉されているためか、少し鼻をつくような臭いがする。

「ところで、あなたのイニシエーターは?」

「あぁ、それだったらもうあの子いるべき場所に配置しましたよ」

「あなた!許可を出す前に…………」

「説教だったら後だ。今はバリケードを閉じて、しかと見ててくれ」

バタンと扉が閉まると同時に、銃声が鳴り響く。

 

イニシエーター、もとい呪われた子供たちというのはそれぞれ特性があり、その特性とは、動物や昆虫の生態を受け継いだものだ。夏来ちゃんはモデルホーク。その名のとおり、鷹の特性を受け継いだものだ。動体視力を生かした狙撃、射撃。これが主な攻撃だ。今の銃声も、アンチマテリアルライフル、つまり対戦車用ライフルの銃撃によるものだ。この時点でものスゴイ威力だが、弾はガストレアが嫌うバラニウムによって、さらに増している。僕から見た感じでは、夏来ちゃんの銃撃はクリーンヒットしたようだ。ガストレアも轟音のような叫び声を上げている。

 

「前!あとは決めて」

「もちろん!」

もがいているガストレアめがけ走る。鞘から刀を取り出し……………

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

トドメの一撃。刀もバラニウムでできているため、コイツも効き目抜群だ。叫び声を上げたかと思えば、体がバラバラになった。相手が相手とはいえ、いろいろ罪悪感が湧き上がってくる。

 

「夏来ちゃん、終わったぞ」

「うん…………」

「だいじょーぶー?」

木崎刑事が、トロンとした声でこっちに駆け寄ってくる。よーく見ると、結構若いな。

「連携がすごかったわねぇ」

「一応、これでもさっき合流したばっかだけどね」

「そ、そう……………あ、これ、報酬ね」

「「ありがっとごっざいます」」

スゲー変なお礼をした。しかも、ハモっちまった。orz………とにかく、これで木更さんにケツを叩かれずに済みそうだ。

「じゃあ、形式的ではあるが………」

「えぇ」

「2031年、4月28日1645。前山・佐々木ペア。ガストレアを排除した」

「ご苦労様でした」

真面目な視線を交わしていたが、言い終わった後に思わず笑ってしまった。

 

「前〜」

「なんだ?」

「ご飯行こうよ」

「あぁ、もともと遅かったのにさらに遅くなっちまったな。行くか!」

「行こ行こ!」

僕と夏来ちゃんは、食欲のままに走り出した。肉食いてぇ。

 

「…………あ、多田島さん?こっち終わりました」

『おうそうか。どこの民警が来たんだ』

「ええと、天童民間警備会社ってとこですね」

『ほんとか!こっちも、その会社が来やがった』

「えぇ。でもこっちのペアはさっき合流したみたいです。その割には連携がかなり取れてましたけど」

『そうなのか。しかし、こっちのペアはバカなもんだ。報酬受け取るの忘れてやがるぜ』

「急いでたんじゃないんですか?ちゃんと渡してあげてくださいよ?」

『なぁに。今回は初回無料キャンペーンでやったんだろうよ。フハハハハ!』

「多田島さん、底意地悪いですね」

『なにぃ?………………まぁいいか。それより、お前はどうすんだ』

「とりあえず、一度家に戻って、また本部に戻ります」

『そうか、なるべく早く戻れよ』

「りょーかいです」

 

 

「ただいま戻りまし……た?」

「里見くんのお馬鹿!」

「お、おわったことはしゃーないだろ!」

「前、ここっていつもこんな感じなの?」

「いや、僕も今日来たばっかだから分からん」

帰社したら、男女の戦場を見てしまった。木更さんがすごい剣幕だが、一体何があったのだろうか。

「木更さん、何があったんですか?」

「里見くんが!報酬を受け取り忘れたの!最後のチャンスだったのにぃ!」

「そ、そうですかい」

何が最後のチャンスなのかは知らないが、相当頭に来ているらしい。さっきから執務机に当たっている。

「悪かったから机に当たるな。怪我するぞ」

「じゃあ里見くんが腹を切って誠意を見せてよ!」

「あのー?」

「何!」

「一応、報酬もらってきたんですがー?」

「ホント!?やっぱり年の功ってすごいわねぇ」

「いやまだ22なんですが」

確かに実年齢より上に見られるけどそんな歳いってねぇから!年の功出されるほど歳いってねぇから!

「ねぇ!なんで新人の前山くんが報酬取ってきて、なんで里見くんは報酬取ってこれなかったのよ!」

「んなこと言われても知らねぇよ!」

 

木更さんと里見さんの言い合いは見てて飽きないが、いろいろクドイな。

 




というわけで、刑事木崎美羽が登場!やったね!←?

次回は、延珠&菫先生登場!

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