ブラック・ブレット〜天童民間警備会社の新入社員〜   作:梨味

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タイトルは多分fripSideを知っていればわかるはず!


頼り頼られる信頼

 

「お待たせしました」

女性は、10歳ぐらいの子供を引き連れてそう言った。

「こちらが、あなたのイニシエーター、佐々木 夏来(ささき なつき)です。今後は、あなたとイニシエーター、2人1組で活動していただきます」

「分かりました」

僕のようなプロモーターは、イニシエーターの監督、指導を行うのが通例らしい。まぁ、それに従って活動しているペアは少ないようだけど。

「あと、前山・佐々木ペアのIP序列は4万6700位からスタートです。序列が昇格した場合にはIISOから連絡するのでそのつもりで」

「はい」

4万6700位か……………確か、里見さんのペアが12万ちょいぐらいだったから、一応格上か。

でも、実際はあんな強いのに、何で12万位なのだろう。

「では、私はこれで」

そう言い残して、担当の女性は去っていった。というか、夏来ちゃんが俯いたまま微動だにしないんですけど。

「夏来、ちゃん?」

「………………………………………どうせ」

「え?」

 

「どうせまた、見捨てるんでしょ」

 

驚いた。子供がこんなにも鋭い眼差しになるなんて。他にも、驚くところはたくさんあった。だけど、それは特に驚いた。自分もそういうときがあったからかな。だけど、さっきの発言への返事は1つ。

「僕は絶対に見捨てず、最後まで君を信じ抜く。この言葉は嘘偽りの無い本心だ」

なんだか、またあの頃、感情を失った頃に戻りそうになったけど、僕はこの子の前で嘘をつけそうにない。というか、つけない。

「そう口で言っては、何度も裏切られた。私は「僕だって同じだよ」」

「え?」

「僕だって、いろんな人に裏切られ、感情を失くしたときだってあった。今だって、人を信用することが怖い。でも、僕を少しでも信じてくれる人は僕も信じることができる。君は、どうだ。僕のこと、1mmも信用できない?」

「………………………」

 

夏来ちゃんのように、ガストレア抑制因子持ってウイルスの宿主となった子供たちは、『呪われた子供たち』と呼ばれ、超人的な能力を持った代償に、世間からは憎悪の対象として見られている。酷い暴行を受けたり、住む場所を制限され、暴言を吐かれるなど酷い扱いを受けるという。やっと誰かに愛されたと思っても、何かに利用されるに終わり、結果見捨てられる。そりゃ、人を信じられないのも無理は無いな。だけど、超人的な能力以外は、ちゃんと心を持った、温かみのある普通の人間だと僕や里見さん、木更さんの3人は思っている。

 

「ねぇ」

「なんだい?」

「もし、私を最後まで信じるのなら、頬に、キスして」

「え?」

え、今なんつった?どこぞのハーレム野郎じゃないけど、キスしろ?いやいや!社会的にマズイわ!余裕でできるけど、いろいろマズイわ!

「できないの?」

「できるけど……………いいのか?こんな野郎が君の頬になんて……………」

「言ったからにはNoなんて言えないよ。それに、キスをして、信じるという意思表示をしてくれるなら、私はアンタに骨を埋めるつもりで一緒に戦う」

「わ、わかったよ」

まだ、誰もいないからいいが、もっと人が多いところでだったら僕は確実に死んでただろう。

そして、僕は唇を頬に近づけ…………

 

んちゅ………

 

あーやっちまっただぁーーーー(棒)ロリにキスしちまったあぁーーーーー。誰も見てないよな?誰も見てないよな?う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!

「僕はそういうヤツじゃないそういうヤツじゃないそういうヤツじゃない…………」

「大丈夫?」

「え?あ、あぁ…大丈夫だ。それより、これで、信じてくれるん、だな?」

「うん。本気だってことがわかったからもちろん!よろしく!」

やっとこの子の満面の笑みを拝むことができた。ちゃんと心を開いてくれるか心配だったが、どうやら取り越し苦労だったようだ。

「よろしく!夏来ちゃん!」

ここに、前山・佐々木ペアが誕生したのであった。

 

「どっかで飯食おっか!」

「うんうん!」

 

フリーザ フリーザ フリーザ フリーザァ!

「お、電話か」

「何その着信音」

「えぇ?まぁ、Fだよ」

テンションダダ下がりなのと着信音がFなのはどうでもいい。木更さんから電話がかかってきた。

「もしもし木更さん?」

『前山くん!?今どこにいる?』

「僕は、イニシエーターと合流してまだ管理事務所ですけど」

『そう…………だったら、今すぐに近くの商店街に向かって』

「もしかして、ガストレアですか」

『そうよ。今すぐ行って、報酬を貰ってきてちょーだい』

里見さんから聞いたが、この人、金のためだったら獣になるという。そして、仕事を逃すとケツを叩かれるらしい。それはそれでいい気も…………って、僕は何言ってんだ!

『許可証も武装も。そして、イニシエーターもいる。もう、戦えるわよ!』

「そうですね」

『なら、速く行ってきて。仕事を取り逃がすなあぁー!」

「わ、わかりました。すぐ行きます」

見えない気迫に押されて、そそくさと切った。何にせよ、これが初仕事になりそうだ。

「どうしたの?」

「初仕事、だ。行こう!」

「……………………うん!」

 

僕たちの戦いが始まろうとしていた。

 

 

 

 




佐々木 夏来についてですが、外見や声については考えておりません!wもう少しお待ちください。

次回、初戦闘!

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