東方能開録(完結)   作:T-ruth

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第九話 暗い過去

「よっしゃ!行くぞぉ!」

 

 

俺達、第七班は初討伐任務に出ていた。

 

 

「うるさい、バカ。張り切りすぎて、ミスしないでよね。」

 

「しねぇよ、音無こそ足引っ張んないようにな。」

 

「私がそんなヘマすると思ってんの?」

 

「あのぉ、そろそろ目的地なのですが.....」

 

 

薬師恵は、オドオドしつつ状況を言う。おっ、もうそんな時間か。

 

 

「よし行くぜ! 音無、要。」

 

「おう!」

 

「私は、私でやらしてもらうわ。」

 

 

今回の討伐任務は、妖怪の群れの討伐だ。妖怪の数は推定30~40匹というものだった。

草むらから飛び出すと同時に音無が無数のナイフを飛ばす。そのナイフは、数匹の妖怪の体に刺さる。ギャアと妖怪は、声を上げて倒れる。

動きを鈍らせた妖怪を要が能力を使い腹に穴を開け、俺が音無の能力を使い首を飛ばす。

紅い血が緑の木々を染めていく。

 

 

「あっ、私の獲物。邪魔しないでくれる。」

 

「「早いもん勝ちだよ。」」

 

「......」

 

「あっ、きれた。やべぇ、拓也逃げろ!!」

 

「へ?」

 

 

上を見るといつもより大量のナイフがあった。

 

 

「鈴符[降り注ぐ刃(レイン・ナイフ)]!!」

 

「ちょっと、待って!!」

 

 

俺たちのいるのもお構いなしで音無はナイフを投擲した。妖怪のの殆どは「ギヴァァァァァァア」と奇声を上げ動かなくなる。

 

 

「よし!」

 

 

全て倒したそう思っていた音無の背後から数匹の妖怪が飛び掛る。

それに反応し、ポウチから金属版を取り出そうとした、しかし金属版がきれていた。防御の体制が間に合わない 妖怪の手がそこまで迫っていた。しかし、その手が届くことは、なかった。

 

 

能力模倣(アビリティコピー) 模倣対象(コード)(みどり)]!」

 

 

植物の槍が妖怪を貫いたのだ。

 

 

「ふぃ〜。危なかったな音無、大丈夫か?」

 

「余計なことしないで、助けてなんて誰も言ってないから。」

 

「うんうん.....ってあれ?」

 

 

予想外の返答に拓也は戸惑う。ここって普通ありがとうだよな?戸惑っている俺を無視して音無は行ってしまった。

 

 

「たっく...何なんだよアイツ。」

 

「まぁ、そう言ってやんなて。」

 

「でもよぉ。」

 

「鈴には昔、色々あったんだよ。」

 

「色々ってなんだよ?」

 

 

納得がいかず要に聞き返す。しかし、要は俺を見ず空を見ながら言葉を濁して言った。

 

「色々だよ........そう色々...............

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

音無鈴の父は、軍の部隊の司令官を勤めていた。

 

音無鈴の父は、部隊の中でも3本の指に入るほどの実力者であった。

 

そのため、音無鈴は生まれる前からとてつもなく強い子だと過度な期待をされていた。

 

生まれたあと厳しい訓練をさせられていたが少しも成長せず父に追いつかなく大人たちから貶されつづけた。

 

特訓もいつしかイジメのようになっていた。

 

心のよりどころであった母は、音無鈴が小さい時に病気でこの世を去ってしまった。

 

音無鈴を助けてくれる人は、いなくなったのだ。

 

母が死んでから音無鈴は、一人で努力し続けた。

 

努力して、努力して、努力し続けた。

 

しかし、音無鈴を認めるものは、誰もいなかった。

 

音無鈴は、努力した。剣の腕をあげて、能力も開花させた。

 

しかし、誰も褒めてくれなかった。

 

いつしか、音無鈴は、人と関わることを拒むようになった。

 

 

何もかも自分でやろうとした........

 

 

 

 

助けなんていらない..............

 

 

 

 

 

 

仲間なんていらない.......................

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は、一人でいい.................................

 

 

 




恵「私の出番少ない......」

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