GATE SF自衛軍彼の地にて斯く戦えり   作:炎海

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重ねて新作を作るバカ一名がここに。

この作品は、GATE世界の日本に攻殻とかその他もろもろのSFネタを好き放題ぶっこんでやりたい放題する作品です。
面白そうなSFネタがあれば随時適当に放り込んでいく次第です。そのため世界の整合性とかはあんまり気にしないでください。

2016/08/23
誤字修正をおこないました


プロローグ 燃える世界 歩みは未だとまらず

そこは人の言葉で形容するならば、「地獄」という言葉がふさわしい光景であった。

 

「――――誰か、誰かいないのか!?お願いだ、誰か返事をしてくれ!」

 

 すべてが赤と黒で彩られた世界。マスク越しでも感じられる熱気と肉の焼ける臭いで形作られたそれは、つい少し前まで人が住んでいた街だったとは思えない変貌ぶりを果たしていた。

 その生物すべての生を拒絶するような場所を、数人の白い人影が瓦礫を避けながらあるく。

 

「隊長、本部から通信です。核攻撃第二波が接近中、状況次第では予定を早め、ヒトフタマルマルに第二次救助隊は撤退させるとのことです」

「くそっ!あんなのがまだ続くのか。了解、第三救助隊はヒトヒトマルマルにポイントH-4へ集合せよ。……二次被害を出すわけにはいかない」

 

 核攻撃により焼き払われた東京。巻き上げられた粉塵により空は黒く覆われ、しかし決して暗くなく、毒々しいほどに赤い炎に照らされていた。

 

 

「ダメです。ここももう死体しか……生きてる人なんてもう……」

「諦めるな!まだだ、まだどこかに生きてる人がいるはずだ!」

 

 足元に転がる幾つもの死体は蹲るもの、子供だったであろう「ナニか」を抱きかかえるもの、上半身を水に突っ込んだままのもの、そのすべてが黒い炭のかたまりとなっていた。

 

「畜生!畜生!ちくしょう!誰か……、お願いだ。頼むよ……音だけでいい。誰か、誰かぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁあああああぁぁぁぁ!!」

 

 

 

 

 

 

 

いまより少し未来、義体や二足歩行兵器が現実となった世界。けれどもどれだけ技術が進歩しようとも、人間の愚かさが変わることはなかった。

 

 

 

 

 

 

「あなたがたの人類史上最悪の凶行により、我々は多くの国民を失いました。罪無き人々の命が、家族が、愛するものが奪われました。我々は知性ある人間としてこの行いを、この蛮行をあなたちの「絶滅」をもって罰とします」

 

 

 

 

 

 

しかし何度も殺し殺され、血で血を流しながら築き上げた歴史は……。

 

 

 

 

 

 

「皇帝陛下、我々の歴史は今に至るまで多くの血と屍により積み上げられてきました。我々はその愚かさを知った上で尚、それを国是としているのです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー決して、意味の無いものとしてしまってはならないのである。

 

 

 

 

「当然のことですが、その土地は地図にのっておりません。門の向こうに何があるのか、どうなっているのかは不明です。今回の事件で多くの逮捕者を出しました。今の日本において彼らは刑法による犯罪者、あるいはテロリストとなります。世論では門を破壊せよという声もあります。しかし門がまたいずれ、別の場所へ現れる可能性もありえます。故に我々は門の向こうを日本国内とし、彼の地の調査のため、補償獲得のため、赴くことを決定いたしました」

 

 

 

 

 

そして時間は流れ、異なる歴史を歩み、異なる文化と言語をもつ世界が繋がる。門という、小さな次元の穴を通して。

 

 

 

 

 

 

「これより、門の向こうへの突入を開始する!斥候は何度か行われているが、特地の実態はいまだ不明である。門を越えた瞬間から戦闘がある可能性も覚悟せよ!」

 

 

 

 

 

この出来事を、のちの自衛官達はこう記した。

 

 

ーーーー自衛軍、彼の地にて斯く戦えり、と。

 




用語解説

『電脳』
脳に大量のマイクロマシンを注入し、神経細胞と結合させることで脳と外部ネットワークを結合させる技術。これにより脳から直接ネットで思考をやり取りすることができる(電脳通信)。便利な反面ゴーストハックや電脳ウイルスといった脅威にもさらされる危険性がある。
(元ネタ:攻殻機動隊)


『義体化』
いわゆるサイボーグ技術。人工臓器や義肢技術の発達により、ほぼ全身を生身から換装することが可能になった。高い身体能力や欠損した部位を補うことが可能な反面、高い義体であればメンテナンスにかかるコストや義体それ自体が盗難等の危険に晒されるなどの問題が発生しやすい。

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