Fate/Grand Order 〜Also sprach Zarathustra〜 作:ソナ刹那@大学生
前も言ったような気がしますが、オリジナルも書いてますので、休みだからってずっとこちらを書いてるわけじゃないってことを理解して頂けるようお願いします
それにやらずじまいだったエクステラの方にも手を出し始めようやくアルテラルートってところですね。
何だかんだ新宿を攻略している………FGO卒業とはいかに?
友達に「新宿のアサシンとアベンジャー出たよ〜」って言ったら「ファッキュー」と言われましたね。是非もないネ!当然のことです。自分も言われたら嫌ですし(じゃあ言うな)。ガチャ報告は慎重に!友情に大きく影響を与えます
そういえば無事大学に合格し、無事卒業しました。応援してくださった方々ありがとうございました。
まぁだからって暇ってわけじゃないんだけどね!色々やることあるし…ゲームもやりたいし…
まぁ、そういうわけで引き続きよろしくお願いしますm(_ _)m
あ、本編です
「さぁ気張れよ嬢ちゃん!さもなくばマスターごと黒焦げだぜ!」
「くっ…!」
マシュに襲いかかる幾つもの火炎。
それを盾を構え、また盾を振り、凌ぐ。
「マシュ…!」
「おぉっとセイバー、あんたは見物だ。これはそこの嬢ちゃんの特訓だからな。それに少しでも早く治せそれ。そっちの方が先決だろうよ」
マシュの苦戦する様子に歯をくいしばるヴァルキュリア。それを趣旨から外れるとキャスターは静止させる。
先の戦闘で負傷した片腕。今後も引きずるようなことがあってはならない。
段々と数が増えより激しくなる猛襲。
だがキャスターが放ってるのは、簡単な火炎の球のみ。それでいてもマシュは、それを躱すことで精一杯で、ただただ守るのみとなってしまっている。
「おらマスター!」
「な!……っ!」
不意打ちと言わんばかりに、こちらにも火を飛ばしてくる。
もしこっちに力が無かったら、簡単に上手に焼かれていた。いや、それを承知の上でやってきてるんだろうけど。
「お前も特訓が必要なんだろ?細かいことはよくわからねぇが、要はマスターも経験値を積めってことだ!早く来い!2人がかりでやりゃあ、こっちももう少し本気出せるし、そっちも必死になんだろ!」
熱が入りすぎというか、殺す気だろあれは。
ここで死んだら、どっちみちこの先は無理だとか、つまりはそういう理屈が言いたいのか?
冗談じゃない。
こっちのことを考えての行動だろうし、間違ってるとも思わない。
だから余計に力が入る。
「……如何にも熱血って感じだな。スポ根かこれは?」
右腕を感じる。
……あぁ、まだ嫌か。
駄目な主人には仕えたくないってのは、何処の使用人にも共通だと思うけど、つまりはそういうことだろ?
こういう場面で逃げ腰の奴なんかに使われたくないと。
「……こっちから願い下げだそんなの」
確かでない、それに中々会えない君に語りかける。
ひとまず君を使わせてもらう、と。
「………少しは手加減しろよ、キャスター!」
「はっ!あんまし期待すんじゃねぇぞ!」
その様子をセイバーは静かに見ていた。
魔術師の英霊と、英霊になった少女と、英霊に並ぶ存在になった少年との戦闘の光景。
キャスターはまだ、火炎の球を飛ばす以外の攻撃はしていない。かかってきた2人を持っている杖で遇らうことはあれど、彼から能動的に仕掛けることはその一つのみだ。
彼が言っていた先の台詞。
自分がランサーとして召喚されていたら、と。
つまりそれは、彼自身は距離を置いて戦うスタイルよりも、白兵戦を好むということなのだろう。
それは嘘ではないとセイバーは、今目の前で繰り広げられる光景から実感する。
マシュの振るう盾を杖で受け止め、弾き、振り回して突く。最早それは槍兵の動きそのもので、余程そちらの方が好みなのだと苦笑するほどに。
そして彼が英霊として、どれだけ強者なのかを確信する。あれが槍であったならば、きっと何度も突き殺されてしまうだろう。
持っているものは杖と槍と、見た目で言えばそれ程差は無いように思えるが、彼自身はそうではない。
槍を構える自分こそが自分。その獰猛さの片鱗を魔術師の枠に収まった今からも、ヴァルキュリアは感じ取っていた。
「………相当やるわね、あのサーヴァント」
静観していたヴァルキュリアに、同じようにただ見ていた少女が呟く。
「そもそもサーヴァントに、れっきとした優劣があるのかも疑問だけど、純粋に戦闘に事関しては彼はトップクラスの英霊ね。さすがはランサークラス適正があるだけはあるってことかしら」
「えぇ、同じ感想ですオルガマリー。彼ほどの英霊が協力してくれるとは、とてもありがたいです」
己の主が見えざる刃を振り翳す。放たれる不可視の斬撃を、杖を持って防ぐ。マシュの盾も変わらず去なす。のらりくらりとしているようで、受け手にしか見えないようで、ようは本気じゃないのだと。
「はぁ…はぁ、はぁ……」
「………くっそ」
これが歴史に名を残す英雄との差ということなのだろう。純粋な経験値の差が、あまりにも直接的に物語っている。
人間と半分人間、それらは完全なる異形と比較して、技術や性能よりも基本的な話、つまり体力差で明らかに劣っていた。
「す、すみませんキャスターさん…もう…限界です…。出来ればもっと理屈に沿った効率的な方法を…」
息を絶え絶えにマシュは提案をした。
マシュの言うことも分かる。確かにキャスターの言う通り、何か精神的な問題があるのかもしれない。けれど、それを解決するトリガーなるものが、一体何なのか分からないままに闇雲に暴れるのは得策とは言えないと思う。
だが肝心の当の本人、キャスターは顔を厳しくしたままだった。
「うーむ…こりゃあ見当違いだったかねぇ…」
顎に手を当て考える素ぶりを見せる。
その目は何処か落胆の色が見られ、逆に何かを覚悟しためのようにも見えた。
「………仕方ねぇ、荒療治だ」
瞬間、魔力が膨張する。
この感覚を知っている。英霊の影と戦った時にヴァルキュリアが繰り出した宝剣と同じ。
つまり、宝具の開帳。
「…我が魔術は炎の檻、茨の如き緑の巨人。因果応報、人事の厄を清める社………」
辺りが暑くなる。いや、
熱が大気を揺らがせ、蜃気楼かのように巨大が具現する。
それは緑の巨人。おそらくこれが彼の宝具。炎を纏ったそれは、何も語らず静かに且つ大きくこちらに向かう。
「さぁ嬢ちゃん!死ぬ気で守らねぇとマスター諸共ここで終わりだぞ!」
「あ…あ…」
突然のことにマシュは半分放心している。目の前の現実に恐怖している。頭で理解していても、あまりにも強大な魔力の顕現に絶望に染められていく。
「マシュ!」
「……倒壊するは
俺がやらないと…そのための力だろ。
この健気な彼女を守るために得たんだろ……!
自分が出来る域を超えたものだと分かっている。けれどそうでもやらないといけない。
普通の子だったんだ。普通の女の子にまだ無理なんかさせてたまるか。それを庇うためのマスターだろうが。
「オラ!善悪問わずに土に還りなぁ!」
怖かった。
彼が自分のためを思ってやっているのだと、確かに理解していた。
それでいて動かなかった。動けなかった。心の何処かで諦めていたのかもしれない。自分には無理なのだと。これだけやっても駄目なのだから、もう無理なのだと。
自分を自分で否定するような目で下を向く。直視出来ない現状に自身に失望する。
そして何よりも謝意。自分の傍にいる自分の主に対して申し訳ないという気持ち………
「ーーーーー!」
前を見ていた。
自分とは違いただひたすらに対峙する巨人だけを見据えていた。
そして後悔する。懺悔する。侮蔑する。
僅かな一瞬の間でも諦めてしまった自分に。
(………守るんだ)
それはサーヴァントになった時の誓い。
所詮紛い物の自分に出来ることなど限られている。サーヴァントですら万能でないのに、それを借りただけのこの身では、真似事の範囲も知れている。
(わたしが…守るんだ…!)
だからどうしたと言うのか?
そんなこと最初から分かってて、それでいても守るんだと、あの紅い恐怖の中で自分の手を取ってくれた、彼女を覆い尽くそうとした炎よりも温かいその温もりに誓ったのだ。
それを今更ふいにする?
馬鹿げている冗談じゃない。
なんのための盾なんだ。守りたいものを守るための盾だろう。だったらここで、その真髄を示し照らさなければならない。
脳裏に駆け巡った、僅かな刹那の間の後悔と想起の奔流。それを瞬間に理解させ、身体を動かすギアとした。
故に、少女は前を向いた。
「………はぁぁぁぁぁああああっ!!!」
大きな声と共に俺の前に現れたのは、その背丈に合わぬ巨大な盾を持った少女。
俺を庇うように盾を突き出し、精一杯の力を込めてそれを防ごうとする。
それに応える。
盾より発した魔力の膨張。それが形を成し、さらに巨大な盾となり烈火の猛襲を防ぐ。
曲線に作られた魔力の塊に流されるように、行き場を失った炎たちが俺たちの横を過ぎていく。
これが宝具。
盾を構えし英霊の意思を継いだ少女が顕現させた、護りに特化した神秘の結晶。
それはかのキャスターの宝具の炎が尽きるその瞬間まで、不屈な様を示した。
「………こりゃあ、驚いたな」
宝具を閉じたキャスターが、僅かに驚嘆の表情を見せつつ呟いた。
「確かに全開ってわけじゃなかったが、決して甘い威力にした覚えはねぇんだけどな………防がれるとは思ったが、まさか無傷とはな……」
ここまでやったキャスターの予想を上回ったということは、結果的に判断して良いことかもしれないが、明らかにこっちは死ぬ寸前まで追い込まれたのも事実だし、というか予想に達していなかったらどうするつもりだったんだよ?
キャスタークラスというくらいだから、回復もお手の物なのかもしれないが、最終的に治ってれば問題ない、みたいな結果主義に付き合わせられる身としてはたまったもんじゃない。
「…ともかく、これで宝具取得だな、マシュ」
「…は、はいっ!」
嬉しいという感情が身体全体から伝わってくる。
俺の手を取ってぶんぶん振り回して少々痛いが、それも一つの愛嬌だろう。
「…嬢ちゃんの宝具は、誰かを守りたいっていうもんだ。だから戦うために力を使うんじゃなくて、守るために力を使わせりゃ良かったって話だ」
愛されてるな、なんてこの英霊は妙に悪戯っぽくほくそ笑む。
それに照れて顔を赤く染めて、必死に訂正しようとするマシュだが、そういうところがむしろ可愛らしさを助長している。本人はあまり分かっていないようだが。
…もうそろそろ訂正しなくてもいいんじゃない?
「……偽物でもいい、か」
「所長?」
少し離れたところで、所長が独り気に呟く。
笑み…と言っても、純粋な明るい感情のものではない。自虐、自分に対する嘲笑という類。
「本物になろうとしなかった。偽りでもいいから、ただ、守りたいって………何よそれ?如何にも綺麗って話じゃないの。笑っちゃうわ…えぇ、本当に」
それは何を思っての言葉か。
馬鹿にするとかそういう低俗な話じゃなくて、マシュの在り方に当てられてどうしようもないというところだろうか。
マシュの純粋な健気さに、彼女は思うところがあったのかもしれない。それは自分には知り得ないことだし、そもそも知ってどうなるということでもない。
「所長…?」
「…あぁ、ごめんなさいね。ただの嫌味、気にしないで」
宝具を使えるようになっても、真名を理解するところまでは達しなかった。つまりそれは、彼女はまだ真の意味で英霊になったわけではないということ。
けど、彼女はそれを良しとした。
別に分からないままでいいというわけではない。ただ、分からないままであっても、それでも誰かを守りたい…と。
今回その対象が俺であって、事実、マシュはその純粋な意思で盾を構えて実際に結果を出した。
そしてそれは、完璧な結果を求められ続けてきた、まだ少女と言うに適した歳月しか重ねてない彼女にとって、その緊張や焦燥のために張り詰めた胸の内を刺激するのに、あまりにも鮮烈的だったのだろう。
「……正式な名前が分からないと言ったって、さすがに何かしら名称があった方がいいでしょ?そうね………『ロード・カルデアス』、なんてどうかしら?カルデアはあなたにとっても所縁あるものだしね」
「は、はい!ありがとうございます、所長!」
マシュの会得した宝具につけられた仮の名前。
些細なことだが、彼女にとってそれは大きなことで、ハキハキと跳ねた声色で礼を言う様子からしても、本当に嬉しいのだと何も捻ることなくダイレクトに伝わってくる。
「…よぉっし、嬢ちゃん。宝具を完全に自分のもんにするために、もう少し踏ん張れや。今度はセイバーも交じってきな…あぁ、坊主は少し休んどけ。人間の枠を超えたっつっても、まだこちら側とは言い切れねぇからな。どれだけサーヴァントがタフでも、マスターが逝っちまったら、問答無用でサーヴァントもお陀仏だ。休めるうちに休んでおけ」
おいおい、ちょっと待て。
まだやるつもりか?一応こっちはやらなきゃいけないことをやってる最中で、それをあんたにも伝えただろう?
何事においても、やらなさすぎもやりすぎも良くないんだぞ?オーバーワークは良くない。
「はい!お願いします、キャスターさん!」
ほれ見たことか。
テンションが上がっている今の彼女なら、二つ返事で承諾するって分かってた。そういう素直さは、こういう場面ではむしろ問題なのでは?
「大丈夫。俺はキャスターだからな」
なんて便利な言葉だろうか。
どう考えても、都合良くその文句を使ってるようにしか思えない。
というかもはやキャスターと言えば、なんとかなるだろうみたいな流れを作りつつあるのが、なんとも言えない。
マシュもマシュだ。
「さすがキャスターさんです!」じゃないんだよ。そうやって済ませていいレベルの話をしているのか今?
出会っても間もないし、あまり彼女のことを知らないのが事実だが、彼女のこの世界において
しかし、止めるべきか…?確かにキャスターの言う通り、全快出来るのであれば言う通りにするのもいいだろうし。……毒されてるのは俺もか。
「……ちょっと、藤井蓮」
「はい?」
自分に多大に影響しかけてる過去の英雄の価値観に、どうしたものかと思案していた時、他ならぬ所長が普段の彼女と違って、なんと言うか控えめに声をかけてきた。
「……今、何か失礼なことを考えたでしょ?」
いや、別に?
考えてないですって。考えてないから、そんな風に不快とでも言いたげな表情を隠すことなく、睨みと共にこっちに向けるのはやめてほしい。
「…まぁ、いいわ。サーヴァントたちはもう始めてしまったみたいだし、その間少し顔を貸しなさい。…話したいこともあったし」
話したいこと………はて、いったいなんだろう。
この地に来てからは、特に所長のカンに触るようなことはしていないはずなんだが……?
そりゃあシフト前に堂々と目の前で寝てしまったことは良くないとは思う。けれどあれは仕方ないことだと理解してもらいたい………駄目、だよな。
別に所長の前だからって話じゃなくて、人が話をしている時に意識を手放すのは、礼儀として問題だ。俺が礼儀を語るのも筋違いだが。
けど、一般人にいきなりあんなに身体に負担をかけるような真似をするならば、ウトウトしてしまうのも見逃してほしい。ほしかった。
「あなた、怖く…ないの…?」
「……え?」
予想と違った。
てっきり俺に対する罵詈雑言でも浴びせられるのかと思っていたが、意外にも俺に飛んで来たのは、こっちを心配する言葉だった。
「…なに?そんなに私に心配されるのが意外かしら?」
「いや、その……まぁ、はい……」
ここで、そんなことないとでも言っておけばいいのに、あまりにすぐに不機嫌のスイッチが入るものだから思わず素直にはいと言ってしまう。
「別に、私だって自分の使う人間の心配くらいするわよ……。ただでさえあなたは、今ではカルデア唯一のマスターになってしまったのよ?その唯一を無下にするような真似が出来るはずないでしょ?」
思ったより、俺は大事にされてるんだなぁ……なんて。
これは寝てしまったことも、無かったことにしてくれているということか?きっとそう、そうに違いない。
「例えあなたが、所属する組織のトップの大事な話を聞いている途中で、あからさまに眠り込んでしまうような礼儀知らずでもね!」
……そう、じゃなかった。
「……けど、心配しているのは本当。だってあなたは一般人。まともに魔術に触れてこなかった…いいや、そもそも知ることすらなかった、そんな人間。そんな人間一人が背負うには、あまりに大きくて重すぎる。しかも今はよく分からない方向で普通じゃなくなっちゃったし。あなたにとって違っても、私たちにとって魔術は
「そう、言われても………」
心当たりはある。けれどそれは、今の俺を全て解決する域にまではいかない。そもそもそれがなにかを説明出来ない。確証もないし、あまりに未知すぎて、そこから何が起こるかなんて予想出来ない。ただ……。
「……正直、俺がなんでこんな風になったのかってのは分からないです。けど、自分でも不思議ですけど、これだけは言えるんです。漠然と、
禍々しい存在感は感じる。御守りというよりは呪い、そういう恐怖に近しい黒さがある。
けどそれでも、どうにもこいつがそれをそうしようとしているとは思えない。
上手く言えないけど、これに害意はないと言える。
「……あなたがそういうなら、そうなのでしょうね。依然、不安要素に変わりはないのですけど」
「………」
「な、なによ?」
「いや、所長って、案外優しいんだなぁって」
「は、はぁ〜〜!?」
しまった。つい思ったことを。
「所長って、自分の目的のためには手段選ばすに、自分の存在に一定の誇りを持っていて、それでいて……なんて言うかな、自分で精一杯な人だって思ってました」
「う……まぁ、間違ってないわよ。実際今の私は、自分のことで一杯一杯だし。さっきも言ったでしょ?あなたを心配するのは、ただあなたを失うわけにはいかないからよ。大事な道具、としてね!」
そんな必死に語気を強めると、いかにもとか、テンプレという言葉がより所長を縛り付けるって、この人分かってるのだろうか?いや、分かってないんだろうな。
ともかく思ったより嫌われていないようで安心した。そういうことにしておこう。
「……必死なのよ、これでも」
「所長……」
呟いた言葉は妙に苦々しく、その顔は明らかに苦痛に染まっていた。
「成功するか失敗するかじゃなくて、
嘲笑一つ。それは自分に対してだろうか?それとも、今置かれてるこの行き場のない怒りに対してだろうか?
アニムスフィア家は、俗にいうお偉いところだと。魔術師の中で名を轟かせる名門というやつ。
それに泥を塗る。もしかしたら既にそうなったかもしれない。
名誉挽回とか帳消しとか、もはやそういう段階の話じゃない。どれだけ被害を減らせるか、これ以上悪くならないようにするためにどうすべきか?ゼロにはもう出来ないから、出来うる限りプラスを積み重ねていく。そしてマイナスを作らないようにする。そういう消極的な目的しか立たない状況。
「私は果たさないといけないのよ…!……なのに、なんで、こうなるのよっ……」
嗚咽交じりの吐露。
喉に突っかかった何かを吐き出そうとするかみたいに、愚痴なんて言葉で片付けてはいけない嘆きを、短くも重く綴り放った。
「私は、頑張ってきた…頑張ってきたのよ…!なのに、それなのに、こんなことになるってなんなのよ?…足りないの?まだ足りないって言うの!?………どうすれば良かったのよ」
1人呟くように、内のあるがままを曝け出す。
自分の今までを回想し、それでいて受け止めきれずにいる。
上手くいくはずだった。準備も完璧にこなし、選ばれた何人ものマスターたちを従えて、人理の修復を速やかに済ませるはずだった。
だが、現実は非情だった。あらゆるものを失い、あらゆる希望は砕かれ、彼女を作りあげるあらゆる誇りは、その輝きを曇らせた。
必ずを強要された件のこと、現在結果として絶望的だった。
「………頑張ったかどうかってのは、自分で決めるものじゃないんじゃないですかね」
「…っ!?」
だけど、そういう同情するに十分な苦境を耳にしても、些か気に入らないこともあった。
「頑張ったねって、自分で言うぶんにはただの慰めですよ。…そりゃあ確かに、時にはそうやって自分自身に言葉を投げかける必要があるってことは分かってますよ。自分のことを否定し出したら、もうどうしようもないですから」
「…から……だから私!自分で自分に頑張ってるって………」
「それですよ」
こうやって自己完結している。それが気に入らない。
「
「っ!!?」
驚いたって顔をしている。
目を見開いて、口は開きっぱなしで、声として成立していない声帯を振動させた音が僅かに漏れる。
「1人だって、ずっと思っているんだろ?その苦痛は自分だけのものだって思ってるんだろ?誰にもその弱い姿を見せられないって思ってるんだろ?……自惚れすぎですよ。………あんたは、レフ教授に対して絶対の信頼を寄せていたようですけど、それをなんで他の人間にしてやらないんです?」
全て1人で、そういう思考が根底にある。幼い頃から知ってる1人を除いて、それ以外の人間は計画を進める上での駒、つまり道具にすぎないと言った。
「道具でも構わないですよ、別に。ただ、その道具たちは普通のものと違って、感情とか意思とかそういうの持ち合わせてる特殊なものなんだから、もうちょっとその道具たちのことを信じてもいいんじゃないですかね?」
「………」
沈黙、それに交じって密かに聞こえる鼻をすする音。
嗚咽を堪え、零れ落ちる何かを堪えようとする顔。
俯いた先に見えたのは地面以外の何だろうか。
「まぁ、所長は性格がキツいですし、おっかないというか、少し頼りないというか……ぶっちゃけ、関わりにくいです」
「………こら」
「でもみんなはそんな所長を、そんなだからこそ所長を自分たちの上に立つ人間だって認めてるんですよ。マシュもドクターも、俺も含めて」
「あなた、も……?」
え?なんでそこ疑問なんです?
「まぁ、はい。あまり所長のこと詳しく知らないし、出会って間もないんで確かな理由ってほどしっかりしてもないですけど、所長は頑張ってる、それくらいは分かるんで」
「〜〜〜っ!!」
声と形象するには不明瞭で、そんな曖昧な呻きにも聞こえるような声を上げて、恥ずかしさからだろうか、俺に寄りかかってきた。
「おぉっと……必要なら手でも、肩でも、それこそ胸でも貸しますよ?こんな一般人の頼りないもんでいいなら」
「うん……………ありがとう」
小さく呟いたのを聞こえはしたが、わざわざ反応しない。
それこそ、俺の胸が雫で濡らされていることも、わざわざ口にはしない。
よっしゃ!第1部完!
イヤーイイハナシダッタナー
嘘です
というか、こんな恋愛チックでしたっけ?
残念だったな!俺が書くSSはたいていこうなるのだよ!
主に主人公が高確率でジゴロになる
ま、まぁ、両方の大元の原作も恋愛ゲームだし、多少はそっち要素がブーストしても大丈夫だよね!……大丈夫だよね!
さて、色々考えているわけですが、今言った通りfateもDies iraeもエロゲーなんですよね……
……そういう描写欲しいです?
一応話の展開的に、FGOヒロインたちとそういう絆イベント(意味深)を書こうと思ってるのですが、自分にそういうのを書く技術も知識もないので、R-18にならないギリギリのラインまで書いて、それ以降は皆さんで脳内補完してください!ってするつもりなんですけど……
一応、これ投稿後に活動報告でアンケート取ります
正直書く気はないですが、一応読者の意見は取り入れていきたいので、絶対じゃあないですが
……FGOのR-18SSっていいですよね〜(一読者として)
では、これからもチマチマ書いていきますので、よかったら御付き合いください