「せんぱ〜い!たいへんですぅてつだってください〜」
一色いろはが俺のアミカになってから少したった。昼休み屋上で飯を食っていたらなぜかこいつがいきなりやってきた。
「いきなりなんだよ...てかあざとい、そんなんじゃいずれ捜査に支障をきたすぞ...」
「むー、あざとくなんてありませんよ〜。それに今までの捜査で問題なんて...先輩が特殊なだけです!」
「はぁ、教務科のお前の評価知ってるか?」
そう言って以前入手したデータを見せる。
「なんですかこれ...」
「そうやって事実から目を背けているといつか本当に大きな失敗をするぞ。」
「.....................」
「少なくとも今のキャラはオススメできないな、お世辞にも上手くやれいているとは言えない。」
「.....................」グス
「おい...一色」
なぜか黙り込んだままの一色、泣いているように見えるが...
「...一色、嘘泣き上手だな。」
この眼を誤魔化せるほどではない。
「ビクッ...嘘泣きなんかじゃないですよ」
いや、今明らかに動揺したよね?
「あー!はーくんが女の子泣かしてるー!」
チッめんどくさいタイミングで来やがった。呼んだの俺だけどさ...絶対タイミング見計らってたよね?一色に悪影響を及ぼすから二人を合わせたくなかったんだが...
「おい理子!わかってるくせに演技するな、マジで誤解を受ける。」
「むー、せっかく理子に会いたいって言うから来てあげたのに違う女の子はべらすなんて、理子ショックだよ〜」オロオロ
「だったらもっとショックそうな顔しろ、てか、はべらしてなんかいねーよ、こいつは俺のアミカだ。」
「へーこの子が...」
そう言って一色を値踏みするように見る。そこにはさっきのぶりっ子キャラは消え、人によっては怖いと感じる雰囲気だ。っておい、圧力かけすぎだろ、一色のやつ若干震えてんぞ。
「は...はじめまして... 比企谷先輩のアミカの一色いろはです...」
「......、なるほど!一色いろはちゃんね!いろはちゃんって呼んでいいよね?」
いろは「は、はい!」
「いや〜はーくんの彼女だったらどうしようかなーて思ってたけどアミカだったか〜。いろはちゃん、アミカとしてはーくんと節度ある距離で過ごしてね、はーくんは理子が彼女だから。」
「いや、彼女って...そんな話聞いたことねーぞ。勝手な嘘ついて一色を困らすな。それに俺に彼女はいない」
「はーくんは少し黙ってて。今いろはちゃんとO H A N A S H I してるから♡」
なんか字がおかしかった気もするが...一色、御愁傷様。
「そういやなんでここに来たんだ?」
「え?あっ!そうですよそうなんです!やばいんですよ先輩!」
「いや、やばいだけじゃわからんから...」
「もうすぐカルテットがあるじゃないですか、そこで何としても勝たないといけなくなって...先輩に助言してほしいな〜なんて...ダメですか?」ウワメヅカイ
「教えてもいいが...メンバーは誰だ?」
「えーとあかりちゃんとライカと志乃ちゃんです。相手は高千穂 麗、愛沢 湯湯、夜夜姉妹、風魔 陽菜です。」
「へー」
「適当すぎません!?」
「いやそうなことないぞハチマンウソツカナイ」
「はーくん!理子も手伝っていい?」
「...別にいいぞ、で、話は終わりか?だったら少し理子と話すことがあるから帰っていいぞ。」
「むー、わかりました、今日は帰ります。」
「今日はって.........で、なんで手伝おうって思った?大方、アリアのアミカの間宮が気になるんだろうが...」
「さすがはーくん!理子の考えがわかるなんて理子嬉しいよ〜これはもう付き合うしかないよね?ね?」
「いや、どうしてそうなんだよ...それで武偵殺しさんの次のターゲットはアリアか?キンジは巻き込んでいいが、俺を巻き込むなよ...物理的に。」
「大丈夫だよ、はーくんチャリ通だし。それにオルメスのパートナーはキンジで行くつもり、はーくんと組ますつもりはないよ。」
「それならいい、それとアリアに俺の過去を聞かれたら教えてほしい。昔の知り合いと勘違いされてる可能性がまだあるからな。」
「勘違いじゃないんでしょ、はーくんの昔の知り合いなんて理子妬けちゃうな〜、殺してしまいそう♡」
「自重しろし...」
いやほんとまじで
カルテットを週明けに控えた土曜日、俺と理子は佐々木邸へと向かった。なぜかというと武偵高合宿施設が全て高千穂の名前で借り占められているからだ。全く...もっと相手の動向に気を配れ...
佐々木邸に着き呼び鈴を押す。ガチャっ......と重厚な音と共に扉が開き一色が出てきた。
「遅いですよ先輩!」
「いや、時間どうりだろ。」
とまぁ軽く話しながらオーディオルームへ向かう。
「というわけでお前らの臨時コーチとなった比企谷と峰 理子だ。」
「理子だよ〜よろしく〜」
「「「「よろしくお願いします!」」」」
「取り敢えず進めていいぞ。」
「はっはい!」
そういうと佐々木邸のメイドが手際よく資料を投影させる。
「カルテットで、教務科が定めた私たちの競技は───『毒の一撃』、間宮班、高千穂班はそれぞれ、『蜂』と『蜘蛛』の描かれた攻撃フラッグを持ちます。双方が守るべきフラッグもありそれには『目』が描かれています。これを誰かの攻撃フラッグで先にタッチした方のチームの勝ちです。」
「アタシたちは蜂かぁ」
「先輩、わたし蜂嫌いです」
「なぜそれを今俺に言う?確かに俺は蜘蛛の方がいいが」
「えー蜘蛛ですか?蜘蛛って不吉な印象なんですけど。夜蜘蛛とか」
「どっちも嫌いじゃねーかよ。まぁ確かに蜘蛛は不吉な印象があるかもな。だが朝蜘蛛は縁起がいいんだろ?」
「先輩はどちらかというと夜蜘蛛ですよね」
「...む」
「あのーすみません。話してもいいですか?」
「あっ志乃ちゃんごめん」
「はぁ...えーと、試験場は武偵高第11区全体、区内のものは何でも使用可能です。基本ルールは以上」
「なんか...シンプルだねぇ」
「だなぁ」
「.........たしかにこの競技は一見シンプルだけど...隠匿、強襲、逃げ足、チームワーク───いろんな能力が試されると思う。」
「───その通り!さっすがいろはちゃん、はーくんのアミカだぁー!」
おう...存在感が少しなくなったからってテンション高いな...
「自分の身は自分で守るのが武偵。あたしは後輩を守らない武偵...でも、鍛えてあげるぞよ!」
カルテット当日
試験会場がよく見える近くのビルの屋上から試合経過を見ている。当然のように理子もついてきた。一色達には頑張って勝ってもらいたいが、それよりも間宮の技をみたい。2年前、イ・ウーの連中と一緒に間宮の里を襲撃し間宮の術書2、4を手に入れたが幾つか解読できないものもあったからな。そのためにも接戦は必須だ。
「人の精神は、その人の育てし者に宿る」
「.........そうだな」
特訓している時もそれぞれの個性がにじみ出ていた。特に間宮の不屈の精神はアリアからの影響だろう。他にもアリアからの影響が所々でている。理子もそれがわかっているからこの依頼を受けたのだろう。
試合は着実に進んでいる。特訓の成果が出ているのか佐々木は一人で愛沢姉妹を相手し、別の場所では火野がいろはを守りながら風魔と闘っている。そして...高千穂と間宮だが明らかに高千穂が有利だ。あんな高飛車な性格でも強襲科Aランクだ、Eランクとの差は簡単には埋まらない。おっ!バイクで突っ込む気か?正気とは思えんが...高千穂も容赦ないな、綺麗なヘッドショットだ...って耐えんのかよ、軸が完全にぶれていない。
「あの特訓はこれが目的か?」
「まぁね、でもそれを生かしたのは彼女自身だよ。ぶっつけ本番でここまで出来るとは...ここぞというときの運は強いみたいだね。」
他のところでも動きがあったようだ。火野と一色がフラッグを見捨てて逃げる。風魔が地面に埋められたフラッグを掘っているが残念だ、それは『目』ではなくて『蜂』だ。キンジもアミカの世話ぐらいしっかりしろよ。せっかく力があるのに生かしきれてない。俺も一色の特訓にそんなに付き合ってないがな。
サイゼリヤやバーミヤンよりはお高い、ロイヤルホストぐらいの価格設定のファミレス───『ロキシー』で、ピザやパフェが並んだテーブルで祝賀会を行っている。あの後見事勝利した間宮班やアリア、理子などが参加しているみたいだが、俺は参加せずサイゼリヤでミラノ風ドリアに舌鼓をうっている。一人でもよかったんだかキンジもついてきてアリアの愚痴を聞かされている。何故か間宮に対抗心を持たれていることについて相談されたりした。
「つーかキンジ、お前のアミカの風魔、もう少し鍛えてやれよ。今回のカルテットでの行動もったいないところが多すぎだ。」
「それはわかってるけどさ...アミカになったのだって成り行きだぞ...それに今はEランクだ、教えることなんてねーよ」
「そうやって逃げんのか?元Sランクなんだろ。"何か条件があって"実力が出せないのかもしれないがそれがアミカを蔑ろにしていい理由にはならない。アミカを持つからには責任を持つべきだ。」
「...わかったよ、たしかにその通りだ。アリアのこともあるが今の全力で相手してやるよ。」
「そうだな。あぁアリアのことだかお前に任せる。いいパートナーになると思うぞ。」
俺にとって都合のな
「いや、ならんだろ」
「じゃあ俺は先に会計すましとくぞ。」
「おう」
正直アリアとキンジはいいパートナーになると思う。今はまだ不完全だか完成すればどんな強敵だって立ち向える。...俺もまた、パートナーを探すかな...