ぼっちな武偵   作:キリメ

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pixivで投稿してましたがハーメルンでも投稿をはじめました

こちらでは初めてなのでわからないところもありますが、優しく指摘していただけるとありがたいです



ではプロローグをどうぞ


原作で言うプロローグ
1.親に捨てられました


中国

 

香港のとある裏路地で、俺は複数の地元少年達から暴行を受けていた。視界は霞み、痛覚は限界を超えて感覚はもう無い。抵抗は最初からしていない。逃げようと思えば逃げれていたし、倒そうと思えば倒せていた。だが、俺は何もしなかった。正直言って生きることに疲れた。親に捨てられてから生き延びるためになんでもした。盗みも、殺しも。これは罰だ。そう自分に言い聞かせ無いと、罰を受けて楽になりたいと、ただそう思った。

 

最後に幸せを感じたのはいつだっただろうか。小町と最後に遊んだ時か、親に香港への旅行に連れて行ってもらった時か...まぁ、その旅行で捨てられたんだったっけなw...いや笑えねーな。

 

小町はどうなったのだろう。俺がいなくなったことを知った時どう思ったのだろう。両親のことだ、諦めろとか小町だけは絶対に守るとか言って俺のことを忘れさせようとしているのだろう。それでもいい、小町が悲しまなければ、俺のことを忘れて辛くなくなればそれだけでいい。小町は俺にとってたった一つの本物なのだから...

 

「你夠了沒有!」ドゴッ

 

何度目かわからない溝蹴りを喰らう。

 

「去死ロ巴!」ボキッ

 

左手を踏みつけられ指の骨が折れる。

 

「胆小鬼!」

 

何言ってるかまったくわかんねーよ。ただ罵倒しているのはわかる。今まで何千回と言われた言葉だ。言語が違っても意味は同じだ。視界は完全に真っ暗になった。何も見えない。声も遠くなってきた。限界かな...次の人生はもっと幸せに暮らせるのだろうか?

まったく、''あいつ''に会わせる顔がねーな。もう逃げないと誓ったのに、結局今も逃げている。...なさけねー...な.........。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side???

 

 

おや、こんなところに日本人とは珍しいですね。しかも子供。随分と痛めつけられたようで...この様子では目を覚ますか怪しいですね。目の前で子供が死ぬのは気分がいいものでもありませんし。それに...変わった雰囲気を纏っている。できれば私達の組織に入って欲しいものですが...と、ここで考えていても仕方がありませんね。とりあえず手当てしましょう。

 

 

 

 

 

 

 

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 初めて人を殺した相手は俺よりも4つは年上の少年だった。香港に来てから三週間、ほとんど食事にありつけなかったため、俺は肉体的にも精神的にもボロボロだった。さらには俺を拉致ろうとしてくる人間もいた。そんな中盗みに入った所をその少年達に見られたらしく彼らに捕まり基地らしきところに連れて行かれた。

 

 どうやら俺は彼らの餌場を荒らしたらしい。一方的に殴られ、太刀打ちなど到底出来なかった。そんな中一人が包丁を取り出した。死にたく無い!心からそう思いできる限り抵抗したが多勢に無勢、相手は6人、体を掴まれ動けない。そうこうしているうちに切りかかってきた。咄嗟に左腕でかばう。血が飛び散る。が、痛みはない、ただ視界が歪んでいく...

 

 あれだけ混乱していた頭は怖いくらいに冴え渡っている。目の前に心電図のような波が見え、その波が大きく早くなるのと彼の感情の乱れが同じように感じる。その波がさらに大きくなり、同時に包丁を振ってくる。その行動がスローモーションで見える。なんとなく手を伸ばしたら綺麗に包丁が奪えた。俺の血で濡れたソレが手に馴染んでいく。

 

 目の前に怯えているヒトがいる。何が起こったか理解していないようだ。他の5人も化け物でも見るかのような顔をしている。

 

 俺はこんな奴らにいいようにされていたのか?また数の暴力に屈するのか?違う。俺はオレダ。もう捨てられるのも、大切な人を守れないのもイヤだ!強くなる。強くなって有象無象に負けないチカラヲ!その障害となるものはコロス。ヒトリノコラズ!

 

 

 

 

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''ズキリ''

 

 

 全身が串刺しにされた様な痛みで目が覚めた。嫌な夢を見た。てか、生きてんのか...

逃げても逃げても逃げられないなんてもはや呪いだな。

 

「目が覚めたようですね。大丈夫ですか?」ニコニコ

 

俺の顔を覗き込むようにして立っている男性と至近距離で目が合いビクッと震えてしまう。

 

「驚かせてしまった様ですね。私の名は諸葛静幻、藍幇の一員として働いています。たまたま倒れているあなたを見つけまして、目の前で死なれると気分が悪いので手当しようかと。」ニコニコ

 

[藍幇] 中国の最大マフィアで政府や警察の高官にまでメンバーがいると言われる一般人が関わりたく無い組織だ。正直、死にたかったからいい迷惑でもあるんだが...もういい、覚悟を決めよう。もう逃げるはなしだ。ただこの人の目的は他にある様に感じる。波に変化は見られないがそれが逆に怪しい。何を企んでいる?まさか!今まで殺した人の中に藍幇のメンバーがいたのか?それで見せしめとして殺そうとしている?

 

「心配しなくても殺すつもりはありませんよ。少し気になって調べさせたら色々出てきましたが、むしろその才能を藍幇で活かして欲しいくらいです。ご両親もいらっしゃらないようですし。」ニコニコ

 

「...ナチュラルに人の心を読まないでくれませんか。」

 

 ほんと何なの、ずっとニコニコして心読ませないくせにこっちの心の中を普通に読んでくるなんて。これでもポーカーフェイスには自信があるんだけど?てか人殺しのことも捨てられたことも知ってるって藍幇マジ怖い。それにして才能を活かすって何するんだ?

 

「殺し屋と言いたい所ですが強制はしません。私は貴方の才能を育てたい。このままでは学校にも行けないはずです。しばらくは藍幇の孤児として世話をすることになります。そこで...私の子になりませんか?」

 

「はい!?」

 

「いや、私結婚しているですけど妻が子供を作れない体質でして、前から養子をもらうか話していたんです。なので君がいいなら是非。」

 

 今度こそ今の自分を変えれるかもしれない。何度目かわからない淡い期待が起こる。それに藍幇の一員として働き上を目指せば、世界への影響力が強いこの組織の中でなら。無駄かもしれない、できないかもしれない。でも、今のままじゃダメだ。養子になるのは驚いたがメリットは大きい。だが利害関係だけの家族なんて...

 

「確かに今すぐ本物の家族になることは難しいです。でも、利害関係からでも、本物を目指すことはできますよ。」

 

その言葉は驚くほど心の中にスッと入ってきた。俺は今では家族でさえも信頼できない。それでも

 

「...わかりました。これから宜しくお願いします。」

 

 

こうして俺は諸葛静幻の息子となった。

 

 

 

 


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