ぼっちな武偵   作:キリメ

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二週間以上投稿があいてしまいすみません。この展開に至るまでに何度もイメージ設計しまして.....それでこのクオリティですが。

アンケから小町をだそうと思ったんですが出し方にすごく悩んだというか、...

これからオリジナル展開を多くしていくつもりなので時間がかかるかもしれません。気長にお待ちください。マジで本当に




19.再会

修学旅行を来週に控え、レキのことや曹操らのことに頭を悩ませていた。ウルスはレキを使ってキンジを取り込むつもりだろう。それに対抗するかのように曹操らもキンジとさらにはレキまで取り込むつもりのようだ。

 

曹操らは上海藍幇からきたため、香港側に比べて戦いを好み武人を求めている。そもそもあいつらは諸葛のやり方をよく思わない連中に妨害目的として送られてきたからな。あいつらの上司に任命された時は本当にめんどくさかった。その後色々あって今では香港側だ。それでも出世欲と戦いを求める姿勢は変わっていないんだけど。

 

今回の作戦はその憂さ晴らしも兼ねている。あくまでもついでだけど。

 

とにかく俺は忙しいのだ。情報収集や装備点検、電車の時刻表、チケットの予約、効率的な京都巡り計画、ラーメンはとんこつか醤油か...やることは山ほどある。

 

 

それなのに───

 

 

あの女は......!

 

 

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数日前の事である。この時期にしては少し肌寒い日だった。俺はマッカンを冷やして飲むか温めて飲むかを悩んでいた

 

その思考を妨げるようにスマホからバイブレーションが響く。仕方なくマッカンを温める決断をして電話に出る。相手が誰であれ電話の場合内容がわからないから出るしかない

 

『...もしもし』

 

『あっやっはろー!八幡』

 

『元気そうですね。それと残念ですが用事があるので無理です。切りますよ』

 

『ちょっ!まだなにもいってないよ!?』

 

『...なんですか』

 

『今度東京であるニャンニャンショーに行くんだけどついてきてくれる?雪乃ちゃんも一緒だよ』

 

『嫌です』

 

『えーいいのかなーそんなこと言って』

 

『なんですか』

 

『雪乃ちゃんに私のこと色々言ったみたいじゃない?あれから雪乃ちゃん今まで以上に冷たくなったんだけどー。責任とってくれるよね♡』

 

『いや、雪ノ下さんの態度が問題だと』

 

確かに勝手に話したことは悪いけどこのままこっちの責任にされたら面倒なことになりそうだ。責任の大きさも予想がつかないし

 

『ふーん、そんなこと言っちゃうんだー。お姉さん傷付いたよ〜。まっ、それはいいとして...少し聞きたいこともあるから』

 

『...聞きたいこと...ですか?』

 

少し声のトーンが下がり冗談を言っているようには感じない。流石に日本政府に裏から圧力をかけるだけあって諜報能力も高いか?しかも異能、超能力者って占いにも長けてるから普通の情報操作は無駄ということか

 

まぁこれがただの勘ぐりで実際にはなにもないに越したことはないけど

 

『まっとにかく今週きてくれるかな?かな?』

 

いいとも〜なんて言わないがこの語尾の口調が怖いな。まるでいうこと聞かないと解体しちゃうぞ?みたいな感じで

 

『はぁ...わかりましたよ』

 

『じゃあ今週の土曜ね。忘れたら氷漬けだぞ☆』

 

『行きますよ...じゃあ切りますよ。この後用事(マッカン)があるんで』

 

『りょーかい!じゃあね〜』

 

 

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待ち合わせ時間の十分前、集合場所に行くとすでに二人が待っていた。

 

「おそーい、こんな可愛い姉妹を待たせるなんてどういうことかなー」

 

「一応予定時間よりは早くきたのだしいいのではないかしら」

 

「えーでもナンパとか結構あったじゃん」

 

「嬉々として物理的にお断りにしていたくせによくいうわね」

 

「ひどい!八幡!雪乃ちゃんが虐める!」

 

「自業自得だろ...それにしてもよく外出許可が出ましたね」

 

「まぁ私たちの家は星伽ほど厳しくないからね。月に一度ぐらいなら出かけられるよ?」

 

「一般人からしたらかなり少ないですけどね」

 

「それより早く行きましょう(ねこ♡)」

 

あいつどんだけねこ好きなんだよ。途中からほぼ駆け足だぞ。あと急ぐのはいいが方向逆な

 

 

ニャンニャンショー

 

聞く人によってはアキバかどっかのカフェをイメージするかもしれない。もちろんこれはアニマルな方の猫と戯れるイベントである。因みにワンワンショーも別の日に開催されている

 

「にゃーにゃー」

 

ニャーニャー

 

「にゃーにゃー」

 

ニャーニャー

 

「雪ノ」

 

「陽乃」

 

「ゆ」

 

「はるの」

 

「...はるのん」

 

「はるのん!?」

 

「それで陽乃さん、雪ノ下を止めなくていいんですか。見ているこっちが恥ずかしいんですけど」

 

「陽乃でいいって...まぁそうかな。雪乃ちゃん猫とパンさんのことになると別人みたいになるから。ああなったらしばらくあのままだろうし別の場所行く?」

 

「雪ノ下を置いていって大丈夫なんですか?」

 

「大丈夫大丈夫、一応護衛が一人いるから。あっ因みに私の護衛は八幡だからしっかり守ってね」

 

「い「マッカン」...いですよ」

 

 

 

「そういえば八幡は猫とか飼わないの?」

 

「猫ですか...犬やら狼を武偵犬として飼っている人もいますが猫は見たことがないですね」

 

「じゃあ一緒に選ぼ!」

 

「いや、猫とか訓練してもいうこと聞かないじゃないですか。気まぐれだし。それに一人で大半のことはできるのでいりませんよ」

 

「まぁまぁ、武偵猫としてじゃなくてもいいじゃん。せっかくだし何か目的を持って見て回った方が楽しいし」

 

「結局そうかよ...」

 

「...」

 

「どうしました?」

 

「ん、ほら、あの猫見て」

 

陽乃さんが指差した先には真っ白な、本当に真っ白な猫がいる。ただブースでは無く人目のつかない柱に隠れるようにしているが

 

「あー多分ブースから逃げ出したんでしょうね」

 

「きっと八幡みたいに目立ちたくないんだろうね」

 

確かにあれだけ白くフサフサしていると嫌でも目立ってしまうだろう

 

「ちょっと捕まえてくる!」

 

それは俺を捕まえるのと掛けてませんか?掛けてないですね、はい。

 

陽乃さんは猫に近づきゆっくり手を伸ばした。しかし白猫はするりと手をかわし尻尾を振って挑発する。ムキになったのか陽乃さんが捕まえようとするがするりと避けられる。

 

数分に渡る攻防のあとようやく決着がつこうとしていた。

 

「もう逃がさないよ猫幡」

 

猫幡って何ですか、やっぱり八幡として見てません?捕まえて何する気ですか。憂さ晴らし?

 

だが元いた場所から結構走り回り通路の行き止まりに追い詰めた。必然的に目立ってしまうわけで...

 

「何をしているのかしら姉さん」

 

「ゆ、雪乃ちゃん!?」

 

「全く...騒がしいと思ったらやっぱり姉さんね。それで...なぜ猫をいじめているのかしら?」

 

それは普段の雪ノ下からは考えられないプレッシャーだった。今なら陽乃さんも超えるんじゃないかってくらいの力も感じるし。

 

「ち、違うの!これには訳が!」

 

「言い訳はいらないわ。猫をいじめたその罪、万死に値する!」ドン!

 

...

 

......

 

.........

 

 

「やっぱり雪乃ちゃんの態度がおかしくなったよ〜」オロオロ

 

「そんなことよりもさっきの猫はどこかしら?(触りたい)」

 

「ほんとだ!さっきの飼おうと思ってたのに」

 

「探すわよ(ふさふさもふもふ)」

 

何故かあの猫を俺が飼うことが決まり流されるように俺も探すことになった。ただそもそもどこのブースにいたのかもわからないから購入できないと思うんだけど

 

探し回ること数十分、1度待ち合わせ場所に戻ろうと思い少し駆け足に進む。だがすばしっこい猫を探すのと人混みに揉まれつづけ、流石に疲れてきたのか道を間違え急いで急転回する。

 

ドン!

 

と誰かとぶつかってしまう。背は俺より低く女の子だったためできる限り威圧感を与えないようにしながら軽く謝罪する。

 

「いえ、大丈夫です。小町が余所見してたのも悪かったですし」

 

そう言ってぶつかった少女は顔を上げた

 

...小町?

 

 

比企谷小町。国籍が変わるまでは俺の妹だった。流石にあまりにも前の話なのであんまり覚えていないが、多分シスコンと呼ばれるくらい可愛がっていたと思う。その影響か今でもロリコンとか呼ばれるくらいだし。

 

だがその姿を最後に見たのは俺が捨てられた日だ。施設にいる間は小町のことを知る手段はなかったし、藍幇に入ってからは静幻の息子として生きて行く以上、過去を見ようとは思わなかった。それに俺が少しでも関われば人質として使われるかもしれなかったからな。そのせいで今小町がどこで何をしているのか俺は知らない。

 

「そうか?まぁすまなかった。それじゃ」

 

「あの!」

 

動揺を隠しクールに去ろうとした俺に声をかけてきた

 

「あの、実は小町今迷ってまして...猫カフェサンダーって場所に行きたいんですけど」

 

「...俺が今目指してる場所だ。仕方ない、送ってやる」

 

「すみません」

 

「構わん」

 

いくつか気になることはあるが...まずは目的地に行ってからだな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カフェに到着した俺たちはそれぞれ目的の人物を探した。そんな俺たちに向かってきた女が一人

 

「大丈夫だった?連絡付かなかったから心配してたんだ...よ」

 

俺に気がついたその女性を俺は知っている。それは向こうも同じだろうが。

 

「あちゃー、一緒に来ちゃったか。まぁいいか。二人ともこっち、陽乃さんも待ってるよ」

 

そしてこの出会いはやはり仕組まれたものだった。それにしてもなぜこいつが?

 

女性とともに店の奥の個別ブースに入る。中には雪ノ下姉妹と例の白猫がいた。俺と同じように捕まったであろうその猫に同情しつつ両者から少し離れた席に座る

 

「さて、みんな揃ったかな」

 

「もちろん説明してくれますよね。なぜ彼女らがいるのか」

 

「もー、そんなに焦らないの。まずは自己紹介からしないと。じゃあ私から。私の名前は雪ノ下陽乃。雪下神社の次期当主だよ〜」

 

「私は雪ノ下雪乃。この人の妹よ」

 

「山根ひばり、週間文秋の記者よ。知ってるかもしれないけどね」

 

山根ひばり

 

カナのシージャック事件について取り上げた記事を書き、その弟である遠山キンジから定期的にネタをさがしている。つまり同室である俺の情報もある程度調べられているわけで...

 

「え、えーと。豊穣小町です。ひばり先輩のアシスタントをしています。...それで」

 

流れるように自己紹介が終わる。最後に残ったのは俺だけだ。比企谷の姓でいいと思うが豊穣小町の存在がきになるところだ。そんはことを考えていたら全員の視線が集まっていたことに気がつく。

 

「比企谷八幡です。国籍は香港、今は東京武偵校にいます」

 

必要最低限に自分の立ち位置を話す。あくまでも小町と関係がないと暗に主張するために

 

だがそんなことを許してくれるような優しいお姉さんはここにはいなかった

 

「今日集まってもらったのはね〜...八幡と小町ちゃんを合わせるためだよ。実は二人は元兄妹!感動の再会?どう?八幡?」

 

「やっぱり...お兄ちゃんなの?」

 

「...陽乃さん。話ってこれですか」

 

「うーん、まぁそうだね☆」

 

一瞬の違和感のあとここだけが絶界に覆われていることに気がついた

 

「別に何もしないよ。他の人に話を聞かれたくないだけだから」

 

雪ノ下陽乃が俺を小町と会わせた理由

 

「陽乃さん、本当にお兄ちゃんなんですか」

 

雪ノ下陽乃が今日出かけることができた理由

 

「そうだよ」

 

そしてここに山根ひばりがいる理由

 

「あの...ね...お兄ちゃん...小町......ずっと」

 

「これは雪ノ下家の判断ですか。それとも政府の?」

 

「...へぇー。そこに行き着くってことはやっぱり...」

 

「その前にどうしてこんなことしようと思ったんです?」

 

「端的にいうと御告げかな。君が私達に危険をもたらす可能性が高いっていう感じのね。でも君を調べても詳しい情報は出てこない。香港にいた時期の情報は武偵になってからしかないと言っていいくらい」

 

「だから唯一わかっている俺の肉親を人質にしてやめさせようと。それがきっかけになるとは考えなかったんですか?」

 

「確かに小町ちゃんを連れてきたのにはそういう理由もあるけど。一応言っておくと比企谷夫妻が逮捕されてから小町ちゃんの面倒を見てきたのは他でもない雪ノ下家だからね」

 

だから初めてあったとき何か言おうとしていたのか。小町を拾ったのには色々政治的な部分もあっただろうが

 

「とにかく君のことはまだ雪ノ下の一部の人間しか知らないわ。君がこの国に恨みを持っているにしろ組織に属しているにしろこの国に大きな被害を出すわけにはいかない。だから取引しない?こっちから要求するのは2つ、君自身のある程度の情報開示と依頼を1つ。君からも2つ出していいよ」

 

ある程度ね...それよりも依頼の内容がわからない方が怖いが...てか裏取引とかスクープ好きのマスコミの前でやっていいのかよ

 

「依頼に関しては内容によりますね。ただこちらから挙げるとするなら俺の情報を雪ノ下と山根ひばり以外に開示しないこと。どうせ立会人とかなんかでいるんでしょうし。もう1つが小町の完全な安全保障。いうまでもなく人質になんかしたら殺しますよ」

 

「小町ちゃんがいる前で言うね〜」

 

「会うのはこれが最後ですから」

 

「だってさ〜」

 

「なんで...なんで...なんでそんなこと言うの!小町はずっとお兄ちゃんに謝りたかったのに」

 

「...謝ればいいだろ。それで終わりだ。それに今は兄妹じゃない」

 

「そうじゃない、そうじゃないよ」

 

「だいたい一方的に謝られてどうしろと?結局お前自身の気持ちの整理がしたいだけだ。そん「そこまでだよ」...」

 

「それが君のやり方?それで満足なの?」

 

「比企谷くんがどう思ってるかわからないけどこれが本心で言ってるようには見えないわね。仕事柄人の言動から読み取るのは得意だから。それはアシスタントをしている小町ちゃんも同じみたいよ」

 

「お兄ちゃんは覚えてないかもしれないかもしれないけど前にもこう言うことあったんだよ」

 

「っ!俺は...」

 

「何も知らない人間ならともかく、ここにいる人たちは皆それなりに貴方を知っているわ。だから...そういうやり方はやめて」

 

「小町ちゃんがジャーナリストを目指した理由って知ってる?比企谷くんの行方を追うためよ。まだ1年ばかりの付き合いだけど、小町ちゃんが比企谷くんに謝りたいって気持ち、嘘じゃないと思う」

 

「...どうせお兄ちゃんのことだから小町を巻き込まないように嫌われてでも距離を開けようとしたんだろうけど...そういうの小町的にポイント低いよ」

 

「それで...話してくれる?」

 

「わかりました。ただし絶対に他言無用で」

 

「わかってる(わ)(よ)」

 

「小町も聞いていい?」

 

「聞くのは自由だ。そのあとどう思ってくれてもいい。そうだな...まずは俺の本名から......」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある程度の話が終わり全員と別れた俺の目の前にはなぜか白猫がいる。あの場所でずっと俺の話を聞き、その後の話もおとなしく聞いているように感じた。異能が猫に化けている可能性も考えたが陽乃さんの話では何も感じなかったので賢い猫ってことでいいんだろう。

 

それにしてもこの猫、妙に親近感が湧くんだよな...

 

「お前、これからどうするんだ?」

 

通じるかわからないが声をかけてみる

 

するとシュッと飛び跳ね俺の方に飛び乗った。探すときにも思ったけど運動能力高くない?

 

...

 

......

 

「名前...つけないとな」

 

 

「にゃ〜」

 

 

 

 

 




山根ひばり:陽乃とは知り合いだがあくまでもこの会談には中立として参加。八幡との約束どおり話さないつもり(小町のためでもある)

雪ノ下陽乃:力技では勝てないので言葉でこちらが有利であるような環境を作った。内心ひやひや

豊穣小町:小さい頃に兄を失ったため覚えていることは少ないが、こんな性格だったなどはなんとなく覚えている(一部美化されている)

キャラ設定みたいなのになったのであとがきにも上げます

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