ぼっちな武偵   作:キリメ

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部活の合宿終わったのにすぐに練習再開
大学の体育会系ってかなりハードだと思い知らされました


10.氷の魔王

 

雪ノ下陽乃が戦闘体制に入ったと同時に周りの空間が歪む

 

八幡「...これは絶界か」

 

陽乃「へぇ知ってるんだ」

 

絶界、現実世界から隔離された異世界ともいえる空間。発動者やその仲間に有利な環境を生み出し敵に不利な環境を作り出すことができる。

 

おそらくこれは雪ノ下冬乃の作り出したものだろう。特に何も感じないから多分現実世界に被害が出ないようにするためだけだろうし特に気にしなくてもいいな

 

 

陽乃「いくよ」ニコッ

 

八幡「!」

 

相手との距離は3メートル、雪ノ下陽乃が一瞬で詰めてきたことには別に驚かないが笑顔のまま切り掛かってきた為ワンテンポ反応が遅れた

 

ギリギリ刀身に触れることなく躱し逆にこちらから前に出る。剣は近接武器だが刀身の長さ的に近々距離では逆に使えない。そしてこの距離ではナイフの方が速く小回りが利く

 

向こうもそれをわかっているようで後ろに下がって距離をとろうとする

 

八幡「ここは...俺の距離だ!」

 

体制を立て直すよりも速く相手の懐に入る

 

刹那のように貫くイメージで亜音速になるかならないかの速度のナイフを突き雪ノ下さんの腹を貫く

 

八幡「?...!」

 

背中に寒気が走りナイフから手を離して距離をとると...

 

直後さっきまでいた場所に地面から氷の針が何本も突き刺さっていた

 

陽乃「今のを避けるんだ」

 

ナイフの刺さった雪ノ下さんが砕けその後ろから本物の雪ノ下さんが現れる。おそらく何らかの魔術で姿を隠して分身を使っていたようだ

 

八幡「随分と慎重ですね」

 

闘うのがめんどくさいからって少し焦りすぎたかもしれない。下手したら死んでたぞこれ。結果的にふりだしってところか、ナイフなくなったけど

 

陽乃「そっちこそ随分と余裕そうだね、でもその態度...保てるかな?」

 

雪ノ下さんの雰囲気が一段と重く濃いものになる。一度刀を鞘に納めて居合いの体制に入る。

 

普通ならそれは悪手だ。銃を持っている相手に一対一でしかも実力が拮抗している相手に待ちの一手ということは...何かあるのか?

 

八幡「そんなに余裕ではないんですけどね...」

 

バン!

 

不可視の銃弾で両足を撃ち抜こうとする...が途中で銃弾が凍りつき地面に落ちる

 

陽乃「...パーフェクトフリーズ」

 

そのつぶやきと同時に温度が一段と低くなる

 

八幡「反則だろそれ」

 

雪ノ下の前面を守るように冷気の膜が現れる。おそらくそこを通ったものを全て凍らせるのだろう。見たところ前面だけなので跳弾を使えば問題ないのだが俺にそこまでの銃技はない。早撃ちはできるが正確無比な射撃はできないのでキンジやカナように銃弾撃ちはできないというわけだ

 

バン!バン!

 

銃で牽制するが牽制にならない。

 

だが剣でしか攻撃できないのか斬りかかる時は冷気の膜がなくなる。そこを突けば...

 

陽乃「斬りかかる瞬間を狙えば...とか思ってる?残念だけど無駄だよ、私自身に冷気を纏ってるから銃弾程度なら大きなダメージにならない。それに...」

 

ザシュウッ!

 

冷気の斬撃を飛ばした遠距離攻撃をおこなってきた。予想外の出来事にガードの上からダメージを食らう。体の一部が凍傷になりかけてようやく目がさめる

 

(そろそろ本気でやらないとマズイか)

 

雪ノ下家に俺自身の技を見せることをためらっていたが予想以上に雪ノ下の実力が高い。ジャンヌ以上の氷の使い手で実力はパトラと同じくらいだ。

 

八幡「悪い」

 

陽乃「ん?」

 

八幡「少しなめてた、戦巫女とはいえ所詮井の中の蛙だと思ってたからな。今回の場合俺がそうなのか?まぁここからは好きにはさせないぞ」

 

陽乃「ふぅーん...!!?」

 

八幡「......無影」

 

その瞬間俺の姿を捉えられる人はいなくなった

 

陽乃「透明化ってこと?」

 

八幡「.........」

 

透明人間は姿は見えなくなるが気配を完全に消すことができない。俺の無影は姿を消すのではなく気配を完全に消す、ただそれだけ。たったそれだけのことだがこれができるのは世界で俺ただ一人。動かないことで気配を消すことをできる人はそれなりにいる、レキもその一人だ

 

だが普通に動き攻撃するときにまで気配を絶つことはレベルが違う。普通何かをしようとするとき嫌でも力が入る。イ・ウーのトップでさえ少しの気が動く。気配を悟らせないようにしてもそれは気配が消えることとはちがう

 

これが俺の才能であり技術であり能力

 

姿が見えず気配も感じることができないままずっと意識を集中し続けることはできない。そうして戦意が弱まったところで確実に仕留めるのが俺の藍幇での仕事だった

 

見えないものに追われ、確実に殺される恐怖からつけられた二つ名が«死神»

 

陽乃「透明化したところで!」

 

雪ノ下の半径5メートルに吹雪が起きる。おそらくそれに少しでも触れたら雪ノ下本人にわかるような仕組みになっているのだろう。だが吹雪自体に攻撃能力は感じない。いつ来るかわからない相手に高コストの技を発動し続けてスタミナ切れになることを恐れているのだろう

 

 

─────今までの相手と同じように

 

 

だが俺の無影の前では意味が意味がない。無影は[見えているがそこにいるのかわからない]のではなく、[見えていないし存在しているのかさえわからない]という技だ

 

この技が完成したのはイ・ウーにいたときだ。トップとの戦いのときはまだ不完全だったため負けたが今なら勝てるかもしれない。まぁそのためには推理されないように日常でも常に無影でいて、かつしばらく誰にも知られていない場所で特訓しなくてはならないと思うが...

 

つまり何が言いたいかっていうと完全な無影の前に人の六感は反応できない、五感じゃなくてな。だからこの吹雪に触れても雪ノ下が気づくことはない。さすがに長時間いるとそれ以外の要因で気づくこともあるかもしれないが、”比企谷八幡”に意識が向いている以上俺を感知することは不可能だ

 

もう一本のナイフを取り出して吹雪の中雪ノ下に斬りかかる

 

バチッ!

 

陽乃「くっ!」

 

藍幇の最先端武器''電磁ナイフ''

 

刃渡り8センチに8万ボルトの電流が流れており失神まではいかないが体を麻痺させることができる武器だ

 

持ち手の部分は絶縁体で内部に最新の技術でエネルギーが発電されているそうだがよくわからないし俺の専門分野ではないからメンテは藍幇に任せっきりだ

 

それで雪ノ下の右手に斬ったため刀が地面に落ちる

 

バチッ!バチッ!

 

今度はナイフをスタンガン代わりにして両足に当てる。すでに戦闘能力はほぼ無いのでわざわざ傷つける必要も無い

 

地面に倒れこんだ後は対異能用のワイヤーで拘束し吹雪がやんだのを見計らって姿を現す

 

八幡「俺の勝ちだな」

 

陽乃「結構いいことまでいったと思ったんだけどなぁ。でもそうだね、私の負け、完敗だよ」

 

八幡「やけにあっさりしてますね」

 

陽乃「まぁ元々八幡と戦ってみたかっただけだから、もちろん勝つつもりだったけどね」

 

そんな話をしていると向こうから雪ノ下家当主とレキが現れる

 

冬乃「お疲れ様でした、後始末はこちらでしておきますのでゆっくり温泉で休んでください」

 

八幡「どうも」

 

レキ「おめでとうございます、八幡。さっそく温泉に入りましょう」

 

そういうと手を掴んで俺を連れて行こうとする

 

冬乃「わざわざありがとうございました。明日もよろしくお願いしますね」

 

八幡「はい」

 

レキ「八幡早く」

 

八幡「そんなに急かすなよ」

 

陽乃「八幡!明日はよろしくね」

 

八幡「わかっていますよ」

 

レキ「.........」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レキに連れて行かれて温泉に来たわけだが...

 

なぜに混浴!?

 

いや確かに男がここに来ることなんてほとんど無いから男湯なんて無いのかもしれないけど

 

レキ「さぁ入りましょう」

 

八幡「いや、はいるって...混浴だぞ」

 

レキ「構いません」

 

八幡「おれが気にするんだが」

 

レキに「...八幡は私とはいるのイヤ...ですか?」ウワメヅカイ

 

八幡「ウグッ!」

 

やばい、このままでは八幡の八幡が、こうなったら何か別のことを考えないと...

 

レキ「それに...もう少ししたら雪ノ下陽乃さんが入ってきますよ。今のうちに入りましょう」

 

............

 

.....................

 

.................................

 

八幡「...わかった、だが少し時間をずらすぞ。レキが先に着替えて入っていてくれ、俺は外で待っておくから。少ししたら俺もはいる。それでいいだろ」

 

レキ「逃げそうなので逆ならいいです」

 

八幡「...わかった」

 

流石というかかなりの大きさの露天風呂だ

 

体を洗い湯船に浸かってすこしするとレキが入ってきたみたいだ。幸い湯けむりさんがいい仕事をしているためシルエットでしかみえない。これはこれで少し危ないが

 

湯船にレキがはいってきて背中合わせにつかる

 

レキ「こうして一緒に入るのも久しぶりですね」

 

八幡「......だいたい5年ぶりぐらいか」

 

俺がウルスの捕虜になっている間世話をしてくれたわけだが監視のため風呂まで一緒に入っていた。といってもまだ世間では小学生と言われる年齢だったため異性とはいることに大きな抵抗はなかった

 

レキ「...最近風の声が聞こえなくなり始めました」

 

八幡「......どういうことだ」

 

レキが「4月に風に遠山キンジと結ばれろ...と言われたのですが...その...イヤだと思ってしまい」

 

八幡「そしたら風から声が聞こえなくなり始めだというわけか」

 

レキ「はい」

 

八幡「レキは...声が聞こえなくなっていくことをどう思った?」

 

レキ「私が何者なのかわからなくなっていく感じがして怖いです」

 

八幡「......そうか」

 

レキ「でも...その時の選択は間違っていたとは思っていません」

 

八幡「!...それはレキ自身の意思か?」

 

レキ「はい」

 

レキがどんな理由で風の意思よりも自分の意思を優先できたのか、何がきっかけだったのかなど聞きたいことは少なからずあるがそれを俺が知る必要は無いだろう。

 

あとは...これがどう転ぶか...

 

 

 

 

 

 

 

 

────────────

 

 

 

 

 

護衛当日

 

当たり前といったら当たり前なんだが特に何もなく護衛は終わった。というか護衛が必要だったのかさえ怪しい、実際雪ノ下さんとしか戦ってないし

 

陽乃「八幡、今日はありがとね」

 

八幡「いえ、何もなくてよかったです」

 

陽乃「それに君と戦えてよかったよ、私の今の力もしれたし」

 

八幡「はぁ」

 

陽乃「また依頼するかもしれないからその時はよろしくね」

 

八幡「まぁ都合が合えば」

 

レキ「...八幡、行きましょう」

 

八幡「ん?もうそんな時間か」

 

陽乃「えーお姉さんともっとお話ししようよー」

 

レキ「前から思っていましたが八幡と少し距離が近いのでは」

 

陽乃「そんなことないと思うなぁ、これくらいスキンシップだよね、八幡」

 

レキ「...八幡」

 

まずい、レキがなぜかお怒りのようだ。表情がいつもよりもほんの少し硬い。それになんか雪ノ下さんとレキの間に火花が見えるような...

 

八幡「そろそろ時間だなー、帰らないとなー。では雪ノ下さん今日はお疲れ様でした、では」

 

そういって何もなかったかのように立ち去る

 

陽乃「ちぇーじゃあまたねー、あっ次会う時は雪ノ下さんじゃなくて陽乃って呼んでね。じゃないとユルサナイカラナー」

 

ちょっ最後に何爆弾発言してるんですか、怖いんですけど...

 

レキ「...八幡」

 

......レキ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから藍幇に一度戻り武器のメンテ改造や新装備の開発などを行った。その時にハロのAIを改造しより人間らしい話し方になった。一応人格が女性なことに文句をいったが聞いてくれなかったことをここで言っておく

 

それから二週間が過ぎた頃、そろそろ藍幇から東京に戻ろうと思っている俺に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イ・ウー崩壊とウルスとの決別が知らされた

 

 

 

 

 

 

 

 




戦闘描写を書くのは難しいですね
どこまで書くべきなのかとかスピード感を出すためにはどうしたらいいのかなど試行錯誤を繰り返しています
アドバイスや感想よろしくお願いします。かなりモチベーションが上がるので

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