granblue fantasy その手が守るもの   作:水玉模様

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明けましておめで投稿。

難産となった日常回第三話。どうぞお楽しみください。


幕間 最後の日常 3

 

 ヒヤリとした冷たく心地の良い感触……額に感じた温度の刺激から、セルグは意識を覚醒させる。

 

「ん……あ……リーシャ?」

 

「あ、セルグさん。起きたのですね」

 

 視界に入ったのは赤と茶の混じった色合い。長く綺麗な髪がその色合いと共に目に移り、セルグはそこいるのがリーシャであると認識した。

 額に感じたのは水に濡れた布。どうやら燃え尽きて放置されたセルグを看てくれていたようである。

 少しだけ予想外な人物が看てくれていた事に驚きを感じながらも、セルグは思考を己の状態確認に回す。

 不具合は無し。ジータの治療によって体の状態は万全に整っているようだ。

 

「また随分、無茶苦茶をやらかしたみたいですね。本当……バカみたいです」

 

 そんなセルグの思考を余所に、リーシャは腰に手を当てて呆れたようにセルグを看た。濡れた布を取り去り、傷は癒えているかとセルグの様子を伺う。

 

「いきなりご挨拶だな。悪いがもうお説教は勘弁だぞ」

 

「こってり絞られた様ですから私から言うことはありません。体の調子はどうですか? ジータ団長からは完治していると聞いていますが、傷が残っているような治療しますよ」

 

 特に異常は無い。外傷も見受けられず一先ず安心したようにリーシャは息を吐いて問いかける。

 

「あ、あぁ……なんだ調子狂うな。傷は恐らく完治している。ただ散々に怒られたんで、疲れていただけだ。

 やったことを考えれば自業自得なのはわかるが、あんなに怒ることもないと思うんだが……」

 

 反省――はしているのだろう。一応言葉の中に自戒の念が見えてくるのは間違いがない。

 だがそれ以上に、セルグにはどこか不貞腐れたような気配が垣間見えて、リーシャはまた呆れと共にため息を吐く。

 

「はぁ……セルグさん、貴方はグランさんが無茶をして怪我したらどうしますか?」

 

「そりゃあ当然怒るに決まってるだろう。何を当たり前の事を――」

 

「貴方は本当にバカなんですね。今のご自分の答えが全ての答えじゃないですか。呆れた……まだ理解していないなんて」

 

 リーシャは心底呆れたように、額に手を当てる。

 自分の事を棚に上げてよくも言えたもんだと、怒りを覚えそうなセルグの言葉に、さすがに頭痛がしてきた。

 

「オレのは無茶ではあっても、死にはしない算段がある。そもそもオレはヒトから外れた体を持っているんだ。お前達と一緒にするな」

 

「開き直らないで下さい。そうして傷つく貴方を見るだけで皆さんは悲しみに暮れるんです。ヒトから外れた体であろうとも、仲間であることは外の誰とも変わらない。いい加減自分だけ特別だと思うのはやめてください」

 

 何度無茶を重ねるのか。何度己を顧みずに行動するのか。

 出自を知り、使命を知り、成すべきことを理解したはずのセルグは変わらずの無茶をし続けている。

 例えそれが本人にとって無茶ではないとしても、それを見せられる仲間の気持ちをないがしろにするセルグの行動にリーシャは苦言を続けた。

 

「今日は随分と突っかかるじゃないか。これ以上のお説教は勘弁してくれ……」

 

 目覚めからいきなりの手厳しい言葉の連続。セルグの雰囲気は更に罰が悪そうに陰っていく。

 

「モニカさんの為に貴方の監視は怠れませんからね。帝国との決戦の為にも死に向かう貴方を止めるのは私の大事な役目です。公私に置いて共に、貴方は私にとって重要な人物なのですから当然でしょう」

 

「はいはいわかったよ。これ以上無茶してモニカにまで報告されたら敵わねえからな……もう無茶をする気は無かったが無茶はしないようにするさ」

 

 降参とばかりに両手を上げて、セルグは反論することを諦めた。

 どうあがいても今回は分が悪い……完全に論破されつつある自分はそろそろ本格的に態度を改めないと団内でのヒエラルキーが最低ラインにたどり着く気がして慄いた。

 

「そうしてください……それから今回の事は既にモニカさんには報告しましたのでご心配なく。所用もあるため今日中にでもガロンゾに来られるとおっしゃっていましたから覚悟するように。それでは、私はこれで――」

 

「は? ちょっと待て、お前今なんて」

 

 聞き捨てならない言葉を聞いて、セルグはリーシャを呼び止めるも、リーシャはそのまま部屋を退出すべく扉に手を掛けてから振り返った。

 

「ど・う・ぞ! 覚悟しておいてください」

 

「嘘だろ……お、おいリーシャ!?」

 

 明確にわかる怒り。語気も荒々しく部屋を出ていったリーシャが残した言葉を理解してセルグは縮こまりながら見送ることしかできなかった。

 

「こりゃ、やばいかもな……」

 

 静かな部屋に取り残されたセルグは、更なる追い打ちが決まったことに頭を抱えて、モニカへの言い訳を考え始めるのだった。

 

 

 

 

 ――――――――――

 

 

 ガロンゾの停泊所。

 グラン達一行はグランサイファーの元へと集まっていた。

 前日に改修を終えたグランサイファーには、既にラカムとオイゲンが乗り込んでいる。

 

「つーわけで、今日はグランサイファーの試運転をすっから俺とオッサンは一日中飛んでる。お前らはのんびりしててくれ」

 

「決戦前の最後の休みだ。しっかり英気を養っておきな」

 

 改修直後にいきなり本番とはいかない。

 騎空挺造りの星晶獣ノアの設計であっても、突貫工事に近い改修は色々と不完全が否めず、安定した航行が可能かテストする必要がある。

 その為の試運転であった。

 

「わかった。ありがとう二人とも。それとゴメン……この埋め合わせは決戦の後にちゃんとするよ」

 

 艇の事ゆえ、グラン達に出番はない。

 試運転で何かあっても困る為、グラン達を置いて出発する二人。二人に全て任せて休息をとるのは若干の抵抗を覚えてたグランが申し訳なさそうに謝った。

 

「よせやいグラン。これは俺たちにしかできないことだからするだけだって。若い者がそんな細けぇこと気にしなさんな」

 

「そういうこったな。それじゃオッサン。行くとするか」

 

「おうよ、しっかり頼むぜラカム」

 

 グラン達には見えない信頼関係。

 彼らと旅に出る前から面識があり、ずっと昔には共に旅をしていたことがあった二人の絆が今、改修を施されたグランサイファーに挑む。

 強化された機関部が唸りを上げ、飛び立つ二人とグランサイファーを見送り、グラン達は一息ついた。

 

 

「それじゃ、今日は各々自由行動にしようか。僕は宿に戻っているから何かあったら連絡してくれ」

 

「私も宿にいますね。皆さんはゆっくりしててください」

 

「って言われても、私達も団長二人が宿で待機しててのんびりするのはちょっと……」

 

 自由行動と言いつつも、宿で待機と言い張る二人を見て、ゼタや仲間達にも遠慮が見えた。

 そんな仲間達をみて焦ったようにジータは口を開く

 

「そんな、気にしないで下さいゼタさん。私達は、また一つやることができただけなので」

 

「ん? なんだよジータ。やる事って……?」

 

 ビィが疑問の声を上げる。

 今ジータは私達と言った。つまりそれはジータだけでなく、グランも含まれる。

 思い当たる節が見当たらず仲間達が疑問を浮かべた。

 

「セルグの様子を見に行くのと、僕達は昨日の事で話し合わないといけないことがあるから」

 

「やり方はどうあれ、セルグさんが示してくれた道。私達は強くなる為の(しるべ)にしたいんです……」

 

「うん。そういうわけだから僕達の事は気にしないで皆はゆっくりしてて。あ、頼むから騒ぎだけは起こさないでくれよ」

 

 昨日示されたセルグの見解。それを今一度かみ砕こうと、グランとジータは宿へと向かう。

 二人を見送る仲間達はそれを少し気に掛けるも、各々自由行動とするべく話を始めた。

 

「それじゃあルリア、私と一緒に買い物に出かけましょ。ロゼッタも、ね」

 

「あら、いいわね。久しぶりにのんびりしたいわぁ……ルリアちゃん、オルキスちゃんも連れて皆で行きましょうか」

 

「ハイ! 皆でお買い物……楽しみです! カタリナも一緒に行こう!」

 

「あ、ああ。ロゼッタだけでは少し心配だからな……ヴィーラ、君はどうする?」

 

「申し訳ありませんお姉さま。私は少し宿に戻ってやることが……」

 

「あ、私も。行きましょ、ヴィーラ」

 

「えぇ」

 

 一足先に集団を離れるヴィーラとゼタ。仲間達はそれを疑問に思うことはなく、素直に見送る。

 恐らくはグラン達と同じで宿に戻ってセルグの元へと向かうのだろう。

 昨日に引き続きセルグの疲れる姿が頭に浮かんできそうではあるが、自業自得だと捨て置いて、彼らはガロンゾの街に繰り出していく。

 

「アレーティアも一緒に行く?」

 

「フォッフォッフォ、さすがに女子だらけの中に混じるような事はできないぞい。儂は少し鍛錬をしておるので気にせず行くとよいぞ」

 

「うーん。わかった! それじゃお土産ちゃんと買って帰るから楽しみにしててね!」

 

「フォッフォ、それは楽しみじゃ。よろしく頼むぞい」

 

「はーい。それじゃ、行ってくる!」

 

 一人手持無沙汰なアレーティアをイオが誘うも、さすがに面子をみて断りを入れたアレーティア。その姿はまるでおじいちゃんと孫といった様子である。

 街へと向かったイオ達を見送ると、アレーティアも宣言通りに鍛錬の為、街はずれの方へと歩き出していった。

 

 

 

 こうしてイオ達は決戦前の最後の休日を過ごし始める。

 

 イオやルリア、オルキスを着飾るべくロゼッタがあちこち連れまわしたり。

 おいしい食事を求めて、ルリアが大暴走したり。

 アポロへのお土産を探すオルキスを手伝ったりと、穏やかで楽しい時を過ごしたのだった。

 

 

 ――――――――――

 

 

 

「さて、ヴェリウス。オレ達も少し出かけるとしようか」

 

 ベッドから抜け出たセルグは少し出かけるべく準備をしていた。

 先ほどグランとジータが訪れ、今日は各々自由に行動をしていると聞き及び、せっかくだからのんびりと街を散策しようかと思っていたところである。

 

 ”それは良いが、小僧共が言ってたように今日は皆自由行動なのであろう。あの娘たちと過ごさなくて良いのか?”

 

「昨日の今日で、今はできる限り顔を合わせたくない所だ。これ以上何か言われては疲れが明日に残ってしまう」

 

 ”相変わらず頭が上がらないようだな……ついでに言うと少しばかり遅かったようだぞ”

 

「何……?」

 

 ヴェリウスの言葉に疑問を抱くも、すぐにセルグは扉が開く音を聞いてその意味を理解した。

 

「せっかく私達が来たっていうのに、そんな事言うんだ……」

 

「ご自分が心配かけていることはよく理解しているというのに、どうにも貴方はその先のケアが足りていませんね。こういう場合は埋め合わせとして普段にもまして気にかけて欲しい所だというのに……」

 

 不機嫌そうなゼタ。冷めた視線を向けるヴィーラ。

 二人が扉から姿を現して部屋に入ってくる。

 

「あー……とりあえずいつからそこに?」

 

「今しがたよ。せっかくの自由時間だもの、一緒に過ごしたいと思ったって良いでしょ?」

 

「それが説教だらけのデートになるのなら御免被る」

 

「それでしたら心配はありませんね。代わりにしっかりとエスコートしていただければ問題ありません」

 

「オレにそんな甲斐性があるとでも?」

 

「無いなら無いで、育てるまでよ」

 

「その通りです。そのくらいの器量は身に着けてもらいたいですから」

 

「さいですか……」

 

 小気味いいテンポで会話が続き、ゼタとヴィーラに言いくるめられ、セルグは諦めの境地へと達した。

 もはや何を言おうと言い返されて終わるだろう。別段彼女たちとの時間を持つのはセルグとしても嬉しい事ではあるし問題は無い。

 一人の時間を過ごした後は彼女達と過ごすつもりでもあったし、早いか遅いかの違いであった。

 だが、先ほどリーシャより投げかけられて浮上した別の問題があった。

 

 

「それなら、私が一緒でも問題は無いな」

 

 

 ゼタ、ヴィーラとは別の三人目の女性の声。女性にしては高い身長の二人に挟まれ、少し小柄な体躯が目立つ女性。

 リーシャより聞き及んでいた彼女(モニカ)の存在である。

 

「モニカ!?」

「モニカさん!?」

 

 ゼタとヴィーラの驚きの声が響く中、二人の間より顔をだしたモニカはおもむろにセルグの元へと向かう。

 

「お早いお着きだな……モニカ。聞いていたより早いと思うんだが?」

 

「お主の安否を確かめるとあっては急ぎたくもなるというもの。想像していたよりも元気そうで嬉しい限りだ」

 

 元気そうな様子のセルグに安心も一入と言ったところか……零れる笑みは優しさと安心に満ちており、彼女がいかにセルグを想っているかを感じさせる。

 

「仕事はどうしたんだ? リーシャの話じゃこっちには秩序の騎空団の所用があると聞いたが」

 

「リーシャが喜んで引き受けてくれたよ。代わりにお主を頼むと言ってな」

 

「あのやろう……」

 

 去り際の怒り。恐らくはこうしてモニカを送り込むことまで算段していたに違いない。彼女なりの粋な計らいというやつか、無茶をするセルグへのささやかな仕返しなのか。

 答えは彼女のみが知ると言ったところだが結果的にセルグは、想い人達に囲まれる事となった。

 

「さぁ、でかけるのだろう? 私にとっても久方ぶりの休息の時間だ。今日は目一杯楽しませてもらうぞ!」

 

 胸中でリーシャへ毒吐いているセルグを現実へと引き戻し、モニカがセルグの手を取った。

 部屋を連れ出そうと引っぱるモニカを見て、おいてけぼりとなっていたゼタとヴィーラも我にかえる。

 

「モニカの登場には驚いたけど、別に良いわよね、ヴィーラ?」

 

「構いません。むしろ私としては好都合ですから。せっかくですし皆で楽しみましょう」

 

 モニカの登場を意に介さず、ゼタとヴィーラも準備万端というようにセルグを連れだそうとする。

 そこにモニカも加われば、セルグも抵抗するだけ無駄というところだろう。彼女達の誘いのまま宿を出て、四人はガロンゾの街へと向かい始める。

 

 

 

 宿を出て、何故か仲の良さそうな三人が前を歩く姿を眺めてセルグは小さく笑った。

 

「やはり……疲れそうだな」

 

 ”だが、幸せなのだろう?”

 

「さぁな……わからん」

 

 ”フッ――馬鹿者が”

 

 静かに……一人と一匹は目の前の光景を見て呟き合うのだった。

 

 

 ――――――――――

 

 

「セルグさん達も出かけたみたいだね」

 

「これでまた一つ、心配事が消えたかな」

 

 宿の部屋から外を眺めていたジータとグランは小さく安堵の溜息をこぼして笑う。

 三人の女性に引かれるように連れ出されたセルグには相変わらず心配が尽きないが、三人の想い人が近くに居ればとりあえずは大丈夫だろう。

 

 部屋の中で二人だけとなったグランとジータは互いに向かい合う。

 仲間に話した通り、セルグが示した答え。二人が強くなる為の話を始めた。

 

 

 

「なぁ、ジータ……僕達はいつから喧嘩をしなくなった?」

 

 旅に出る前。旅に出た後。記憶を一つ一つ遡り、グランはジータへと問いかける。

 神妙な面持ちで記憶を掘り返すグランに倣い、ジータも静かに様々な記憶を思い返しながら答えた。

 

「――多分、ラカムさんを迎えて、団長になってからはしてないかな?」

 

「思えばあの時からだよな……”団長として”。その言葉が頭に浮かぶようになったのは」

 

 突如として舞い込んだ、団長という立場。

 成り行きではあったかも知れないが、それでも二人はその責任感からそれを全うしようと努力をした。

 物知りなシェロカルテから騎空士の生き方を教わり、仲間達が離れていかないようにと気を遣い、仲間達が危険な目に合わないようにと全力で戦ってきた。

 全ては、団長として団員を守るために。団をまとめる者として、皆の命を背負う覚悟をしたのだ。

 

「ザンクティンゼルを出た時はまだ違った……カタリナもルリアも。ただ大切な仲間だった……」

 

「でもラカムさんが来て、騎空団を結成して。そこから私達は、団長と団員となって……」

 

 いつからだろうか? 心の底から無邪気に笑うような、子供っぽさを捨てたのは。

 いつからだろうか? 一歩引いた目線で物事を見るようになったのは。

 いつからだろうか? ()()()()()守らなくてはいけないと思い始めたのは。

 

「ずっと……無理してきたのかな。いきなり団長になって、しっかりしなきゃいけないって……」

 

「うん。仲間を守れる団長で在りたい……仲間に傷ついて欲しくない。そう思うこと自体は当然だとは思うけど……」

 

「でも僕達は……いつの間にか団長だからっていう仮面越しで皆を見るようになっていた」

 

「帝国に狙われるルリアを助けてあげたい。ルリアを守ろうとするカタリナの力になりたい……それがザンクティンゼルを出た時の私達の気持ちだったのに……」

 

「それがいつの間にか、仲間だから……その一言で終わっていた気がする」

 

 何故助けようと思ったか。何故力になりたいと思ったか。何故仲間に成ろうと思ったのか。

 仲間になった一人一人に向けた想いがあったはずなのに、いつの間にか団長だから……仲間だからで全てを一括りに見ていた。

 

「きっと……怖かったんだよね。

 初めてできた大切な仲間達。離れて欲しくなくて、傷ついて欲しくなくて……だから自分達よりも仲間を優先するようになって」

 

「嘘をついてきたわけじゃないけど……心の奥底っていうのかな。本音っていうのを隠して振舞っていた」

 

 見つめなおして紐解かれていく自分達のこれまで。

 二人は噛みしめるように次々と言葉を続けていった。

 

「この間のザンクティンゼルでの一件……僕達はフュリアスに対して抑えきれない怒りを抱いていたけど」

 

「今思い返せばわかる。あれはいつもの……というか団長としての私達ではなかったよね」

 

 セルグが言った通り、ザンクティンゼルでは団長としてではなくグランとジータとしての顔が出ていた。

 故郷を荒らされた怒りに燃える二人は、セルグに止められなければ間違いなくフュリアスを痛めつけていたであろう。

 

「セルグに止められて、カタリナに諭されて……そこで初めて、頭に血が上っていることに気づかされたんだ」

 

「でもきっと、セルグさんが言ったのはそういうこと何だと思う。荒れ狂う感情を制御しチカラへと変えろ――私達はあの時のように団長としての枷を外して、グランとジータで在るべきなんだ」

 

「団長としてではなくグランとして。ジータとして。僕達は戦いに臨むべきなんだ」

 

 思い出す感覚。

 団長になるよりもっと以前の、最も古い約束が昨夜のグランを奮い立たせた。

 共に歩んできた片割れと相棒。共に夢見てきた果てない旅路。それを必ずや成し遂げようと約束して生きてきたこれまで。

 グランとして生きてきた全てが、あの瞬間に死を受け入れることを否定させた。

 

「思い出そう、ジータ。僕達は何のために旅を始めたのか。僕達は何で皆を仲間に迎え入れたのか……僕達はなんで帝国と戦おうと思ったのかを」

 

 強い視線でジータへと言葉を投げるグランにジータも強く頷く。

 気持ち、心構え、覚悟……天星器を扱うための集中力と言い、まだ若い二人はそれだけで大きく変われる……その可能性がある。

 

「うん、思い出そう。何を思いここまで戦ってきたのかを……団長としてではなく()()としての戦う理由を……」

 

 静かな宿の一室で、グランとジータはこれまでの旅と仲間との出会い。そして数々の戦いを振り返る。

 一つ一つの出会いを。迎え入れた時の喜びを。戦うと決めた時の決意を。

 

 夕暮れ時になり、仲間達が宿に戻ってくるまで、グランとジータは粛々とこれまでの旅を振り返り続けるのだった。

 

 

 

 

 ――――――――――

 

 

 ガロンゾの街の一角。

 とある店にて、セルグは試着室の前で待機していた。

 状況からしてここにいる理由は一つ。目の前には都合よく並ぶ三つの試着室。その全てはカーテンによって閉められており、使用中であることが分かる。

 であるなら、その中にいるのは彼女達に他ならない。

 小さくカーテンが引かれる音が鳴ると、視線を下げていたセルグは顔を上げた。

 

「セルグ! これはどう?」

 

 セルグと並ぶことを意識したのか、黒を基調としたラフな服装。

 真紅の鎧姿しか目にしてきてなかったセルグは、カジュアルで戦士の気配が消えたゼタの服装を見て柔らかく答える。

 

「あぁ、良い感じだ。そうしてみると普通の町娘みたいだな……」

 

「普通とは聞き捨てならないわね……これでも容姿にはそれなりに自信ありなんだけど?」

 

「そういう意味ではなく、とても炎をぶっぱなして戦う戦士とは思えないって意味だ。あまり悪くとらないでくれ」

 

「フフ、慌てちゃって……大丈夫よ、ちゃんとわかってるから」

 

 不機嫌さを見せたかと思えばコロッと笑うゼタの様子にセルグは、慌てふためいた空気を隠す。

 そんな二人とは別の方から声がかかる。

 

「セルグさん、こちらは如何ですか?」

 

 次いで開いた試着室からはヴィーラの姿が。こちらは普段の衣装のイメージからそれほど変わらず。多少動きやすさや、騎空士としての雰囲気が薄れたものの普段の感じからは変化が感じられなかった。

 

「ヴィーラには少し地味ではないか? 暗い雰囲気からシフトしても良いと思う。暖色を選んでみてはどうだろう」

 

「そうですか……貴方の隣を歩くならこういった感じの方が好まれるかと思ったのですが……」

 

「そんな気遣いでヴィーラの魅力を落とす必要はない。どんな姿だろうがオレは構わないさ」

 

「ありがとうございます。それではもう一度選んできますね」

 

 セルグの言葉に喜色を浮かべると、ヴィーラは再び自分に合う服を選びに店内へと消えていく。

 それを見送っていると、またも別の声。

 

「セルグ、こんなのはどうだろうか?」

 

 最後の試着室が開き姿を現したのはモニカ。

 フリフリのミニスカート。白を基調とした服装に胸元のリボン。髪もリボンで縛りツインテールに。

 そこには、どことなくイオのような少女っぽい服装へと着替えたモニカの姿があった。

 

「お前は少し、普通というものを学べ……」

 

「むぅ……意外とセルグには受けるかと思ったのだが不評だったか……予想が外れたな」

 

 幼い少女が着そうな可愛らしいを前面に出した服装に、セルグとゼタは引き攣る。予想外らしい反応にモニカは困った様子を見せた。

 

「何を思ってその結論に至ったのかは知らんが、何を思おうともその結論に至ったことをオレは怒って良いよな?」

 

「待て待て、ちょっとしたおふざけだ。今度はちゃんと選んでくる。少し待っててくれ」

 

 ヴィーラ同様、店内へと消えていくモニカを見送り、セルグは小さくため息。

 まさかのモニカのセンスに驚きと呆れが込み上げてきて、ゼタと並んで疲れた様子を見せる。

 

「まさか、本気であれを選ぶとは思わなかったわ……さすがに無いわよって言っておいたんだけど……」

 

「アイツもずっと秩序の騎空団の制服しか着てこなかったんだろう。お前みたいにセンス溢れるとはいかないんだろうさ」

 

「あら、嬉しい事言ってくれるわね。あの子と一緒にあちこち買い物に行ってたことは無駄ではなかったかしら」

 

「アイリスにその気配は見えなかったけどな……というかオレは着飾らなくても気にしない」

 

「あんたが気にしなくてもそれを女に押し付けるのはご法度。女はいつでも着飾っていたいものよ」

 

「左様ですか……まぁ、三人とも魅力的な事は事実だからオレは嬉しいさ」

 

 そう言って穏やかに笑うセルグに、ゼタは僅かに見とれる。

 相変わらず戦いに関しては無茶が多いものの、こうして笑う姿にはどこか安心感を覚える。

 言葉では言い表せないが、セルグはやはり変わったのだとゼタは再認識した。

 

「やっぱり……いい表情(かお)するようになったわね。あの子といた時のアンタはこんな感じだったのかしら?」

 

「さぁな……自分でもわからん。ただ素直に嬉しいと言葉にするようになったのはこれで二度目だろうな」

 

「そう……ならあの子も浮かばれるわね」

 

「三人に囲われていてもか?」

 

「うん」

 

 少し自嘲の混じったセルグの問いに即座に返すゼタ。

 あの子を疑うな――そんな声なき声がセルグには聞こえた。

 親友を思うゼタの言葉に、セルグはゼタを見つめてまたも柔らかく頷く。

 

「ずるいなゼタ殿。一人だけその距離感を作り出しては私達が遅れを取るではないか」

 

「大丈夫ですモニカさん。この後はしばらく私達の番ですから。ゼタはザンクティンゼルで随分と良いことをしていましたから我慢してくれるでしょう――ね、ゼタ?」

 

 だが、忘れてはいけない。

 ここは服を販売している店内であり、二人には他にも連れが居ることを。更に言うなら、店内には他にも客や店員が存在していることを。

 至近距離とはいかないまでも、互いに近い距離で見つめ合っているセルグとゼタは、傍から見れば仲睦まじいひと時を場違いな店内にて繰り広げている迷惑な客にすぎない。

 新たな服を用意して戻ってきた二人と、他にも点在していた数名の客や店員から冷めた目つきを向けられるのは仕方ない事であろう。

 

「仲良しなのは結構ですが、時と場合と()()が居ることをお忘れなく」

 

「私なんてゼタ殿やヴィーラ殿と違い、なかなか一緒に行動できることもないのだからもう少し私を見てもらっても罰は当たらないだろう……」

 

 やや悲し気な雰囲気まで見せるモニカにセルグは大慌て。

 そんなつもりではなかっただけに、動揺が大きく表れてしまう。

 

「わ、悪いモニカ。別にそんな気じゃなかったんだ。ただ、どうにもこんな状況というのが慣れなくてだな……」

 

「ゴメンねモニカ。私もそんな気じゃなくて、なんていうか少し懐かしんじゃっただけというかね……ほら、しばらくセルグの隣で歩いていいから機嫌直して。ね?」

 

「むぅ……そう子供をあやす様に言われるのは、それでまた妙に面白くないのだが……まぁしばらくはそうさせてもらおうか。さぁ、服も買ったことだし、次に行こう」

 

「そうですね、随分と時間をかけてしまいました。良い頃合いですし先に食事と致しましょうか」

 

 

 戦闘服。モニカの場合は秩序の騎空団の制服だが、それで町中を動き回るのには抵抗があり、こうして今日の為の衣装を買いに来ていた四人であったが、いかんせん時間を掛け過ぎていたようだ。

 既に正午を過ぎており空腹もそこそこ。体の内から大きな音は立てずとも食事を要求する声が聞こえてそうな感覚に四人は次の行動を決めた。

 

「それなら昨日依頼を受けにいった酒場が昼には食事処となっていたな……あそこで良いだろう」

 

「美味しいんでしょうね?」

 

「生憎と注文はしていない。だがまぁマズイものは出さないだろうさ。店を探して時間を潰すのももったいないし我慢してくれ」

 

「それもそっか。それじゃ、案内してよセルグ」

 

 そういってさらっとセルグの手をとるゼタ。

 当然そこには待ったの声がかかった。

 

「待つんだゼタ殿。そこは今から私のポジションだろう! さぁセルグ、行こう。時間は待ってくれないからな!」

 

 セルグの逆の腕を絡めとると、モニカは並んで歩き出した。

 小柄ではあっても女性らしさがしっかりとしているモニカの柔らかな感触と、対抗するように手を握るゼタに温もりを感じながら、案内するはずのセルグが引っ張られていく。

 

「あらあら、お二人とも慌てちゃって……可愛らしいですね」

 

「何を言っているんだヴィーラ。街中では多分に迷惑だろう。お前からも二人を止めてだな――」

 

「あ、私も後でそのポジションを頂きますのでお楽しみに……といっても、貴方にとっては二度目になりますか」

 

「――なんだと」

 

 ポートブリーズの再来。

 自然と思い出したあの日の出来事を思い出しセルグが呻く。

 忘れようはずもない。突き放そうとすればするほど的確に距離を埋めてくるヴィーラの巧みな位置取りを。隙を見せればすぐさまセルグの心に接近してくるような話術を。

 想いを受け入れつつあるセルグにとってはそれほど大きな問題ではないと思われるが、現状彼にそれを平常心で受け流す心の余裕は無い。

 純粋で真っ直ぐな愛を向けつつも行動には計算高さが含まれるヴィーラに比べれば、腕を取るだけのゼタやモニカはかわいいものである。

 

「今日は勘弁してくれ。君の隣は非常に気を遣う」

 

「気を遣わずとも良いでしょう? 私達はその程度の間柄になるつもりはないのですから」

 

「――それでも今日は勘弁してくれ。もう既に余裕がないんだ」

 

 リーシャのように旅に同行できない分を埋めるよう甘えるモニカ。

 セルグ同様、なかなか素直になれなかった自分を解放したように嬉しそうに手を取るゼタ。

 二人の猛攻だけで既にセルグは手一杯であった。

 

「まぁ、残念ですわ。それではこの埋め合わせは次回にとっておきましょうか。フフフ――」

 

 気になる含み笑いを残しながらも、セルグの状態を察してヴィーラが一歩退く。

 既に決戦の後事まで己の予定は定まっていきそうで少しだけ震えた。

 嬉しくはある。それは間違いない事だが、どうにも慣れない。

 

 

 三人の想い人に囲まれながらセルグは今後の彼女達との日常というものにしばらく思いを馳せるのだった。

 

 

 

 

 

「ふぅ、今日は楽しかったよ。セルグだけでなく、ヴィーラ殿もゼタ殿も……ありがとう」

 

 夕暮れ時となって、ガロンゾの街の一角で景色を眺める四人。

 あの後昼食を取り、女性陣の買い物を済ませ彼らはここで赤く燃える夕日を見ていた。

 

「別に良いわよ。というか私の事はゼタで良いわ。私もモニカって呼んでるんだし」

 

「そうですね、私の事もヴィーラとお呼び下さい。代わりにゼタ同様モニカと呼ばせてもらいますね」

 

「そ、そうか……それでは改めて。ゼタ、ヴィーラ、今日は楽しかったよ。ありがとう」

 

 互いに呼び名を交換し、改めて仲を深める三人。

 同じヒトを愛する者同士、今日だけで随分と仲良くなったように思えると、セルグは三人を眺めていた。

 

「セルグもどう? 楽しかった?」

 

「あぁ……こんな穏やかな時を過ごす時が来るとは思わなかった。素敵な贈り物ももらったしな……」

 

 そう言ってセルグは己の姿を見直す。

 彼女達からの贈り物……それは無茶をするセルグの戦い方を知っている彼女達だからこそできるセルグに適した戦闘服。三人が真剣に悩み、相談しながら見繕ったセルグが今来ている服が本日の一番の買い物であった。

 

 ”生きて帰ってきて欲しい”

 

 ただ純粋にそれを思って贈られた戦闘服を受け取り、セルグの心にまた一つ生きる決意の炎が灯る。

 だがそれと同時に、セルグの心に小さな不安も燻っていた。

 

「ん? どうしたのだセルグ。少し浮かない顔をしているように見えるが……」

 

 セルグの小さな変化を察知してモニカが問いかける。

 表情が陰っているわけではないが、どこか落ち着かない。そんな雰囲気を感じ取っていた。

 

「少しだけ……いや、少しじゃないんだが。どうしても不安が拭えなくて怖くなっているんだ」

 

「怖い……?」

 

「何がでしょうか?」

 

 ゼタとヴィーラもセルグの様子と言葉に疑問を抱きながら答えを待った。

 彼女達に応えるべく、セルグは静かに己の内を吐露し始める。

 

「こうして穏やかな時を過ごして、三人に惹かれて……それを知った今、失った時の恐怖が拭えないんだ。

 帝国との戦い……これまで以上に熾烈を極めるだろう。グラン達にしろお前達にしろ、誰かを失うかもしれない。もしそうなった時、オレはきっと耐えられない」

 

 強く発現した使命の事ではなく、これはセルグだけの想いからくる恐怖。それが明日から始まる決戦への不安を膨れ上がらせていた。

 今日の穏やかな時が。彼女達との触れ合いが。楽しい、嬉しいと思えば思う程、その不安は加速していった。

 

「それこそアーカーシャの起動を許せば、お前達皆を失――」

 

 続けようとしたセルグの言葉が止まる。

 唇に当てられて少し冷えた指先。視線を向ければ居並ぶ彼女たちの姿。

 一様に、その表情はセルグの不安を拭い去るように優しい笑みに彩られていた。

 

「らしくないわよ。いつものセルグなら不敵に笑って全部守ってやるくらい言いそうな状況でしょ」

 

「私達は必ず貴方が生きて帰ると信じてその服を贈りました。ですから、貴方も私達を信じてください。私達を……仲間達を」

 

「あまり舐めないで欲しいな。蒼の騎士の右腕と呼ばれた私の心配など不要だよ。私達から見たらセルグの方がよっぽど危なっかしい。そのセリフはむしろ私達のセリフだよ」

 

 戦う前からそんな調子でどうするのかと、優しく激をくれた三人は示し合わせたようにその拳をセルグの前へと突き出した。

 

「不安なんか抱えてる暇無いわよ。私は誰かが欠ける結末なんて絶対認めないんだから」

 

「楽観とは違いますが、誰かが欠けるような未来など想像もできません。私達は必ず皆で帰ってくるのです」

 

「だからセルグ……肝心のお主がその調子でどうする? シャキッとしてくれ」

 

 震えるセルグを激励する三人。

 不安など微塵もない三人の顔と言葉に、セルグの不安が解けていく。

 

 

「――ハハハ。ホント、お前達を好きになれて良かったよ……」

 

 

 不安を上回る戦う意思。恐怖を打ち殺す戦う決意。

 乾いた笑いと共にセルグに宿ったのは、頼もしすぎる想い人達と必ず生きて帰ると決めた誓い。

 突き出されていた拳に己の拳を合わせ、瞳を輝かせたセルグは口を開く。

 

「必ずだ……必ず生きて戻り、未来(あす)を共にしよう」

 

 紡がれた言葉は短く。だが、込められた想いは強い。

 

「ええ」

「はい」

「あぁ」

 

 故に返される声も短く強かった。

 

 

 決意と想いを胸に秘め。不安を消したセルグは彼女達と共に宿へと戻った。

 

 

 

 ――――――――――

 

 翌日

 

 朝もそれなりに早い時間からガロンゾの宿の前に彼らは集った。

 グラン達一行にアポロ達一行。そして迎えに来たモニカとリーシャ。

 

「皆さん、揃いましたね」

 

「どうやら、それぞれに覚悟はできているようだな」

 

 リーシャの言葉を受け、アポロは全員の様子を見て面白そうに笑った。

 決戦前でひりついた空気かと思えば柔らかく、だがどこか覇気のある空気。

 グランとジータだけではない。仲間の誰もがそれぞれの想いを抱いて決戦に臨む気配があった。

 

「負けるわけにはいかない……僕達はそれを知ったからね」

 

「ちげぇねえな。負けるわけにはいかねえ」

 

「またみんなで楽しく街へ繰り出したいものね」

 

 グラン、ラカム、ロゼッタが答える。

 

「決めたんでな……共に生きると」

 

「負ける気なんか更々なし」

 

「必ず、未来を守り切って見せましょう」

 

 セルグ、ゼタ、ヴィーラがその先の未来を見据える。

 

「こいつは上々だ。どいつもこいつも、目をぎらつかせやがって……貴様らも準備はできているんだろうな?」

 

 グラン達からリーシャとモニカへと視線を移し、アポロは確認するように問いかける。

 

「打ち合わせは既に済ませてあります。あとは赴くだけです」

 

「お主の方こそ大丈夫なのか? 本調子でなくば、お主とて――」

 

「無用な心配だ。既に私は万全……足手纏いになるつもりはないさ」

 

 ぎらつく視線はグラン達だけではない。決戦を控え昂るのはアポロも同じであった。

 周囲を威圧しそうな覇気は七曜の騎士らしく、規格外の強者の気配を醸し出していた。

 

「そうだよね~昨日あれだけ僕達で試しておいて調子が悪いはず――痛って!?」

 

「時間を食うからお前は口を開くなドランク。話が進まなくなる」

 

 お約束のやり取りも全員でスルーして、彼らは表情を変えることなく空を見据えた。

 見据える先はアガスティア……エルステ帝国の首都がある島である。

 

 

「行きましょう。帝都アガスティアへ!」

 

 ジータの声で、彼らの長い決戦が始まりを迎えた。

 

 

 

 

 




如何でしたでしょうか。

決戦前で描きたかった部分が多く、またもや長々となってしまいました。
恒例のローアイン達との絡みは今回に限り無しの方向でお許しください。

次回からはいよいよ最終章。
ながながと続いた幕間を終えて、ここからは波乱づくめのクライマックスへと突入していきます。

それでは。お楽しみいただければ幸いです。

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