granblue fantasy その手が守るもの   作:水玉模様

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書いてしまったネタ回。
作者の自己満足第二弾となってしまいました

注意
この文章には真面目成分が含まれておりません。
本編とは全く関係ありません。
色々とキャラの風評被害も出るかも知れません。
ネタ枠要らない人は飛ばすことをお勧めいたします。

それでは、お楽しみください


第38回MTG 女の涙はどれがイイ?

 ――薄暗い室内

 

 ここはグランサイファーの一室。

 僅かな明かりだけが灯り、その部屋にいる三人の顔だけが不気味に浮かび上がるこの部屋で恒例となるであろう物語は始まる。

 今宵もここでまた、おもしろおかしい妄想ワールドが繰り広げられる……かもしれない。

 

 

「というわけで……第38回、MTG(ミーティング)inグラサイを開催しちゃいまっす!!」

「「ウェーイ!!」」

 

 そう、いつも通りのこの面子。いつも通りのこのテンション。

 ちなみに現在は深夜をしっかりとまわっているところ。先程まで大騒ぎで宴を催していた後である。(前回参照)

 

「さぁて、気になるお題はなんでしょう!!」

「ズバリ!”女の涙はどれがイイ?”についてだぁ!!」

「オォ!?――ちょいまち、一体全体なんでその議題が出てきたかについて詳しく説明プリーズ」

「確かに、唐突すぎてまるで訳が分かんねえぞ。ローアインに一体何があったか説明を求む」

 

 テンションが上がったと思えば急下降。ローアインから挙げられた議題にエルセムとトモイは説明を要求する。

 

「へっ、そう来ると思ったぜ……この前ダンチョ達がルーマシーから帰ってきたときあっただろ?」

「あ~、あのちゃんイオが泣いてたときな」

「あ~あれか。ちゃんイオ泣いたとき俺もウルッと来ちまったわ……」

「そう、それだ。んで、ちゃんイオが泣いてたところをジータダンチョが後ろから抱きしめて慰める。俺はあの時新たなワールドに到達した気がした……」

「新たな……?」

「ワールド……?」

 

 ローアインの言う事がさっぱり、全く、ピクちりピンと来ない二人が疑問符を浮かべる。脳裏に少し思い浮かんだのは女の子と女の子が絡み合う世界の事かとも思ったが、カタリナ一筋であるこの男にそんな思考はないと、親友としては思いたい。

 理解を示さない二人にローアインは瞳に炎を燃やし二人へ顔を近づけながら口を開いた。

 

「あのちゃんイオの涙に、俺たちもダンチョ達も大きく心を動かされた……つまりだ! オンナの涙ってのは恐ろしいほどの魅力が隠されてるってわけよ!」

「お、お、おぉ~!! なるほどね~確かに。ピクチリピンと来なかったけど言われるとすげえよな。ちゃんイオの涙」

「……すげぇな。ちゃんイオ。ってかそこに気づいたお前はやっぱり天才だわ。ローアイン」

「だろ。ってわけで本日の議題なわけよ! 涙ッつってもうれし涙、悲し涙、悔し涙って色々あっからよ。諸君でどれが一番魅力あふれる涙かシチュエーションも交えて語ってほしい」

「妙に言い方がムカつくけど面白そうだな……ちょいシンキングタイム」

「俺も俺も~」

「よっしゃ、今から三分でキメっぞ!」

 

 大の大人が何をアホな事を語り合っているのか……それはさておき、彼らの真剣な妄想は三分という短い時間をきっちり使い各々の最高の妄想が出来上がる。

 

「さて……誰からいく的な?」

「ここはやっぱり……」

「言いだしっぺから的な?」

「――上等。それじゃ俺から行くわ。題して、”笑顔と涙は赤い糸”」

 

 ――――――――

 

 グランサイファーの甲板で二人の男女が並び立つ。

 夜も更けたこんな遅くに外で語り合うのは、宴の席をそっと離れ静かな二人の時間を過ごす、カタリナとローアインである。

 

「ローアイン。私の想いは、ヴィーラに届いただろうか……」

 

 胸中に燻るのは、未だ拭い切れていないヴィーラの想い。

 慕ってくれるヴィーラに幸せになってもらうためにはどうすればいいか。相も変わらず優先順位をカタリナ一番に置いているようで、一先ずの納得は見せたものの、今後の彼女の生き方がどうなるか不安が残っていた。

 

「キャタリナさん……きっと貴方の想いは届いていますよ。そしてヴィーラちゃんは今。本当の意味で仲間となって皆と楽しんでいる……」

 

「何故……そんなことが言えるんだ? ヴィーラはさっきも私が一番であることは変わらないと」

 

 理解のできないローアインの言葉に、カタリナは疑問を呈する。

 

「実は俺……今までキャタリナさんと話しているときはいつもヴィーラちゃんの視線が憑いて回ってたんっすよ。俺の事が嫌いとかじゃなくて、きっとヴィーラちゃんはいつも、キャタリナさんの事を心配してたんじゃないかって思うんすよね……そしてそれが、今はない。今までは頭の片隅に必ずキャタリナさんがいたのが、今のヴィーラちゃんはあそこでキャタリナさんの事を忘れて心の底から笑っている。だからきっと、貴方の想いは届いているんだと思います」

 

「そう……なのか」

 

「えぇ。見てください。俺がここでキャタリナさんと二人でいるっていうのに、ヴィーラちゃん、笑ってるじゃないすか……あの笑顔。キャタリナさんにはどう見えますか」

 

 船室内の様子を二人でのぞき見る。ローアインの言うとおり、リーシャをからかいながら微笑むヴィーラの笑顔は心なしかいつもよりずっと柔らかく見えた。

 

「(ヴィーラ、君は本当は。そんなにも可憐に笑えるのだな……)」

 

 胸中で呟くカタリナは己が想いがしかと伝わった事を確信し微笑んだ。

 その目に一滴の涙を湛えながら……

 

 

 ――――――――――

 

「どうよ? もう俺キュン死に確定なんですけど!?」

「――あぁ、やっべぇよそりゃあ……」

「――まじでやばば過ぎんっしょ」

 

「「ヴィーラちゃんの可憐な笑顔とか、見てみてぇ~!」」

 

「はぁ? ちょっまてよ!? キャタリナさんのうれし涙の話だろ! てめぇら何聞いてんだっつーの。チョイどころかガチテンサゲなんですけどー」

 

 まさかの反応にローアインが二人へ苦言を呈する。力作のシチュエーション(妄想)の肝心なところにまったく無反応なのは如何なものか。ローアインの視線が俄かに怒りを帯びて二人へ向けられた。

 

「だってよぉ~そもそもそのシチュもうあり得なくね?」

「Do感……ヴィーラちゃんの想いはそんな甘くねえよ的な? 適わないシチュ練る事程、無意味な事ねぇべ」

「おいおい、妄想に現実的なLookポイント(※観点)求めちゃうわけ~そんなこと言ったらどんな妄想もできねえだろって」

「バァカ、俺たちはその妄想でさんざん作戦会議してきてんだろうが! 現実感を多少なりとも持たせねえと、何の価値もなくなっちまうだろうって話よ」

「ん? まぁよくわかんねえけどその通りだって」

「あ~よくわかりんご。んじゃま、とりあえず次回作にご期待って事で二人の意見を開示要請~なう」

「んじゃま、次は俺が行くか……題して、”見せない涙こそ色がある”」

 

 

 

 ――――――――――

 

 

 

 薄暗い部屋……ここはグランサイファーのキッチンだ。

 アルビオンに到着し、大きな騒動があったのち、グラン達は落ち着くために食事をとり、各々部屋で休んでいた。

 当然このキッチンにもすでに人影はなく、静かなはずなのだが。

 

「……うぅ……く……」

 

 小さく、人が漏らす音があった。

 

「ん? 誰かいる感じ……ってジータダンチョ?」

 

 たまたま通りかかったトモイは、キッチンの隅で背中を見せている人影を見つける。

 薄暗くてわからないがまだ大人にはなり切れてない背格好は、この団でもジータかルリア、イオ位だ。髪の特徴からそれがジータだとわかるとトモイは静かに歩み寄りながら声をかける。

 

「トモイ……さん?」

 

「ジータダンチョ、泣いてんのか?」

 

「い、いえ……」

 

 慌てたように振り返り目尻を拭う仕草を見せるジータにトモイの疑問の答えは出た。

 

「昼間の件……か?」

 

 トモイの問いに、ジータは背中を見せたままビクリと肩を震わせる。

 

「……はい」

 

「ショック、やっぱり大きいよな。俺もそうだ……セルグさんに俺、憧れてたっつーか。その……っと!? ダンチョ?」

 

「ごめん、なさ……い。少しだけ、泣かせてください」

 

 振り返りトモイの胸に顔をうずめると、ジータは声を押し殺し泣き続ける。

 見られまいと押しとどめようとした涙はどうしようもなく溢れてしまい、せめてもの抵抗とジータは泣き顔を見られないようその顔を隠したのだ。

 件の一件。突如起きたヴィーラとセルグの戦い。それによるセルグの脱退。

 団長としても、ジータとしても。そのショックは大きすぎた。

 彼女にとって団員は家族同然である。いや、幼いころより母を亡くし、父も家にいなかったジータにとって、村も団も、関わる人は皆大切な家族になりえた。その大切な人同士の生死をかけた戦いは彼女の心の、深い深い部分にまで大きな傷を残した。

 止められなかった不甲斐なさが、気づけなかった浅はかさが。ただ、漫然といつまでも一緒にいられることを疑わなかった自分が……憎くて仕方なかった。

 そんなジータの気持ちを察してトモイはできるだけ柔らかい声音でジータの頭に手を置きながら答えるのだった。

 

「わかった……後でちゃんと目を冷やしてやるから。後の事は気にしないで思いっきり泣いて良いぜ」

 

「ありがと……ございます」

 

 そうつぶやくと、また小さく押し殺した声が続き、床を涙が濡らしていく。

 トモイは天井を見つめたまま、ジータの声が消えるまで、上を見続けるのであった……

 

 

 ――――――――――

 

 

「Do~よ、この感じ!? あの普段は健気で朗らかなジータダンチョが、悔しさと悲しさが入り混じった感じに泣く姿。敢えてその泣き顔は見せないところがポイントな。これがまた妙な保護良くを掻き立てるっつーか」

「トモちゃん、それはやばばだわ……」

「俺も……いろいろ危なかったわ」

 

「「「激カワッ!!」」」

 

 何故だろうか……こいつらの意思の統一性は尋常ではない。同様の事を想うならまだしも激カワッなどという言葉は常用ではないはずなのにこのハモり。

 そもそもの議題から色々とおかしいかもしれないが、彼らの妄想は突き抜けて留まる事を知らない。

 ひとしきり妄想内の(これ重要)ジータの魅力について語り切った三人は続いてエルセムの話に進んだ。

 

「んで、エルっちは誰推しの流れよ?」

「ローアインは分かってたけどキャタリナさん。俺はジータダンチョときて~?」

「ん~悪いんだけど二人とかでもいい? ちょっとシチュ的にはこの二人が絶対欲しいんだよな~」

「お、お、お~? 欲張りマンか? 良いじゃんそれでいいから語っちゃって~」

「よぉし、んじゃ行くぜ。題して”若葉だからこそ美しい”」

 

 

 ――――――――――

 

 

 夜も更けた遅い時間。宿へと泊まっている一行は皆それぞれに休息を取っており、ルリアとイオも例外はなく眠りについていた。

 

「ん……んぅ。おトイレ、行きたくなっちゃった」

 

 隣からルリアの静かな寝息が聞こえる中。ふと目が覚めたイオはベッドからもぞもぞと這い出す。

 宿やに備え着きのトイレは外に回らなければならず、イオは暗く静かな宿屋の中を歩くことを考え、二の足を踏む。

 

「(う~行きたくないけど我慢できないし……)」

 

 子どもというのは暗闇を嫌う。周囲が見えないというのはそれだけで大きな恐怖を呼び起こすものだ。お化けや幽霊という得体のしれないものをまだ信じてしまう年齢でもある彼女にとって、部屋の扉をくぐり、宿の外へ出て、暗いトイレで一人用を足すというのは、非常に難易度の高い事であった。

 

「ルリア……ねぇちょっと」

 

「んぅ、……なんですか、イオちゃん?」

 

 仕方なくイオは協力者という存在を作り不安を紛らわせることにした。静かに起こされたルリアが寝ぼけ眼で起き上がるのを見て、イオは小さな声で恥ずかしそうに告げる。

 

「そのね……おトイレ行きたくなっちゃったから、その……一緒にきてもらえない?」

 

「……えっと~一人じゃ怖いから一緒に来てほしいってことですね。わかりました!」

 

「ちょっ!? ちが……くもないけど。その、お願い」

 

 快く引き受けてくれたルリアに感謝しながらイオは部屋の外へとルリアの手を握りながら出ていく。

 既に深夜となった宿は真っ暗でそれぞれの部屋の前に小さく灯るろうそくの明かりだけが不気味に宿を照らしていた。

 二階から階段で降り、ロビーから正面扉を出たら、宿の裏手に回ってゴールだ。脳内に浮かんだ道筋を回ろうとしたところで、二人はスゥっと風が通り過ぎていくのを感じた。

 

「ひっ!? (ルリア……今、足の間を何か触っていった気がしたんだけど……)」

 

「(な、何を言ってるんですか!? そんなのきっと思い違いですよ!! 私はなんにも感じてませんし、撫でられたりなんてしてませんよ!)」

 

 風と共に何らかの感触が足を触れていき、小声となった二人は既に生まれたての小鹿のように震えている。

 ちなみにこの時の感触はただの鼠であったことが後にわかるわけだが、今の二人には知る由もない。風はただの窓の閉め忘れ。お化けや幽霊の正体というのは存外あっけないものである。

 余談はさておき、やや急ぎ足で階段を降り始めた二人はすぐにロビーまで辿り着く。一刻の猶予もない。直ぐにやるべきことを済ませ拠点(部屋)へと戻らなければ呪い殺されてしまうかもしれない。

 正面の玄関を開けようと思った所で二人は奇妙な物音を聞いた。

 

 ”シャリ……シャリ……”

 

 何かを擦るような? そんな音のような気がした。

 

「「―――――ッ!?」」

 

 声に出さずに悲鳴を上げる器用な事をして二人は口を押える。声が漏れないように。そしてしゃがみこんで音の出所を探した。

 怖いもの見たさとは違うかもしれないが、こういった時怖くても人はそこに近づいてしまう。危険があるかもしれないという想定よりも。何もわからない状態の方が怖いからだ。例にもれず音の出所を察知した二人はそこへとゆっくり足を進めてしまう。

 場所は食堂のほうであった。そこだけ小さく明りが灯っており、人影が見える。

 人影がある以上、少なくともお化けや幽霊の類ではないと二人が安堵した瞬間、見えていた影に包丁と思わしき影が映る。

 ガチガチと歯がなりそうな震えを抑え二人は顔を見合わせるとそっと影の正体を確かめようと近づく。

 危険人物であれば皆に知らせなければならない。恐怖で震えていても彼女達は真に勇気ある子供であった。

 決して見つからないように慎重に、音を立てず忍び寄ろうとした所で、

 

 ”ビタン”

 

「ん?」

 

 余りの緊張にルリアが足を縺れさせる。柔らかな肌が床を打つ小気味良い音が響き、影が動いた。

 一歩一歩、まるで恐怖を増幅させるように近づいてくる影に二人は抱き合いながら震える事しかできず、襲い来るであろう人影の恐怖に身をすくませる。

 そして影は二人のいる方へと顔を出して……

 

「ルリぴっぴ? ちゃんイオ? なにしてんそこで?」

 

 ひょっこりと顔を出したエルーンは抱き合いながら涙を浮かべている二人を見て、心底不思議そうに首を傾げるのだった。

 

 

「アッハッハッハ! なるほどなぁ。トイレ行こうと思ったら変な音が聞こえて確かめに来たら包丁の影が見えて怖かったと。ワリィワリィ。ちょっと小腹がすいてリンゴ剥いてたんだ」

 

 二人から事の顛末を聞いたエルセムはせっせと床を拭いている。理由は……察してあげてほしい。

 

「うぅ……もうお嫁にいけない」

「うぅ、怖かったです」

 

 目尻の涙はまだ消えず。二人は本当に恐怖していたのだととわかるとエルセムは作業を終えたのか手を洗って二人の前にしゃがみこんだ。

 

「ホラ、さっき剥いたリンゴだ。これ食べて元気出して早く寝ろよ~。明日寝坊したらダンチョ達に怒られちまうだろ」

「あ、ありがと……」

「わぁ! おいしそう!! ありがとうございます!!」

「あの、エルセム……この事は」

 

 イオが神妙な顔で、声をかけると、エルセムは頭に手を置いて朗らかに笑った。

 

「俺は今日、ここで一人でリンゴを剥いてた。一緒に用意していたコップの水を間違えて溢しちゃった。それだけだ」

「えっ……」

「俺は今日誰も見てない。そうだろ?」

「……うん!!」

 

 エルセムの言わんとしたことを理解し、イオは目尻に涙を浮かべたまま花の咲く笑顔を見せる。

 その笑顔に、つられてエルセムもまた、笑うのだった……

 

 

 ――――――――――

 

 

 

「――どう?」

「かわいい……それは認める」

「Do感……ちゃんイオの花咲く笑顔ってのはやはり心動かされる魅力に溢れている。だが……」

 

「「長ぇえ!!」」

 

「えっ!? 今の流れでそこかよ! もっと他にあんだろって! ってかルリぴっぴにも触れてやれよ!」

「いや、その前にだな。エルっちおまえ、具体的な描写こそなかったけどよ、ちゃんイオとルリぴっぴにおもら――」

「ダメだトモちゃん! そっから先の発言は禁ずる! 二人の名誉の為にも俺たちは今のシチュ(妄想)を頭に記録してはならない。OK?」

「りょっ。ってかエルっち、さすがに今のはやべぇよ。色んな意味で……」

「そっかな~ちゃんイオとルリぴっぴの笑顔ってホント守ってあげたくなるっていうか笑顔にしてあげたくなるっていうか……」

「ってかそれ議題から外れてるという事に気づけダボ。それは魅力のある笑顔であって涙ではナイ!」

「んっだよ~、ちゃんと涙流してんじゃねえか。何が悪いってんだよ!!」

「落ち着けエルっち。とりま、今のはいろいろとまずいのは分かるだろ? ちゃんイオとルリぴっぴにおもら――」

「だから! トモちゃんも落ち着け、二度言わせんじゃねえ! 今のシチュについてはもう発言を禁ずる」

「「りょっ!」」

 

 

 珍しくトモイがボケに回り、珍しくローアインが取りまとめることになった一幕であった。

 

 

 

 

「さて……MTGもいよいよ終盤。続きと行くぜ!」

「ハイ、ローアイン先生!」

「なんだね、トモイ君。発言を許可する」

「うわうぜ。とりま一つ確認したいことがあんだけどよ……そもそもヒトによって魅力のある涙は違うと思うわけだ」

「あ~確かに。キャタリナさんなら、そっと流すうれし涙的な?」

「う~ん、さっきのちゃんイオとルリぴっぴなら安心した時にふっと零れる涙的な?」

「そうそう、だから今回のMTGはどの涙が魅力的か。ではなく、その人にはどの涙が魅力的かを語るべきだと提言する!」

「了承。方針の変更を認める」

「感謝。発言を所望する」

「許可」

「なんかこの流れかっこいいな……とりま、まだ上がっていない人にスポット当ててこうぜ」

「ん~それなら、リーシャちゃん?」

 

「「悔し涙一択!」」

 

「あ、はい……んじゃ、ゼタちゃんは?」

 

「悔し涙/うれし涙だろ」

 

「おっと~意見が分かれたぞ~。とりまうれし涙派のローアインさんは何故でしょうか?」

「ゼタちゃんああ見えて、尽くすタイプ的な? 悔しそうな顔より笑顔が映えるタイプと見た」

「対して、悔し涙派のトモイさんはどうでしょう?」

「勝気な感じのゼタちゃんが素直に負けを認めて悔しそうにする感じがたまんねえ」

「なるほど~甲乙付け難い?」

「エルっち的にはどっち派よ。エルっちの賛成票でゼタちゃんの涙が決まる的な状況だけど」

「ん~俺的には……怒り涙派?」

「んっだよそれー。まったくもって意味ぷーなんですけど」

「なんで二択の流れで第三の解答持ってくんだっての。天邪鬼か!!」

「いやさぁ、この間のラビ島での話らしいんだけどさぁ。ゼタちゃんさ、敵のめちゃくちゃ痛い攻撃を涙流しながらも我慢して反撃したってさ。それ聞いて俺、カッケーな~って思ったから。ほら、かわいいだけじゃなくてかっこいいのも魅力の一つだろ?」

「なるほど、エルっちのくせに良い事言った……」

「エルっちのくせに割とまともなこと言った……」

 

「「ゼタちゃんモテメン過ぎ!!」」

 ※メンズではなくこの場合モテ面です

 

「さすがだなゼタちゃん。やっぱりセルグさんの嫁候補なだけあるわ」

「お? 待てよトモちゃん。それならリーシャちゃんだってかなりその線あんだろうが!」

「何言ってんだよ~命救われたヴィーラちゃんが本命だろ?」

「それなら、ジータダンチョだってそこはかとなくその線が」

「待て待てお前ら、とりま落ち着け。そもそもセルグさんには過去に愛した人が居て」

 

 

「フフフ、そうですね。確かに彼には過去に愛した人が居ますね。私達が彼に好意を持っているかはともかくとして……」

 

 おかしい、何故ここに女性のお声が聞こえるのだろうか。鍵は締めてあるし、皆すでに寝ているはず。

 

「シュヴァリエがすぐに開けてくれました。音もなく……ね。随分面白いお話をしているようですね」

「アハハ。ちょっと聞き捨てならない言葉が聞こえたかな? 誰がモテメンですって!」

「悔し涙一択ですか。そう思われているのはそれこそ悔しいです」

 

 聞こえた声が三つに増える。もはや冷気さえ纏っていそうな声音に彼らの背を冷や汗がつたう。

 

「あの~とりまどこから……?」

 

「強いて言うなら、終盤から、ですかね」

 

 祈る余裕は与えん! そんな声が聞こえた気がして、彼らは死期を悟った。

 最後の一声を彼らは盛大にあげることになる。

 

「「「ス、スイマセソ~~~!!」」」

 

 

 男たちの長い悲鳴はグランサイファーに響き渡り続けた……




如何でしたでしょうか。
1から37はどこ行ったって?ねぇよそんなもん

感想でもイオちゃんとルリぴっぴには触れてはいけませんからね!

第二弾となったローアイン回
地の文はほとんど取っ払い会話でどんどん作りました。
台本感は半端ないですが、、、

それでは。クスリとでも笑って頂けたら幸いです。





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