granblue fantasy その手が守るもの 作:水玉模様
本当は前回のとまとめようと思ったけど分割になってしまいました。
最終決戦。どうぞお楽しみください。
双子が、空を揺るがさんばかりに声を上げた。
奪われた少女を取り戻すべく。失われた笑顔を取り返すため。
それが────決戦の狼煙となった。
高らかな声に反応したアーカーシャは、双子の気配から脅威を察知。
看過できないものと判断したか、纏わりつくように牽制を続けていたカタリナとユーステスを、エンシェントフレアによる飽和攻撃で一蹴。
「がはっ!?」
「ちぃっ!!」
余力の無い二人にこれを耐える術はなく、敢え無く戦線を離脱。
どちらも満身創痍の中でのギリギリの戦闘。
極限まで精神を摩耗した二人だが、それでも二人は吹き飛ばされながらも届いた双子の咆哮に勝利を確信した。
「ユース! カタリナ! 交代だっ!!」
目的は──十分に達成できている。
「任せた!」
「後は頼む!」
入れ替わるようにセルグが前に躍り出た。
先陣を切るセルグはヴェリウスと融合。
懐かしき黒翼を生やし、その手に握る天ノ尾羽張には漆黒のチカラを纏う。
「いくぞヴェリウス!」
“行くぞ若造! ”
声は同時、翼と飛翔魔法と強靭な脚力。その全てを載せてセルグが飛び出した。
迎撃に動くアーカーシャにその動きを捉えることはできない。
当然だ。今のセルグは翼として覚醒する前のヴェリウスとの融合状態を軽く超える。
精神世界で画一を経た今、リスク無しでの最高のチカラを発揮できるのだ。
その速さ──目にも止まらぬと呼ぶに相応しい。
「剣閃裂花!!」
駆け抜け様、もはや事象の改変を挟む暇すら与えず、剣閃の花が咲き乱れる。
十か二十、はたまた三十か。それは数える事すら億劫になるであろう。
最速の踏み込みから、最速の剣閃の嵐。音と衝撃すらも置き去りにしてアーカーシャの多腕が全て弾け飛んだ。
“ゼタ、前衛は彼に……私達は”
「撃ち抜くだけ!!」
ゼタが続く。
リアス──否、アイリスとの意識共有によってもたらされる知覚領域の拡大。
弾け飛んだ多腕に惑わされず、ゼタはアーカーシャの巨体の各所に狙いを定めた。
「駆け抜けなさい、アルベス──シリウス・レイド!!」
蒼光纏う槍が飛び交う。
六本の分身体を指揮して、ゼタのアルベスは狙い違わずアーカーシャを穿った。
その精度、威力はこれまでの比ではない。
そして込められたチカラもまた、これまでの比ではない。
“今! ”
「爆ぜろ──バースト・ロア!!」
爆音。
突き刺さった箇所からプロミネンスダイブと同等の爆裂を起こし、ゼタはアーカーシャを更に穿ってみせる。
「ここだ」
「行くよ」
爆炎と爆煙が立ち昇る中、中空へと身を投げ出して現れる二つの影……
静かな声と共にアーカーシャの頭上……いや、“ルリア”の頭上を取ったのは青の双子。
極限へと至り、青く変貌したグランとジータが蒼天の如き天星器を握り、振りかざした。
「断ち切る!」
「撃ち抜く!」
光で肥大化させた七星剣を振り下ろすグラン。
セルグやゼタを模倣し、青く輝く四天刃を幾つも具現化させて打ち出すジータ。
狙いはルリアとアーカーシャを繋いでいる、ヒトで言えば首に当たるであろう部分だ。
だが──
「何っ!?」
「また、改変!」
ルリアとアーカーシャを切り離すべく繰り出された二人の攻撃は、しかしアーカーシャの能力によって届く前に無に帰す。
アーカーシャはセルグとゼタすら捨て置き、二人の攻撃に対してのみその能力を発揮して身を守っていた。
理解しているのだ。
今の二人を近付ければ、それは致命的な何かを引き起こすと。
セルグとゼタの攻撃をそのまま受けてでも、グランとジータに対応する必要があると。
虚を突かれた二人へアーカーシャが相克の光条で狙う。
「させん!」
天ノ尾羽張が閃く。
間に入ったセルグが、閃光に閃光で返す様に全てを弾いた。
「ゼタ、嘗められてるぞ!」
「わかってるわよ!!」
セルグとゼタは、アーカーシャの行動の意味を理解して再び攻撃に転じる。
捨て置ける等と思ってくれるな。
そう言わんばかりに、攻撃のギアをさらに上げていく。
先程のアーカーシャの動きからも、ルリアを切り離されることを拒んでいることは手に取るようにわかる。
で、あるのなら──今度はセルグとゼタもそこに狙いを絞れば良いのだ。
「グラン、ジータ、隙を作る……もう一度だ!!」
「手数でダメなら威力で勝負よ。アイリス、力を貸して!」
“貴方の意識に同調する。制御は私に任せて自由に飛んで!! ”
アイリスの答えに疑うことなくゼタは意識を傾ける。
ヴェリウスと共に飛翔するセルグを見れば、その未来は容易に思い描けた。
二対の翼が舞う。
黒翼と白翼に導かれ、セルグとゼタは高速での飛翔に移行。
アーカーシャの攻撃がグランとジータを狙うのを見逃さず、二人は同時に突撃。
両者の得物が紅蓮の炎を纏い突貫していく。
「火尖槍!!」
「プロミネンスダイブ!!」
炎の槍の挟撃。
飛翔による速度を載せた突撃は、アーカーシャの身体に大きな風穴を開けていく。
吹き飛ばされたのは巨腕を生やす背中と、ヒトの体を模した上半身と海洋種となった下半身との境目。
アーカーシャにとっては攻防における重要な部位であった。
被った傷に先に二人を片付けるべきか、とアーカーシャの意識が二人へと向けられる。
瞬時に背中のみの再生を事象の改変によって施し巨腕を伸ばした。
巨大な質量に任せた攻撃がセルグとゼタを狙う。
だが、技後の硬直を狙うアーカーシャの攻撃──セルグとゼタにとってはこれこそがチャンスだった。
「おおおお!!」
「はぁああ!!」
飛翔制御を任せている今、二人が技後の硬直に捕まることなどない。
背中の双翼をはためかせ、二人はアーカーシャの攻撃を躱すと一気に懐へと飛び込む。
──ルリアとアーカーシャを繋ぐ首元へと。
「もらった!」
「ここ!!」
太い首を挟み込むように振るわれる天ノ尾羽張とアルベスの槍。
青い光を纏った二つの刃は容易にアーカーシャの首を断ち切るだろう。
だが、瞬時に二人を悪寒が襲う。
ギラリとルリアの瞳に赤い光が灯った。
二人の刃が届くその前に、強烈な波動がセルグとゼタを襲う。
「何っ!?」
「えっ!?
気が付いた時には、二人の態勢が刃を振るう直前へと戻されていた。
ルリアとアーカーシャの同化は更なる深度へと進んだか、僅かながら時空すらも超越して見せたアーカーシャ。
数瞬の時。アーカーシャは巻き戻して二人の攻撃を阻むと、巨腕でもって二人を打ち付ける。
「ぐっ、だが──」
「うっ……予想通り!」
攻撃を受けながらも、セルグとゼタはアーカーシャへと視線を向ける。
狙い通りであり、予想通り。
首元さえ狙えばアーカーシャは二人の迎撃へとその能力を行使するだろう。
なればその隙──双子が見逃すはずがない。
「北斗──大極閃!!」
「四天──洛往斬!!」
青光纏った天星器が再び振り下ろされる。
狙いは首元ではなく、ルリアの至近──アーカーシャの顔を覆う仮面に向けて。
打ち砕き、直接引き剥がさんと。二人は全力を叩きつけに突撃する。
──だが、届いたかと思った刹那。アーカーシャの攻撃能力が二人へと牙を剥いた。
エンシェントフレアによる火球の壁。
至近距離で出現させた火球は爆発すれば自身も巻き込みかねない、捨て身の防御策。
だが……だからどうした。
「うぉおおおお!!」
「やぁああああ!!」
躊躇なく、グランとジータは火球へと飛び込んだ。
攻撃による相殺ではない。とっさに張った火球での防御など恐るるに足りんとばかりに、二人は無防備のままエンシェントフレアの中へと飛び込み、そのままアーカーシャへと天星器を振り下ろす。
「届……かないのか!?」
「くっ、なんで!?」
アーカーシャの防御能力が僅かに四人の攻撃を上回っていた。
グランとジータは迷わずエンシェントフレアに飛び込んだものの、その影響で攻撃が一瞬遅れた。
視界を埋めた火球が、ルリアを傷つけないようにと二人に狙いをつけさせる時間を作らせたのだ。
その僅かでアーカーシャは事象の改変を行使する時間を稼ぎグランとジータの攻撃を止める。
ルリアを目の前にして、二人は見えない壁に阻まれたかのようにそれ以上先へと刃を振り下ろすことができないでいた。
「くっ……ルリア!!」
「お願い……届いて!!」
手を伸ばす──無表情のまま涙を流す、大切な仲間へと。
「グ……ラン……ジー……タ……」
微かに無機質な声に生気が宿り、グランとジータは更にチカラを振り絞る。
だが、無情にも二人の刃はチカラを失い、勢いを失った
カウンターの相克が襲い、二人は敢え無く撤退。
「くっそぉ!」
「もう少しなのに!」
苦々しくアーカーシャを睨みつける二人。
あと少し。本当に手が届く目の前まで近づけたと言うのに、及ばなかった。
二人の心に後悔が重くのしかかる。
時間は少ない──手間取っている間にも世界の終わりは近づいているのだ。
もう何度も挑んでいるような余裕は無い。
「行くぞジータ、もう一度だ」
「うん、次は必ず!」
「落ち着け、二人とも」
「闇雲に飛び出しても二の舞よ」
息巻く二人。すぐさま飛び出そうとするがそれをセルグとゼタが制する。
「でもっ!!」
「ルリアが私達を呼んでたの!」
「きっと手を伸ばそうとしてたんだ……だから」
「私達が、その手を取ってあげないと!!」
助けを求めている少女に応えるべく、グランとジータに焦燥が募っていく。
届けなければならないのだ。
二人の気持ち、仲間達の想いを。
「そうか……ならば二人共、ルリアに声を掛け続けるんだ」
「カタリナ」
掛けられた声に振り替えればカタリナとユーステスが四人の元へと集っていた。
「きっとルリアもアーカーシャの中で戦ってる……だから、二人の声を届けるんだ」
そう、この状況に置いてまだ世界が保っていられるのはきっとそう言う事なのだ。
ルリアが諦めずに抗っている──アーカーシャの中で、まだ取り込まれずに己を失うことなく戦い続けているから、世界はまだギリギリのところでアーカーシャの改変を受けずにいる。
ならば、彼女に声を届け、
「ルリアの元へ、そして二人の声で呼び戻してやってくれ。その為の露払いは私達四人でしよう」
その為の鍵はやはりグランとジータ。
アーカーシャに影響を与え……何よりルリアを呼び戻すのに最も効果的な言葉を届けられるのは二人しかいない。
「既に大したことはできないが俺も力を貸そう。お前達二人にこの世界の命運を任せる」
やる事は決まったと、ユーステスもフラメクを携え最後の攻防に死力を尽くすべく構えた。
「ありがとう、皆」
「絶対、あの子に届けて見せます……だから!」
「あぁ──やるぞゼタ、カタリナ、ユース! 全てを賭して、二人の道を切り開く!!」
これが最後の攻防になろう。
ルリアを見つめる二人を置いて、セルグ、ゼタ、カタリナ、ユーステスの四人が一斉に駆け出した。
煌めく閃光と共に剣閃を走らせ、セルグが舞う。
紅蓮の炎と青光を纏い、ゼタの槍がアーカーシャを撃ち抜いていく。
二人の援護にライトウォールを撒きながら、更には氷の刃でアーカーシャに牽制を仕掛けるカタリナ。
既に限界を迎えながらもチカラを振り絞り、雷の雨でアーカーシャを釘付けにするユーステス。
──死力を尽くす。
その言葉に相応しい、至高の領域での戦い。
だが、カタリナとユーステスは満身創痍。
セルグとゼタもまた、既に大技の連発で消耗が著しい。
徐々に、その形勢は不利へと傾いていく。
巨腕が、岩塊が、炎が、光条が……セルグ達の身体を傷つけていった。
その光景に焦燥が募るも抑え込んで、グランとジータは静かに息を整える。
戦闘音を意識から排除し、四人への心配を切り捨て、全てをこれから紡ぐ想いに向けた。
「やるぞジータ」
「うん……絶対に呼び戻す」
大きく息を吸い込み、二人は再びその声を空へ轟かせた。
『ルリアーーーー!!』
空に響いた声が虚ろに沈んだルリアの意識を呼び覚ます。
“──声? ”
動かない身体でその視界にとらえるのは必死にルリアへと叫ぶ二人の姿。
“あれは、グランと……ジータ……”
次に映るのは必死にアーカーシャを倒すべく攻撃を繰り出すセルグとゼタ。
更には、ボロボロになりながらも援護しているカタリナにユーステス。
死力を尽くして、全てを賭して、仲間達が戦っていた。
“みんな、あんなに必死になって戦っている……私は皆を傷つけたのに……”
その姿はルリアの心を再び苦しめた。
『必ず助ける!!』
グランが叫んだ。無防備のまま、ただルリアだけを見つめている。
向けられた攻撃の全てをセルグが打ち払い、グランはひたすらに声を上げていた。
だが、自分ではどうすることもできない力で大切な仲間達をルリアは傷つけてしまった。
“私は、助けられる資格なんてないはずなのに……”
抗えなかった自分を、皆を傷つけた自分を助けようとしないでくれと……ルリアは塞ぎ込む。
この手は既に、仲間の血で染まってしまったのだ。
『絶対助け出して見せる!!』
ジータが呼び掛けた。無防備のまま、ただルリアの事だけを想って声を上げていた。
ジータに向けられた攻撃の悉くをゼタが焼き尽くし、撃ち抜く。
それでも、想いとは裏腹にルリアは願ってしまう。
“私はいつも、助けられてばかりで……”
皆との旅は楽しくて、暖かくて。
許されるのならば、と願ってしまう。
『ルリアとまた旅をしたいんだ!!』
もう一度彼らと笑いたい。
もう一度彼らと一緒に過ごしたい。
『貴方の笑顔がみたいから!!』
募る想いは強さを増していく……
“ズルいですよ……”
『だから、頼む……』
『だから、お願い!』
喉が潰れんばかりの声がルリアの耳を揺らしていく。
向けられた言葉の数々が、ルリアの心を動かしていく。
“そんなに呼ばれたら……”
『目を覚ませ!』
『目を覚まして!』
動き出した感情は、波紋のように広がりルリアの想いを突き動かしていく。
助けて欲しくはない。でも、助けて欲しい。
そんな矛盾で染まった心が解かれていき──
“────助けてほしくなっちゃいます”
空に響いた
「グラン、ジーターー!!!」
蒼の瞳に命が宿り、少女は空へと手を伸ばす。
「取り戻した!!」
「今よ二人共!!」
聞こえた声に、響いた声に……セルグとゼタは全てを悟る。
同時に残った全てを絞り出す。
ルリアの目覚めと同時に、グランとジータは青の闘気と共に吶喊。
アーカーシャの妨害の全てを仲間に任せ、最短のルートを最速でもって駆けていく。
無論、それを見ているだけのはずがないアーカーシャは全ての攻撃能力を以て迎撃。
岩塊の雨が放たれ背後には超巨大な火球を召喚。
その全てを、グランとジータへと向ける。
“ゼタ、これが最後!! ”
「えぇ、ぶちかます!!」
駆け抜ける二人の前へと躍り出たゼタが猛々しく吠えた。
ゼタの元へと集うアルベスの槍──そして展開される巨大な砲身。
“全てを載せて、行くよゼタ!! ”
「穿光──招来!!」
青の光が空間を埋め尽くしていく中、ゼタは己に残る全てを込めて砲身へとアルベスを突き入れた。
「シリウス・ロアぁああああ!!!」
ロキに放ったのとは比べるべくもない。
超巨大な青の穿光──ゼタの放ったシリウス・ロアがアーカーシャへと向かう。
サイズは正に規格外。迎撃に放たれた岩塊全てを飲み込み、アーカーシャの躯体の大半をぶち抜く。
「まだまだぁああああ!!」
それだけに留まる彼女ではない。
青の穿光はそのまま、背後にあったエンシェントフレアの全てを撃ち抜いた。
「真っ直ぐ、一直線に突き進め。グラン、ジータ!!」
“行くぞ若造”
駆け抜けていくグランとジータの背後で構えるセルグ。
自身に宿る全てを、天ノ尾羽張握る左手へと集約。
アルティメット・ワン──すべてのチカラを刀振るう腕に集め限界まで強化する。
ゼタによって吹き飛んだ躯体の一部を再生させたアーカーシャは巨腕を伸ばし、更には光条放つ光の魔方陣を夥しい程に展開していく。
ここが分水嶺だとアーカーシャも理解し、全て能力を二人の迎撃へと回していた。
グランとジータの目の前を、アーカーシャの飽和攻撃が埋め尽くす。
「我が剣閃、無尽となりて全てを断たん」
“剣閃──招来”
鞘に納められた天ノ尾羽張が解放される。
そこから生み出されるのは、もはや斬撃では無い。
閃光──否、線光と言うべきか。空間に無数の光の線が奔る。
アーカーシャの飽和攻撃、その全てを絡めとるような空間を埋め尽くし返す線光。
「神刀顕来──天ノ尾羽張・無幻」
鍔なりの音と共に、空間を全てを切り刻む。
アーカーシャの飽和攻撃の悉くを打ち払う、無限の剣閃。
それは迎撃だけではない。残されたアーカーシャの躯体の全てを塵へと帰した。
──道は拓かれた。
「行け、二人共!!」
カタリナが展開するライトウォールを足場に二人は跳ぶ。
ルリアの元までは──残り足場による一歩のみ。
だが、アーカーシャは最後の抵抗とばかりに光の障壁を展開。
グランとジータを阻むべく、最後の改変能力へと踏み切った。
「させるものか、フラメク!」
そこへすかさず撃ち込まれるユーステスの攻撃。
巨大な閃光、デッド・エンド・シュートがアーカーシャの障壁を打ち破った。
──障害は全て取り除かれた。
否、最後の最後でアーカーシャは最後の切り札を切る。
彼らの頭上に現れる超巨大な岩塊──いや、これは隕石の類である。
アーカーシャの切り札、“崩天”。
その名の通り天から落とす岩塊にて空の世界を崩し尽くす最後にして最大の攻撃。
絶望が過る。
規格外に過ぎるその規模は、ヒトが破壊できる大きさではない。
だが、グランとジータは即座に隕石へと目を向けて身構える。
──双子の動きに迷いはなかった。
「行って……グラン、ジータ!!」
何故なら彼らには少女から齎された規格外のチカラが宿っていた。
目覚めたルリアを介してもたらされる、破壊と再生を司る最強の星晶獣──バハムートのチカラ。
青の闘気と共に天星器を紫電が包み込む。
極みへと至った二人のチカラ。
完全解放へと至った天星器のチカラ。
そして覚醒したルリアによるバハムートのチカラ。
「行くぞ、七星剣」
「やるよ、四天刃!
その全てを込めて、双子は規格外の脅威を打ち砕きに跳ぶ。
「「レギンレイブ・天星!!」」
放たれる巨大な蒼の閃光。
ゼタのシリウス・ロアすら小さく見えるほどのチカラの奔流が巨大な隕石を微塵に砕いた。
「うぉおおおお!!」
「はぁああああ!!」
そして二人はそのままアーカーシャの仮面へと天星器を突きたてる。
「「ルリア!!」」
「グラン、ジータ!!」
伸ばされた両の手を、二人が取るとアーカーシャより少女を引きずり出した。
同時に、天星器を介して伝うチカラがアーカーシャを壊していく。
鍵となるルリアの喪失。
限界まで能力を用いた結果、チカラの源たる星晶も尽き、アーカーシャは自壊を始めた。
グランがルリアを抱え、静かに降り立つと、そこには静寂だけが残る。
「おかえり、ルリア」
「おかえりなさい、ルリア」
「──うん、ただいま。グラン、ジータ」
空の脅威は、今ここに消え去った。
いかがでしたか。
決着しました。
残りはあと2話で、本当に終わりになります。
完結までもう少々お付き合いください。
それでは、お楽しみいただければ幸いです。
本編完結間近という事で今後の参考に。完結後読みたいと思うのは
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色んなキャラとのフェイトエピソード
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劇場版。どうして空は蒼いのか連載
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イベント。四騎士シリーズ連載
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次なる舞台。ナルグランデへ、、、
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その他(要望に応える感じ)