学戦都市アスタリスク~歌姫との絆~   作:璞毘

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本当に申し訳ありません!!
かなり遅れてしまいました!!

ゴッドイーターやっとデータ修復できた
まぁデータ消えたから取り戻してました

本当すいません・・・

ではどうぞ


五話

「なんの冗談だ

どうして、私がそんなことをせねばならんのだ」

 

ユリスは綾斗の申し出に露骨に顔をしかめる

 

「だってほらオレはユリスの言う所の“貸し”を持ってるんでしょ?

ユリスだって言ってたじゃないか一度だけ頼みを聞いてくれるって」

 

「確かにそれは言ったが、そんなのでいいのか?」

 

「そんなのって?」

 

「はなはだ不本意ではあるが、私はお前に危機を救われた

決して小さくない借りだ

望むのならある程度のことは・・・・

い、いや、破廉恥なことは不可能だが・・・

例えば、《冒頭の十二人(ページ・ワン)》としての私の力を貸すこともできるのだぞ?」

 

「つまり、戦力としてユリスの力を貸してくれるってこと?」

 

「そうだ」

 

ユリスは頷いた

 

「それはいいや」

 

ユリスの提案に綾斗はあっさり拒否の反応を示し首を横に振った

実際綾斗の戦闘能力ならユリスの力など借りなくともどうとでもなるのが現状である

 

「それより、今は学園に慣れる方が先決だしね」

 

あっけらかんという綾斗をユリスは探るような眼で見ていたがやがて苦笑いした

 

「底の読めない男だ

それともただのバカなのか?」

 

「その二択なら後者じゃないかな」

 

綾斗は自分がバカだといっているのだが、その回答にユリスは深く息を吐いた

 

「よく、言う

だが、まぁいい、そういうことなら案内してやる」

 

「ありがとう

助かるよ」

 

「ま、まぁ、貸しは貸しだしな」

 

ユリスは照れくさそうに言った

 

「あ、あとひとつだけいいかな」

 

「む、なんだ?」

 

「えーっと、シルヴィア・リューネハイムって知ってるかな?」

 

「なんだと!?」

 

ユリスは綾斗の問いに大きく眼を見開き、驚愕の表情をした

 

「え、聞いたらいけないことだった?」

 

綾斗はユリスの反応からまずいことでも聞いたのかなと内心焦っていた

またユリスの機嫌を損ねて炎をぶっ放されてはたまったものではない

 

「そうではない・・・

おまえ、本当に何も知らぬのだな

アスタリスクに来るとなった時点で少しは他校の<冒頭の十二人>ぐらい調べておけ

まぁよい

シルヴィア・リューネハイム・・・

クインヴェール女学院の序列1位だ

戦律の魔女(シグルド・リーヴァ)》などと言われている」

 

「戦律・・・

ハハッ・・・

シルヴィらしいな・・・」

 

綾斗はユリスからシルヴィの二つ名を聞いて納得した

確かに彼女の能力を考えれば“戦律”という言葉は綾斗の中でしっくりきていた

 

「お前、あの戦律の魔女と知り合いなのか?」

 

ユリスは恐る恐るといった感じで綾斗に尋ねた

 

「あー、うん、幼馴染なんだよ

っても数年会ってないんだけどね」

 

「あのシルヴィア・リューネハイムと幼馴染・・・・」

 

ユリスは綾斗の言っていたことが信じられないのか未だに呆然としていた

 

「ユリス?

おーい」

 

綾斗は流石にユリスが心配になり近くで手を振ったり、ユリスの肩をゆすったりしてユリスの意識を現実に引き戻させた

綾斗はこんなことになるんだったら言わなきゃよかったなと後悔した

その後ユリスに質問攻めされることなく平和的に男子寮へ戻ることができた

先程のユリスの様子から頭がついていかず質問攻めにならずに済んだのかもしれない

明日質問攻めにあうかもしれないと考えると頭痛がしてくる綾斗だった

男子寮の自分の部屋に戻ってきた綾斗はベットに身を投げ出し仰向けになる

 

「シルヴィ・・・

まさか、君が序列一位なんて思わなかったよ・・・」

 

綾斗は先程のユリスの言葉を思い出していた

数年前、シルヴィの都合で離れ離れになった綾斗とシルヴィ

離れ離れになっても連絡は取りあっていたしシルヴィからの定時連絡でこのアスタリスクに籍を置いていることもわかっていたが序列一位っておう情報はまったくもって想定外だった

彼女の能力を別れる前に何回か見せてもらったことがある綾斗だったがかなりの上位だろうなとこのアスタリスクのランキング制の話をユリスから聞いた時思ったが一位と綾斗も驚愕した

 

「やっぱり、すごいなぁ~

シルヴィは・・・・」

 

綾斗は今は遥か高みにいる幼馴染を素直に評した

 

「だけど・・・

いつか君のいるところに追いつくよシルヴィ・・・

必ず・・・」

 

綾斗は新たな決意を胸にこれからのアスタリスクの生活に胸を躍らせた

そして意識は深い眠りへと落ちていく・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

草の香りのたつ初夏の夜だった

その日、少年は道場の片隅で正座させられていた

薄闇の中、子供らしい愛嬌のある仏教面がわずかに見えた

どれだけの時間そうしているのか少年にももうわからない

 

「今度はなにやらかしたの?

お父さん、カンカンだったよ」

 

ふいに道場にやわらかい声が響いた

 

「僕は悪くない」

 

少年はすねたようにそう言い、ぷいとそっぽを向いた

現れた少女は少年の目線を合わすかのように身を屈めた

外見的に少年より5つか6つは年上だろう

 

「綾斗」

 

少女は宥めるように少年の名前を呼んだ

 

「だって、お姉ちゃん

あいつらが!!」

 

「綾斗!!」

 

鋭さを増した声が道場に響いた

少年は身をすくませた

 

「うぅ・・・」

 

「言い訳なんて男らしくないぞ」

 

少女の声に少年の顔が歪み瞳から涙がにじんだ

 

「でも、綾斗が本当に反省してるなら話を聞いてあげる」

 

「本当!?」

 

先程の表情から一転、少年の表情が明るくなる

さっきの涙は演技なんじゃないかと思うくらいの手のひら返しだ

 

「・・・・ちゃんと反省してる?」

 

少女は疑いの目で少年をみた

まぁ少年の表情の変わりようをみれば疑いたくなる気持ちもわからなくはないだろう

 

「うん、反省してる!!」

 

少年も明るい表情で言うのだからまったくもって説得力がない

 

「本当に?」

 

「うん!!」

 

「本当に本当?」

 

「うん!!」

 

「本当に本当に本当?」

 

少女はしつこく本当に反省しているのかときいてくる

このしつこい門問に少年は・・・

 

「お姉ちゃん、重い女は嫌われるってサヤちゃんが言ってたよ」

 

「・・・・・・・・」

 

少女は無言で手を握りグーの形を作りそのままの形のまま少年に振り下ろした

 

「・・・ごめんなさい、反省してます」

 

「よろしい」

 

少女は満足したかのように深く頷いた

 

「じゃあ、まずそこに座りなさい」

 

「さっきから座ってるよお姉ちゃん」

 

「せ、正座しなさい」

 

「ずっと正座だよ」

 

少女は先程の恥ずかしさをまぎわらすかのように咳ばらいをすると制服のポケットから黒いフレームの眼鏡を取り出しそれをかけた

 

「それでなにがあったの?」

 

少女が少年に問いかける

 

「ぼくはなにもしてない!!

あいつらがしつこく立ち合えって言うから・・・・!!」

 

少年の話からすると道場の門下生が素振りばかりで一度も試合などの立ち合いをしているところをみたことがなかった少年―綾斗を門下生たちがからかったのだ

少年は他の門下生との試合を少年の父親は固く禁じた

そのため、他の門下生からちょっかいやからかわれたり、バカにされたりすることは多々あった

少年のところの道場は門下生自体はそんなに多くはないが門下生のほとんどが《星脈世代》だ

《星脈世代》が一般人への暴力は法律で禁止されている

それは未成年でも変わらない

だからこそ今回は同じ《星脈世代》の綾斗がほかの門下生たちのターゲットになってしまった

だが今回のようなことはこれがはじめてではない自分のことなら綾斗も軽くながして終わりだった

だが、今回は門下生たちも綾斗自身のことをなにを言ったて相手にされないと悟ったのだろう

門下生たちは綾斗の姉のことをバカにした

いくら綾斗でも自分の大好きであこがれている姉を馬鹿にされれば綾斗も我慢がならなかった

そして結果は綾斗の圧勝だったというわけだ

 

「それにあいつらお姉ちゃんのことまで・・・!!」

 

綾斗は悔しそうに唇を噛んだ

自身の姉の強さは綾斗がわかっている

それなのに門下生たちが立ち合いしたこともない自身の姉の悪口を言うから綾斗も我慢ならなかったということらしい

なにより綾斗の姉はこの道場の門下生の中では一番の実力者だ

それゆえ綾斗ほどではないが彼女も立ち合いを禁止されている

 

「だから少しだけ相手をしてやったんだ!!」

 

「ふむ・・・」

 

「もー、綾斗くんが相手したら洒落にならないでしょ?」

 

道場の扉から綾斗の姉とは別の声が聞こえた

 

「シルヴィ・・・」

 

歳は綾斗とそう変わらないだろう

綺麗な薄いパープル色の髪の少女だ

 

「綾斗君

他の門下生と比べると強すぎるんだから

そこは我慢しないとダメでしょ?」

 

シルヴィと呼ばれた少女は優しく綾斗に注意する

 

「いくら大好きなお姉ちゃんのこと悪く言われたからってそこは耐えないと」

 

「なっ・・・!?」

 

少女は悪戯っぽい笑みを浮かべた

綾斗は本人を前にそんなことを言われてみるみる顔がりんごみたいに赤くなってゆく

 

「シルヴィアちゃん来てたんだ」

 

「はい、おじゃましてます」

 

シルヴィは綾斗の姉に軽く会釈する

 

「・・・ねぇ、綾斗お父さんがなんであなたに試合を禁じてるかわかる?」

 

綾斗は姉の問いに首を横に振った

 

「さっき、シルヴィアちゃんが言ったのもあってるわ

貴方は強い

いずれ必ず私を超えるくらい強くなる

お父さんがあなたに立ち合いを禁じてるのはね

力というのは・・・人をそして自分を・・・

綾斗自身を傷つけてしまうかもしれないからよ

これはシルヴィアちゃんにも聞いてほしいの

貴方にも関係してくることだと思うから・・・・」

 

「はい・・・」

 

シルヴィは静かに頷いた

 

「いい綾斗

力に頼って身を任せている限り、痛みを感じることはない

でも、そのかわり人の痛みも感じることが出来ない

お父さんも私も綾斗とシルヴィアちゃんにはそんな人間になってほしくないの」

 

「「・・・・・?」」

 

綾斗もシルヴィも首を傾げている

どこか大事な話ということは二人にもわかっているだろうだが、理解はしてないみたいだった

 

「尊厳を守るために闘うことは大切よ?

誰もが持っている正当な権利だから間違ってはいないわ

でもね綾斗はまだその結果に関して責任を持てない

無責任と正しさは相いれないものだから」

 

「よくわからないよ」

 

綾斗に続くようにシルヴィもうんうんと頷いている

 

「とにかく綾斗にはまだ早いってこと」

 

「じゃあ、いつになったらいいの?」

 

「うーん、そうだなぁ」

 

少女は考える仕草をし少しの間唸る

 

「強いて言うのなら綾斗が成すべきことを見つけた時かな」

 

「なすべきこと・・・」

「そう、その時は綾斗が力の使い方が分かった時だから」

 

「お姉ちゃんは?」

 

「ん?」

 

「お姉ちゃんは成すべきこと見つかったの?」

 

綾斗の質問に少女は驚き目を見開いた

この少女もまさか弟がこんな質問をしてくるとは思わなかったのだろう

少し驚いたが少女はすぐに表情を柔らかくした

 

「もちろん、私が成すべきことは綾斗

貴方を守ることよ」

 

「僕を守る?」

 

「そう、それが私にとってなにより大切で成すべきこと」

 

「じゃあ・・・じゃあぼくもお姉ちゃんを守るよ

それが僕の成すべきことだ!!」

 

少女は綾斗の言葉に笑うと人差し指で綾斗の額を軽く小突いた

 

「うれしいこといってくれるなぁ

でもあなたの成すべきこととは言わないけど守るべき人は他にいるでしょ?」

 

少女はそういうと目線でシルヴィのことを指した

 

「も、もちろんシルヴィも守るよ!!

お姉ちゃんもシルヴィも守る!!」

 

「えぇ!?」

 

シルヴィは突然の綾斗の宣言に驚き頬を赤く染めた

 

「頼もしいね

でもね綾斗お姉ちゃんよりまだ弱いのに守れるの?」

 

「うぅ・・・」

 

姉の指摘に綾斗はしょぼくれて落ち込む

 

「冗談よ

さっきも言ったけどあなたは必ず強くなるわ

私よりも絶対に

だけど、私を守る必要はないわ

シルヴィアちゃんを守ってあげてそれがきっとあなたの成すべきことを見つけるきっかけになるはずだから」

 

少女は気付いていた自分の弟はもう成すべきことをみつけ始めてると

でもまだそれを自覚していないだけだと・・・

きっとシルヴィを守らせることで綾斗は必ず成すべきこととはなんなのかに気付くと・・・

そして少女は綾斗とシルヴィの背ぐらいまで屈むと二人を抱きしめた

 

「綾斗、お姉ちゃんのために怒ってくれてありがとう

大好きだよ

シルヴィアちゃん綾斗のことよろしくね・・・」

 




次は一か月以内に投稿したいなぁ~(白目
ま、まぁ気長に待っててくださいではチャオチャオ

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