学戦都市アスタリスク~歌姫との絆~   作:璞毘

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こんにちは、続きになります
この調子で投稿できたならと思っています


一話

「えーっと・・・・」

 

綾斗は今目の前の状況をどう打破しようかと思考を巡らせるが何一ついい案が思いつかず思いつくのは最悪の未来だけだ

事の始まりは数分前綾斗としては空から降ってきたハンカチを届けようとしていただけだったのだが・・・

まさか着替え中とは思わず、綾斗はその着替えの場面に遭遇してしまったというわけだ

 

「あの、オレは決して悪気があって覗いたんじゃなくて・・・

ハンカチを・・・」

 

「後ろを向け・・・」

 

「え・・・?」

 

「いいから後ろを向け―――――!!」

 

綾斗が不可抗力で着替えを覗いてしまったのは桃色の髪の少女だった

年齢は綾斗と同じ15~16くらいであろう

その少女は胸元を隠しながら叫んだ

綾斗はすぐさま後ろを向いた綾斗の耳には布擦れのリアルな音が聞こえていた

年頃の青少年である綾斗にはそのリアルな音が衛生上よろしくないのはいうまでもないだろう

 

―――大丈夫、オレは、ハンカチを届けに来ただけだ

   それを伝えれば彼女もきっとわかってくれる

 

綾斗はそんなことを内心思っていた

着替えを覗いて事情を話せばわかってくれる人間などごく少数の人間だろう

彼女がその部類に入るかどうかはまだわからないことではあるが・・・

 

「で、ハンカチとは?」

 

着替えが終わったらしい桃色の髪の少女は綾斗にそう問いかけた

最も桃色の髪色の少女の表情は案の定こちらを睨みつけてご立腹と言った様子だが話を聞いてくれるあたり案外話のわかる人間なのかもしれない

 

「あ、うんこれなんだけど

おとさなかったかなと思ってさ」

 

綾斗は先程拾った刺繍入りのハンカチを桃色の少女に見せた

 

「それは・・・!!」

 

桃色の少女の表情が変わった

先程まで怒り心頭と言った様子だったのが今ではハンカチを見せたとたん安心しきった様子で先程の表情が嘘のようだ

 

「すまない、これはとても大切なものなんだ」

 

桃色の髪の少女は心から安心したような表情を浮かべていた

相当大切なものなのだろう

 

「よし、これで筋は通したな・・・」

 

「え?」

 

桃色の髪の少女から星辰力(プラーナ)の高まりを綾斗は感じた

 

――この感じ、《魔女(ストレガ)》!?

 

やばいと感じた綾斗はとっさに回避行動に出た

綾斗が先程出てきた窓に向かって走り出す

 

「くたばれ」

 

桃色の髪の少女は顔は笑っていたが目が笑っていなかった

その直後大爆発が起きた

綾斗はとっさに窓から飛び降りたため無事だったがあと一秒でも飛び降りのが遅かったらヤバかったかもしれなかった

 

「ほう、今のをかわすとはな・・・

ただの変質者ではないようだ・・・」

 

「なんで・・・」

 

「なんでだと・・・?

おまえはあろうことか女子寮に侵入し、乙女の着替えを覗いた

命をもって償うべきだ!!」

 

「命って・・・」

 

そんな大げさなと綾斗は思うが今それを口にするとややこしくなるのが目に見えているため綾斗は開きかけた口を閉ざす

 

「安心しろ

おとなしくしていればウェルダンぐらいで勘弁してやろう」

 

「中までしっかり焼くんじゃないか・・・」

 

綾斗はガックリと肩を落とす

 

「ちょっと待って、オレはここに編入したばかりであそこが女子寮だって知らなかったんだ」

 

綾斗は桃色の少女に編入生だってことを明かしアスタリスク(ここ)にも今日来たということを明かした

 

「なるほど、それは信じてやろう

だが、これとそれとは別だ

このままでは私の怒りが収まらん

おまえ、名前は?」

 

「天霧綾斗」

 

突然名前を聞かれ戸惑った綾斗だったが別に隠す理由もないため、綾斗は名乗る

 

「私はユリスだ

この星導館の序列5位だ

埠頭の証たる赤蓮の名のもとに我ユリス=アレクシア・フォン・リースフェルトは汝天霧綾斗への決闘を申請する」

 

ユリスがそういうとユリスと綾斗の校章が発光する

 

「決闘!?」

 

綾斗が驚いたように声をあげる

それはそうだろう公式戦でもなければここは公共の場だ

そんなところで決闘をしようと言うのだから

 

「お姫様が決闘だってよ」

 

「相手は誰だ?」

 

「うちの転入生らしいぞ」

 

決闘と聞きつけた野次たちが興味津々と言った様子でユリスと綾斗の周りに集まっていく

 

「お前が勝てばお前の言い分を聞いてやろうだが私が勝てばお前を私の好きにさせてもらうぞ

アスタリスクに来た以上決闘は知っているな?」

 

「知ってはいるけど、ほらオレ武器もないしさ」

 

「お前、なんの武器を使う?」

 

「・・・剣」

 

綾斗は渋々答える

 

「誰か武器を持っていないか?

出来れば剣がいいのだが・・・」

 

ユリスが周りのギャラリーにそう言う

 

「だったらこれを使えよ」

 

ギャラリーから綾斗の元に未調整の煌式武装(ルークス)の発動体が投げられる

本来はその人によって煌式武装は調整されその人用に長さなど違ってくるのだが、綾斗はこの学園に来たばかりで煌式武装の調整どころか配布すらされてない状態だった

そんな状態なら流石のユリスも諦めてくれると思ったのだが・・・

これだった・・・

綾斗はそれを受け取ると複雑な表情を浮かべる

これがなかったら綾斗はこの決闘を破棄できたかもしれないのだ

煌式武装を渡された以上決闘を受けないという選択肢はなくなったといってもいい

 

「まさか起動の仕方がわからないとは言うまい」

 

「・・・・・」

 

綾斗は煌式武装を起動させる

煌式武装に埋め込まれている鉱石・・・マダナイトが輝き青白い刀身が現れる

刀身は1mぐらいだろう

 

「よし」

 

「はぁ、我、天霧綾斗は汝、ユリスの決闘申請を受諾する」

 

綾斗は静かにそう宣言した

 決闘を受諾する・・・と

 

「では行くぞ」

 

綾斗が決闘を受諾すると同時に決闘開始(エンドオブデュエル)と機械の音声音が聞こえた

 

「咲き誇れ、鋭槍の白炎花(ロンギ・フローラム)

 

ユリスが自身の細剣型の煌式武装を振るうと炎の槍が次々と綾斗に襲いかかる

数は9ぐらいであろう

綾斗は焦ることなく剣型の煌式武装で炎の槍を次々といなしていく

時にはかわしたりとしていく

 

「まだだ、鋭槍の白炎花」

 

「・・・・!!」

 

綾斗は先程のように剣でいなそうとするがさっきと違い速度が上がっていくことに気付いた

綾斗はいなすタイミングを完璧に失い仕方なしにかわすことにした

言うのは簡単だが速度の上がった炎の槍をかわすのは言うほど簡単ではない、そう“並の相手なら”の話だ

だがユリスが決闘を申し込んだ相手は“全力を出せない”とはいえかなりの実力者だった

速度の上がった炎の槍も綾斗は軽々とかわしている

 

「あの新人やるな」

 

「悪くはないな」

 

「お姫様が手加減してんじゃないの?」

 

などと外野が言っているがユリスは手加減など微塵もしていない先程の鋭槍の白炎花でも並の相手なら消し炭になるような威力だった

勿論全力で戦っているかと言われれば全力というわけでもない本気で相手をしている

そしてそれは綾斗にも言えたことだった

綾斗も全力で戦っているわけではない

でも手を抜いているわけでもなかった

 

「見極めてやる、咲き誇れ、六弁の爆焔花(アマリリス)

 

圧倒的な星辰力と熱量をもった巨大な炎の花が綾斗に迫っていく

 

「やっべぇ、大技だ!!」

 

「退避、退避」

 

ギャラリーもユリスの大技に巻き込まれてたまるかと一目散に逃げていく

 

「・・・・・・」

 

綾斗はその炎を前にしてもかわそうとせず巨大な炎の花に突っ込んでいった

 

「おい、あの新人突っ込んだぞ」

 

「死ぬつもりか!?」

 

ギャラリ―の連中は退散しながらも綾斗が突っ込んだのを目にしてありえねぇと言った表情をした

 

「ギリギリでかわして接近戦に持ち込むつもりか

だが・・・そうはさせん

爆ぜろ!!」

 

その瞬間焔の花が爆発を引き起こす

 

「これで・・・!」

 

ユリスはこのとき勝利を確信した

あの大爆発でただですむはずがないと

だがそのときその爆発の中で剣閃が煌いた

 

「天霧辰明流剣術初伝―― 貮蛟龍(ふたつみずち)

 

炎の花が十字に切り裂かれる

 

「まさか、流星闘技(メテオアーツ)・・・!!」

 

流星闘技とは煌式武装に埋め込まれている鉱石マダナイトに星辰力を注ぎ煌式武装の出力を上げる技術だ

一朝一夕でできるものではなく相応の鍛錬と修練が必要となる

その他にも煌式武装の調整も必要なため未調整の煌式武装でやってのけたとするならばユリスは戦慄を禁じえなかった

炎の花を切り裂いた綾斗はすでに間合いに入っていた

 

「この・・・!!」

 

ユリスは細剣を振り下ろそうとするが綾斗は煌式武装わ持ってない手でその手首を掴んだ

そして煌式武装を持っている手で綾斗はユリスに向かって飛来してくる光の矢を弾いた

弾かれた矢は煌式武装らしく形を維持できなくなりそのまま消滅した

飛び道具系統の煌式武装は自らの星辰力を注ぐことで矢や銃弾などを形作ることができる

それは銃弾、矢がいらないということだ

しかし、それは使い手の星辰力を使うということで《魔女(ストレガ)》や《魔術師(ダンテ)》と同様星辰力をエネルギーにしているようなものである

 

「どうゆうつもりだ?」

 

「それは、敵さんにいってほしいなぁ・・・」

 

「そうではない、何故私を・・・」

 

「はいはい、それぐらいにしてくださいね」

 

ユリスの言葉を遮るようにして手を軽く二回ほどパンパンとたたいて現れたのは抜群のスタイルをもった金髪の美少女というよりは美女と言った方がしっくりくる女性だった

 

 




結構早めに投稿できた気がしますね
この調子でシルヴィも原作より早めに登場させる予定なのでそうしていきたいと思いますではまた会いましょう
チャオチャオ

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