学戦都市アスタリスク~歌姫との絆~   作:璞毘

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あと四日でイース発売ですね
めっちゃ楽しみです!!


十話

「じゃあ、綾斗くん商業エリアに行こうか」

 

「ちょっ、シルヴィ!?」

 

シルヴィは綾斗の手を引っ張りながら商業エリアを慣れた足取りで進んでいく

まぁシルヴィはアスタリスクに来て綾斗よりも長い、市街地の地形に詳しいのだろう

商業エリアはいわゆるショッピングに適したエリアだ

その他にも食事するところも多数あり、買い物などはこの商業エリアが適している

他のエリアも買い物ができないわけではないがこの商業エリアほど店が出揃ってるわけではない

 

「よくここには来るの?」

 

「うん、そうだね

ほら、私芸能活動もしてるでしょ?

だから衣装選びとかでここによく来てるんだ」

 

「へぇ~」

 

そういうのって本人じゃなくて関係者がするもんなんじゃ・・・と綾斗は内心思ったが、これがシルヴィのスタイルだと納得することにした

 

「お昼食べたらショッピングしようか

ほら、綾斗くんの格好があれだし・・・」

 

「そ、そうかなぁ・・・」

 

そういわれて綾斗は今の自分の格好を見てみる

長袖の服にジーンズと言ったまぁシンプルな格好だ

こういう市街地以外なら綾斗の格好でもいいのだろうがここは市街地の商業エリア

市街地でも特に人が集まるところだ

<星武祭>になればもっと人が増える

そんなところでなんの飾りもないファッションは逆に目立つ

それに商業エリアに来てる人たちは皆お洒落してるのだ綾斗も少しはファッションに気を使った方がいいだろう

 

「はぁ、昔から綾斗くんのファッションセンスはあれだけど昔よりひどくなってる気がする」

 

「うっ・・・」

 

シルヴィは綾斗の服装を見て呆れたように言う

 

「ほら、ここで食べよう

この前、ここらへんでライブの仕事があったんだけどその時のお昼でここで食べてすごいおいしかったんだよ」

 

そこはいわゆるハンバーグレストランだった

外から見えるショーケースにおいしそうなハンバーグの模型が置かれている

中に入ってみると内装はカントリーな内装で時間も時間なので客もかなりの人数が入っている

綾斗とシルヴィは空いているボックスの席に互いに向かい合うように座った

しばらくすると店員さんがメニューと水を置いて丁寧に一礼してから下がった

 

「へぇ~

メニューは最初からあるわけじゃないんだね」

 

「結構、めずらしいスタイルだよね」

 

確かに多くの飲食店はメニューが最初から置いてあるのが印象に強く残っている

先程のようにメニューは最初からなくわざわざ持ってくるのはなかなか見ないので綾斗からすれば珍しい

 

「どれもおいしそうだな~」

 

「ふふ、迷っちゃうよね」

 

二人はメニューをみながら呟く

確かにメニューに載っているイメージの写真はどれも美味しそうなものばかりだった

これなら綾斗とシルヴィが迷うのも無理はない

 

「じゃあ、私これにするよ」

 

「じゃあ、オレはこれにしようかな」

 

二人ともしばらくメニューをみて迷っていたがしばらくして何を食べるのか決まり店員を呼んでそれを伝えた

店自体も客が多いので料理が来るまでしばらくかかると簡単に予測できるので綾斗とシルヴィはそれまで談笑していた

 

「綾斗くん、学校のほうはどうかな

だいぶ慣れた?」

 

「うん、そうだね

紗夜もいるし大体はね」

 

「そっか、紗夜ちゃんと同じクラスなんだったよね」

 

シルヴィは転入して間もない綾斗を少なからず心配していた

学院に慣れて友達ができるまで結構時間がかかる人も少なからずいる

シルヴィはそこを心配していた

だが、それも杞憂で終わったそうでシルヴィは心底、安心した

幼馴染である紗夜と同じクラスならそれなら心配ないだろう・・・と

 

「そういえば、なんで綾斗くんが序列5位の≪華焔の魔女≫と知り合いなの!?」

 

シルヴィは飲食店の中なのも構わず身を乗り出し不機嫌そうな感じで言う

 

「あー、いや、それは・・・」

 

綾斗はどこか歯切れが悪そうに言葉を濁す

綾斗も綾斗でそのことはなかなか言いずらいだろう。なにせ知らなかったとは言え女子寮のユリスの部屋にハンカチを届けるために窓から入ったらハンカチの所有者であるユリスが丁度着替え中だったなどと言えるはずもない

綾斗がどう誤魔化そうと考えていると・・・

 

「お待たせしました

カリーバーグディッシュとゆずおろしポンバーグステーキです」

 

タイミングよく店員が頼んだ料理を運んできた

そしてそれぞれの料理を綾斗とシルヴィの前に置く

 

「それでは、ごゆっくり」

 

店員は伝票を置くと一礼して下がる

 

「さ、さぁ、料理も来たし食べよう!!

冷める前に食べようよ」

 

「・・・・綾斗くん

あとで、ちゃんと聞かせてもらうから」

 

綾斗は料理を口実に誤魔化そうとしたのだが、綾斗の考えは甘かったということを心底思い知らされた

それでも空気が重い食事になるということはなくむしろ楽しく話をしながら

食事を楽しんでいた

 

「綾斗くんの頼んだ料理もおいしそうだね」

 

「え、それじゃ一口食べる?」

 

綾斗はそう言うとスプーンで一口サイズすくうとシルヴィの前までもっていく

いわゆるあーんというやつだ

 

「ちょっ、綾斗くん・・・!?」

 

シルヴィは恥ずかしいのか顔を赤くして俯いている

それはそうだろうこんな公衆の面前でやられれば誰だって恥ずかしい

ただでさえ公衆の面前でなくとも多少は恥ずかしさがある行為だ

 

「シルヴィ?」

 

綾斗はその行為にどんな意味があるのかわかってないのかただ首をかしげているだけだ

 

「た、食べるよ!!」

 

シルヴィはもう意地になってシルヴィの前に差し出された物を口を開けて食べる

相当恥ずかしい行為ではあったが料理はおいしかった

ハンバーグにのってるソースが多少辛みがあってハンバーグとあっていた

 

「おいしい!!」

 

シルヴィは綾斗が頼んだハンバーグを一口食べて素直に感想を言う

 

「じゃあ、綾斗くんも私の一口あげる」

 

そういうとシルヴィは自分が頼んだハンバーグを一口サイズにすくうと綾斗の前に差し出す

 

「え、いいのかい?」

 

「うん

私だけもらうのもあれだし・・・」

 

「じゃあ、もらうよ?」

 

綾斗は差し出されたハンバーグを口に含む

シルヴィの頼んだハンバーグは綾斗の頼んだがっつり系ではなくあっさりとしていてとても食べやすいハンバーグだった

あっさりしすぎというわけでもなくちょうどいい味加減だった

 

「シルヴィのハンバーグも美味しいね

あっさりしていて食べやすいよ」

 

と綾斗はこんなことを言っているがシルヴィはそれどころではなかった

シルヴィはさっきからスプーンを見つめたまま固まっている

綾斗はそんなシルヴィを不思議そうに見ているだけで理由に関してはわかってない

理由は至って簡単だ。先程綾斗にハンバーグを食べさせたスプーン・・・

行ってしまえば間接キスというやつだ

シルヴィはそれを気にして固まっているのだ

綾斗の使っているスプーンも間接キスなっているが綾斗自身はまったく気にした様子はなく使っている

いや、気にしたというより先程の行為が間接キスということに気付いてないだけだ

シルヴィはそんな綾斗をみて大きくため息を吐いた

シルヴィは気にしていた自分がばからしく思い気にせず食べようとするのだが・・・

一度気にしたら気にしてしまうのが人間というもので手をプルプル震わせながらシルヴィは残りのハンバーグを食べるのだった

 

「シルヴィ、おいしかったね」

 

「うん、そうだね・・・」

 

なにやらさっきからテンションがガタ落ちしているシルヴィが気になった綾斗は心配そうにシルヴィを見つめている

 

「シルヴィ、元気がなさそうだけど大丈夫?」

 

「うん、大丈夫だよ

精神的に色々とやられただけだから」

 

先程の間接キスがよっぽど効いたらしいがしばらくするとシルヴィが言った通り元のシルヴィに戻った

 

「じゃあ、綾斗くん行こう」

 

すっかり元のシルヴィに戻りシルヴィと綾斗は商業エリアをシルヴィを先頭に歩いていた

 

「とりあえず、綾斗くんのコーディーネートしようか」

 

そういいシルヴィが立ち寄ったのはさっきのハンバーグ屋からそう遠くない服屋だった

シルヴィは綾斗を引きつれ中に入っていく。

中は季節にあった服から季節から外れて安売りしている服まで何でもとは言わないが一通りの服が揃っていた

シルヴィは何着か服とズボンを選び綾斗に持たせて試着室に押し込む

 

「着替えたら、教えてね」

 

シルヴィは綾斗が着替えてる間、適当に服を見ていた

 

「こういう服もかわいいよねー」

 

シルヴィが手に取ったものはシンプルなデザインのワンピースだった

シルヴィは基本ワンピースなどは着ない

勿論アイドルとしての仕事としての衣装で着たりはするがプライベートでは今のシルヴィがしてる格好ジーンズにブラウスといった格好が多い

 

「シルヴィ、着替えたけどー」

 

「うん、今行くよー」

 

シルヴィはワンピースを元あった場所に戻し、綾斗が入ってるであろう試着室に向かう

シルヴィが試着室のカーテンを開けようとカーテンに手を伸ばした瞬間カーテンが開けられた

開けたのは綾斗だ

 

「あ、綾斗くん・・・?」

 

シルヴィ呆然として綾斗をみていた

今の綾斗は濃い紺色の細身のジーンズに白いシャツに上から黒いテーラードジャケットを羽織っている

先程の服装と比べたらえらい違いだ

 

「ど、どうかな?」

 

綾斗は照れくさそうにシルヴィに訊ねた

 

「うん、似合ってるよ綾斗くん

さっきとは偉い違いだよ」

 

「そこまで、酷かったかなぁ・・・・」

 

シルヴィに悪気はないのだろうが綾斗は軽くショックを受けた

 

「あと、これと・・・これも!!」

 

シルヴィは今、綾斗が試着している服のほかにも何着か綾斗に手渡す

そのあとも綾斗はシルヴィの着せ替え人形と化していた

結局、綾斗が試着した服は全部シルヴィの支払いで買った

綾斗は遠慮したのだが押し切られてしまったのだ

 

「さて、綾斗くん次は・・・そうだな

時間的にもあれだし次で最後にしようか」

 

アスタリスクの市街地は言ってしまえば都会とそう変わらない広さだ

一日やそこらで回れるような広さではない

だからシルヴィは一区切りとしてとりあえず今日は次で最後にしようと言ったのだ

 

「次は案内ってわけじゃなくて

単純に綾斗くんと遊びたいんだ

いいでしょ?」

 

「う、うん」

 

綾斗自身もこれまで自分の都合で案内ばっかりさせていたのだ

すこしくらいシルヴィが行きたいところに行っても問題ないだろう

 

「じゃあ、カラオケ行こうよ!」

 

「え・・・?」

 

綾斗は自然と疑問の声が出ていた

今や人気の世界の歌姫とカラオケなど歌のクオリティが違いすぎて話にならないだろう

 

「綾斗くん、ほら行こう」

 

シルヴィは綾斗の手を握り先導する

手を握ると言っても恋人繋ぎのような甘いものではない子供がするような普通の手つなぎだ

それでもシルヴィは今はそれでもよかった

そう、“今”は・・・

 

 

 

 

 

 

 

カラオケ店についた綾斗とシルヴィは早速受付に行った

と言っても、受け付けは全部シルヴィがやったのだが・・・

受付が終わったシルヴィは綾斗と指定された個室に入る

シルヴィ達が指定された個室は狭い部屋だった

それでも四人ぐらいはは入れる広さはある

二人でカラオケならこの広さで十分だろう

 

「じゃあ、綾斗くんから歌う?」

 

「シルヴィからでいいよ」

 

綾斗は先手をシルヴィに譲った

一番手は色々緊張するので綾斗の気持ちがわからないでもない

 

「じゃあ、私から行くね

最初はこれかな」

 

シルヴィはすぐに曲を決めると入力する

画面に曲名が映され歌詞も出る

 

「♪~今年最初の雪の華を~♪―――」

 

綾斗はシルヴィの歌声に聞きほれていた

シルヴィの歌は透き通っていて綺麗なそんな歌声だった

 

「はい、じゃあ次綾斗君の番だね!」

 

シルヴィはそういうとタブレット型のリモコンを差し出してくる

正直あんな歌を聞かされた後ではかなり歌いずらかったが歌わないわけにはいかないので綾斗は曲を入れる

綾斗はマイクを手に大きく深呼吸する

 

「♪~たぶんあの時僕らは歩き出したんだ互いに違う道を―――♪」

 

綾斗の歌声はうまいとは言えなく、下手なわけではない

普通だった

それでも歌う時になんらかの気持ちが入ってるようにシルヴィにはそうゆふうに聞こえた

そのあともお互いに歌いあいカラオケを楽しんだ

 

「綾斗くん、今日は楽しかったよ」

 

「それはこっちのセリフだよ

ありがとう、シルヴィ

市街地を案内してくれて、助かったし

シルヴィといて楽しかったよ」

 

「う、うん」

 

シルヴィは綾斗の何気ない一言で顔を赤く染めた

それを見られまいとシルヴィは俯く

 

「綾斗くん、アスタリスクは欲望が渦巻く場所だけど、自分の願いを叶えられる場所でもある

綾斗くん、君が今なにをしたいのかもう一度考えてみてそうすればきっと君の心に秘めてる望みが分かるはずだから・・・」

 

シルヴィはそういうとクインヴェール女学院の道へと歩いていくのだった

まぁ道と言っても地下鉄なわけだが・・・

 

「望み・・・・」

 

綾斗はシルヴィに言われたことをかみしめながら静かに呟いた

 




イース発売までにあと一つは投稿したい
出来ればですが・・・
ではチャオチャオ

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