学園黙示録 死にモブ石井は諦めない   作:洗濯機お兄さん

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投稿に間が開いてしまって本当に申し訳ありません!
不慮の事故だったんです…

それでは第5話です。よろしくお願いします。


第5話 石井、空気になる。

毒島先輩達が過剰戦力で叩き伏せた後、そこで出会った人たちと合流し人数の増えた僕たちは職員室で休息を取ることとなった。

 

 

「鞠川校医は知っているな。私は毒島冴子。3年A組だ。そこの鼻血を流している彼は石井君だ。」

「石井かず、2年A組です。よろしくお願いします。」

この人本当に自己紹介好きだな…名乗りを上げるように教育されてきたんだろうか。

武士の一族…?ありうる!

「小室孝。2年B組です。」

聞いたことのある名前だ。確か…そう、確か将来の約束をしていた幼馴染に振られたとか言う噂が一時期流れていたはずだ。こんな噂が流れることになったら僕なら不登校になってしまうだろう。最悪自殺まであるかもしれない。

「あ、えっB組の平野コータです…」

「去年、全国大会で優勝された毒島先輩ですよね。私、槍術部の宮本麗です」

他に名乗った人は全員クラスを言っていく中流れに逆らうとは…コイツ…出来る!

それはともかく。なるほど~やけにゾンビが軽く吹っ飛ぶなーとか思ってたけど、槍術部だったのか。じゃあ納得だね!(錯乱)

「2年B組の高城沙耶よ!」

どやぁ。流石は優等生。素晴らしい表情です。

「まずはバリケードを作る必要があるな。」

毒島先輩はゆっくり休むためにも。と、皆に指示を出した。確かに何時ゾンビが侵入してくるか分からない状況では、気を抜いていられないだろう。

もちろん嫌がる人なんて居なかったし、それどころか皆てきぱきと動く。

毒島先輩は何かに気が付いたようにこちらに振り返ると、

「石井君は顔でも洗って来たらどうかな?先程の戦闘で顔が血まみれになっているぞ?」

と、ありがたいお言葉を頂いた。

「あっはい。お気遣い頂きありがとうございます。」

しかし、この顔の血は残念ながら戦闘関係なく…いや、一応関係あるのかな?取り敢えず犯人は高城さんである。

 

 

「えーっと…石井。大丈夫、かい?その…鼻は。」

給湯室で顔を洗っていると平野が声をかけてきた。何だか申し訳なさそうな顔をしている…彼は僕に何かしただろうか?

「うん。さっき静香先生に見てもらったけど、特に問題はないみたいだよ。」

鼻折れてるかもとか思ったけど、別に診て貰うとと大したことなかったのである。

「そっかぁ…良かった~さっきはごめんね?」

なんで平野がその事を謝って来るのだろうか。

「まあ本人にも謝って貰ったし、気にすることじゃないけど…どうして君が?」

「え、いやっそれは…」

そう言って平野は高城さんの方をチラッと見た。なるほど。

「そっか、まあ深くは聞かないでおくよ。」

「ありがとう。」

 

 

「鞠川先生、車のキーは?」

「あぁ~、バッグの中に…」

そう言って探し始める静香先生。まさかなくしたとか言わないよね…

「全員を乗せられる車なのか?」

「うっ、そう言えば…」

確かに可愛いのと言っていたし、きっとこの人数は無理だろう。となるとバスしかないので、窓際に行って確認しよう。

「部活遠征用のマイクロバスはどうだ、壁の鍵掛けにキーがあるが。」

「「バス、あります」」

平野と声が被った。平野よ、まさかさりげない気遣いが出来るキャラを僕から奪おうというのか!?

「それは良いけど、どこへ?」

静香先生が小室に問いかける。僕らは脱出した後の事を考えて居なかった。確かに行く当てもなくそこら辺を彷徨うわけにもいかないし、どこか安全な場所を探して落ち着きたいところだ。

「家族の無事を確かめます。近い順にみんなの家を回るとかして、必要なら家族も助けて、そのあとは安全な場所を探して…」

「どうしたの?」

高城さんが声をあげた。視線の先にはテレビを見つめながら固まる宮本さんが。

毒島先輩がテレビの音量を上げると、報道が聞こえてきた。

 

『全国各地で頻発する暴動に対し、政府は緊急対策の検討に入りました。しかし、自衛隊の治安出動については、与野党を問わず、目処が立っていません。』

『既に、埼玉県内の被害は一万名を超えたとの見方もあります。知事により、非常事態宣言のっ…!《パンっ!》発砲です!ついに警察は発砲を始めました!一体何に対して…!?きゃあぁぁぁ!嫌!危ない…ザッ…ザザッ…助けて!や、ぎゃあぁぁぁ!』

誰かの足が見えたところで、映像が途切れた。歩き方からしてゾンビだったし、きっと取材班は襲われてもう生きてはいないだろう。

それにしても外で接近されるまで気がつかないとかあるのだろうか。いや待て、最初のチャンネルでは『暴動』と言っていた。正しい情報が伝わってない?いや、伝えてないのか。つまりあの記者は使い捨てにされた…と。

映像が切り替わった。みんな大好きしばらくお待ち下さいである。

その次は放送局からの画面に。

『何か、問題が起きたようです。こっ、ここからは、スタジオよりお送りします。どうやら、屋外は大変危険な状況になっているようです。可能な限り、自宅から出ないよう注意してください。中継が復旧次第、改めて現場の状況を犬井キャスターに報告して頂きます。』

ドンッ!

小室が声を荒げ、机に拳を叩き付ける。

「それだけかよ!どうしてそれだけなんだよ!」

「パニックを恐れてるのよ。」

と高城さん。それに宮本さんが疑問を投げかける。

「今さら?」

確かにそうだ。この事態が始まって直ぐならともかく、こんなに時間が経っている今、こんなぼかした報道をする意味などあるのだろうか?

高城さんが言葉を続ける。

「今だからこそよ。恐怖は混乱を生み出し、混乱は秩序の崩壊を招くわ。」

左目の辺りを手で隠しながら高城さんはさらに続ける。中二病か。

「そして…秩序が崩壊したら…どうやって動く死体に立ち向かえるというの?」

どやあ。きっと彼女は今完全に決まったとか思っていることだろう。良い表情です。

『この異常事態は、全米に広がっており、未だ、収拾する見込みは立っていません。アメリカ政府首脳部は~』

日本だけじゃなく、何だか世界中で大変なことになっているみたいだ。

『モスクワとは通信が途絶、中国・北京は爆発したようです。ロンドンは治安が保たれているものの、パリ、ローマでは略奪が横行…《ザッ、ザザッ》』

映像が途切れて砂嵐しか映らなくなってしまった。しかしあれだな、中国はやっぱり爆発したんだな。流石期待を裏切らないね(笑)素晴らしいです。

「世界中に…〈奴ら〉が…」

「そんな…朝ネットを覗いた時には、いつも通りだったのに…」

「信じられない…たった数時間で世界中がこんなになるなんて…」

宮本さんが小室のシャツを握りさらに語りかける。

「ねえ、そうでしょ?絶対に安全な場所、あるわよね?きっと、直ぐいつも通りに…」

「なるわけないし。」

高城さんが何だか切れ気味である。

「そんな言い方することないだろ!」

ちょっと2人とも短気すぎやしないだろうか。でもそれも仕方ないか。こんな状況で冷静にいられるなど普通は無理だろう。誰かに八つ当たりしたくなると思う。ちなみに僕は未だに賢者モードなのでなにも問題はない。

 

「パンデミックなのよ、仕方ないじゃない!」

「パンデミック…!?」

静香先生が戦慄したような声を上げる。高城さんは言葉を続ける。というか高城さん喋り過ぎな気が…喉も渇いているだろうし、水でも渡して…いや、ここは平野に届けに行ってもらおう。

「感染爆発の~~」

「…おい、平野(小声)」

呼びかけながら平野を手招き。よーし良い子だな。さあ、こっちに来るんだ。

「石井、どうしたの?(小声)」

「なあ平野よ。高城さんはさっきから喋りっぱなしで喉が渇いていると思わないか?」

「う、うん。確かにそうだね。」

「そうだろ?そんな時、気を利かせてスッと飲み物を渡してくれる男が居たら…」

「い、居たら…」

「惚れると思わんかね。」

「惚れるね!」

「間違いないな?」

「間違いない!これで勝つる!」

えぇ…(困惑)煽っといてなんだけど、ちょっと考え軽すぎじゃありませんかね…?この子大丈夫だろうか。詐欺とかに引っかからないだろうか。

「よし、じゃあこのミネラルウォーターを持って行きなよ。あ、あと教師のデスク漁ってたら出てきたのど飴も。」

「ありがとう!じゃあ行ってくるね!」

 

…なんか不安だ。




データ飛ぶ前よりも石井君が活発になっている気がします(笑)

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