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「ありがとうございます。助かりました、毒島先輩。」
僕がそう言うと、毒島先輩はどこか不思議そうな顔をしてこう言った。
「ああ、間に合って良かったよ。…しかし、君とは以前、どこかで会ったことがあるだろうか?」
「?ない…と思います。何かありましたでしょうか?」
一体どういうことだろう?僕は口説かれているのだろうか。
「いや、君が私の名前を知っていたのが気になってね…。」
なるほど。確かに名乗った覚えも無い相手に名前を呼ばれたら、コイツ…私のストーカーなのか!?とか思うかもしれない。毒島先輩は美人さんだし、きっとそういうことも有ったのだろう。このままでは僕がストーカー認定されてししまう…!でも不思議だな、暴漢とかが毒島先輩に襲い掛かろうと返り討ちに合うイメージしか浮かばない…
「ああ、そう言うことですか!表彰されているのを何度も見ましたので。全国大会での優勝、おめでとうございます。」
「そうだったのか。では改めて自己紹介をさせてもらおう。私は剣道部主将、毒島冴子だ。2年生、君の名前は?」
何だか既視感に溢れる自己紹介をされた。名乗ったらいきなり介錯してやろうとか言われないよね…?
「石井かず、です。部活には入っていません。」
「石井君、よく鞠川校医を守った。鞠川校医!彼に何か、言うべきことが有るのではないのか?」
「えーっとぉ…石井君。守ってくれて、ありがとうね?」
最高の気分だ。静香先生に石井君なんて言われる日が来るとは…覚えて貰えないものだと思って諦めていたのに…
「どういたまして、僕もやっと名前を呼んで貰って、嬉しいです」
「鞠川校医…」
毒島先輩が何か言いかけたところでドアからゾンビが2匹入って来た。
「鞠川校医、車はあるだろうか?」
「ええ!可愛いのに乗ってるの!」
毒島先輩は嬉しそうに口元を歪めると、即座に2匹の頭を叩き潰した。
場所は変わって廊下。
毒島先輩が近づいてくるゾンビ共を軽く突き飛ばしながら僕たちは進んでいく。
・・・なんで軽く突き飛ばせるんだろうか…しかもさっきから相当な数を相手にしている筈なのに全く疲れている様には見えないし。
この人本当に女s「石井君…?何か、失礼な事を、考えて、いないだろうか…?」
「スミマセンナンデモアリマセン」
笑顔が、怖い。
「そうか?ならば今後は、気を付けるといいよ。女性はそういったものに敏感なのだからね。それにしても、職員室とは、全く面倒な事を言ってくれる。」
そうなのだ。今すぐにでも脱出かと思っていたら静香先生は荷物を持っていなかった。
「だってぇ車のキーは、みんなあそこなんだもん!」
果たしてそれは規則なのだろうか。紛失とかしそうだから静香先生にだけそう伝えて有るんじゃ…。
「どうしてやっつけないの?毒島さんなら簡単なのに…。」
「HAHAHA、やだなあ静香先生。毒島先輩だって可愛い女の子なんですから、毎度毎度頭を潰していたらすぐに疲れてしまいますよ~」
ふっ…我ながら完璧な回答だろう。
「惜しいな、石井君。まあ疲れるというのも間違ってはいないが。出くわす度に頭を潰すのは、足止めされているのと同じだ。取り囲まれてしまう。それに腕力は信じられないほど強い。掴まれたら逃げるのは難しい。」
なん…だと…!?さっきの話の下りからしてこんな感じだと思ったんだけど…
「へえぇ~、すごいのね~きゃあ!」
毒島先輩の言葉に感心していた静香先生がマットに足を取られて転んだ。
「いやん!なんなのよ、もう…」
「大丈夫ですか!?」
思わず駆け寄る。
「走るには向かないファッションだからだな」
毒島先輩はそう言って転んだ静香先生のスカートを掴むと、そのまま引き裂いた。
「いやあぁぁ!これブランドものなのに~!」
・・・これはエロい…目線が静香先生の下半身から離れなくなってしまった。好きな人のこんな姿を見てしまったら思わず前かがみになるのも仕方ないだろう。仕方ないよね。仕方ない。今のうちに目に焼き付けておこう。
「服と命と、どちらが大切だ?」
「ううぅぅぅ…両方!」
バスッ!バスッ!バスッ!
何か音が聞こえてきた。
「っ、なに!?」
「職員室か!?石井君!『可愛い女の子』である私は疲れてしまったから、先に急いで職員室の方まで行ってくれないだろうか?」
この人さっきの話引きずってやがる…
「はい!喜んで!」
勿論僕に拒否できるはずもなく、僕は全速力で渡り廊下を走った。
職員室が近づいてくると怒鳴る女子の声が聞こえてきた。
「だ…ら、…んなのよ!すぐに詰め替えたらいいでしょ!」
「でも…居ますよ。後ろに…」
「きゃあぁぁぁぁぁぁ!ひ、平野…」
「マガジンが!」
位置が近くなって、声がはっきりと聞こえる。どうやら戦闘中で、しかもピンチみたいだ。ガードルスタンドを握る手に力が入る。
渡り廊下を渡り切って、ガラス張りのドアに手を掛けると、ピンク色の髪の毛をした女子生徒とたくましい体型の男子生徒が見えた。ついでに今にも襲い掛かろうとしているゾンビも。
ドアを開け、ゾンビに接近。
「寄らないで!寄らないでぇ!」
「高城さん!」
スタンドをゾンビの上半身へフルスイング!そしてそのままぁ!スタンドの足を倒れたゾンビの頭にシューッ!超!エキサイティンッ!
「来るな…来るなぁぁぁ!」
そんな言葉と共に、トロフィーが飛んできた。
「ごっ…!」
痛ったあぁぁ!鼻とか折れた気がする…僕が一体何をしたっていうんだ…
「え!?あれ!?ごめんなさい…」
鼻血出てきた。
「う゛ん゛、きにしないれ」
毒島先輩達と誰かがもう2人来た。
「右は任せろ!」
「麗!」
「左を抑えるわ!」
そんなやり取りのあと、ゾンビは全滅した。それにしてもなんでモップで殴ってゾンビがあんなに…いや、もう何も言うまい。
「石井君!大丈夫!?」
静香先生に心配してもらえるなら、顔面にトロフィー投げつけられるのも、良いかもしれない。僕はそう思った自分に対して、若干の恐怖と誇らしさを感じた。
釘打ち機の音の表現とか無理ぃ…しかも変換が っになるし…
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