魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~   作:メガネ

99 / 156
ついにデート回です!!
定番だったりそうで無かったりしそうです。


デート編
デート・はやて編


――~♪

 

「ん?」

 

 夏休み前日の夜、携帯に突然はやてから着信が掛った。

 

「はやて、どうした?」

「コダイ君……えっと、明日暇?」

 

 明日と言われ予定を思い出してみるも何にも無い事に気づいた。

 

「暇になっているな」

「じゃあ私と2人で遊びに行かへん?」

「構わない」

「ホンマ!それじゃあ時間とか後でメールで連絡するで~♪あ、その日は必ず男の子っぽい服で来るんや!絶対や!」

 

 最後の方が声を大きくして言ったはやてが電話を切る………何でそこまで念を押す?

 

 男っぽい服なんてあったか?と思いつつそれらしい服を探し始めた……

 そして次の日、朝早くに来たメールの内容に合わせて動き家を出た。

 

「―――はやての言われた場所は此処で良いんだよな?」

 

 メールを再度確認して書いてあった場所と照らし合わせた。

 言われた通り男に見える服装にしてきたが……

 

「あ、コダイ君や!お~い!!」

 

 あそこか、思いっ切り手を振ってこっちを見る。

 

「……ゴメン、10分前に着くつもりが10分も遅刻した」

「そんなん別に………ってそれモロ普通って事やろ!?」

「そう言えばそうだな」

「しかも素かい!?」

 

 本当に10分前に着くつもりだったけど……

 

「そんな事は置いといて、今日はどうするんだ?予定はそっちが決めるって言ってたし」

「デパートや、新しい料理器具を見ようかと思って」

「いいなそれ」

 

 買わなくても冷やかしでも十分面白いし………って。

 

「何ニヤけているんだ?」

「う~ん……コダイ君……男物も似合ってるで!」

 

 この女顔でそう褒められても何か嬉しくない……

 今着ている服は黒いタンクトップの上から白い長袖のオフショルダー(襟が大きく肩がでるシャツ)にダメージジーンズにシューズ。

 持っている物から何とか見える様に合わせたツギハギみたいな感じだけど。

 

「というか何でわざわざ着る服まで指定されなければいけないんだ」

「それはもうデートやしどっからどう見てもカップルに見えなアカンし」

「え?………デート?」

「そやで」

「……………デートって何だ?」

 

 

――ズゴォッ!!!

 

 

 あ、はやてがコケた……さすが関西人、見事な転びっぷり。

 そう言えば以前プレシアも言ってたけど、あの時はしつこい虫除けだったし……

 

「自分は本当にアホちゃうんか?!」

「分らないから聞いているんだが」

 

 はやてが突然起き上がって詰め寄ってくる。

 

「あのな、デートって言うもんは特別な関係の男女が2人でどっか出かけたり遊びに行ったり―――」

「うん」

「それを通じてお互いの気持ちを通じあったり――――」

「成程………」

「そして―――その後は―――――――キ……ゴニョゴニョ」

「は?」

 

 え?何で最後で赤くなって口ごもるの?

 

「あ~つまり今の俺達の状況をデートと言うんだな?……ん、待てよ?最初に言ったデートの説明の『特別な関係の男女』は当てはまらないだろ?特に2人だけの共通点は無いし……ではこれはデートでは無く―――」

「……だー!何度もデート連呼すんなや、ほら行くで!!(こっちは初デートで意識せんようにしとるのに……コイツどこまで天然や!)」

「は?何でキレて……って押すな分った」

 

 突然叫びだした背中を押されて無理やり進められる……ただ聞いただけなんだけど。

 

 

 

 

 

 

 

 はやてに押されたのは途中まででその後は隣を歩いて目的のコーナーに着いた。

 

「最近は色んな便利なもん売っとるな~あ、見てみコレ、最新の圧力鍋」

「圧力鍋か………良さそうだがサイズが小さいから無理だな」

「あはははは……コダイ君家は少数団体さんやもんな」

 

 上手いなそれ。

 

「所でお前が買っているのは何だ?」

 

 はやてが手にしている物は包丁……しかもはやてが持つには小さくて動物の模様が描かれている所謂子供用の包丁だった。

 

「コレか?ヴィータとリイン用や。最近2人が手伝いたがるし念のため買っていた方がええかなって……よっしコレにしよ」

 

 水色とピンクの子供用包丁を取ったはやて。

 

「どうせなら何か買って………あ、これ良いな」

 

 手に取ったのはシリコン製のボウル、ザル、フタの三点セット。耐熱に優れているからレンジに入れても良いし手入れも楽だし折りたためるから収納に便利……買いだな。

 先にレジに向かったはやての後を追い同時に会計を済ます。

 

「ありがとうなコダイ君」

「礼を言う必要は無い……こっちもそろそろ溜めないと期限が切れるしな」

 

 そう言ってポイントカードを店員に渡す。

 ポイントは勿論溜める方で。

 

「……で、次の予定とかあるのか?

「そやな~………お昼食べに行こか?」

「そうだな、時間的には丁度いいかもな」

「実は案内表で良い所見つけたんや。コッチやで~」

 

 はやての後を着いて行きデパート内を歩く。

 すると段々とソースを焦がした香ばしい香りが強くなる、もしかしてこれは………

「ここやここ。丁度空いとって良かったわ」

 

 予想通りお好み焼き屋だった。それに昼前だったので簡単に席に座れた。

 

「コダイ君は何か決まった?」

「そうだな…………」

 

 メニューを見て見ると…………面白いものが目に入った。

 

「決まった」

「じゃあ呼ぶで?店員さ~ん」

 

 店員呼んで注文して、少しするとメニューが運ばれた。

 はやてはモチーズ(実際にあるメニューです)、俺はアメリカンドッグお好み焼き(コレも実際にあります)だった。

 

「なんやアメリカンドックお好み焼きって、一体どっちや!?」

「面白そうだから頼んだ」

「チャレンジャーすぎるわ」

 

 早速タネを混ぜて焼き始める……失敗?するはず無いだろ。

 

「もう良い頃だな―――「あ、ちょっと待って追加注文来るから」え?」

 

 何時の間に?と思っていたら店員が来て運ばれたのは……

 

「ご飯?」

「ご飯や」

 

 茶碗に盛られた白いご飯だった。

 

「お好み焼きはおかずやろ?」

「……あ~」

 

 そう言えばそっちだったな……はやて。

 

「合うのか?想像がつかない」

「騙されたと思うて食うてみ」

 

 俺は出来たアメリカンドッグお好み焼きを小さく切り、少し冷まして食べて、ご飯も食べた―――

 

「……美味しい」

「そうやろ?炭水化物と炭水化物は相性が良いんや」

 

 そう言われて焼きそばパンを思い出して納得した。

 

「分ってくれる人が居て良かったわ~家でお好み焼きやる時にコレやると皆微妙な顔するんや」

「そこは好みとかの問題だから」

 

 材料を逆算すれば納得は行く……要は関西風のかき揚げ丼と考えれば良いんだ。

 

「ん~♪モチとチーズのトロトロが美味しい~♪……はい、コダイ君」

「ん?」

「あ~ん♪」

 

 はやてがモチーズを一口サイズにして差し出してきた。

 

「あーん…………ん美味しい」

 

 モチとチーズ………似た物同士の食材って案外合うもんだな。

 

「そっちにすれば良かったかな………ん、このアメリカンドッグお好み焼きも………アメリカンドッグだ」

「なんやそれ?」

「いや、見た目はお好み焼きなのに何故かアメリカンドッグになる」

「へぇ~………一口くれへん?」

「ん?分った」

 

 アメリカンドッグお好み焼きを一口サイズに切って―――

 

「ってこのままでは熱いか………フー、フー」

 

 息を吹きかけ少し冷ます。

 

「コレ位だな……ほら、あーん」

「あーん………………アメリカンドッグや!」

「なんだよソレ」

 

 さっき言われた事を言い返す。

 

「何やこれ!?お好み焼きなのにアメリカンドッグや!」

「な?アメリカンドッグだろ?」

「あははは!何やコレ、アメリカンドックや!」

 

 はやてが終始笑いながら1枚づつ完食。会計を済ませて店を出た……

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや~あそこ面白かったな、今度皆誘おうか?」

「それも良いかもな……まずアメリカンドッグを食べさせる」

「勿論や!」

 

 その後、何かを思い出した様に声を上げたはやて。

 どうやら冷蔵庫の中身が危険だった事を今、思い出したらしい………それを聞いて俺も危険だった事に気付き急遽、買い出しを決行。

 何とか必要な物を買い終えて満足げのはやてと帰路を歩く。

 

「いや~本当にゴメンな折角のデートやのにドタバタしてもうて」

「心配するな、ドタバタは家で慣れてる」

「皆元気やしな~」

「子供なんて似たようなものだろ」

「そうやな。しっかし調理器具買ったり、そこら辺でお昼食べて、最後に買い出しして一緒に帰宅って………コレもう――――」

 

 

――ガン!!!

 

 

 突然はやてが壁に頭突きをし出した………

 

「え?はやて?」

「(夫婦や!恋人通り越して家族やん!!互いにアレやから気づかんかったけどさっきの会話とかモロ夫婦の会話やん。久々に子供置いてデートした夫婦の会話やろ!)」

 

 

――ガンガンガン!

 

 

「何やってる?」

「―――はっ!………あははははっ!」

 

 声を掛けるとこちらに気づいて何か渇いた笑いを返してきた。

 

「あー!そ、そろそろ夕飯の時間やし急がんと。ほなコダイ君また今度!」

「え?ちょ―――」

 

 その勢いのまま走り去っていくはやて……

 

「………一体なんだったんだ?」 

 

 でもはやての言う通り、そろそろそんな時間だ。

 早くしないと暴食組が発狂しかねないかもしれない。

 

 

 

 

~オマケ~

 

 はやて帰宅直後。

 

「しもうた………意識させる所か墓穴掘ってもうた」

 

 急いで玄関に駆け込み、その場でしゃがみ込んで真っ赤になっている顔を隠しているはやて。

 

「大体あの天然がデートの説明さすからあかんねん……いや、これで説明したし理解もしてくれたはずや。後は他の皆に任せるしかない!」

 

 この作戦を立てる時点で1人目でどうにかなると思っていないので前向きに考えだしたはやて。

 それでも純粋に楽しかったので今日の事を振り返る様に目を閉じる………

 

「しっかし………コダイ君と夫婦かぁ~」

 

 そして先程頭を叩きつけて煩悩を振り払った場面に突入する。先程と違うのは止める物が居ないと言う事……

 

「ぷしゅ~」

 

 その後、中学生特有の思考に呑まれ、リインに見つかるまでその妄想が止まる事が無かった……




不屈の心様、頭翅様、夜の魔王様、ソラト、様、桜日紅葉雪様、感想を有難う御座います。

~次回もお楽しみにしてください~

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。