魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~ 作:メガネ
久しぶりのコダイ視点です。
「ん…………」
多分朝に目が覚める。
携帯で時刻を確認すると4時前……最近起きるの遅いな。
「すか~すぴゅ~……うにゅ~」
「……さて」
熟睡中のレイを確認して部屋を出る。
シャワーなり着替えるなり身支度を整え、まず真っ先にやる事は…………朝食と昼食の準備。
「昼は冷やし中華にして………朝は和食で……夏バテ防止に昨日漬けたマグロにオクラと山芋を和えて、トマト入り玉子焼きに……汁物は豆乳の味噌汁にするか」
レシピを決めて取り掛かる。
まずは炊飯器に洗った米に水と氷を入れて炊飯開始。氷を入れると米の吸水がゆっくりになるから良質な粘りが出る……米によって変えるが基本はコレ。
次は鍋に保存した出し汁を温めて、その間に全ての材料を切るオクラは小口切り、玉子焼き用のトマトは小さく切り、小さい物以外は細く薄く切る。
冷やし中華の具材、ハム、胡瓜、トマト、コーン、解したカニカマは其々の容器に入れて冷蔵庫に。
鍋が沸騰したら細く刻んだ油揚げ、大根、人参を入れて、豆乳と味噌混ぜた調味液を溶かし入れて一煮立ちさせて火を止める。
玉子はまず冷やし中華用の薄焼き卵を先に焼き冷ます。玉子焼きは刻んだトマトに塩コショウで味を付けた溶き卵を玉子焼き用のフライパンに流して手早く巻いてこれも少し冷ます……
マグロは全員来てから出せばいいし……と口で言えば簡単だが1食約30人前を作らないといけないから時間が掛かる。あ、そろそろ薄焼き卵を錦糸卵にしないと……
――ドドドドドドド………………
お、来たな。
「主!申し訳ありません!」
扉を開け放ってやって来たのはメイド服を着たアインだった。
「おはようアイン。丁度終わった所だ……洗濯しているから」
「はい、分りました。頑張ります!」
そう言ってアインはご機嫌に台所に向うのを見てから洗濯に向かう。
もう終わっているのにアインに変わるのは練習と称して俺の弁当を担当させているからだ。
いきなりあの量をさせてたら材料の無駄になるからな……
「さて……」
取り敢えずカゴに入っている洗濯物を分ける。
タオル生地、下着類、服は白、黒、色物と分ける。水は昨日の風呂の残り湯を使う、すすぎには当然新しい水。
「ふぁ―――おはようございます」
すすぎの後半に入った時に眠たそうな眼を擦りながらサクラが洗面所にやって来た。時計を見ると6時半過ぎ……
「おはよう、他は?」
「まだ起きません……エリオは起きれません」
それを聞いてまた抱き枕になっているのが分った。
エリオはマテリアルの意見により3人と同じ部屋になった……子供に1人部屋はな。
4人か時折レイが入り5人で雑魚寝状態で寝ている……それでその3人の誰か(ほぼエル)がエリオを抱き枕に(寝ぼけて)しているのでサクラは『起きれない』と言った。
「それじゃあ時間になったら」
「ええ……」
顔を洗い終えたサクラに紙で出来た円錐状の頂点に紐が伸びている物を数個手渡した。
貰ったのを確認したサクラは洗面所を出た………そして数分後、2階から破裂音と2種類の変な悲鳴が聞こえた。
「「「「「いただきまーす!」」」」」
言うや否や一気に食べ始める子供組。一応余分に作ってあるからな?
あの破裂音の正体はクラッカー。目覚ましでも起きない奴の為の最終手段である。
後にやって来たのはまだ眠たそうなエルとアンズ。少し疲れている理由がわかるエリオ……そして腹の虫を鳴らしているレイ。
それぞれ顔を洗い終えて、準備を終えた食卓を囲う。
「う~まだ眠い~……おかわり!」
唸っているエルから茶碗を貰いご飯をよそって渡す。
「全く……夜遅くまでゲームをしているからです。おかわりです」
呆れた様に言うサクラは一変してイキイキと(表情は変わらず)して茶碗を差し出したのでご飯をよそって渡す。
「そうだぞエル。我みたいに1日のノルマを決めていれば―――おかわり」
「それでエルと同じ
こいつ等夜遅くまでゲームしてたのか………差し出されたアンズの茶碗にご飯をよそって渡す。
「それにしてもエリオは良く起きましたね」
「はい、何か包丁の音で起きました―――あ、おかわりください!」
「成程お母さんの音ですね」
何納得してるんだサクラ……差し出されたエリオの茶碗にご飯をよそって渡す。
「にしてもレイ、良く起きれたね~」
「うん!えっとね、包丁の音で起きたんだけどもうちょっと寝ようかな~って思ってベットでゴロゴロしてたら美味しそうな匂いしたから起きた!おかわり!」
エルは不思議そうにレイを見る。エルの言いたい気持ちは分る……何でこいつが普通に起きれるのかと。
レイは満面の笑みを浮かべて答えた……と同時に差し出されたレイの茶碗にご飯をよそって渡す。
………というか子供組の語尾がおかわりになっている。
「あ、今日は冷やし中華にしたから麺茹でるだけお願い」
「分りました。所で主、今日はなにか予定は……」
「ん~……無いかもな。学校も来週で終業式だし」
中学に入って最初の夏休み………うん、宿題がらみで召集されるのが目に浮かぶな。
「ご馳走様……そろそろ学校に行かないと」
「後片付けは私が……そ、それとコレを……」
自分の食器を片付けているとアインが弁当を渡してくれた……が何故そんなに顔が赤い?何時もと違うのか?
「愛を込めました!!」
「え?『情』は?……まあ取り敢えず行って来る」
「はい、お気をつけて」
「「「「「ふぃっふぇふぁひゃぁ~ひ(いってらっしゃ~い)」」」」」
飲み込んでから言え子供組。
教室に着くと結構人がいた……涼しい朝の内に出て教室で涼もうと言う魂胆だろうな。
その中にはお馴染みの顔ぶれがいたが……フェイトが何か悩んでいた。
「あ、コダイおはよ。ちょっといい?」
俺に気づいたアリシアがやって来た。
「実はフェイトのバリアジャケットについて相談に乗ってほしいの」
「フェイトの?というか乗れる話題なのか?」
あいつの防護服に何か問題が……いくらデバイス技師の資格持ちでも無理が―――
「この前、リンディ母様に『そろそろバリアジャケット変えたら?もう中学生何だし』って言われて」
「…………あ~」
性能云々でなく見た目の事ね。
取り敢えず相談に乗る為にフェイトに話を聞いてみた。
「で、当のフェイトはどう思うんだ?」
「別にこのままでも良いんだけど……軽い分速くなるし」
ダメだコイツ。シグナムと
「でもフェイト、大人になってもアレはどうかと思うわ」
「うん……人前で着るには勇気がいるかも」
「そこまで?!」
アリサとすずかの容赦ない言葉に落ち込んだフェイト。
なのはとはやてもフォローしない程だ……
「でもフェイトちゃん、軽くなるからってこのまま薄くしたら……最終的にはスタイリッシュ痴女の誕生やで」
「はやてスタイリッシュ痴女って何?!」
そのまんまの意味だと思うぞ?
「でもフェイトちゃん、速さを求めるのは良いとしても防御も考えないとダメだと思うよ?」
「うっ……でも」
ここでなのはの正論が来て言いよどむ。
「というか
どっちも布一枚だしな……
「うぅ………分った、新しいデザイン考えるよ」
ここでようやく折れたフェイトだった。
「だったらさ。大体のイメージを作ってみんなにアドバイス貰うってどう?私も変えたいし」
「あ、私も変えようと思ったんだ」
ここでアリシアが出した案になのはも乗って来た。
「私はほら……フェイトと同じ理由。見た感じ寒そうだし……」
背中思いっきり出てるしな。
「私は実務的な意味かな?教導していると長い時間飛ばないといけないから長時間動ける様にね」
なのはは真面目な意味だった……
「人によって違うのね……コダイとはやてはどうなの?変えないの」
アリサがアリシアの案に乗らなかった俺とはやてに振って来た。
「私は変える理由無いしな。腰据えて広域魔法やし常に単独でないし、堅くする必要も軽くする必要も無いし」
「俺の場合全身がデバイスだから変えれないしな。別に速さはイレイザー、汎用はブレイザーと役割が出来てるし」
というか起動したら勝手にああなったし。
――キーンコーンカーンコーン♪
あ、チャイムなった……
いつもの様に授業を聞き流し昼休み。今日は日差しがキツイので教室で食べる事に……
「―――で、一応完成したんだけど」
周りから見えない様に全員で机を囲み、フェイトがモニターを机の上に映す。見られる防止の為に広げた雑誌の上に傍から見れば雑誌を見ている様に。
フェイトの新しいバリアジャケットは全身黒ずくめ……黒い長袖の軍服調の服の内側に黒いミニスカート、黒のニーソックス足首と左手には銀色の装甲、その上から黒のマントを羽織っている。
「インパルスフォームって言うんだけど……」
「此処まで黒くする必要あるのか?」
「えっと……暗闇に紛れて?」
フェイトに聞くと逆に聞き返された……どこの暗殺者だ。
というか黒ずくめに鎌って………
「まるで死神だな」
「しにっ―――!」
あ、固まった。
「こんな姿で子供保護しても逆に怖がられるよ~」
「どどどどどうすれば?!」
アリシアに痛い所突かれて大慌てするフェイト。
その後アリサに軍服を紺色、マントを白にする事に変える事で落ち着いた。
「次は私ね~チャージフォームって言うんだよ。一応9割方完成してるから」
アリシアがモニターを切り替える。フェイトより明るい紺色のノースリーブのフェイトと同じデザインの軍服調の服に内側に黒のミニスカート。
二の腕まである銀色の手甲に膝まである銀色のグリーブとフェイトより前のバリアジャケットの特徴を色濃く残していた……
「………で。残り1割は何だ?」
「うん……作って思ったんだけどコレ――――すっごい地味じゃない?」
アリシアが超真顔で言った。
「…………は?」
「だってフェイトと比べてみてよ!ボリューム無いじゃん?!」
「それはマントの有無だろ」
「私みたいにマント付けたら?」
「そしたらパッとみて見分け付かないでしょ~だから付けなかったんだし」
「そうなんだ……じゃあ代わりの物を羽織ってみたら?」
……フェイトとの話し合いの結果。その上に白い丈の長いベストを追加する事に決定した。
というか
「最後は私……アグレッサーモードって名付けたの」
なのはが映したモニターにはセイグリットモードと変わらないが相違点はスカートが前開きになってその内側に更にスカートがあり白いニーソックスを履いていた。
「Aggressorって侵略者って意味よね?随分物騒ね」
「ふぇ?!そう言う意味じゃなくて教導から取ったの!」
アリサがデザイン以前の問題にツッコんだ。なのはが慌てて訂正したが首を傾げるアリサだった。
「なのはが言いたいのは。演習や訓練において敵部隊をシミュレートする役割を持った専門部隊……軍の教導隊の事を別名をアグレッサー部隊と呼ばれるんだよ」
「そうそれ!」
なのはが勢いよく俺を指す……それを聞いたアリサが納得した様に頷いた。
別に侵略者でも合っているんだけどな……魔王だし。
「う~ん……」
そんな中すずかがなのはのアグレッサーモード見て唸ってた。
「どうしたのすずかちゃん」
「あのねなのはちゃん……このスカート長すぎない?」
すずかが指摘したのは内側のスカート、膝より少し上の長さだった。
「外側のスカートが長いんだから内側はもっと短くしないと下半身が膨らんで見えちゃうよ」
「う~ん……これ位?」
「えっとね……」
すずかの細かい指示の元スカートの丈が決まり、なのはのアグレッサーモードが完成した。
「ふぅ……意外に早く終わったわね。お昼休みまだ時間あるしゆっくり食べましょ」
アリサの言う通り長くなるかもと食べながらやるつもりだったが思いのほかのめり込み誰も蓋すら開けてない状況だった。
「さ~て今日のアインの思いが詰まったお弁当は何やろな~コダイ君」
「何で本人以上に楽しんでいるんだよ」
そう言えばアインは愛を込めたって言ったけど………まさか失敗?
「―――――――は?」
ふたを開けると……別に失敗してる訳でも無く良く出来た訳でも無い……問題はご飯の方。
―――何で桜でんぶでハート描いてるの?
そして空気が凍る……ついでになのは達の目から光が無くなった……
「桜でんぶでハートか………」
「死刑だな」
「火炙りだな」
「ギロチンだな」
何か男子達が物騒な事言ってる………いつもの様に……アレ?何でなのは達窓に待機?あ、無理だ普通に逃げよう。
「「「「「テメェに今日を生きる資格はねぇ!!!!」」」」」
弁当をしまい音も無く教室から出ると男子の怨念とも呼べるべき叫びが聞こえた。
「そう言えばアインの奴『旦那に送る愛妻弁当特集』とか見てたな……」
けど、たかが普通の男子だし適当に逃げて…………
――キィン!
進行方向の目の前に突然見慣れたいくつもの『色』と『体系』の魔法陣………
「コダイ君O☆HA☆NA☆SHIしようか」
「大丈夫 攻撃しない バインドで縛るだけ」
「だけど勢い余ってしちゃうかも……」
「ハートかぁ~ええな~まるで『愛妻』弁当やな~これはシグナム達にも教えへんと~」
「…………………………………………」
「フフフフフフフフフフフフフフフフ」
やっぱり転移魔法だった、ご丁寧に結界張ってるし……
なのは、フェイト、アリシア、はやて、アリサ、すずかと此方を見てくる視線が男子以上に痛い。
しかもなのは、フェイト、アリシアの新バリアジャケットをこんな早く見れるとは……その後ろにいる無言で見つめるアリサが不気味だし、ただ笑っているすずかも異常に不気味だ……
「コダイ君……何か言う事は?」
この状況にか?だったら言える事が1つ………
「これで勝ったと思うな魔王軍」
言うと同時に逃げる。後ろから魔力的な何かが放出されてるけど無視。
だってもう魔王軍にしか見えなかった。
簡単に言うと
こうして俺が逃げ切るまでの間M.D.O(魔王式ダークネス鬼ごっこの略)が勃発した―――
武御雷参型様、桜日紅葉雪様、アマデウス様、頭翅様、龍雅0118様、アキ様、ミラ ランドラス様、りちゅある様、つらら@ゆき様、シラカンバⅡ様、こどくなうさぎ様、感想を有難う御座います。
~次回もお楽しみにしてください~