魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~   作:メガネ

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アインメインの話です。衝動的にやった、この時からコチラのアインのキャラが固まりました……
ここのヒエラルキーは基本最強です。



特別編『アイン頑張ります!!』

「ふぅ――」

 

 トキガワ家のリビングでお茶を飲み一息つくアイン。

 現在家には誰も居なく、アイン1人のみ。

 普段は主であるコダイの手伝いやマテリアルズ、レイの世話をしたりして完全に1人になると言う事は無かった。

 

「主は学校、マテリアル達はアリアとロッテの所で訓練で暫くはいない、エリオはレイに連れてかれて遊びに行った。今日は仕事も無いしのんびりと―――」

 

 そう言いながら伸びをして………………固まった。

 

「―――――何をやっているんだ私は!!」

 

 

――ガタッ!ガン!!!

 

 

「っ~!!」

 

 勢いよく立ちあがり、テーブルに脚を思い切りぶつけるお約束したアイン。

 

「前々から思っていたが、私は本当に主の役に立っているのか!?」

 

 と言って考え込むアイン。

 コダイの家に移り住む前に元主であるはやてに一通りの家事を教えて貰ったは良いが活かせる機会が極端に少ない……理由としてはコダイの起きる時間である。

 マテリアルズとレイの摂取量を考えるとかなり早い時間に作り始めないといけない、アインも早めに起きているがコダイはそれよりも早く起きて朝食と昼食を同時進行で作っている。

 万が一コダイが料理出来ない事を考えて常に料理番組を見て勉強は絶やしてはいない。

 家事関連はあっちの方が圧倒的に有利なので違うものを探すアイン……何か無いかと―――

 

 

 …………暫く考えた結果。

 

 

 

 家事→敵う訳が無い。

 

 デバイス→レイに勝てないし、ユニゾンは強すぎて危険。

 

 女→以前女性化したコダイの方がスタイルが良くて落ち込んだ事がある。

 

 

 

「か、勝てない」

 

 完全敗北と言う言葉が伸し掛かりテーブルに突っ伏したアインだった。

 

「ほ、他にきっと何かあるはず………主を知っていてなおかつ主以上の人となると………………あの人しかいない!!」

 

 何かを思いついたのかアインは家の戸締りを確認し、早速ある場所に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「つまり………コダイ君の役に立ちたいと?」

「はい!!」

 

 アインが向かった場所は翠屋、そして相談相手は高町家のヒエラルキーの桃子だった。

 ―――ある意味1番相談してはいけない人の「何か言った?(黒笑)」イエナニモ。

 

「でもコダイ君は強敵よ?特に家事何てもう何処のお嫁に行っても恥ずかしく無いくらい凄いし………」

「やはりそうですよね…………」

 

 そう言われて目に見える程落ち込むアイン。

 今のアインに犬の耳と尻尾があれば垂れ下がっていただろう……などと考えてた桃子だが。

 

「コダイ君を喜ばすのは…………アレしかないわね」

 

 桃子の目が怪しく光る。

 今のアインを見て(妄想して)ある事を思いついた。

 

「ア、アレとは!?」

「フフフフ……それはね~」

 

 アインに耳打ちをする桃子、話を聞いて行くとアインの顔が段々赤くなって行く。

 

「そ………それを主にやれば」

「そうよ~♪コダイ君だって男の子何だからきっと悦ぶ(誤字にあらず)わよ~」

「喜ぶ………主が喜ぶ…………やります!!やらせてください!!」

「勿論♪ちょうどアインちゃんにピッタリのがあるけど………どう?」

「お願いします………その、ありがとうございます!」

「いいのよ~♪それにしても………」

「?」

 

 突然桃子がニコニコとニヤニヤが混ざった笑みを浮かべているのに首を傾げるアイン。

 

「本当にアインちゃんってコダイ君の事が大大大好きなのね~♪」

 

 

――ボンッ!!

 

 その言葉に頭から湯気が出て爆発したアイン。

 

「いいいいいいいえ!私はただ主の為に身も心も尽くしたいだけでそう意味では!」

「でも~そこまで尽くしたいんならもう決定よ~♪ささ、1名様ごあんな~い♪」

 

 慌てているアインの背中を押して翠屋の奥に連れて行く。

 そして桃子発案による『コダイを悦ばす(誤字にあらず)』計画が始まった………… 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数時間後、アインは家に戻ったが玄関の前で忙しなく動き回っていた。

 

「今日は午前で終わると言っていたし。衣装も完璧、ポーズも覚えた………セリフも教わった通り…………も、もしもの時の夜用のセリフも」

 

 玄関の前でウロウロしながら呟くアイン………それもその筈だ。

 

「しかし……専用の衣装とはいえ少し……」

 

 アインが着ているのは私服では無く、清潔感溢れる真っ白なエプロンドレスにフリルの付いたカチューシャに踵返すたびにフワリと舞う黒のロングスカート……そう、オーソドックスな黒のメイド服だった。

 

 

 『コダイ君にコレを着てお迎えすれば悦ぶわよ~♪それにアインちゃんは素材は最高級だからもうこれで完璧よ!』

 

 

 翠屋の奥にあったのは何十着ものメイド服。次々に着せられ最終的にコレに決まった。

 

「とは言っていた物の……本当に大丈夫だろうか……」

 

 頭を抱えながら『唯でさえあの人は主に似ているから…』と呟いていると……

 

 

――ガチャガチャ

 

 

 鍵を開ける音が聞こえ我に返る。

 

「ハッ!!大丈夫だ、落ち着けぇ……落ち着くんだ…………」

 

 ドアノブが回る……

 深く深呼吸をしながらカウントを数える。そして扉が開き………

 

 

 

 

「お、お帰りなさいませ!ごごごごごご主人様!!」

 

 帰って来たコダイの目の前には顔を真っ赤にした笑顔のアインがメイド服を纏って立っていた。

 

「――――――――」

「……………………」

「――――――――」

「……………ご、ご主人様~?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――ギィィ……

 

 

 振り返りゆっくりとさっき入って来た扉を開け―――

 

「待ってくださいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」

 

 るのをコダイに抱き着いて必死に止めたアイン。

 褒めるか貶すかのどっちかをして欲しかったがまさかの無言でスルー。羞恥を通り越して、アインの赤い瞳は涙で潤んでいた。

 

「――確かに家には大喰らいが5人も居るが使用人を雇うほど苦痛とは思って無いぞ。どうやら家を間違ったらしい……レイの事言えないな」

「大丈夫です!ここが主の家ですから落ち着いてください、というかさっき鍵開けましたよね?!」

「そうなんだよな………あ、もしかして俺の錠開けの能力が一般の鍵でも通用するように……」

「何でこんな時に天然発動しているんですか?!」

 

 コダイの天然をアインが止めるのに10分も掛かった。

 何とか収拾がついた後は取り敢えずリビングで向かい合って座り、アインは事の始まりを話した―――

 

「俺の役に立ちたいから桃子に相談して、そのメイド服を着て迎えれば良いと言う事になったからそれを実行したと………」

「はい………」

 

 改めてアインの姿を見たコダイは取り敢えず主犯にメールをした。

 すると絵文字や顔文字が多量に含まれた上機嫌な返信が来た………そちらで着た他のメイド服のアインの画像と一緒に。

 何でよりにもよって一番乗せてはいけない奴に持ちかけた……と思いつつもその画像は1枚残らず保護した。今後の弄りネタが出来たと……

 

「俺の役に立ちたいか…………丁度良かったな」

「え?」

「ほら」

 

 コダイは持っていた買い物袋をアインに渡す、そこには人参、ジャガイモ等の野菜のほかに、この家では見慣れない物が……

 

「カレールゥ?」

 

 トキガワ家のカレーはコダイがルゥまで一から作る。理由は『市販のカレールゥは固める為にかなりの油脂が含まれている』とまさに母親らしい理由である。

 

「何故コレを買ったのですか?」

「今日は俺とレイとエリオとアインだけだろ?今日のカレーはアインに作って貰おうとな」

「わ、私が!?」

 

 コダイのまさかの案で驚くアイン。

 

「言って置くが桃子は関係ないからな」

 

 まさか桃子が裏で糸を引いているのでは……等と言う疑いは消された。

 

「俺が口出しをする。一通りの家事は出来るんだろ?」

「で、出来ますけど………何故いきなり?」

「いきなりも何も……最近俺が料理する所ガン見していたし、料理番組を真剣に見ていたしな……」

「見てたんですか?!」

「とは言っても普通にやらせたらまず無理だ。いきなり出来るか?1食約30人前の料理を―――」

 

 そう言われて想像するアイン。朝と昼を同時進行で作っているコダイに自分を重ねる…………

 

 吹き零れる鍋。

 

 焦げるフライパン。

 

 ごちゃごちゃで置くスペースが無い台所。

 

 そしてうまく立ち回れずこける自分………

 

「…………無理です」

「だろ?だけど今回は約10人前で済むからな。カレーは多めに作るのが基本だし」

 

 そう言われて納得したアイン。今の自分の実力では足手まといにしかならないと……あんな飲食店並みの重労働を熟すのは無理な話だ。

 

 

「さて……レイ達が返ってくるまでもう少しだし早速始めるか。丁度エプロン付けているしな」

「ハイ………頑張ります!!」

 

 全部見られてた上に自分の為にそこまで考えてくれて、ここまでして貰った。

 コレにしっかりと答えなければと意気込むアインだった………

 調理自体は比較的に簡単だった、焦げる寸前まで炒めて限界まで甘味を出した玉ねぎ、鶏肉をヨーグルトに漬けて柔らかくしたり、仕上げにカレーにコクとまろやかさを出すためにコーヒー牛乳を入れたりと、料理番組を喰いいる様に見てたアインにとってはミスする事無く作り上げた。

 1つ問題があるとすれば量である、流石に約10人前の材料の下拵え、調理、仕上げをアイン1人でやったので。完成した頃にはかなり疲れていた……

 

 

 

「んっ!」

「あむっ!」

 

 そしてレイとエリオが帰ってきて昼食。

 アインが作ったと事前に言っても何も躊躇いも無く2人はカレーを口に入れた。

 

「ど………どうだ?」

「「おいしい~♪」」

 

 レイとエリオの感想を聞いて漸く安堵したアインだった……

 そんなに辛くないのカレールゥを使っていたのでレイでも普通に食べられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………嬉しそうだな」

「え?ま、まあそうですね」

 

 昼食後の後片付けをコダイとアインが並んで食器を洗っていた。後片付けは色々と手順があるのでコダイが見せながら教える事にした。

 

「あの2人の笑顔を見ると次は何を作ろう………どうすればもっと喜んでくれるか。そう思うと思わず」

「今回はレアケースだしな、いつもはそうだな……俺の弁当を作るって言うのはどうだ?それなら1人分だし、直接審査できるし」

「はい、よろしくお願いします。えっと………精一杯ご奉仕させていただきます!」

「それも桃子の入れ知恵か………あ、そう言えば何でまだメイド服を着ているんだ?」

「家事する時に便利ですし、動きやすいので……」

「それなら普通にエプロンでいいだろ」

 

 着替える機会ならあった、カレーを作ってレイ達が来るまで結構時間があり。それをアインは着替える事無くリビングで待っていた。

 忘れていたならこの反応はしない。となると……コダイが導き出した答えは。

 

「気に入ったのか………ソレ」

 

 コダイがメイド服(ソレ)を指した。

 

「主!?違いますよ!?」

 

 思わず腕で体を隠したアイン。

 

「ん?そうなのか?………でも桃子からのメールではその他にも多種多様のメイド服を着てノリノリだったと」

「それはですね………って何で主が知っているんですか!?」

「何か知らないが桃子からの返信と一緒に来た」

「あの人は~!」

 

 終始コダイが弄ったのは当然のことである。

 

 

 

 

 

 

 その後、アインの私服がメイド服(家の中限定)になったのは別の話。




桜日紅葉雪様、頭翅様、シラカンバⅡ様、つらら@ゆき様、感想を有難うございます。

~次回もお楽しみにしてください~

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