魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~ 作:メガネ
「「「「「コダイ(君)の弱点?」」」」」
事の発端ははやての一言で始まった。
ある日の放課後の下校道。その日はコダイは仕事でいなく。
なのは、フェイト、アリシア、はやて、アリサ、すずかの6人で下校していた……
「そや!顔も良いし、頭も良いし、運動神経は抜群だし、何かと器用やし、色んな特技あるし、家事何かも出来るしオマケにスタイルええし、可愛いしで良い所てんこ盛りな女子力抜群のコダイ君の弱点や!!」
「弱点って………アイツの弱点って言えば性格の悪さ?ってコレは弱点とは言えないわね。むしろあの悪さが嫌味に感じないし」
アリサの言葉にはやて以外が頷く。
件の人物トキガワコダイはアリサが言う様に性格以外非の打ちどころが無いとされるほど完璧超人だ。
だが性格が悪い………彼若しくは彼女の半生を知れば仕方なしだが、それを差し引いても非常に悪い。良く言えば天然ドS、悪く言えば鬼、外道、鬼畜―――と挙げてもキリがない。
更に加え『面白ければいい』と言う行動基準を持ち。その所為で桃子、リンディ、プレシアとヒエラルキー一同と旧友の如く息が合うため組ませると『防御不可』『回避不可』の暴走がなのは達を襲う……
……そんな事を含めコダイは周囲から『性格最悪の完璧超人』と言われている。
「そやで!周りでは『性格最悪の完璧超人』と言われるコダイ君の弱点を暴くんや!」
はやての背後に炎がメラメラと燃え上がった。
「で、でも何でそんなにコダイ君の弱点を知りたいの?」
「それはな?なのはちゃん…………」
はやては握った拳を震わせて語った……
~回想中~
ある日八神家で……
「今日はレイちゃんと遊ぶですぅ~♪」
元気に妖精サイズで飛び回りながら服を選ぶリイン。
「えらいご機嫌やな~……ん?コレとかどうや?めっちゃ可愛いし」
はやてが取ったのは(妖精サイズなので摘まんだ?)背中の大き目のリボンが特徴な白いワンピース、派手でも無く地味でも無い丁度いい感じのものだった。
「はやてちゃんもそう思いますか?コレはリインのお気に入りです!!」
「そうなんか……アレ?こんなの買ったかな?」
「いえ、コレはとーさまが作ってくださったんです!!」
――ピキッ!!
「――――は?」
リインの言葉に思わず固まるはやて。
「この前、妖精サイズのレイちゃんが可愛い服を着ていたんですよ、何処で買ったのか聞いたらとーさまに作って貰ったらしくリインもお願いしたらコレを作ってくれました~。あとコレとかコレもとーさまの作品です」
リインはそのワンピースを抱き締めながら、選ぶために並べている服の何着かを指した。
「あ、あ~確かこの前そんな事言っとったな~ちゃんとお礼したん?」
「はい!そしたらとーさまは『自分の服を作るついでだ』と言ってました」
「そかそか………え?―――って!?コダイ君自分の服を自分で作っとるんか!?」
「とーさまが言うには『自分のサイズの服を頼むより作った方が早い』と……」
「た、確かに……コダイ君の私服、雑誌でも見つからなかったし……」
更に衝撃を事実を知って再び固まったはやてだが思い返して納得した……
コダイの小柄で華奢な体型をしており男子の平均どころか女子の平均を下回る為、合う服が少ない……
現に小学生の頃にコダイが改造した女子制服を着ていたりと思い当たる点があり過ぎた……
~回想終了~
「あの時『どんだけ女子力高いんや!!』って心の中で突っ込んでもうた」
「流石お母さん……」
「そう言えばお母さん達から聞いたんだけど、私と姉さんが転入前に着せられたメイド服……アレもコダイの手作り見たいだったし」
それを聞いて何か納得と言った感じのアリシアとフェイト。
「アイツが器用なのは今に始まった事じゃないでしょ!?他にもあるじゃない………勉強とか!アイツ、テストで毎回1位で点数なんて満点以外取った事無いのよ?!」
アリサもはやて同様握った拳を震わせて、背後から炎が上がっている。
「それこそ今に始まった事じゃない気が……」
「うっさいわね!こちとらテスト勝負で連敗中よ!それに尚腹が立つのはアイツが授業中ずっと上の空って事よ!!」
「ちょっ―――アリ―――落ち―――!?」
小さく呟いたなのはの声に即座に反応したアリサはヤケクソ気味でなのはの肩を掴み思いっきり揺らした。
コダイは授業の間教科書やノートも開かずいつも上の空、授業道具を置いてあるだけまだマシな方である。理由ははただ一つ、面白みを感じないからである。
「ア、アリサ落ち着いて、どうどう……」
「アタシは馬か?!」
「なのはちゃん大丈夫?!」
「な、なんとか……」
暴走寸前のアリサをアリシアが羽交い絞めで引き剥がし。
揺すられたなのはをすずかが後ろから支えて様子を確かめた。
「でも、アリサちゃんが言った事も一理あるで。なんせ新しい魔法体系を創った位や……と言うか創ろうとか思う自体、普通の頭しとらんし………おまけにロストロギアまで取り込んで自分の物にしてしまうし………」
段々とはやての声のトーンが下がる。
「「「「「「…………………………」」」」」」
全員暫くの沈黙、そして……
「「「「「「弱点を探そう」」」」」」
6人の声が重なった。
「でもどうやって探すのよ?コダイってかなり隙が無いから」
「う~ん………コダイ君って自分の過去とか話したがらないし」
アリサとすずかが腕を組んで唸っている。
「………よし、あの人達なら分るかもしれん」
はやては5人を引き連れある場所に向かう………
「コダイ君の弱点?」
「弱点……でなくとも苦手な物とか知ってます?」
まず向かったのはフェイトとアリシアの家に居るリンディだった。
コダイと良く息が合う桃子、リンディ、プレシアなら何か分かるかもしれないと言う理由で聞く事にした。
「ん~見当たらないわね~家事は超一流よ?ただ上手いとかじゃなくて手際とかやりくりとか……」
一家の家事担当であるコダイ。嘱託とはいえ管理局で働いているので金欠になる事は無いが節約するに越した事はない。
更にトキガワ家は6人中4人が最低でも普通の3倍は食べる子がいて、更に最近もう1人追加されたとか……なので食費が掛かっている。
それでも節約しつつパフォーマンスを一切落としてない。
「う~んこれ以上は思いつかないわね。ごめんなさい、力になれなくて……」
「いえ、こちらも忙しい中ありがとうございます」
こめかみに指を当て唸った後、申し訳なさそうに謝ったリンディにはやて達は礼をした。
「リンディお母さん、そう言えばお母さんは?」
「プレシアなら翠屋に行ったわよ?もしかして続けるの?」
「うん、あと桃子さんにも」
「そう、なら行ってらっしゃい2人とも。夕飯までには帰ってくるのよ?」
「「は~い!」」
笑顔で手を振るリンディに笑顔で手を振りかえしてフェイトとアリシア達はその場を後に翠屋に向かった。
「コダイ君の弱点ね~」
場所は変わって翠屋。手が空いていた桃子に聞き込みを開始した。
「ないわね♪」
「お母さんもうちょっと悩んで!!」
笑顔でバッサリ切られて。こけそうになるのを堪えたなのはが桃子に詰め寄る。
「だって男の娘特有の女の子扱いとか嫌がって無い物ね~人手が足りない時は手伝ってくれるし、モチ女装で♪」
コダイが女装して翠屋で手伝う光景はなのは達は何度も見慣れている。接客から厨房、更には客寄せ人形にも買っている。
本人曰く『女装はオシャレ』と何時も言っているだけあって女物以外の服を着るのは珍しい位だ。
「……でもコダイって無表情だよね?アレで接客とか勤まっているのかな?」
「フッフッフッ……甘い、甘いわよアリシアちゃん。別に表情豊かであれば接客業が勤まるとは限らないわ」
コダイは基本無表情だ………表情が変わった所など見た頃が無い。だがそんなアリシアに不敵な笑みをした桃子。そして―――
「無表情で口数の少ない人形の様に可愛い女の子が偶に見せるあどけない仕草が萌えるのよ!!!!」
「前提の性別が間違ってる?!」
――パチパチパチパチパチパチ!
「そしてお客さんから拍手が?!」
自信満々に拳を握りしめた桃子。
それを聞いた客からは拍手が送られて、ツッコミが追いつかなくなったなのはだった。
「あ、もう仕事に戻らないと。またあとでね~♪」
「ちょっとお母さん?!」
なのはが止めるも空しく、桃子は厨房に戻ってしまった…………
「彼の弱点ね~」
やや疲れた顔をして座っているなのは達を見ながら静かにコーヒーの飲むプレシア。
先程の桃子との一部始終を見ているのでそこには触れない事にした。
「言っておくけどやめた方が良いわよ?と言うか弱点があったとしてもそれすら利用すわよあの性格なら」
プリシアの言葉になのは達が固まった。
完璧超人の弱点を知ろうとしたがコダイは性格最悪の完璧超人である。それすらも考慮して何かしでかす様な奴である。
「……けど確かに弱点とは言わず弱味位は見せて欲しいわね」
「そうね~もうちょっと寄りかかってくれてもいいのに……流石にもう甘えたくない年頃かしら?…………」
プレシアがなのは達に聞こえない様に呟いていると横から桃子が同意と共にプレシアの新しいコーヒーを持ってきた。
「………あ!もしかして、桃子さん分っちゃったかも♪」
その言葉に固まっていた6人の方がピクリと動いた。
「なによ桃子。そんな勿体ぶらずにこの子達に答えなさいよ」
「コダイ君の弱点は………色香よ!」
ようやく候補らしい候補にたどり着いた。なのは達の顔が明るくなった。
「コダイ君だって男の娘違った―――男の子だもの、子供の頃は違うけど今はもう年頃だもの意識してもおかしくないわ!」
自信満々に言う桃子の話を聞いたなのは達は成程と頷いた………
「はぁ……桃子、それだけは絶対ないわ」
ただ1人プレシアだけはため息を吐いて『絶対』強調して否定した。
「どうしてかしらプレシア?確かにコダイ君は男の娘だけどノーマルだと思うわよ?」
「そうじゃ無かったら困るけど……ってそんな事では無いわよ。桃子、あなた大人になったコダイを見た事あるわよね?」
「見たわよ?あの時は殆ど翠屋で手伝ってくれたもの。それが…………あ~」
プレシアの言いたい事がようやく分り納得した声を上げた……
「大人になってあの色気よ?とても色香で勝てるとは思えないわ」
「迂闊だったわ……確かにあの時の女教師コスのコダイ君のエロさは凄かったものね………」
しかも先程の桃子の論はコダイにも当てはまる。
中学に上がった事でその片鱗が出始めている。
「えっと………つまり結局の所はどうなんですか?」
6人を代表してはやてが恐る恐る手を上げて聞いた。
「「………無いわね」」
2人の答えに深く肩を落とした6人だった。
「さっすが!大人コダイ君にメロメロになったプレシアね」
「か、からかわないで……」
武御雷参型様、アキ様、桜日紅葉雪様、頭翅様、松影様、異夢様、ミラ ランドラス様、§Nero§様、シラカンバⅡ様、香坂美幸希様、感想を有難うございます。
~次回もお楽しみにしてください~