魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~ 作:メガネ
ある日、フェイトとアリシアから連絡があって呼び出された。
「時空管理局本局保護施設は…………ここか?」
目的地に向かうとそこには見知った顔がいた。
「リンディ?」
「あら♪久しぶりね、コダイ君」
「リンディ~♪」
レイが実体化してリンディの所に走って行きそのまま抱き着いた。
「レイちゃんも久しぶりね♪」
飛びつくレイを受け止めてリンディは楽しそうにレイの頭を撫で始めた。
「にゅ~♪リンディも呼ばれたの?」
「大事な話があるって聞いたのよ………あ、来た来た♪」
振り向くとフェイトとアリシアが手を振ってやって来た――――間に赤い髪の子供を引き連れて。
「リンディ母さん、コダイ。ごめんね、チョット準備に手間取っちゃって……」
「それは良いんだがフェイト。その子供は―――」
――ピキーン!!
「「…………」」
俺とリンディの目が合った。
「リンディお母さん、実は大事な話って言うのは「何も言わなくていいわ……フェイト、アリシア」え?……」
リンディがフェイトとアリシアの肩に手を置いた……と言うかそう呼んでいたのか………あ、子供がオロオロしてて面白い。
「今ならまだ間に合うわ………自首しましょう」
「「…………………ふぇ!?」」
と、リンディは『超真顔』で言った。
「大丈夫よ、例え幼児誘拐でも初犯なら――!」
「ちょっと!幼児誘拐って!?してないよ?私してないからね!?」
「コ、コダイ!リンディ母様をなんとかして!!」
「もしもし時空管理局ですか?ここに幼児誘拐犯が……」
本気で焦っているアリシアに超棒読みで連絡をするフリをした。
「コダイ~!!してない~!!誘拐違う~!!」
涙目になりながらこっちを揺すってくるアリシア。フェイトもリンディに必死に誤解(?)を解こうとしている。
その後、10分位リンディと一緒に2人を弄った。
久々だから面白かった……まさかリンディも同じ事を考えていたなんてな……
「私、レイ・モモ・ブラッド!お名前は?」
「エ……エリオ・モンディアルです……」
「よろしくね!エリオ♪」
「よろしくお願いします……レイさん」
「さんはいらないよ~『レイ』か『レイちゃん』って呼んで?」
「でも……年上だし……」
「ダイジョーブ!!産まれてから3年位だから!」
「えっと………じゃあ、レイ」
「エリオ~♪ギュ~!」
「えっと……その……」
弄っている最中にこんな会話が聞こえた。
フェイト達を落ち着かせた後、話を聞いた……
あの子供、エリオの保護者になりたいからリンディに後見人になって欲しいと言う事と『ある事情』により人見知りが激しいので、俺の家に一時的に住まわせて慣れさせようと言う事らしい。
その『ある事情』とはこのエリオ・モンディアルはフェイトと同じくプロジェクトFで生まれたクローンだと言う事だ。
経緯は幼くして死んだオリジナルのエリオを引き摺った両親が手を出したらしく。それが原因で親と引き離されて研究施設に軟禁されて、簡単に予想が出来る事をされてた………
この事を聞いて、以前クロノから聞いた保護した少年がエリオだと分った。
その話を聞いた上でエリオを見てみると精神状態は普通でフェイトとアリシア辺りが更正したんだろうな……フェイトの場合放っては置けない境遇だしな。
「別に預かるのは構わないが何で俺?」
「「お母さんっぽいから」」
誰がお母さんだ……アイツら人見知りを虚数空間に捨てた様な人外魔境だからな……
「と言う事だエリオ」
俺はエリオと視線を合わせるようにしゃがんだ。
「コダイ・T・ベアトリスだ、出来れば名前で呼んでくれ」
「コダイさんですか?」
「そうだ……さて、そろそろ行くか」
「いっくぞ~♪」
「えっ!?ちょっとレイ!?」
レイがエリオの腕を引っ張っていく………
「荷物忘れている。しばらく預かるぞ?」
「「「よろしくね、お母さん」」」
今度はリンディもハモった……
海鳴に着いて軽く案内をした後に家に着いた。
「ここが暫くエリオが住む家だ」
「お……大きいですね」
「普通と比べたらな?でも住んでいる人数が多いから気にならないぞ?」
そういって、扉を開ける………
「おかえりー!!&スペシャルサンダーキィーック!!(ただのとび蹴り)」
「甘い」
帰って来て早々にとび蹴りを繰り出したエルを踵落としで沈める。
「うぐぅ!!」
「さて、家の奴紹介するから上がってくれ」
「え!?で、でも」
エリオは沈んでいるエルを見ていた。
「大丈夫だしばらくすればまた騒がしくなる」
エリオが引きつっている…………
「手を洗って来る~♪」
一足先にリビングへ走って行ったレイに続く様にエリオを連れてリビングに向かった。
「あ、お帰りなさい主。先程エルが飛び出した様ですが?」
「ただいまアイン。エルなら玄関で沈めた」
「お帰りなさいコダイ様……おや?そちらに居る少年は?」
「うむ……見た事が無いな……」
同じくリビングに居たサクラとアンズがエリオを見つけた。
「えっと……エリオ・モンディアルです。今日から少しの間ここに住むことになります。宜しくお願いします」
フェイトの影響か物凄く礼儀正しくお辞儀をしたエリオに少々面を喰らった3人。
「宜しく、私はリインフォース・アインス。アインと呼ばれているからそう呼んでくれ」
「私の名はサクラ……此方こそ宜しくお願いします」
「その年で中々しっかりしておるな―――我の名前はアンズと言う。何かあったら頼るがよい」
アインはエリオに視線を合わせて名乗り。
サクラはエリオに合わせてスカートを摘み、令嬢の様にしていた。
アンズは態度は変わらないが身内と子供には優しいので、普段よりトーンが優しい。
「はい、アインさん、サクラさん、アンズさん」
――ドドドドドド!!!
「コダイ~!何で避けるんだよ~!」
そこに沈めたエルが復活して戻ってきた。
「…………どなた?」
ここでようやくエリオに気づいたエル。
「えっと、今日からここに少しの間住む事になりました。エリオ・モンディアルです」
「エリオ?」
「はい」
「そっかそっか~!僕はエルね、よろしくね~♪」
「わわっ!」
エルに抱き着かれ頬擦りしだして慌て始めてたエリオ。
「ん?今日からここに住むって事は……僕の弟?!」
「エル、そうなると私達の弟にもなります」
「エリオ~試しに『お姉ちゃん』って呼んでみて!」
何か言い出したエルにサクラがツッコむが聞いていないのか更にアホな事を言い始めた。
「えっと……エルお姉ちゃん?」
別に乗らなくても良いのに……
「………………………」
――ぎゅ~!!
一瞬、固まったを思ったエルが突然エリオを更に力の限り抱き締めて胸に顔を埋めさせた。
「エルお姉ちゃんだよ~!何かあったらお姉ちゃんに言うんだぞ~!!!」
「わぷっ……く、苦しい……」
突然、口を塞がれて息が出来なくなったので両腕を振ってもがき始めるエリオ。
「………やめなさい」
――ゴン!!
「きゅ~」
暴走を止める為にサクラがルシフェリオンをエルの頭に振り下ろして沈めた。
「大丈夫ですかエリオ?」
「はい……ありがとうございます。サクラお姉ちゃん」
「――――」
――ポフッ!
「わわっ!」
今度はサクラが抱き締めた。エルとは違って優しく包む様に……
「大丈夫ですよエリオ。姉である私があなたを全力で守ります……」
何から?
「と言う事で今日から一緒に―――」
「やめい」
――ゴスッ!!
「ふ……不覚っ!」
物騒な事を言い始めたサクラにアンズが紫の魔導書の背表紙を使って横から殴りつける。
モロに喰らったサクラはエリオから離れてこめかみを押さえて悶え始めた。
「2人がすまぬな。末っ子が増えて舞い上がっているのだ」
因みに1人目の末っ子は当然レイ。
「えっと……アンズお姉ちゃんも嬉しんですか?」
「…………」
――ワシワシワシ!
「え?……え?」
アンズはただ無言でエリオの頭を撫で回す。エリオからは見えてないだろうがこっちからは顔が赤く照れ隠しなのが見え見えだった。
と言うか嬉しそう……
「ま、まあどう呼ぶかは好きにしろ……」
「?……はい」
頭から手を放して、顔を赤くしたまま視線を逸らしたアンズに首を傾げたエリオだが少しして頷いた。
その後、今度はアインと俺の方に視線が来た。
「アインお姉ちゃんにコダイお母さん?」
おい待て。ここでもか?ここでもなのか?
「私はさん付けで良い、そこまで歳が近い訳でも無いからな」
「同じく……と言うか男だし、それにフェイトと同い年だし」
「はい、分りまし――――え?コダイさんって男の人だったんですか?!それにフェイトさん達と同い年?!」
「予想通りのリアクションどうも。年上って思っただろ?」
「すみません……一緒に居たフェイトさんとアリシアさんのお母さんと仲良く話していたのでその人ぐらいかと……」
子供って素直。
確かにリンディとか桃子とかで共謀して何かやらかしてるけど……あれ?今回の場合あいつらが『お母さん』連呼したからじゃない?
「もう面倒くさいからレイ以外さん付けにしておけ。呼んだら呼んだらでさっきの様になるから」
エルから何やらブーイングが来たが無視。
その後レイも来て、エリオはレイ以外全員さん付けで呼ぶことにしたらしい。
「さて、そろそろ夕食の準備だが……所でエリオ」
「はい?何ですか?」
全員の自己紹介の後、少ししてある事を聞いた。
「好きな食べ物は何だ?」
「え?」
「好きな食べ物だよ、あるだろ?パスタにカレーにハンバーグとか……」
「あ、それ全部好きです……と言うより嫌いなモノは特に無いです」
「そうなの?ピーマンとか人参とかも?」
「はい。普通に食べれます」
嫌いなモノは特にないか………よし。
「沢山の取り皿を用意してバイキング形式に……カレーにハンバーグ、フライ数種、野菜にサラダと―――」
「そ、そんなに作るんですか!?」
指折り数えているとエリオが驚いていた………
「今日はエリオの歓迎会だしな……それと大体いつもこれ位の量を作るぞ?ここに大喰らいが4人いるから」
そう言うと該当者4名が胸を張っている………褒めてないがな。
「それにそろそろ冷蔵庫の中身を変えないと……」
「それが理由ですよね?主」
何処の家庭も大体そんな物だ。
さて、そろそろ作るか――――
特にトラブルは無く料理は完成した……だが。
「主………」
「何も言うな………アイン」
「いえ、ここは言わせてもらいます………作り過ぎです!!」
テーブルにはカレーの入った寸胴、各種山盛りのハンバーグ、エビフライ、フライドチキン、フライドポテト、オニオンフライ、サラダ、デザートにフルーツのヨーグルト和え。
それに各種自家製ソースなど並んでいた。
「だって、冷蔵庫の中身をそろそろ変えないといけなかったから……」
「それを分ってて業務用スーパーであんな大量購入したんですか!?」
「仕方ないだろ、あんなに安く売っているのはかなり珍しいんだ……」
買わなきゃ意味無いだろ。
「何ですかその主婦思考!?」
「良いだろ別に?冷めない内に食べるぞ」
特にレイとエルが『待て』な状態でウズウズしている。
「「「「「いただきまーす!!」」」」」
子供組は元気に手を合わせて言った……
「エリオ、コダイのご飯美味しんだよ!はい、ア~ン!」
レイがハンバーグをエリオに差し出している。
「えっと……あーん………ん!美味しい!!」
「でしょでしょ~♪」
自分の事の様に喜んでいるレイ……
エリオ達にカレーをよそって渡すと次々に口に入れて行った。
それを見てたエルは目を見開いていた……
「エ、エリオ……辛くないの?」
「え?……辛いですけどこれ位なら……」
「そ……そうだよね!大丈夫だよね~!アムっ…………~!!」
「無理をするな」
アンズがエルに小さく砕いた氷が入ったコップを渡す。
辛いカレーの場合は水より氷の方が治まりやすい。
「エルとレイは辛い物と苦い物が苦手だからな……」
「ぅ~コダイ~何時もの~」
「はい」
エルにはちみつを渡すとエリオが驚くほど入れた……
「エル~つひわたひ~」
レイが涙目でエルからはちみつを貰うとエリオが更に驚く程入れた。
「コダイ様、おかわりです」
サクラはマイペースに1杯目完食……
「コダイさん!僕もおかわりです!」
「む、流石男児だ我も負けてられぬ。姫、我は大盛りだ!」
「僕も大盛り!」
「私も~!」
エリオにつられてアンズ、エル、レイが空になった皿を持ってきた。
「………順番な」
持ってきた順にカレーを盛る。
あ、それとエリオの事で分った事が1つ………
「コダイさんおかわりです!」
「私も~♪」
エリオもレイと同じ位食べると言う事だった。
頭翅様、つらら@ゆき様、桜日紅葉雪様、アキ様、ミラ ランドラス様、畏夢様、天魔・夜刀様、感想を有難うございます。
~次回もお楽しみにしてください~