魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~ 作:メガネ
「今思ったんだが―――部隊の名前決めて無い」
「「え?」」
通信しているモニターの向こうででアインとアンズが固まった。
「と言う事でこの部隊の名前を決めようと思う………意見は?」
「いや待ってください!?今から違法研究所に突入する所ですよ?!」
「それより何故今まで決めておらぬのか?!」
「だって敵は見つけ次第、消していたから名乗る暇も無かったし……この仕事終えたら考えるか」
アインとアンズの全力のツッコミが返って来たので一時中断。
ティーダも加入して、本格的に始動したこの部隊。表は俺とマテリアルズ達で動いて、裏は公式で死んでいるクイントとティーダで動く様にしている。
たまに俺達も裏の仕事をしていて、今回がそのたまの仕事だった。
凶暴な生物が妙なルートに流れているのをレジアスが見つけた。調査の結果とある調査中の次元世界にたどり着き、こっちに回してきた。
「しかしあの男も中々言うではないか。黒であれば殺しても構わないと」
アンズが先程のレジアスが言ってた事に腕を組んで何度も頷いていた。
「元々犯罪者の増加が原因で暴走してた奴だしな。それに武闘派だし肉体言語は当然だな」
「本当に1人で大丈夫ですか?やはり私達も―――」
「帰りの逃走用だけで良い。それに黒でも無ければこの情報を漏らすだけで良いから1人が適任だ。そろそろ突入するから切るぞ」
「はい、お気をつけて」
「何かあったら連絡するがよい。姫の為なら全てを塵芥に還してやるぞ」
アイン達と通信を着って。コートのフードを被る。
流石に何時ものだとバレるので何時もの違う物を着ている、それに黒のショートパンツに黒のノースリーブ、黒のロングブーツとオシャレをしており更に大分昔にプールでやった胸を大き目に作り。
一目では別人の女に見える様にした………今後裏ではコレで通すか。
「さてと……見張りは入口に2人、距離は約20メートルだな」
スローナイフを2本出して、角度をつけて山なりに放り投げる。
――ヒュルルルルルルルル……
それと同時に入口に駆け込む。
「3……2……1バースト」
入口に飛び込むと同時に小さく呟いた追加詠唱。
直後に後ろから爆発音が2回響き、人が倒れる音が同じく2回聞こえた。
「スローナイフ威力は低いけど気絶させるのは十分だしな。さて、ここからは魔法は使わない方がいいな」
派手に入ったものの反応は特になし。試しにそこら辺に沢山あるカメラに映る様に探ってみるか。
研究所内を進みカメラに対して敢えて映る様に進んでいく。もちろん顔を映さない様に………
「お、やっとそれらしい所発見」
取り敢えず道なりに進んでみるとやや薄暗い所に着いた。そこには衰弱した生物が檻に閉じ込められているのが半分、もう半分は言わずもがな大きなポットの培養液の中に浮いている特定不可能な生物。
アレはネコ科の骨格に背中から鳥類の羽?意味無いだろこの質量をあの羽で飛行とか無理。第一胸筋が発達して無いし……
コッチは馬の胴体に牛の上半身……出いいのか?でも頭はそうでも首から下は霊長類だぞ?しかも上が大きいから重心取りづらいだろと言うか上手く歩けるのか?
…………造形に関しては悪くないけど。
「一帯の機材を見るにここで調整とかしているみたいだな。ならば」
目の前の機械を操作すると。予想通りの機能が付いていたのでそれを有り難く利用させてもらう。
「これで黒と分ったが、まだ先がありそうだし。仕込みはこれで十分かな?」
ロックを掛けて上書きされない様にして先に進む。もちろんカメラに見せながら………
「おかしい………」
道なりに進んでついに突き当りらしき場所に着いてしまった。もしかして待ち構えている?……
にしても気配が少ないな……気付かれて無い訳は無いから対策は取られている筈……
こういう場合は扉ごと破壊するのが得策だけど、魔法は使いたくないし……だがどちらにしても開ける以外の選択肢は無いな……
「残されたパターンは………これ扉の開錠が罠とかな?」
取り敢えず目の前のロックを解除する…………
――ガゴンッ!!!
解除と同時に下の
「ほらな?」
重力に逆らわずそのまま下へと落ちて行く――――
「よっと」
問題無く着地すると周りは明かりが一切無く何も見えない。周囲には生き物の気配が周囲を囲んでいる……
すると次の瞬間、周りが一気に明るくなった―――
「何と言うかお約束的な展開……」
無駄に広く真っ白い立方体の部屋、周囲には先程見た生物に良く似た感じの特定が出来ない生物が大勢で取り囲んでいる。
「クックック―――何かと思えば随分と可愛らしい鼠じゃないですか」
気味の悪い良くあるセリフを吐くと同時に部屋の一面の上部が透明に変化、その向こう側には白衣を着ている研究者らしき人間が数名此方を見下ろしていた。
それにどう返すか……折角女の格好してるし素で良いか。
「あら?鼠は色々と危険だから兎の方が良いわね。ぴょん♪ぴょん♪」
手を頭に乗せてウサギの耳に見立ててピコピコと動かす。
「随分と余裕ですね。ここの道中、貴女の姿はカメラにバッチリと映っていたので此処まで準備が出来たのです。しかもこんな罠に嵌るとはとんだ間抜けですね」
「あらやだ、私のした事が……まさかカメラ映りがいいのが裏目に出てしまうなんて」
当然全部ワザとだけどな。
……うん、何か調子が出てきた。
「にしても随分殺風景な部屋ね~窓とか付けないの?こんなに沢山いたら空気がこもっちゃうわ」
「何を言う―――」
研究者達が自慢げに笑う。
「ここは研究成果の生物を開放して戦わせる場所だ。そして最後に生き残った生物を更に改良する……負けた生物を使ってな」
「随分原始的ね―――その話からすると。ここに私、改造されちゃうのかしら?」
体型を強調する様に自分の体を抱き締める。
「そうだな……それも良いが………」
そう言いながら研究者が私の体を舐め回す様に見てくる……何と言うか男って分り易いわね。
「我らの言いなりになると言うなら。やめても良いがね」
「お・こ・と・わ・り♪――私、おじさまは渋い系限定なの。油と薬品臭いの豚には用は無いわ」
即答で断る。
遠目から見たってデ――ふくよかなのは分るし。
「そうか――――では死ね」
研究者が指を鳴らすと今まで黙っていた生物が咆哮を上げてこの部屋を揺るがした。
「変なのがいっぱい居るわね~頭が3つもある巨大な犬に獅子と山羊と蛇の特徴が混じった生物とか……」
「そうそう言い忘れていたがここの生物すべては人語を理解できるように人間をベースとしている」
「……なるほどね」
黙っていたのはその為か……
「理不尽に踏みにじられ弄ばれた命。可哀相に―――――何て一切思わない」
コートから取り出したのは独特な形状で目を引くのは全体の約3分の1を占める大きさの回転弾倉。
『ダネルMGL』連射を可能にしたグレネードランチャーを周囲に連射する。
空気が噴射する音が数回聞こえてその直後に周囲数か所から爆発が起きて生物を数体纏めて吹き飛ばされた。
「質量兵器だと?!」
「御明察♪それに私にとって人を殺す何て蟻を潰すに等しいの。だから―――」
話している間に弾を補充し終えて。今度は研究者の方に向けて撃ちこんだ。
「ハハハッ!ここが何処だか忘れたか!この部屋は高ランクの魔法にも耐えうるように設定を「知ってるわよそんな事」し――――」
――ビシャァッ!!
研究者に向かって撃ちこんだ弾は爆ぜず赤いペイントをぶちまけて壁を塗りつぶした。
「こっから先はこっから先はお子様は見ちゃだめよ?」
ついでに壁に隠れているカメラも塗りつぶしておく。
「何だこれは?!何も見えないぞ、カメラに切り替えろ!」
「ダメですカメラも見えません!!」
「……クソッ!!―――」
その言葉の後に研究者達の気配がゾロゾロと消えて行った。
アレだけ言って今更逃げるなんて手段は子悪党には無さそうだしこちらに来そうね……
じゃあ来た時にビックリさせなきゃ♪
「欠片も残って無いとはいえ人間を沢山殺す何て久しぶりね~」
袖からナイフを取り出して順手、逆手と交互にしながら考える。
どうやって殺すか、てっとり早く銃殺、まだ温存してあるハンドグレネードを口に押し込んで爆殺とあらゆる殺し方を考えてその結果―――
「ナイフで惨殺に決定ね」
さて……科学者が来るまで何分掛かるかな?
――ガタン!!
「そこま――――――っ?!」
殺し始めて30分後位にようやく研究者が下りてきた。
随分時間が掛かったと思ったら数人が銃を構えている。どうやら武装の準備に時間が掛かったみたいね。
「遅かったわね?あまりにも遅いから此処に居る生物全部殺しちゃったわよ」
「殺した?……ハッ!冗談も休み休み言え!現時点で極限まで改造を施した生物がたかが1人の人間が太刀打ちできるか……それ以前にその生物が1体残らず居ないだろ」
確かにあの研究者が言う通りこの部屋にいた生物は跡形も無く居なくなっており、残っているのは私と血だまりのみ。
「どうせ隠れてやり過ごしたのだろうが失敗だったな―――あの生物たちは我らの命令で直ぐにここに戻る!貴様が殺されるのは時間の問題だ!!」
何と言うか本当にワンパターンね………
「隠れる?そんなの面白く無いじゃないの。正解は―――」
研究者から隠す様に持っていた生物の腕を見せて―――
――グシャ!!
それに齧り付いた。
「モムモム……こうやって全部食べちゃいました♪」
此処に居た生物は10分位で皆殺しして詰まらなかったからついつい食べちゃった。
ちょうど良い時間だっだし………
――グシャ!!パキャ!!グチュッ!!ボリッ!!
肉を齧り、骨を噛み砕き、垂れてきた血を啜り、生物の腕を食べ終える
「ハァ……ご馳走様♪」
唇に付いた血を舐めとって一息。
「ヒィッ?!―――ば、化け物!!」
「む~ちょっとヒド~イ。私はチョット人を殺したくて、チョット食べるものが変わっているだけよ」
「黙れ!!全員撃「たせると思う?」なっ―――消えた?!」
撃たれる前に移動。さっきから喋っている研究員を後ろから蹴り飛ばす。
「ギャアッ!!」
防ぐ事も出来ずあっけなく真ん中あたりまで吹き飛んだ。
他の研究者も無事を確かめるために一斉に集まっていた………
「グッ……貴様よくもっ―――――クックックッ!」
蹴り飛ばした研究が睨んでいると持ったら余裕の笑みに変わった。
私を見ていない後ろ?
「………わぉ」
振り返ってい見ると、さっき培養液に使っていたあの2体の生物が研究者が入って来た所に立っていた。
あ……あの羽の生えた奴飛べるの?何で?……結局魔法で片付きそうね。
「ハハハハハッ!!これで最期だ、こいつを殺せ!」
研究者が私を指して命令した――――――
――ズン! ズン! ズン!
その巨体に似合うほどの地響きを響かせながら歩いて行き。
――ズン! ズン! ズン………
私を通り過ぎる。
あの2体には研究者しか映って無いようだ。
「な、何をやっている!!コッチじゃない!!向こうだ!!――く、来るな!!私の命令を聞け!!」
研究者の命令を聞かず2体の生物は進むのをやめない。研究者達は後ろに下りながら何度も命令を出すが、効果が無くやがて壁際まで追い詰められた。
「やっぱりね~……こんな凄い生物は確かに人間程度は太刀打ちできない。だから、もし何かの異常で暴走しない様に脳に何か細工しているんじゃないかって思って調べてたら思った通り、脳にチップがあったわ。だからちょっと2つの最優先命令を上書きしたのよ『ここに居る研究者を殺害』と『命令遂行後自爆』って」
自爆に関しては脳に仕込まれたチップが作用するみたいね。いつでも処分しやすいように付けていたのかしら?
でもどうでも良いかな?上から悲鳴やら聞こえるみたいだから、私を始末するためにコレ以外にも放った見たいね。
「貴方達の命令を聞くって言うのはその生物に貴方達を特定するように植え込まれているって事よね?なら私は一切狙われない、悠々と帰らせてもらうわ~」
私が手を下した生物は全部食べて証拠隠滅、研究者はこの生物が始末してくれるから証拠は無し。見張りは……研究者の援護で殺さるわね。
踵返して研究者たちが来た場所から出て行く。
「き、貴様は一体どこの者だ!!質量兵器を持つから管理局ではあるまい、誰に雇われた!!何処の犯罪組織だ!!」
管理局の部隊……なんて言えないわね。だからこういう時ために決めておくべきだった……ん?あの研究者今……よし、決めた。
「誰の差し金でも無いわ………私は『
振り返り、フードを取ってウィンクをして今度こそ部屋を出た。
その後、後ろから聞こえたのは心地いい断末魔だった。
数日後、研究所は謎の爆発により跡形も無く消し飛んだ。
「クリミナル……良い名前ね~」
任務終了後、アイン達を集めて名前が決まったので早速ミゼットに報告するが……
「でも~流石にそのままは不味いわよ~だって
「あ………」
しまった、裏ならそれでもいいが表では確実に怪しまれる……
「主、どうします……」
「全員で考えよう……」
その後、アイン、サクラ、エル、アンズ、クイント、ティーダで話し合いをしたがその日に決まる事は無かった……………
魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~ Criminal編 完
畏夢様、ミラ ランドラス様、頭翅様、松影様、感想を有難うございます。
~次回もお楽しみにしてください~