魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~ 作:メガネ
誰が良いんでしょうか?個人的にはTOVのフレンの宮野真守さん何ですけど……
「どうだティーダ?そちらの要望を全部取り入れたが―――」
「本当に希望通りだ………しかもこんな短期間で組み上げるなんて……」
銃型のデバイスもってその手ごたえを確かめているティーダ。
ティーダのデバイスは自分のスタイルに合った手製らしいが、長年使用してたらしく幾らこまめに手入れをしていても寿命間近。
これを機にティーダの新デバイスを造るにあたってティーダの要望を細かく聞いてそれを全部組み込んだ。
主な要望は『AIを入れない』『武器は銃型』『単独でも対応できる機能』と等と実用的なものだった。
インテリジェントにしないのは俺も正解だった。クイント見たいに特殊系統やなのは達みたいに大規模な魔法を使う訳でも無いのでAIは多分邪魔になる。簡単に言えばクロノと同じタイプだ。
「オールレンジに対応できる機能は付けているが、まずは遠距離と近距離だけ使え……中距離はまだ使いこなせない」
「分った……このデバイスの名前って決まってるの?」
「いや、そっちで決めてくれ」
「じゃあオールレンジだから………『デルタシューティング』で」
ティーダのデバイス『デルタシューティング』は基本はティーダのスタイルに合わせ1丁・2丁にもなる拳銃型。
白をベースした配色で上下2連銃身でカートリッジは4連装リボルバー型。
そこに近距離用と中距離用の形態を追加してある。執務官希望だったティーダらしいと言えるデバイスになった。
バリアジャケットは赤いインナーに黒の長ズボン白いジャケット。腰には大き目のガンベルトが巻かれて、そこにカートリッジのリボルバーが付いている。
銃をしまう際のホルスターは左脇と左腰に別々に取り付けている。
「後は試運転だけだね……相手は決まってるの?」
「勿論、場所も決まっている―――今呼んだ所だ」
「コダイ~!呼んだ~?」
その直後にデバイスルームに飛び込んで来て、俺に突撃して何故か背中に登って来たのはエルだった。
「もしかして相手はエル?」
「そうだ、こいつは一見馬鹿に見えて本当に馬鹿だけど―――」
「僕はそんなに馬鹿じゃないよ!」
何か後ろで言ってるが無視。でも馬鹿は自覚してたのか……
「資質は将来執務官になれる程だ。戦闘もポジションが違うがオールレンジだ。ティーダにとっても新デバイスにも丁度いい相手だ」
オリジナルはフェイトだし間違ってはいない。
「ね~?何の話?」
「えっとね、俺とエルが模擬戦する事になったんだよ?」
後ろから抱き着いているエルが顔を肩に乗せて聞いて来た。
連絡の際に言っただろう……
「模擬戦?……僕とティーダが?!やった~!!よーし負けないぞ~!」
「あはは……俺もそのつもりだよ」
「と言うか俺の背中ではしゃぐな」
上機嫌に左右に揺れてるエルの首根っこを掴み背中から引き剥がした……それを苦笑しながら見ているティーダ。
そして、エルがいきなり走ったの見てらしくアイン、レイ、クイント、サクラ、アンズも次々にやって来て。ティーダとエルの模擬戦を全員で観戦する事になった。
転移場所は無人世界、前回クイントとサクラが戦闘を行った世界とは違い、ここは砂漠は無く廃れた廃墟ビルが並ぶゴーストシティだ。
理由としては前回と同じ。それに加え今回はお互いに飛べるので高所のビルが並ぶこの世界を選んだ。
「足を止めてじっくりと見据えるセンターガードに休まず動くヒット&ウェイトのガードウィング………戦闘スタイルは真逆ね~。でも、悪くないわね」
「当然だ、でないと組み合わせない」
「動き回るガードウィングと動かないセンターガードは意外に共通点が多いのよね」
「ガードウィングは高速機動を活かし、あらゆる位置でも攻撃とサポートをするポジション。センターガードは足を止めて視野を広く持ち他のポジションへの指示を下したりする。つまり担当範囲の広さだ」
「それに関してはオールレンジで対応の2人は十分ね」
「後、精密射撃と一撃離脱が必須のこの2つのポジションは相手の攻撃を喰らってはいけない……」
離れた所で2人の様子をモニターで見ている観客サイドでクイントと話し合っている。
「確かにこれは難しいですね……私やアンズのフルバックは大規模の固定砲台ですから当たったもの勝ちと言う感じですね」
「そもそも前衛がいる事前提であるから近づかれたらほぼ勝ち目は無いな……斬り合いなど性には合わぬしな」
後衛同士のアインとアンズも自分のポジションに置き換えて見解をしている様だ。
「……で、ティーダと同じポジションとして何かあるかサクラ?」
「そうですね―――」
サクラは顎に手を当てて暫く考え込む……
「エルは良くも悪くも真っ直ぐに突撃します、そこに罠を張るのは容易ですがあの性格の通り勘は鋭いですし、生半可なものは力技で振り払われます」
「資質はガードウィングなのに性格はフロントアタッカーだしな」
オリジナルのフェイトも攻撃に傾倒しすぎだしな。
「あ……今思ったけどコダイ君のポジションてガードウィング?それともセンターガード?」
「そう言えば考えた事無いな」
クイントに言われて初めて気づく、そう言うポジションとして動いた事無かったな。
殆ど1人だったし、誰かと連携何て一生無いと思ってたし……
「性格からセンターガードだけど、どっちかと言うとフロントアタッカーよね?」
「前衛の方が性に合っているから後者で」
このメンバーを考えると前衛が1人だけって言うのは少ないしな。
因みにこう言う話をしている時にレイは……
≪うぅ~みんな何言ってるか分らないよぉ~≫
話の最初の辺りで理解不能になる。
「ティーダ~!!行っくよ~!」
「エル、こちらも全力で行かせてもらうよ!」
ゴーストシティ上空。お互いに準備を済ませて構えを取るエルとティーダ。
「ルールはお互いの魔力切れか、気絶が敗北条件だ」
通信を両者に繋ぐ。
「では―――始め」
開始と同時に初めに動いたのはエルだった。
高速機動によりティーダとの間合いを一気に詰めていく。
「敵を貫け、雷の槍!―――雷刃衝!!」
エルの前に水色の魔力光の槍状の魔力弾が4発形成され、ティーダに向かい一直線に飛んでいく。と言うかそんな詠唱あった?
迫る雷刃衝にティーダはその場でデルタシューテングを1丁構えて橙色の魔力弾を4発形成。
「――――シュートバレット!」
――ドォン!! ドォン!! ドォン!! ドォン!!
発射された魔力弾は雷刃衝とぶつかり合い爆発を起こした。
「確かにコダイが言った通り射撃魔法がすご―――うわっ?!」
雷刃衝が破壊されたのを見て何か納得していたが、爆発地点から4発の橙色の魔力弾が飛び出してきた。
それに驚いたエルだが持ち前の素早さで被弾は無かった。
「え?何で?!確かぶつかって相殺された筈なのに……まさか、僕より強い?!」
「いや、威力は同じ位だと思うよ?けど、ちょっと工夫してるだけ………次は俺の番だ。カートリッジロード!シュートバレット・バレットF!」
デルタシューティングのカートリッジを2発使い自分の背後に20発の魔力弾を形成した。
「ファイア!!」
一斉に発射されてエルに向かった。
「コダイ様……今のは」
エルの雷刃衝に打ち勝ったティーダのシュートバレットのある工夫に気づいた。
サクラも同じ様に気づていた、周りも同じく。エルからすれば分らないと思うが客観的に見ているこちら側は確認が簡単だった。
ティーダが言っていた工夫は本当に簡単だった―――
「一見普通の魔力弾だがよく見ると2つ繋がってて1つに見える様に撃っていたんだな………前の魔力弾で雷刃衝を相殺して後ろの魔力弾でエルを狙う」
そうで無くても2対1の魔力弾だから負ける事は無い。
「あの速い弾速を正確に撃ち抜く集中力………完璧な正統派センターガードだな。それにあの魔力弾の発動方法は僅かでも狂えば自分の魔法で相殺は免れない」
シュートバレットは射撃魔法の基本中の基本とは言え、あんな撃ち方は余程の練度と自信が無いと実戦に持ち込めないぞ。
「よーし僕も負け―――ってあ~っ?!」
迫る魔力弾に意気込みを始めたが次の瞬間、予想外の光景を目にしたエル。
魔力弾を撃った直後にティーダはその場から移動して廃墟ビルの中に入って行った。
「コラ~!っと……逃げるな~!!――っと。正々堂々勝負――って……しつこい~!!」
魔力弾を躱して文句を言っているが、躱した魔力弾がUターンして再びエルに迫る。それを躱すがまた向きを変えてエルに向かって来るので今度は速さで振り切る事にした。
それでも魔力弾はエルの追跡をやめなかった。
「ついて来んな~!!」
魔法で潰さないのは先程の魔力弾で撃ち負けると思っているからだろう。
防御に関しても速度重視だから防げないと思うがそんなのは頭に張っているかどうかだな……
「え~っと、え~っと……そうだ!そう言えばコダイが……!」
何かを思いついたエルが急に旋回、ティーダと同じ廃墟ビルの窓に飛び込む。
ここでモニターを廃墟ビル内に切り替えると。エルが振り返って足元に魔法陣を展開してバルフィニカスを持つ手とは逆の手を前に出して魔力を溜めだした。
「敵が沢山いる時は侵入口が狭い場所に誘い込めば一気に倒せる!―――ってコダイが言ってた!」
そう言えばそんな事教えたっけ?
「これで全部消し飛ばす!
水色の電光を伴う砲撃を自分が入って来た窓に向かって放たれた。
ティーダの複数の魔力弾を呑み、跡形も無く消し飛ばした……
「へへっ……どうだー!!」
「「エルが頭脳戦………だと?!」」
「酷い反応だな……」
先程のエルの戦略を見て固まっているサクラとアンズ。
「俺は大分前に言ってた事をエルが憶えていたこと自体驚いているのに……」
「主が一番酷いです」
アインに言われようが自覚してるけど。
「あの誘導射撃魔法、恐らく魔力、若しくは熱源に反応しす自動追尾の魔力弾だったみたいだな」
「普通の誘導弾と違って発動後は自由に動ける利点がある。ここで使うって事は時間稼ぎね」
「確かにクイント見たいに一対一で戦える技を持っている訳でも無いし。各上でも優位に立てるとしても、総魔力量は変わらないから長期戦は不利になる。だから一気に決める為に距離と時間を稼いだって所だな」
ティーダのランクは空戦AA、エルが当時のフェイトを投影してるのならAAAだが、訓練を積んでいるからAAA+かS-だな。
エルも今後力技でゴリ押しで来ると思うからどっちにしろ早めに決着は付きそうだな………
「ここに隠れているのは分っている!見つけてソッコースラッシュする!スプライトゴー!」
エルがバリアジャケットをスプライトフォームに換装。そしてバルフェイニカスをザンバーに変えて掲げた。
「
――ズガアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!
エルのいる廃墟ビルの周囲に環状魔法陣が現れる。
そしてその上空から幾つもの水色の雷が降り注ぎ廃墟ビルに落ちて行く。
エル諸共落雷の範囲に居る雷神槌がフェイトのサンダーレイジにあたるなら問題は無い。あの魔法は対象外の物は範囲内いても影響を及ぼさない。
落雷が当たるのは廃墟ビルだけだ。
――ガラガラガラガララララララッ!!!
落雷により廃墟ビルは消し炭に変わり、支える力を失いボロボロと崩れ落ちて行く。
崩れ落ちたビルから現れたのはザンバーを担いだエルのみ……
「なんじゃこりゃああああああああああああああ?!」
ビルが崩れ落ち、視界が晴れたその時、エルは目の前の光景に驚いていた。
建物2つ分離れた所から視界を埋める程の橙色の魔力弾の壁、その中央にティーダがデルタシューティングを2丁構えていた。
「何でそこに居るの?!ビルに入った筈なのに?」
「いやビルの中を通り抜けただけ、ただ君と距離を取ってこの魔法の時間が欲しかっただけ」
そう言いながらデルタシューティングをベルトの方に持って行き、リボルバーが重なる様にして押し込むと。本体にあるリボルバーが外れて代わりにベルトのリボルバーが装填された。
「今まで頭で思い描いて、処理やら消費魔力、時間と色々壁にぶつかったけどこのデバイスとなら出来る」
魔力弾の壁が更に輝きを増した。
「それがティーダの必殺技なら僕も最強の技で迎え撃とう!」
その光景を見て口角を吊り上げ楽しそうに笑ったエルは勢い良くザンバーを振りかぶり衝撃波を周囲に飛ばす。
――ゴオオオオオオオオオオオオオオ!!!
「クッ――――!!」
衝撃波を受けて飛ばされるのを堪えたティーダ。それでも魔法は維持されたまま……
エルとティーダの周りから背の高い建物は衝撃波で壊されて両者の周囲に邪魔な物は無くなっていた。
「チャージ完了!クロスファイア・フルバーストッッ!!!」
「砕け散れ!雷神滅殺!!―――極光斬!!」
魔力弾が集まり1つになった橙色の砲撃と電撃を纏った巨大な水色の魔力刃がぶつかり合った。
「エルの奴……笑ってたな」
「最初の連結した魔力弾に今の魔力弾も一つに纏めて砲撃として撃つとは……私も負けてられません」
あ、サクラもそうだった……
「本当に器用な戦い方をしますね……精密な魔力コントロールと応用力による精密射撃……」
「アイン達は元の魔力が大きい分、微妙なコントロールは不得手だからな」
「大魔力は高速処理と並列処理に
≪うゆ?呼んだ?≫
「呼んでない」
≪そっか~……あ!モニター!!≫
レイの言葉に全員がモニターに意識が向いた。
両者の魔法は未だに拮抗していた……
「っ―――このままじゃ………!」
「いっけえええええええええええええええ!!!」
――ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!
次の瞬間、水色の魔力刃が橙色の砲撃を押し込んで振り下ろされた。
「エルが押し勝った!?いやしかし―――?」
極光斬が振り下ろされてティーダの魔力弾が全て爆発を起こし消滅した。
その時、何かの違和感を感じたアンズが首を傾げた。
「今の感じ何か拮抗が崩れたと言うより崩したと言う方が………」
「つまりアンズはティーダは自分から崩したと?」
「うむ………あのままでも押し勝てる可能性はあった筈だ」
「それに関しては同感です。あの魔法は高ランクの砲撃クラスですから……」
アンズとサクラの話し合っている時。モニターに新たな動きがあった……
――ヒュンッ!!!
「あぅっ!!」
爆煙の中から飛び出してきた1発の橙色の魔力弾が油断していたエルに命中した。
「あ……あれ?体が……痺れて……」
ダメージは無かったが体が痙攣を起こし飛行制御を失って下へ落ちて行く………
「よっと……ティーダ・ランスター目標の捕獲成功……でいいのかな?」
落ちて行くエルを下でいつの間にか待ち構えていたティーダが受け止めてこちらに通信を繋げた。
最後のはスタンバレット、名の通り命中させた相手を麻痺させる魔法だな。
「そこまで―――勝者ティーダ」
終了の合図を取り。合流して全員で元の部屋に転移した。
「あぅ~」
スタンがまだ効いているのか寝かされたソファーの上で寝そべっているエル。
「エルが負けたのは悔しいが見事だったぞ!」
「ありがとうアンズ……でもこっちもあのまま押していたら負ける所だったよ……」
「うむ、そう言えばあの時何故ワザと崩したのだ?」
「それはさっきも言った様にあのままだと負けるからだよ」
「魔力量の差だろ?このまま押し合ってたら魔力差でティーダが負ける……だからあの時魔法を破壊するより魔法の直撃を避ける様に砲撃の角度をズラしてエルの魔力刃を逸らしたんだろ?」
「うんその通り―――ってあの短時間で良くそこまで分ったね」
「私の時も聞いて思ったけど、よくそこまで行動が読めるわね~」
簡単に説明したらティーダの苦笑いが返って来た。それを聞いていたクイントも同じ反応をした。
「敵の動きを読まないと死ぬからな……ティーダもクイントも俺の体質知っているだろ」
防御魔法も無いから読まないと死ぬ、何回も。
「あ~納得」
「俺も聞いただけ何ですけどそんなに酷いんですか?確か強制的に殺傷設定になってしまう体質なんですよね?」
「それはもう……コダイ君の前の戦闘データを見せて貰ったら良く生きてたわねって言いたいぐらい」
「確か俺の葬儀の時に暴動起こして氷漬けにされたって聞いたんですけど」
「3日間氷像になってわね」
「普通氷漬けになってたら死にますよね?その体質ならなおさら―――」
「それでポジションはフロントアタッカーよ?もう頭のネジが2,3本飛んでるんじゃないかしら?」
「でないと首都航空隊の方を周りに憚らず半殺しにはしませんよね?」
「否定はしないが陰口風に言うのはやめろ」
少し離れてクイントとティーダがコソコソ話していたがバッチリ聞こえていた。
「…………そろそろ昼食でも作るか」
「ご飯?!」
「回復速いな………」
さっきまで魘されていたエルが起き上がった。
………因みにティーダの食事量は普通に良く食べる方だった……あくまで『普通』の範囲で。
黒人様、頭翅様、桜日紅葉雪様、松影様、畏夢様、ミラ ランドラス様、感想を有難う御座います。
~次回もお楽しみにしてください~