魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~   作:メガネ

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はやて、学校に復学です。


進級―――もうコレ一種の呪いだろbyコダイ

「明日は学校か―――」

 

 通学の準備を終わらせてベッドに座る。制服も一新して、スカート丈は少し長くし、スリットを無くして下にショートパンツに変えた。髪型は以前と変わらず。

 年末に大人になり暫くして女になり、そしてつい先日幼児になってようやく元の体に戻った。

 3学期丸々休む事になった理由は『旅行に行く』と言う何とも捻りの無い物になってしまった……

 それにはやても今年から復学するらしい、足は歩く分にはもう平気らしい………回復の速さが凄く、それでなのは達に俺がまた何かしたのかと疑われた。何もしてないのに……

 

「……何だろう?」

≪うゆ?≫

 

 とても嫌な予感しかしない……………

 

 

 

 

 

 

 

 翌日……予感が的中した。

 

「はい皆さん、八神はやてさんが今日からこのクラスに復帰します!」

「みんな、改めてよろしゅうな」

 

 

 

「「「「うっしゃああああああああああああああああああああああ!!!」」」」

 

 

 教師に紹介されてはやてが微笑むと、男子の大半が歓喜に吠えた。

 

「コレで六大美少女の誕生だ!!」

 

「今年は去年に引き続き豊作じゃあああああああああああああ!!!」

 

「このクラスになれてよかったああああああああああああああ!!!」

 

 

 凄いな………此処まで息の揃った男子を見た事……あるな、フェイトとアリシアの転入の際に。

 

「全く、男子は何でこう騒げるのかしらねぇ……」

「俺も一応男子だが分らん」

 

 俺の隣にいるアリサは溜息を吐く……

 今年の席もなのは達の近くになっている………もう一種の呪いだろコレ?

 

「では、八神さんの席はトキガワ君の後ろが空いているのでそこに座ってください」

「あ、コダイ君や!それにすずかちゃん達もおる!お~い」

 

 はやてが手を振るとなのは達も手を振った……それと男子の一部がこっちを睨んでくる、多分去年まで同じクラスじゃない奴だろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いつもの、面白く無い授業を聞き流して昼休み………

 

「にしても………」

「ん?」

 

 皆が弁当を開いている中、はやてだけがこっちをジッと見ていた。

 

「話には聞いとったけど。コダイ君学校でも女の子の格好なんやね」

「言っておくけどはやて、去年の時よりレベル上がってるから」

「ホンマにアリサちゃん?!」

 

 アリサの言葉に驚いたはやてがなのは達を見ると全員揃って頷いた……女装はオシャレだろ。

 

「と言うかアンタの弁当の中身もレベル上がり過ぎよ!!おかず何品入っているのよ!?」

 

 そしてアリサが弁当にツッコミを入れるのも何時もの事だ。因みにおかずは10品だ

 

「豪華なものか、朝と昼の余りを詰めただけだ」

「あ、そうなん―――って昼ぅ?!何で昼もあるのよ!」

「料理できるの俺しかいないから朝と昼を同時に作ってその余りを弁当に入れただけだ」

 

 時間になったらリインフォースに仕上げて貰うだけ。

 

「でもリインフォースにも一応切ったり炒めたりを教えたから作れると思うんやけど……」

「………1人3倍も食べる奴が3人いる計算で手伝い程度の腕で捌けると思うか?」

「どんだけ食べるんやあの3人?!」

「最低3人前、調子が良い時は5~10人前は余裕」

 

 エルは概ねそう、サクラとアンズは静かに黙々と食べているがいつの間にか大皿のオカズの山が平地になってたりと―――

 

「フードファイターかっ?!」

「大体合っているな」

 

 なのはが苦笑いしている。自分と同じ顔の奴がそんなに食べるの想像したんだろ。

 流石はやてと言うべきか。やはりツッコミに関してはアリサの1枚上手だな。

 アリサだけだとドツクだけでボキャブラリー無いからツッコミが面白くないしな……

 

「み、皆速く食べないと時間無くなっちゃうよ?」

「む、そうやな。フェイトちゃんの言う通りや」

 

 フェイトに言われ漸く弁当に手を付け始めた………

 

 

――クイクイ

 

「ん?」

 

 袖を引かれた方向を見るとフェイトが恥ずかしそうにコッチを見てた。

 

「ぁ……あのね。はやてが言ってた『ふーどふぁいたー』って何?」

 

 耳元で無いと聞こえない位の声で聞いてきた。

 

「………ちなみにフェイトの予想は?」

「えっと……食べ物を武器にして戦う人?」

 

 食べ物で遊ぶな。

 

「大食いの人と覚えればいい」

「そっか……ありがとう」

 

 それを聞いて安堵の息を漏らすフェイト、あの誤認識のまま覚えていたら黒歴史が誕生してたかもな。

 

「それでもアリサちゃんの言う通り、コダイ君のお弁当は美味しそうやな~………1つええか?今後の参考のために」

「別に良いが……今後?」

「ほら、私今まで学校行っとらんから弁当用のおかずの作り方って言うのがイマイチ分らんから」

「成程……ほら、好きなのを選べ」

「そうやな―――むむっ!」

 

――キュピーン☆

 

 突然はやての目が光る……

 

「コダイ君、その巾着みたいなのエビフライ?」

 

 はやてが指したおかずは普通のエビフライと違い細長い物でなく太くて短い、はやての言う通り巾着みたいな形で天辺にエビの尻尾があるフライだった。

 

「なんやコレむっちゃ可愛ええんやけど」

「これな、この前冷食の特番してる時にフライの中にソースが入ったフライがあって試しに自分で作ってみた」

「じゃあこの中にも?」

「タルタルソースなエビをある程度形が残る位叩いてその中にソースを入れて包み、崩れない様に衣を付けて揚げる尻尾は飾りだな」

「包んでいるからこんな形に……可愛ええし、小さいから普通のエビフライより場所とらへんな……コレにするで」

「分った」

 

 ご希望のエビフライ箸で掴み差し出す。

 

「はい、あーん」

「ありがとう。あ~ん♪」

 

 特製エビフライを一口、小さいのではやてでも一口で食べれる。

 口に入れた後、エビの尻尾を引き抜き、吟味するように咀嚼する………

 

「………ん?!美味しい!何やこれ、私揚げ物とか衣がカラッとしてるのが好きやけどこのふやけた感じがたまらへん!!」

「当り前だ弁当用に工夫したおかずだしな冷めても美味しいのは当然」

「おまけに中にソース入っとるから他のとか弁当箱に付かないのがまたええな!………あ」

「ん?」

 

 突然固まったと思ったら、照れくさそうに笑い始めた。

 

「あははははっ……間接キスやな~」

「は?そうだな同じ箸使っているし」

 

 毎回思うが食べさせるのってそんなに恥ずかしい物なのか?やってもやられても大した事無いと思うが……エルとかは例外に嬉しそうだったけど。

 

「む~もうチョイ反応してもええと思うんやけど……」

「いや、いつもなのは達にもしてるし」

 

 今回の場合とか。

 

「乙女のファーストキスやで?」

「間接もカウントするのかよ」

 

 ってアレ?何か視線が痛い………また男子かと思いきや視線の主はなのは達だった。静かにジッと見ている………

 

「「「「「コダイ(君)!!私もあ~んって――」」」」」

 

 なのは達が何かを言い掛けたその時。

 

 

「「「「「ふざけんな、女ったらしがあああああ!!!」」」」」

 

 

 お決まりの様に男子が来た。

 

「いい加減パターン変えろ……一発屋は消えるのが運命だぞ?」

「へ?何でコダイ君が男子って分ったんや?」

「名前」

「あ~……」

 

 コレが初めてのはやてに最初の頃にアリサに教えて貰った答えを言ったら、納得してもらえた……

 

 

 

「それはコッチのセリフだ!!お前は何度も美少女と間接キスをしてるのかあああああああああ?!」

 

「美少女が転入して来たと思ったら全部お前にフラグ立ってるってよぉ!!」

 

「そう言えば俺。この前赤い髪の年下の美少女とこいつが仲よさそうに歩いているの見たぞ!!」

 

「年下ぁ!!何だお前!光源氏計画でもしてんのか!?」

 

 

 ヴィータの事か………子供に戻ったらよく甘えてくるしな。

 と言うか光源氏って何時の時代だ……って平安だった、答え出てた。

 

 

「後、金髪の巨乳美女とピンクの髪の巨乳美女と一緒にいるのも見たぞ!!」

 

「幼女から美女までよりどりみどりか!?一人よこせやコルァ!!」

 

 

 シャマルとシグナムも帰る途中に会っただけだ。

 後、俺の物でも無いし………

 

 

「冬休み中、こいつん家からトンでもない絶世の美女が出入りしてるのを見たぞ!!」

 

「俺も見たぞ!!スレンダーでメチャクチャ色気たっぷりの白っぽい髪の女の人だろ!」

 

 

 ゴメン、それは私。

 流石に白髪は目立つか……これは追及されるのが面倒くさいから逃げるか……勿論フリで。

 

 

 

 

「「「「今日こそ逃がすかああああああああああああ!!!!」」」」」

 

 

 

――ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!

 

 

「よっと」

 

 気配が消えるのを確認してよじ登る……

 

「全く、学習能力が――あれ?」

 

 なのは達が居ない?

 

「なのはちゃん達なら、男子が追いかけた後を付いてったで?」

 

 屋上に唯一残っていたはやてが不思議そうに答えた。

 

「―――俺が屋上よじ登ったのはスルー?」

「すずかちゃんから聞いとった」

「成程……」

 

 その後、はやてと時間までのんびりと弁当を食べる事が出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 昼休み終了間際になのは達が戻って来た……何か晴れた表情で。

 

「なのは、どうしたんだ?屋上に居なかったし……」

 

 早速なのはに聞いてみる。

 

「な、何でも無いよ!ただちょっと皆で男子とO☆HA☆NA☆SHIしてただけなの」

「そうか……」

 

 これ以上は触れないでおこう。

 午後の授業に男子はこなかった………教師が探した所、廊下の隅でガタガタ震えていたとか………

 

 

 

 

 

 

 

 

「~♪」

 

 下校中、はやてが上機嫌に鼻歌を歌いながら隣で歩いていた。

 なのはとフェイトは局関連、アリシアは魔法の訓練、アリサとすずかは習い事で急いで下校。なのではやてと俺の2人だけで下校道を歩いていた。

 と言うかアリサ達に家まで送れと言われた。

 

「やけに上機嫌だな」

「それはそうやで。やっとみんなと学校通える様になったし!―――けどコダイ君は通えるかどうか微妙やったし……」

「それに関しては申し訳ない」

 

 大人になったり女になったり子供になったり……ちなみに子供になった時の状況を教えていたら『見たかった』と本気で悔しがってた。

 

「ホンマありがとうなコダイ君」

「は?」

「なのはちゃん達にも言うたけどな。皆のお陰であの子達と一緒に居れて、リインフォースが消えずに済んで、私がここにいられる。せやから皆には感謝でいっぱいなんや」

「そうか……だが俺にはするな」

「え?……」

「―――思い返してみると足しか引っ張って無い。潰されるわ暴走するわ蒐集されるわ半殺しになるわ取り込まれるわ取り込むわで役に立ったためしが無い」

「あ………あはははっ―――で、でも取り込んだお陰でリインフォースも消えずに済んだし、新しいお友達も増えたし……」

 

 フォローするなら苦笑いをやめてくれ。

 

「分った分ったどういたしまして」

「む~ホンマに感謝しとるで」

「それについても分った」

「む~」

 

 半ば投げ遣りの受け答えに納得言って無いのか、後ろから抱き着いてくるはやて………と言うか何で後ろから回した手で体をアチコチ触ってくる……

 

「何がしたい?」

「あ、いやもう怪我治ったんかと……」

「もう5か月も前の話だろ。そして離れろ」

「あの時私置き去りにしてもうたと心配したんやで?!私の心に残るトラウマ3位に入るくらいの!」

 

 何だそのランキングは……

 

「因みに1位は?」

「Gさんや」

「良かった3位で」

 

 アレ以上のトラウマとか屈辱だぞ……

 

「はやて~!」

 

 大きな声にはやてと前を向くと、遠くにヴィータが手を振ってやって来た。

 

「あ、コダイもいる~!」 

 

 そしてそのまま俺に前から抱き着いて来た。

 

「ヴィータどうしたん?」

「はやてが心配で迎えに来たんだよ」

「そっか~ありがとな~」

「へへっ」

 

 貴様ら俺を挟んで会話するな。何で抱き着く必要がある?

 

「あ、そう言えばあいつらは?」

「皆用事やって、コダイ君が唯一暇やってみたい」

「そうなのか……なぁコダイ、だったら今からはやてん家にこねぇ?」

 

 突然ヴィータに聞かれた。無視された訳では無いのか……

 

「無理だ、夕食の仕込みをしないと行けないから」

「今から……早くね?」

 

 普通はそう思うよな?

 

「あながち早くも無いで~マテリアルズの3人、1人で3人前は食べる言うとったし」

「どんだけ食うんだよあいつ等!!」

 

 流石のヴィータも驚いた様だ。

 

「さて、ヴィータも来た事で家まで送る必要も無くなったな。だから離れろ、帰る」

「え~もうチョット話して行こうぜ~」

「ダメや~アリサちゃんに言われたことはまだ有効やで~」

 

 抱き着くと言うよりぶら下がってきてるヴィータとはやて。

 

「………………」

 

――ズリズリズリ

 

「「あぁ~」」

 

 2人を引き摺りながら歩き始める。それでも離れなかった2人……

 結局俺が根負け―――と言うか周囲の微笑ましい物を見る視線が嫌になって、ちゃんと家まで送ると言う条件で離れて貰った。




夢物語様、アマデウス様、桜日紅葉雪様、頭翅様、シーザス様、感想を有難う御座います。

~次回もお楽しみにしてください~

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