魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~   作:メガネ

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冷静と言うか慣れてるだけだbyコダイ

 女から戻って長い時間が過ぎた……月日にして3学期修了間近。

 流石にそろそろ子供に戻らないとダメだろうと考えていたが……

 

「元に戻った?」

 

 ある日、体がやけに軽く感じて起き上がると子供に戻っていた………いやむしろ。

 

「戻り過ぎた……」

 

 今の体は本来の9歳前後じゃなくて転生時の6歳前後だ……あ、子供に戻ったから口調戻さないと。

 あの口調が素だが………さすがにいきなり口調が変わると違和感があるからな。

 

「レイ」

≪ぅ~……ふみゃ~……うゆ?≫

 

 右袖を捲るとその当時は無かった右腕の宝石があった。どうやら俺だけに作用してるみたいだな。

 

≪コダイ~もう朝~?≫

「残念ながらな」

 

 ……気づいてないな。流石以前大人になった時は遅れて気づいたぐらいだし……別に良いか。

 

「着る服がないな……あ、そう言えば」

 

 ベッドから降りて、奥にしまっていた段ボールを開けて1着の黒ゴスを取り出した。

 

「まさか初めて翠屋に行った時に桃子に貰ったこの服がこの時期に役に立つとは」

 

 確か、ヘッドドレスとニーソックスもあったよな?……あった。

 

「髪型も当時の物にしてと。こんなものだな」

 

 着替え終わりリビングに向かうと。

 アンズと早速遭遇した……

 

「誰だ?……いや姫か?」

「正解」

 

 流石に分るよな、消去法で考えて……

 

「うむ……穢れ無き純白な姫も良いが混じる事のない漆黒の姫も美しい」

 

 何したり顔で言っている?

 

「……………姫が子供になったああああああああああああああああああああああああああああああああ?!!」

≪……うゆ?!コダイがちっちゃくなってるの?!≫

「今更か?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だから何で冷静なんですか?」

 

 女になった事に続き、今度は呆れてるリインフォースだった。

 先程のアンズの悲鳴で全員駆け付けた……その後は女になった時と同じリアクションだったので省略だ。

 

「大人になったり女になったりしてるんだ……流石に3度目は慣れるだろ」

≪そっか~≫

「いえ主……あなたは最初からそうでしたよ。それとレイ納得しない」

「そうだったか?」

≪うゆ?≫

 

 特に気にしないから良いか……

 

「とにかく、今朝食を作るから待ってくれ」

 

 

――ガシッ!

 

 

 台所に向おうとしたら、後ろからしがみ付かれた……と言うより抱き着かれた?

 身長差からリインフォースでは無いな。

 

「ダメです」

 

 声でサクラだと分った。

 

「いや、作らないとダメだろ」

 

 俺以外家事は……見てはいないがあの3馬鹿の火柱の二の舞いは御免だ。

 

「その体で作る気ですか?」

「何時もの事だから大丈夫だ」

「大丈夫かもしれませんがダメです。こんなに小さく細いあなたに家事を一任させる?罪悪感と良心がで胸が痛くなります、そんな事させる愚者が居るのならルシフェリオンブレイカーで灰にします」

「物騒すぎるぞ、そんな事で集束砲撃を使うな」

 

 と言うかどうするんだよ朝食は……

 

 

――ピーンポーン♪

 

 

 あ、誰か来た。

 

「エル出てくれ」

「分った~!」

 

 玄関へ走っていくエル。

 ここからでも聞こえるぐらいの大きな声で対応した。あ、家に上げるみたいだ……

 

「コダイ~!ロッテとアリアだよ~」

 

 そう言えば今日遊びに行くって言ってたな……だから珍しく私服。

 

≪いらっしゃ~い♪≫

 

 魔法関係者なので挨拶をしたレイ。

 

「遊びに来たよ。後、お土産も持ってきたから一緒に―――」

「ヤッホー!おねーさんが遊びに来たぞー。さぁ美味しいと評判のその料理の腕を今こそ―――」

 

 朝からやたらテンションの高いアリアとロッテ……と思ったら固まった。

 

「食べ――」

「見せ――」

 

 え?あれ?何か何時の間にかサクラの拘束から離れてアリアとロッテに挟まれて抱きかかえられている?

 

「「よー!!」」

 

 そしてそのまま窓を開けて飛びだした。しかも結界がご丁寧に張っている……

 

≪うゆううううううううううぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!≫

 

「あ、主いいいいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ―――!!?」

 

 

 

 レイとリインフォースの叫びがドップラー効果になって聞こえた。

 何か今日は朝から元気な奴が多いな。

 

 

 

 

 

 

 

「うわ~うわ~うわ~!!」

「ちょっ……ウソ……わぁ~!」

 

 リーゼ姉妹に攫われて飛んで着いた先は近くの公園だった。

 そこで公園のベンチ2人の膝に座らされて、頭とか撫でられてるが。さっきからこの2人は人語を話してない……

 

≪うゆぅ~≫

 

 レイはさっきのでダウンしてた。

 

「ヤバイ………ゴスロリが超似合うと思ったけどまさかの予想以上!」

「しかも何時もの無表情が逆に良い……なにこれスゴっ……」

 

 やっと人語を話しても意味不明だった。

 

「うにゃ~♪超可愛い~!」

 

 ロッテに抱き寄せられて頭を頬擦りされる。

 

「ロッテズルい!……あ、そうだお土産でミッドで評判のワッフル買ってきたから食べてみて?」

 

 不満そうにしてたアリアが何か思い出した様に紙袋からワッフルを1つ取り出して渡してきた。

 確かに見た目は良いな……っとこの体では片手では保持は無理だな。

 

「アム………」

 

 両手で持って一口。

 

「て……手が小さいから両手で食べてる」

「あ~もう何でコイツは私らのストライクをド直球で攻めるかな~萌えるから良いけど~♪」

 

 ………食べるのも一苦労だな。

 コレの弟子だったクロノは相当凄かったんだろうな……主にセクハラとかで。

 

「――――っ!ロッテ」

「おうよ、アリア!」

 

 突然、アリアが隠していた猫耳を立たせた。それに察してロッテが俺を膝から降ろしてベンチに座らせると、立ち上がって戦闘態勢に入った2人……

 

 

 

―――チュドオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!

 

 

 

 公園に降り注ぐ4つの光。それに生じる衝撃で砂埃が立ち上がるがすぐさま突風で吹き飛ばされて4つの光の正体が現れた。

 

「主を―――返せ」

 

 ディレィスペルで魔法を数個キープ、いつでも殲滅準備万端なリインフォース。

 

「言った傍からこれですか?良いですよ私は別に?では選んでください。バインドで縛りつけてゼロ距離のルシフェリオンブレイカーか動けない程度に痛めつけてからのルシフェリオンブレイカーかせめての情けとして片腕だけを残して精一杯抵抗してからのルシフェリオンブレイカーか好きなのを選んでください」

 

 物騒な事は今に始まった事ではないが。流石オリジナルがなのはなだけあって容赦がないサクラ。

 

「ドロボウは嘘つきの始まりなんだぞ~!!………あれ?何か違うような……とにかくコダイを返せー!!」

 

 うん逆だな。言動はいつも通りだがバリアジャケットがフェイトの『ソニックフォーム』に代わる『スプライトフォーム』にザンバーを肩に担いでいるエル。一気に勝負を決める気か?

 

「答えろ泥棒猫――――――滅殺か虐殺か選ばせてやる。我は両方を推すぞ?両方がいいのか?両方か?よし分った両方だな」

 

 あ、生かす気ゼロだなアンズ。威圧感凄いな、まるで王様見たい……って王様だった。

 

「ヤバイね―――流石に私らじゃこの陣営はキツイわね」

「だけど諦める訳にはいか無い。このお人形みたいなコダイは持ち帰って」

 

 持ち帰る気だったんだ。

 

「この世界の言葉にある通り猫可愛がる!!猫だから!」

「ロッテ多分使い方違う」

「え?!だって『猫』ってついてるよ?」

 

 逆だ逆……

 

 

 

――ドガアアアアアアアアアアン!!

 

 

 両陣ぶつかり戦闘開始。

 それにしてもこの2人もクロノの師匠と言うだけあって2対4でも隙を崩さないな。

 ロッテが肉弾戦で相手を翻弄して、悟られない様にアリアに入れ替わり魔法戦にスイッチして相手に迎撃の隙を与えない。逆も同じ魔法を発動中のアリアに向かって来る敵をロッテに入れ替わり迎撃………これはリインフォースは大丈夫として本当の実戦慣れが無いマテリアルズは不利だな。

 

「ん?」

 

 不意に体が持ち上がった。感覚的には襟首を掴まれて猫の様に……さっきから猫が多いな。

 そんなこと思っていると戦場から遠ざかってる。

 

「≪大丈夫かいコダイ?≫」

 

 念話?この声もしかして……

 

「アルフ?」

「私もいますよ」

 

 久しぶりに見た大型犬のアルフにこっちは人型のリニスだった。

 アルフが念話なのは人型じゃないからでは無くて俺を咥えて運んでいるからだった。

 

「≪お、ようやく子供に戻ったね……って若干戻り過ぎな感じもするけど≫」

「私達と会った時と比べると背丈が若干低いような……たしか以前は女性になったと聞きましたが」

「どうせロストロギアの影響だ明日には治る」

「何でロストロギアの副作用を風邪みたいに言えるんですか?」

 

 だって何度も起きたら慣れるって。

 

「≪っと……このままじゃ危ないからちょいと危ないよ≫」

 

 アルフが言うと空中に放り投げられたと思ったらアルフの背中に軟着陸。またがっている状況だ………

 

「……ねぇアンタ本当にメシ喰ってる?何かあんまり重く感じないんだけど」

「ちゃんと毎日食べてるぞ?」

 

 それはあの3人に比べたら小食だけど……

 

「あ、そう言えば聞き忘れたけど如何してここに?」

「今日は私がアルフの散歩をしてましてその途中に魔力反応がありまして、それを頼りにここに着いたんです」

 

 あ、やっぱり気づかれたんだ。

 

「まずは結界を出ましょう。それからリンディ提督とグレアム提督にこの事を知らせなければ―――」

「にしてもやけに馬鹿でかい結界だね。あっちマジギレっぽかったし」

 

 リインフォースも逃がす気は無さそうだなかなりの広範囲で結界を張っている様だ。

 

 

「ウェエエエエエエエイトッ!!!そうは問屋が卸さないぜ泥棒猫及び泥棒犬!!」

 

 そんな意味不明な叫び声と共に走っているアルフ達の行く手を遮る様に滑り込んできたのはさっきまでリインフォース達と戦闘してたロッテ、それに続きアリア。

 

「流石フェイト達を出し抜いただけあって一筋縄ではいきませんね」

「くっ……コダイ!ここはアタシらが抑えるから逃げるんだ!」

 

 アルフが俺を下ろして人型になった。鉢合わせた瞬間戦闘態勢って……(フェイト)の影響か?

 

「おーっと戦闘は待ってくれないかい?犬っ娘に猫っ娘」

「アタシは狼だ!!」

「落ち着いてくださいアルフ……それで、止める理由は何故ですか?」

 

 アルフが毎度のネタに切れてリニスが抑えて話を聞き始めた。

 

「簡単だよあんた達がコダイを連れ去った理由は………多分私達を同じだね」

「同じとは?」

「つまり持ち帰って愛でる、それはもうめちゃくちゃに」

 

 アリアの問いに疑問を持ったリニス。それに答える様にロッテがニヤリと笑った。

 

「何言ってるんだい!アタシは純粋にコダイを守りたいからだよ!」

「そうです!年中発情期な貴方たちと一緒にしないでください!!」

「ほほ~う?」

 

 アルフとリニスの講義を意に介さず笑みを崩さないロッテ……

 

「そうは言いつつも動物部分(ほんのう)は正直だよ~」

「あんた達尻尾と耳が期待してる感じで忙しなく動いているよ~」

 

 

――ピコピコ♪フリフリ♪

 

 

 本当だ……

 アリアが言う通りアルフのリニスの耳と尻尾が動いている。

 

「はっ?!ちょっ―――!!」

「ってコラっ―――!!」

 

 慌てて尻尾や耳を押さえ始めるアルフとリニスだがどちらか一択しか押さえれないので無駄な抵抗になっている。

 

「つまりここで私らが戦ってもリスクは無い。むしろ協力すればこちらも4対4になりメリットが増える――それに良く考えてみて?例えここで私らを倒したとしても次に待っているのはあの4人だよ?」

「た、確かに……」

「連戦であの4人はちょっと……」

 

 アリアに見事に懐柔されていくアルフとリニス……

 

「――――はっ!!」

 

 突然何かに気づいた様に目を見開くロッテ。

 

「アリア……私とんでも無い事に気づいた」

「ロ、ロッテ?」

 

 あまりにも真剣な顔にさっきまでの軽快な雰囲気が重くなったような――

 

「私ら全員使い魔……つまり!愛でる事も出来れば動物形態になって愛でられる事も出来る!!!」

 

「「「っ!!!!」」」

 

 

 ―――気のせいだった。

 他の3人がもれなく固まってるし。

 

 

――ガシッ!!!

 

 

 あ、4人が頷き合って固く手を握り合った。無言の成立が成ったな……

 

 

――チュドオオオオオオオオオオオオン!!!

 

 

 そして、空気を読むかの如くリインフォースとマテリアルズが登場。

 

 

「管理局の歴戦の勇士と呼ばれた人の使い魔」

「付いてこれるか―――同志よ!」

「私とてかの大魔導師の使い魔………遅れは取りませんよ」

「この面子じゃ迫力不足だけどあいつ等のオリジナルと何度か戦った事がある『経験』ってのあるさ!」

 

 

 アリア、ロッテ、リニス、アルフのチーム『バカ使い魔』に―――

 

 

「消えるがいい―――闇の中に」

「いえ―――灰の方が良いです肥料になって地球にも優しいです」

「良く分んないけど取り敢えずあいつ等スラッシュすればいいんだね!」

「さて―――王からの判決は死刑だ」

 

 リインフォース、サクラ、エル、アンズのチーム『アホプログラム』……

 

 両陣が中央でぶつかり、戦闘狂(シグナム)がいれば乱入しそうな高レベルの魔法戦が繰り広げられた……と言うか相変わらず渦中の俺は蚊帳の外だな……

 

≪は、早く皆を止めないと~≫

「止めるって言っても、この頃は魔力はあっても魔法が使えなかったしな―――ん?」

 

 右手を目の前にやり、魔力を込めようとするがウンともスンとしなかった………だが指先に突如冷たい感触が返った。

 

「何だコレ?水?………と言うより雪?」

 

 新学期間近なのに?降って来た上を見上げると―――

 

 

 

 

 水色のミッド式の魔法陣が見えた………

 

「逃げるか」

≪うん?≫

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数分後……テスタロッサ&ハラオウン家。

 そこには先程まで戦争をしてたチーム『バカ使い魔』とチーム『アホプログラム』の計8名が正座させられて、リンディ、ギル、プレシアに説教されている所だった。

 先程の魔法陣は予想通りクロノのエターナルコフィンだった。

 クロノが駆け付けたのはやはりあの結界が反応したらしく、リーゼ達が起こした物だと分ったらしくギルとプレシアの双方使い魔の主から『多少手荒でも良い』と許可を貰ってあの氷漬けである。

 

「―――で、どうなるのこの後?」

「結界は張って被害は0だから、魔法使用の注意だけだな。だけどリーゼ達は以前の事件から間隔が短いからどうなるか……」

「ん~……そうだ、まだ嘱託魔導師になって無いマテリアルズの実力を見るための模擬戦って事にすればどうだ?そしてその責任で嘱託魔導師の試験を合格させる為の教育係にするとか?」

「成程……アリアとロッテは新人の武装局員を教導してるし教育係としては適任だな……腕は確かだし」

「観戦したから分る……腕は確かだ」

 

 クロノと互いに『腕は』と強調した。

 

「所でこの時間帯だと朝食はまだ見たいだな?」

「作る前に攫われた」

「ならこっちで食べて行くと良い……と言っても今の君を見れば母さんから許可は貰えそうだけど」

「それは誰でも分るな」

 

 唯でさえ小さくなってるから弄る対象だよな。

 

「じゃあ私が案内するよ~」

 

 エイミィが元気よく俺の手を引く。クロノが小さく敬礼した……あ、エイミィもリンディと同類だった。

 

「私がお膝に乗せて食べさせてあげるよ~♪」

「いや、いらないから」

 

 その後、リーゼ姉妹は俺の言った通りマテリアルズの教育係になった……

 

 

 

 

 

 

 あ、体だけど翌日には元の9前後の体に戻った。何とか4年生には間に合ったな………




頭翅様、夢物語様、アキ様、松影様、桜日紅葉雪様、感想を有難う御座います。

~次回もお楽しみにしてください~

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