魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~ 作:メガネ
「ん………」
いつもの様に迎えた朝、今日は何を作ろうと献立を考えながら起き上がる………
取り敢えず朝は和食にして。
「……ん?」
起き上がった時に違和感があった。
何かが乗っかっている感じ、起き上がるとそれがぶら下がっている様な感覚になった。
違和感の正体である下を見て見ると……ワイシャツが盛り上がって視界を塞いだ……これは―――
「あ、女になってる」
違和感の正体は膨らんだ私の胸だった―――――
「――――って!何でそんなに冷静で居られるんですか!!」
リビングで皆に状況を説明した後、テーブルを叩いたリインフォースの第一声。
朝起きたら全員鳩が豆鉄砲を喰らった様に同じ顔をしてて面白かった。
「なってしまったのは仕方ないし……大人しくしてれば治るでしょ?」
「風邪と一緒にしないでください!!性別変わったんですよ!?唯でさえ女性にしか見えないのに!!何でそんなに落ち着いていられるんですか!?」
「時々オシャレで胸作ってたもん」
流石にここまでは大きくしてないけど……
「だから―――!!」
「リインフォース、落ち着いてください………今は元に戻るべき方法を」
「そ、そうだった……」
暴走仕掛けるリインフォースを宥めるサクラ………朝から元気だね。
「その前にまずは服ですね」
「服?別にこのままでも良いじゃない?」
今の服装は、何時も寝巻に使っているワイシャツだけど胸が苦しいからボタンを3つほど外している。
「ダメです―――と言いたい所ですが此処にはサイズがありません―――――ハァ」
リンフォースが自分と私を見て溜息を着いた
「コダイの胸、リインフォースより大っきいもんね!」
「グッ―――――!!」
私とリインフォースの胸を見比べてたエルが笑顔で答えると、うめき声を上げたリインフォース。
「……と、とにかく姫が女性になった理由を見つけねばな」
「そ、そうですね……なら、専門家に聞いてみましょう」
話題を元の戻したアンズとサクラ。
専門家?そんな専門家って………あ、八神家ねあそこには良い医者がいるし……
――グ~
「それよりもお腹すいた~」
エルのお腹の虫を聞いて朝食前なのを思い出した
「そうだね、早速作るよ。はやて達もまだ食べて無さそうだし連絡は食べた後で良いんじゃない?」
寝間着の上にエプロンを付けて台所に向かう。
取り敢えず胸が重い以外特に問題なく朝食を済ませる事が出来た……胸が出来て体積が増えても食べる量は変わらなかった。
サクラが連絡して数分でシャマル―――と言うか八神家が来た。
「な―――なんじゃこりゃああああああああああああ!!!」
――モミモミモミモミモミモミモミ!
状況説明した後のはやてのセリフである…………私の胸を揉みながら。
「何やねん!シグナム並みやと?!弾力も負けとらん……せやけど他のオッパイを追随許さないのはこの感触や!吸い付くようにしっとりとしとる………何やこのオッパイは!!」
いや、それを聞きに呼んだんだけど……
「シャマルより背が低くて腕とか腰とか脚とか細くて巨乳とかなんやの!?ロリか?!ロリ巨乳狙っとんのか!?」
――ゴンッ!!
「きゅ~」
なんか面倒くさくなったので取り敢えず頭を殴って黙らせた。
「シャマル……原因分る?」
「もしかしたら……祝風の―――元・闇の書を取り込んだのが原因かと……」
闇の書の防衛プログラムかな?……取り込んで体にいいとか絶対ないしねアレは。
「危険性は?」
「無いですね……性別が変わっただけですので1日経てば元に戻ります」
1日だけでよかった……こんなの続いたら最悪だよ。
だって女だったら女装が出来なくなる、オシャレじゃなくなる……そんなの死活問題よ。
「1日どうしようかな」
正直、良く動けないだろう……重くて肩が凝る。
「とにかく―――服を着ろ」
「別にこのままで「着ろ」は~い」
シグナムに言われ着替える事に……と言うか殺気出すこと無いじゃないのよ……全く怖くなかったけどさ。
取り敢えず以前プレシアに貰った青い着物に着替える事に和服はあんまり体型関係無いからね。着替える時、違う部屋に押し込められたけど……
「こーして見ると本当にお前ってアイツに似てるよな」
突然、ヴィータが呟いた。
「アイツ?とは誰だ」
「ほら、シグナムアイツだよ夜天の――」
ヴィータの言っていたアイツは夜天の創設者の事だった。
「確かにそうね。夜天の創設者……つまり私たちのお母さん的な存在ですよね」
「シャマルの言う通りだな」
小さく頷く子犬形態のザフィーラ……子犬になってから子供たちに撫で回されてるらしい。私もやる、散歩してる所を見たら。
「えっと……アイツがコダイに似ていて、アイツが私らのお母さんだから………コダイは私らのお母さん?」
「ヴィータ、何言ってるか分らないから落ち着いて?」
接点無いよ?瓜二つなだけで……
「ん~――――えい!」
――ムニッ♪
行き成りヴィータが抱き付いて来て、顔を私の胸に埋めて来た。
「はぁ~何か懐かしい~お母さんに抱き付いてるみたいだ~」
夢心地で頬ずりをする、凄い顔が蕩けてる。
「ハッ!私は何を………って!いつの間にかヴィータがコダイ君の神乳に顔を埋めとる?!」
殴ったはやてが目を覚ますと同時に騒ぎ出した、それよりも何その『神乳』ってランク分けされてるの?
「ん~♪お母さ~ん」
そんな事を知らずに頬擦りをやめないヴィータ。
「いいな~……ねーねー次僕やっても良い?」
羨ましそうに指を咥えて見てるエル。
「ん~良いぞ。ほら」
「ヴィータが答えるの?」
ヴィータが横にずれてエルのスペースを作った。
「とりゃ!」
――ポフッ♪
エルが勢い良く抱き着いてきた。
「………ふぁ……凄くいい匂いコレがお母さんの匂いなのか?!」
「知らないから。後お母さん違う」
あ~でも女になってるから否定できる要素無いな~
前の世界じゃ理由はどうであれ色んな意味で子沢山だったし……あ、思い出したらまたムカついた。
「ヴィータ離れろ、トキガワが困るだろう……」
「やだ」
さっきのイラついたのを違う意味に感じ取ったのか。シグナムがヴィータを剥がそうとしたが駄々っ子の様にきつく抱き着いて来たヴィータ。
「いいよシグナム、別にまだ動くつもりは無いから」
「しかし……」
「―――と言いつつシグナムもヴィータちゃん見たくコダイ君に甘えて見たいんじゃないの~」
特に問題無いのでそう言うと、少し渋るシグナム……をシャマルが横から楽しそうにからかう。
「シャマル!!」
「きゃ~お母さ~ん、シグナムが怒った~♪」
わざとらしく棒読みでシャマル達が逃げてシャマルが私の後ろから抱き着いて来た。
――モミモミ
「あら本当。はやてちゃんの言う通り私達とは全然違う感触」
そして後ろから胸を揉んできた。
「あーシャマルまでズルい!私もまだ揉み足りへん!」
欲望に忠実ね~
「はやて、コッチコッチ真ん中!」
ヴィータがエルと真ん中のスペースを開けてはやてを手招きしている。
「ならそこまで我が運ぶぞ」
「ありがとうアンズちゃん!」
「我も貴様と同じだ」
アンズがはやてに肩を貸してやって来る。アンズはあんな態度とは裏腹に自分の周囲の人間には優しい……それ以外はそのままのだけどね。
「では私はザフィーラを……」
「待てサクラ、何故こっちにまで振るんだ?!」
「コダイ様の胸に顔を埋めるための口実です」
サクラがザフィーラを抱えて来る。と言うかこっちも忠実すぎる……
そしていつの間にか包囲網が完成。
真ん中にはやて、それを支える様に両隣にヴィータとエル、両脇からサクラとアンズ、後ろにはシャマル、頭の上には子犬のザフィーラ……
「なにコレ?」
「私に聞くな……」
目の前に1人いるシグナムに聞いても答えは出なかった………あ、1人って言うのは……
「……………」
リインフォースはコッソリと私の右腕に腕を絡めて抱き着いていた。
「リインフォース?!何時の間に」
「シャマルが逃げた時に紛れてたよ?」
と言うか気づかなかった?
「ほら、シグナムも恥ずかしがらんでこっちこっち」
「いいいいえ主はやて!私は別に―――」
「なら別にええやん、コダイ君いい匂いやで~ちっちゃいで~オッパイは大きいで~」
はやてがシグナムを手招き……と言うか誘惑に近いわねそれ。
その対象のシグナムはチラチラと私を見ながら数分後………
「……それでは失礼――」
誘惑に負けて私の左腕に抱き着いて来た。
「そうか……コレが、母親」
シグナムが今までで見た事が無い位穏やかな顔をしている
「あ~コダイ君1つええか?」
「ん?何はやて」
「え~っと……今日だけでええから『お母さん』って呼んでええか?」
「はやてまで言うの……?」
「だってヴィータがお母さん、お母さんゆうて甘えてるのがちょお羨ましくなって……」
「別に良いけど……ヴィータだって勝手に呼んでるだけだし」
何で皆、私の事お母さんって言うのかしら?
「あ~……そろそろ昼食の準備するから離れてくれる?はやて達も食べてって良いから」
「「「「は~い♪お母さん♪」」」」
夢心地で抱き着いてくる子供組が笑顔で離れたって全員お母さんって―――
「お母さん、私も手伝うわ♪」
「お母さんの邪魔させるか!!」
シャマルが手伝おうとしたらヴィータがアイゼンを起動して止めようとしてる。
あの反応からシャマルの料理の腕は未だにある意味健在の様ね―――
「さて、今日は何しようかな~」
「その前にここから降ろしてくれ」
あ、頭に乗せられたザフィーラを忘れてた。軽くて気づかなかった……
後ろが騒がしい中昼食を作る事に――――
その後、特に出かける用事も無く八神家とのんびりしてるだけ。トラブルも無く翌朝には元に戻ってた……
でも、被害があったのは私じゃないんだよね?
~おまけ~
「―――って事があったんや」
「「「「「っ…………っ!…………!!!」」」」」
更に翌日、翠屋で学校帰りのなのは達と待ち合わせてその事を話すと。
なのは、フェイト、アリシア、アリサ、すずかがテーブルに突っ伏して震えていた。
「あいつ……どこまで……」
アリサが突っ伏したまま、絞り出すように声を出した。
はやてから語られるのは女性になったにも係わらず通常運転で、否定の説得力がない『お母さんっぷり』である。
「はい、シュークリームとジュースお待たせ―――って何で皆死んでるの?」
「ある意味コダイ君の所為やな」
「?」
なのは達のシュークリームとジュースを持ってきたメイド服を着たコダイが突っ伏した5人を見つけ、はやての答えに首を傾げた。
取り敢えずなのは達の前に注文の品を置いた。
「はやてちゃん、お家の人来たわよ♪」
それと同時に桃子がヴィータ、シグナム、シャマルを連れてきた。
「いらしゃいませ♪」
手伝い中のコダイは即座に接客に対応した。
「あ、お母さ―――――――」
『お母さん』と言いかけそうになったヴィータが笑顔のまま真っ赤になった。
「コ、コダイ!!」
慌てて大声で言い直した。
それを見た桃子は『あらあら♪』と楽しそうに笑っていた。
「うふふふ、仕方ないわね。散々言ったんだもの。ごめんねお母さ―――あら?」
フォローするシャマルだが、自分の言ってることがおかしいと感じた。
「シャマル……お前も言ってるぞ」
「っ!!」
シグナムに指摘され、ヴィータと同様真っ赤になった。
「はぁ、もう終わったのだから切り替えろ……すまないお母さん」
「え~っとシグナム?シグナムが一番ハッキリ言ってるで?」
「な……えっ?!」
はやてが苦笑交じりに言うと、同じく赤面化。
「スススススマナイ!お母さ―――でなくて!」
「ごめんね!おかあ―――ああもう!」
慌てて謝ろうとするが再び言いそうになって、俯いた……
「えっとね……御免なさい、暫く治りそうにないから……」
「め、迷惑を掛けるが……なるべく早く治す」
「うん、わかった……だけどお店の中では静かにね?」
「「「はい……」」」
暫くの間、ヴィータとシグナムとシャマルのお母さん呼びが続いたとか……
「あらあら♪人気者ね~お・か・あ・さ・ん♪」
「桃子……それワザとよね?」
アマデウス様、頭翅様、松影様、感想を有難う御座います。
~次回もお楽しみにしてください!!~