魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~ 作:メガネ
ある日、プレシアに呼ばれてハラオウン&テスタロッサ家に来てみたら、プレシア一人だった。
リビングに案内されて一息着くとプレシアは。
「コダイ――――私の恋人にならない?」
と言って来た。
――ガタガタドタドタドガシャン!!
すると、突然激しい物音が。
「お母さんどう言う事!?」
「母様!恋人ってどういう事!?」
「プレシア―――アンタ、バツイチだからって子供にはしる気かい!?」
「少しは年齢を考えてください!!」
なだれ込んで来たのはテスタロッサ家………後半のアルフ、リニスの使い魔'sはプレシアの怒り(サンダーレイジ)が落ちて黒焦げにされた。
「「ストーカー?」」
私、フェイトが首を傾げる。まだ使い魔達は黒焦げ状態………ほらそこのアリシア、その黒焦げを突かない。
「――――ってストーカーって何?」
――ガクッ!!
プレシアとフェイト……そして黒焦げを突いてたアリシアがコケた。
「ハァ……ストーカーって言うのわね……」
プレシアが溜息交じりに簡単に教えてくれた。
特定の他者に対して執拗に付き纏う行為を行う人間の事を言うらしい……
そしてプレシアがその被害に合ったと……以前、ある男性に告白された、俗に言う一目ぼれらしい。
プレシアはそれを断った………だけどその男はしつこく迫って来てると。
「何よその男気持ち悪い」
素直な感想だった。
「此処がミッドだったら、サンダーレイジで何とかするんだけど……」
チラリと黒焦げの使い魔を見る……非殺傷設定だから生きてるよね?
「―――そこで、手っ取り速く諦めて貰うためにコダイに私の恋人のフリをして、ストーカーに見せつけるのよ」
「…………大丈夫なの?見た目的な意味で?」
正直言って凄い役立たずだと思うわよ?
「周りに頼めるのアナタしかいないのよ……」
「士郎とか恭也が居るじゃない?」
「相手がいる人に頼むのは気が引けるじゃない……現時点で見た目とか諸々で釣り合うのがアナタしかいないのよ……」
つまり消去法って訳ね………
「それなら仕方ないわね………何時にする?なるべく早い方がいいし」
「明日は祝日だからその日に」
「分ったわ」
「じゃあこれ」
プレシアが大きな紙袋を渡してきた。
「当日はコレを着て頂戴。流石にソレじゃあどうやっても女にしか見えないもの………待ってるわね♪」
そう言ったプレシアは嬉しそうだった………と言うか。
「「………………」」
――ツンツン
「大丈夫~?」
生きてるよね?……本当に。だからアリシア、いい加減突くのやめよう。
家に帰ってから、その事をリインフォース達に伝えると『演技ですからね!演技ですよ!!』と凄い剣幕でリインフォースに言われた……当たり前なのに。
「少し早く来たかな?」
翌日。プレシアに渡された服に着替えて迎えに行く。
渡された服は青い和服に赤い革ジャン。髪は長いためヴィッグで肩に掛かる位に色は黒。(見た目は空の境界の両儀式)
確かに和服なら男女関係なく見えるけどさ……それに革ジャンってセンスは―――――良いな、今度のオシャレに追加しよう。
マンション前に差し掛かるとそこにはもう既にプレシアが居た。
「あら?似合ってるじゃない」
「そう?私的にも良いと思ったわ……」
そう言えば和服はまだ試してなかったけ?初詣で桃子に振袖着せられた以来ね……
「それはそうと、今日はどうするの?」
プランは後で話すって聞いたから。
「そうね……適当に街を歩いてストーカーに見つかり次第行動に出ようと思うの」
「それしか無いみたいね」
「ええ……あ、それと喋り方を戻してくれないかしら?」
「喋り方?元に?」
「あなた、子供の時はもっと中性的だったわよね?それに戻さないと流石に男には見えないから」
あ、そう言えばそうね……
「一応コレが地の喋り方なんだけど」
「時々あなたの性別を本気で疑うわ」
とにかく口調を以前の物に変えないとダメらしい。
一先ず街をぶらつく事になった……流石祝日だけあって人が多い、この中でストーカー?を探すの一般人なら困難ね。
「……プレシア、聞いてはいないがそのストーカーの特徴は何だ?」
言われた通り子供の時の口調で話した。今思うとこれ疲れる……でも子供に戻ったらこの口調に戻さないといけないし。
「見た目は良いわよ……けど中身が粘着質と言うか……」
「俺みたいに中身が最悪か?」
「……それ自分で言う?」
だってド外道で性格最悪は自覚してるし。
「はぁ……何でこんな歳が離れてる私になんか―――」
「見た目は桃子と大した変わらないがな」
「良くも悪くもあなたのお陰だけど……」
プレシアはあの子の能力で病気を治した――――正確に言えば病気に罹る前に『戻した』と言うのが正解。
イメージを正確にしなければいけないこの能力で治すには『治す』イメージだけでは足りない。なのでリニスの日記に書かれていた『病気に罹る前のプレシア』でイメージを補完した。
アリシアもその日記に書かれてたので補完して蘇生させた。
………あの時、手が滑ってプレシアをそこで『固定』してしまいイメージが完全ではないので不老……とまでは行かないが物凄く老いにくくなった。
当時その事をプレシアに話すと少し嬉しそうだった………
「そう言えば買い物の時、何時もここに居るけどあなたを見かけた事は無かったわ……何処で買い物をしているの?」
「今まではココと大型スーパーで済ませたが。最近は少し遠い業務用スーパーで買っている」
「業務用スーパー?また何で」
「最近増えた4人中3人が約3倍食べるからだ……」
「そ、そう……でもその頃は育ち盛りだし……」
プレシアはその3人が誰なのか理解したみたい。
サクラ、エル、アンズの3人だエルはガツガツ目に見えて食べているのが分るけど、サクラとアンズは静かに食べてもエルと同じスピードだった。
別に金は平気だけどだからって使う訳にはいかないし。桃子と士郎に業務用スーパーの場所を教えて貰いそこで食料を買う事にしている。
「少しでも抑えないとな。冷凍肉とかキロ単位で売られてるし野菜とかも大袋で売られてるし………一升瓶見たいなマヨネーズもあったしな」
安くても美味しい料理はいくらでも作れる。
「良い事聞いたわ……今度場所教えてくれないかしら?」
「そっちも大所帯だしな、確か―――ん?」
人の視線が……もしかして。
「どうしたの?」
「いた」
携帯のカメラ機能を使い自分の背後を映してズームする。
「こいつか?」
画面に映っている物陰に隠れてこちらを見ている男。
「そうよ……」
少しだけ後ろを振り返ると、視線で殺せそうなくらいにこっちを睨んでいる――
成程気持ち悪いな。
「『DEATH NOTE』で脅してくる」
「やめなさい、そんな事が出来たら私がとっくにしているわよ」
確かにそうだな……サンダーレイジとか言ってたし。
「……作戦実行ね」
そう言って突然腕を絡めてくるプレシア。
「プレシア?」
「恋人同士に見せるためよ♪」
そう言えば恋人役だっけ?
「それは分った……どうすればそんな風に見える?」
「2人で仲良くこうくっついてれば遠目からはそう見えるわ」
「良く分らないが……いつも通りにやればいいか?」
「あなたの場合はその方が良いわね………さて、デートを楽しみましょうか……あ・な・た♪」
プレシア、それは恋人よりも夫婦に近くない?
後何か殺気を含んだ視線が増えてるし。
最初にやって来たのは雑貨店……と言ってもただ店の中を回るだけの冷やかしみたいなもの。
「へぇ~色んなモノが置いてあるわね」
「此処なら当たり外れも無いしな」
此処は以前、なのは達に引っ張られて連れられた店だった。
何と言うか購入以外で店に入って見て回るのは意外に新鮮で面白かった。
「それよりも……まだいるの?」
「いるな、しつこく」
プレシアが腕を絡めている状態のまま小声で話す。
店に入って付かず離れずの距離を保っている……
「もっとらしく見せた方が良いかしら」
「らしくって……一体どうすれば?」
「そうね………さり気無く体に触るとか?」
さり気無くって―――それが分らないんだけど……ん?
「これは……」
何となく視界に入った物を手に取って見ると、それは地味でも無く派手でも無い、紫の髪飾りだった…………あ、これなら。
「プレシア、少し動くな」
「え?どうしっ――――!!」
プレシアと向かい合って首に腕を回す。
そして髪に触れ、耳の後ろから指を通して簡単に整えてプレシアの後ろの鏡を見ながらさっきの髪飾りを付けた。
「こんなもの………か?」
髪飾りをつけ終わり離れると………なぜかプレシアが真っ赤になっていた。
「え?」
「あなた分ってる?自分の顔について……」
「当たり前だろ?鏡を見ない訳でも無いし……」
男の要素が全く無い女顔って事位は。
「ハァ……」
アレ?溜息つかれた
「まぁ体に触れるとは言ったけど顔を近づけるのは駄目よ。私みたいになるから」
「………分った。でもそれと顔が赤くなるのとどう関係が?」
「あなた見たいに物凄く綺麗な顔で近づかれたら誰だって赤くなるのよ……」
良く分らないけど…………取り敢えずダメと。
「それにしてもまた何でこんなものを?」
プレシアが後ろの鏡を見ながら髪飾りに触れる。
「プレシアの言う『らしく』見せる切っ掛けだな。それと単純に――――」
「単純に?」
「付けたら似合うだろうと思ったから」
プレシアの黒髪にも邪魔にならないし………
――ボンッ!!!
「~~~~!!」
突然、プレシアが爆発した……どうした?
「本当に大丈夫か?風邪ならもう―――」
「だ、大丈夫よ!――――迂闊だわ、こんな簡単に私が……と言うかどこまで天然なのよあの子は、フェイトが落ちる訳よ………」
本人が大丈夫とか言ってるから良いだろうけど……さっきから顔赤いし何かブツブツ言ってるし……
「プレシア、此処で良いのか?」
昼も近くなったので昼食に何処が良いと聞くと、プレシアが答えたのはファーストフード店だった。
「食べた事が無いから挑戦よ……それに、こうゆう時でも無いとリニスがね―――」
「半年前まで重病人だったんだからな」
インスタントとかファーストフードは食べすぎると栄養が偏る代表的な食べ物だからな
店に入ってホットドックとアイスコーヒー、プレシアも同じのを頼んだ。
開いてある席に座り早速頂くことにした。
ちなみにストーカーはまだいる……いい加減諦めろ、視線が気持ち悪い。
「アム………うん、美味しい」
気分を変えるために早速食べ始める。
さっきはああ言ったが、たまに食べるからファーストフードは美味しい。
「結構ケチャップが掛っているわね……服に落ちない様に気を付けないと」
そう言って、慎重に食べる。
「あら?意外と美味しいわね……」
確かに服には落ちなかったけど、代わりに頬についた……
「確かにコレは何度でも食べたくなるわね……」
そのまま慎重に食べ進めるプレシア。
もしかして気付いて無い?
「美味しいのは分るが―――」
備え付のナプキンでプレシアの頬を拭いた。
「ケチャップついてる」
「あ……ありがとう」
小さくお礼を言って再び始めるが………
「……ん?どうした?」
「………何でも無いわよ」
このやり取りは3回目。こちらをチラチラ見て、こっちが向くと視線を逸らす………
それとストーカーいい加減諦めろ。
その後は訳も無く街を歩いていた。
「っ!」
「―――っと」
途中、転びそうになった、プレシアを抱き止めたり。
「あの~そこの黒い髪の人と着物の人のお2人さん」
「「はい?」」
「うわ~美男美女のお2人ですね~少しよろしいですか?」
マイクを持った女性に呼ばれたと思ったら『休日のカップル』などのテレビの放送になし崩しに出演したりとしていて………
気付いたらストーカーはもういなかった………諦めたのかな?
念には念を入れてストーカーを社会的に半殺しにすることに……気持ち悪かったなあの視線。
もうストーカーは居なくなったのでプレシアを家にまで送って帰る事にした。
翌日……なのは達に物凄い尋問を受ける事になった………どうやらあの放送は『生放送』だったらしい。
~オマケ~
プレシアが帰宅後。
「プレシア聞いたわよ、大変だったそうじゃない……」
リンディがリンディが少し心配そうに聞いて来た。
「えぇ……でも最後辺りは全然気にしていなかったわね……コダイも『念には念を入れておいた』って言っていたし、もう大丈夫だと思うわ。けど……」
「けど?」
それを聞いて安心したが、最後のプレシアの言葉に首を傾げたリンディ……
「………あの子ってアリシアとフェイトと同い年よね?何か私より年上に感じたわよ」
「あ~……確かに、あの子って何か私達と波長が合うって言うか、時々同年代の同性と話している気分になるわね……」
納得の声をあげるリンディ……思い当たる節が幾つも―――と言うかあり過ぎた。
「本当……私がリードするつもりが終始あの子のペースよ―――」
「成程~♪それで、デート中の大人コダイ君の色気にメロメロになっちゃったって訳ね~♪」
リンディが冗談半分で言った………
「……………っ~!!馬鹿言ってるんじゃ無いわよリンディ!あの子は今はああだけど子供なのよ!?」
「………あら~?」
予想外のプレシアの反応に呆然としたリンディ……その反応にいち早く反応したのは。
「お母さん?」
フェイト……
「チョットO☆HA☆NA☆SHIを……」
アリシア……
「聞かせて……」
アルフ……
「貰えませんか?」
リニス……
テスタロッサ家だった。
「あらあら♪さすが大人コダイ君、フラグ立ても完璧ね♪………あ、これでテスロッサ家全員攻略ね。ん~コダイ君が何処までフラグを立てるか楽しみだわ~」
修羅場な空気をよそにのどかにリンディ茶を啜っているリンディであった……
なぜか大人コダイになってから圧倒的にオシャレ(女装)の回数が増えていると思います……
頭翅様、松影様、半人前様、感想を有難う御座います。
~次回もお楽しみにしてください~