魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~ 作:メガネ
あれから色々あってもう二年生もあと少しって感じだな。
ん?流石に飛び過ぎだ?……と言ってもあんまり代わり映えの無い話だぞ?
アリサ、すずかの両方の家に遊びに言ってそのまま、また泊まる感じになったとか……あ、それとすずかの姉の忍って女とは気が合いそうだった。無意識に握手してたし。
学校でもあんまり変わらないな…四人で登校して、暇な授業を聞いて、四人で弁当を食べて、男子から逃げた(フリをした)りと特別な行事以外は特に無かったぞ…………
ん?いくらなんでも端折りすぎだ?…そんなのは
んで…………俺は今何やってるかと言うと………
「コダイ君、オーダーよろしくね♪」
「了解」
翠屋で接客をしている。服はメイド服だ勿論ロングスカートだ。
初めての入店以来、店に寄ると大体桃子がいろんな服を持って来てくれる、全部女物だが女装はオシャレだ。
で、桃子は殆どと言って良い程、なのはを巻き込み、娘にコスプレさせる始末。なのはは俺に救いを求めて涙目で俺に抱き着く。普通は助けるのだが忘れてはいけない………
俺は面白ければそれでいい……
快く桃子に献上し返した。
現在なのはは俺と同じメイド服を着ている。
「4番テーブル、シュークリームとブレンドコーヒーのセットだ」
「は~い、っとコダイ君そろそろ休憩しなさい、朝から働きっぱなしよ」
「そうだな………分った」
「そうだ!ついでにお使い頼めるかな?」
「ん?構わないぞ」
「じゃあコレ」
桃子がメモとお金を渡した。
「わかった、じゃあ行ってくる」
「気をつけてね~」
「で………どうしてこうなる」
なるべく小声で呟いた。店で頼まれたものを買って帰ろうとした時、突然の爆発音と共に現れたのは銃を持った覆面の男が沢山………うん、コレ強盗団だね。
全員縛られてる様だし……白昼堂々と強盗とは……ん?
「チョット!離しなさいよ!!!」
「イヤッ!離して!!」
犯人の1人が人質を連れて来たみたいだ……って、あの金髪と紫の髪ってもしかして……アリサとすずかだ……うん、間違いない。
何であの2人だけ?子供なら他にもたくさん……あ。
「そう言えばお嬢様だったな」
本当の狙いはアリサとすずかの親から金を取るため、人質は二人だけじゃなくここにいる客全員、要求に従わない時の見せしめにするつもりか。
全くどんなに恨みを持ってるか知らんが過激すぎだぞ………
さて、これからどうするか…武器は……昨日ハンドガンの整備をしたままだから持ってない、代わりに投擲用のナイフを60本……それ以上あるかも。
どうする?
1.犯人を殺す
2.犯人を完膚なきまでに殺す
3.犯人に生まれた事を後悔させて殺す
4の全部……は無理か、流石に人が多すぎる、やるなら誰にもバレ無い完全犯罪で無いと。仕方ない……憂さ晴らし程度に相手するか。
まず、誰にもバレない様に関節を外し縄抜けを行う。そしてナイフを犯人の上にある照明めがけて投げる。
――ガシャァンッ!!!
大きな割れる音が、この場にいる全員が視線を一つに向ける………今だ。
一番近くにいる犯人の一人を脳震盪狙いで顎先を殴り、呻く間も与えず意識を刈り取る。それを犯人のリーダー格らしき男の近くに投げ飛ばす、念のため腕の関節を外すか。
「なっ!誰だお前は!」
仲間が倒された事にようやく気づいて俺に銃口を向ける犯人共……俺が倒したのも含め15人か。
ここで名前言うのも面白くないし……ん?そうだ、俺そのまま翠屋を出たんだ……メイド服を着ているから………
「通りすがりのメイドです」
メイドだから敬語にするか、後口調も女に変えて。
「「あ…………」」
アリサとすずかが何か言いたそうだ、もしかして分った?念のために人差し指を口元に当てて首を傾げる、俗に言う『内緒にして?』のポーズだ。2人はこの意味を正しく汲み取ったらしく小さく頷く。
「で、そのメイドさんがどうしたんだ?まさかこのガキ共のメイドか?」
「全く関係は……無いとは言えませんが、縁があると言っておきましょう。それに早く用事を済ませて、仕事に戻らないといけないので早くその二人を助けさせてもらいます」
敬語疲れる……ってそこのリーダー格ニヤニヤした顔でこっちを見るな、気色悪い。
「分ってねぇな………こっちには銃があんだぜ」
手を挙げると犯人共が一斉に構え始めた………遅すぎ。
袖からナイフを数本取り出し。
「銃って…………」
銃口に狙いを定め一斉に投げる。
――ガガガガガガガガガガガガ!
一瞬の出来事で銃を落とす人、撃つ直前で暴発して気絶するものが半々……残り7人
「その玩具?」
挑発するようにナイフに軽いキスをする。
「お、お前は一体誰なんだ!?」
「さっきも仰った通りただのメイドですよ?」
「ただのメイドがそんな投げナイフが強いはずないだろ!?それよりナイフなんか持つか!」
「これ位メイド常識では当たり前ですよ?」
「何だそのメイド常識は!?」
「……さあ?」
「自分で言って知らねえのか!?」
俺も聞きたい、と言うかメイドですらも無いし。
「ぐっ………やっちまえ!たかが一人だ!」
リーダー格が命令すると7人の内4人がナイフを出して突っ込んできた。
突っ込んでくる一番近い順に最初の犯人同様、顎先を殴り意識を刈り取る。念には念を入れ、右肩の関節を外し携帯している銃も分解しておく。
1人…2人……3人………残りの3人は………大体考えてる事は分る、何て言うか悪党の考える事なんて手に取る様に分かる。同類だし。
俺はいつでも投げれるようにナイフを3本持ち4人目を倒した。
「おっと!動くなよ、これ以上動いたら人質が「知っていましたよ」ぎゃあっ!」
リーダー格の言葉に被せるように投げたナイフは3人のナイフの持ってる手に刺さり、もう一度3本のナイフ投げて犯人のナイフを遠くに弾き飛ばした。
その隙を狙い、リーダー格の顎先を殴り気絶させる。
――ヒュッ!
残りの二人は攻撃体勢に入っていたが顔面ギリギリにナイフを投げ意識を逸らし、同じように意識を刈り取った………意識を取り戻したのは……いないな。
「さて………」
再びナイフを取り出し、アリサとすずかを縛ってるロープを切った。
「本当にコダイ君?……」
「助けて……くれたの?」
「今はただのメイドですから」
それと久々に武器を使いたかったし……
「う……うわああああああああああ!!!………恐かったよぉ………」
「ひっく……ひっく…………グスッ………」
安堵感からきたのか大声で泣きながらしがみ付いてきた二人。
「「「「「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」」」」」
二人の泣き声に続いたのは人質だった人達の叫びだった。
あの後は人ごみに紛れて二人を連れだした。桃子にはあの後すぐ連絡をしたので問題はないだろう。頼まれた物もちゃんと持ってるし…
「アンタって、あんなに強かったんだ……こんなに腕細いのに」
「あの程度は問題無い。相手が小娘だと油断したからな。あと細いのは余計だ」
アリサが左腕を揉んだりさすったりしている。
「恭也さんが言ってたけど。とても何か習ってるって感じの手じゃないよね?小さくて細いし…」
「だから細いのは関係ない……」
翠屋に戻る道中、ずっとアリサとすずかが俺の腕を掴んで離そうとしない。
「あのね……コダイ君、ありがとう」
「アタシもありがとう…」
「どういたしまして……それとそろそろ離せ」
「「………」」
――ぎゅ~!
無言で抱き着くな。
「コダイ君!!!」
そんな事があって無事翠屋に着いた途端なのはに抱きつかれた。
桃子の話だとさっきの強盗事件が生中継にされていたらしく。なのはは大泣きで士郎は真剣持って飛び出しそうだったみたいだ。
しばらくは慌ただしかったが、その後は普通に営業した……んだが。
「それでね―――ってなって」
「そしたらコダイ君が――――をして」
「それでそれで」
店の奥の席でアリサとすずかが先程の事を休憩中のなのはに話していた。
何かテンションが上がっているのか立って身振り手振りをふまえて……
それをじっと見ていると、視線に気づいたアリサとすずかが顔を赤くした後、大人しく席に座った。
「何してんだ?」
「あらあら♪」
「……なんで、後ろから抱き着く必要があるんだ桃子」
何か楽しんでそうな声と共にまた後ろから抱き上げられた。
気配も読めないとか……
「コダイ君が可愛いからよ。ん~これはなのはも大変そうね~」
「何でそこになのはが出る?」
「ふふふ♪」
笑って誤魔化された。
何か笑顔がムカついたので上目づかいで『おねーちゃん』と言ってやった。
後日、学校にアリサが新聞を持ってきて、その見出しに『戦うメイドさん』として俺が大きく一面を飾っていたのは別の話。
元『ナイフは瀟洒なメイドの証byコダイ』です。
NACHT様、感想を有難う御座います。
~次回もお楽しみにしてください~