魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~   作:メガネ

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中編です……まだ続きます……


追憶………真っ白な『トモダチ』

 ある日、■が産まれた。名前はまだ無い……だけどあの子は■を『トモダチ』と言ってくれる……■は『トモダチ』という存在なんだ。

 『トモダチ』って何?って聞いたら。

 

 

 

――とても……とても大切なモノ

 

 

 

 と答えてくれた………じゃあ■は君の大切なモノなんだね。と言ったら『そうだよ』と言ってくれた。

 何故か知らないけどソレが凄く嬉しくてフワフワする。■はあの子と話す時間が大好き、その時間だけ■は生きているんだと分るから。でも、毎日がそうとは限ら無い………あの子と話せない時がある、その時は『外』で何かあったんだ。『外』で何があるのかをあの子は教えてくれない。

 ■はあの子の中にいるだけのただそこに『いる』と言うだけの存在………話したり聞いたり出来るけど、触れたりは出来ない……■には体と言う物が無い。

 話せない時はいつもあの子が話してくれるのを待っている……その時が一番辛い。■が本当に此処にいるのか分らなくなる………あの子がいないと消えてしまいそうで怖い…………あの子がいないと寂しくてどうにかなってしまいそうだ………

 お願いだからずっと傍にいて、■を一人にしないで…………■はずっとあの子の中で祈った。

 

 

 

――………ねぇ

 

 

 

 いつもの様に始まったあの子とのお話……けど、今日は違った……

 

 

 

――もし……ボクが……し………ても……『トモダチ』で……いて……くれる?

 

 

 

 いつもと違う………虚ろで……呟く感じだった。だから■は………『当り前だよ■はトモダチだから』そう答えた………

 

 

 

 今、思えば……こんな選択しなければどうなるんだろう。

 

 

 

 あの子はきっと―――いや、今更何を言っているんだろう………

 

 

 

 

 

 

 

 アノ子ハモウ…………壊サレテイルンダカラ………

 

 

 

 

 

 

 

 あの子は人を殺した……沢山殺した。自分の中のナニかが壊れて、自分の狂気のままに人を殺した………殺して狂って殺して殺す度に狂い、狂ったままに更に人を殺し狂う……何度も繰り返した。

 

 

 

 

 

 

 

 ……■は何も出来なかった………止める事も……救う事も。それでもあの子が生きていればそれで良いと思っている■は………壊れているんだなと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 あの後の事は覚えていない……けど、汚れて、壊れたあの子の体は跡も無く綺麗になっていた…………だけど。

 

 

 

――セウgホsン;ゴイsgンエイアオンフィオンgrsブオエjンsンドgssmfンシロンgバエンフェオアンゴsl

 

 

 

 なんだと思う?……コレはあの子から聞こえた『人間の声』なんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 世界はあの子を拒絶した………あの子が人を殺すと言った時に―――いや、それ以前に既にもう………

 『景色』は血肉と臓物が蠢く『地獄絵図』……『音や声』は耳も塞ぎたくなる『不快音』……『人間』はおぞましい『肉塊』……『臭い』は吐き出してしまう程の『異臭』……触れたモノの感触も尋常では無くなっていた―――

 もう……あの子の全てが壊れてしまった……

 幸いかどうか分らないけど、■の声は普通に聞こえたみたいでそれが凄く嬉しかった。またあの子とお話が出来る今度はずっと―――

 時が経てば……もしかしたら治るだろうと……

 

 

 

 

 

 

 

 だけど………そんなんじゃ無かった…………あの子の心は……もう治らない程、狂気に呑まれていた……

 

 

 

 

 

 

 

 アレから数日後…………あの子はずっと人を殺し続けている。それでも■は良いと思った……




ツキトが見ている世界は簡単に言えば『沙耶の唄』の主人公、勾坂郁紀が見ている感じと同じです。

コダイはこの頃は歳とか性別とか名前が無く『トモダチ』と言われて居ました。話し相手がツキトしかいないから二人称で十分成立しますから。

まだまだ続きます。

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