魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~ 作:メガネ
「…………………………………」
……ココ……ドコ?確か……吸収されて……え?生きてる?
「――――」
痛いと言う事は生きているって事か……鎖も羽も無くなった穴から血が溢れ出ている……
「う……あ………あ?」
あれ?喉が戻ってる……って事は結構な時間気絶していたのか?
「取り敢えず動かないと」
立てないので這う様に暗闇の中を進む。
「真っ暗だから進んでるだか分らないな………………レイ」
≪すぅ……すぅ………≫
まだ寝ているか。
――それはただの夢や!
声?……一体誰の………と体を引きずりながら考えると該当者が一人浮かんだ。
「はやて?」
今俺以外に闇の書の内部に居るとすれば、はやて位しか思い浮かばなかった。
――こんなん望んでない!あなたもおんなじハズや、違うか?
声を頼りに体を引きずる……
――私の心は騎士達の感情と深くリンクしています だから騎士達と同じように私も貴女を愛おしく思います。だからこそ貴女を殺してしまう自分自身が許せない………
この声は闇の意志?……いや闇の意志は外に居る、とすると恐らく闇の書のシステムの1つだろう。さっきより声が聞こえた、近づいてる。
――自分ではどうにもならない力の暴走、あなたを浸食する事も、暴走してあなたを喰らい尽くしてしまう事も止められない……
近づいてるのは分るがこう暗闇だと正確な位置が分らない。せめて明りが一瞬でもあれば……
――マスターの言う事はちゃんと聞かなあかん………
そう言うはやての声と共に少し先に白い光が………これなら。
もう崩壊寸前の体を再び鎖を巻き付け無理やり動かす、そしてあの光に向かって走り――
「無理です、自動防御プログラムが止まりません。管理局の魔導師が戦っていますが、それも…「見つけた」へ?」
間の抜けた声でコッチに振り返った銀髪の女を手加減したが割と本気で殴った……
――ボコンッ!!
「止まって……ちょ!?えぇっ!?吹っ飛んだ!?それに何でコダイ君が此処におるん?!って言うか何でそんなにズタボロなん!?」
「理由はそこの根暗女に聞け。俺はもう1発殴れたから終わった」
よし、気が晴れた。
正直あの左腕だとやった気にならない。
「何故……ここに」
「何故と言われても……気付いたら此処にいた」
それを聞くと根暗女はかなり驚いた。
「闇の書に取り込まれたものは夢を見るはずだ……それは覚める事無い眠りの内に終わり無き夢を見る、生と死の狭間の夢、それは永遠………なのに何故此処に」
え?何?……取り込まれたら抜け出せないような夢を見るのか?どれだけ極楽な夢だよ……それに言い回しが面倒くさい。
「プログラムの一部を取り込んだとしてもこんな事は―――!!まさか………」
話しの途中で根暗女が目を見開いた。
「お前には……無いのか?…………欲しいと願う幸せが……このまま居たいと思う夢が……」
「…………無いな。俺は今まで自分が幸せと思った事なんて一切無い―――」
「コダイ君……それって」
はやてが何か言おうとしたが手で制した。
「今は……コレを止めるのは先だ」
「あ………うん!」
少し、寂しそうな表情をしたが直ぐに無くなった。
「外の方……えっと管理局の方!!」
≪≪あっ!!≫≫
この空間に響く様に声が聞こえる……なのはとフェイトか。
「こちら…えと……そこにいる子の保護者の八神はやてです!!」
≪≪はやてちゃん!?≫≫
「え?なのはちゃんフェイトちゃん!?ホンマに?!」
はやてもなのは達の声に驚いてる。
≪うん!私達だよ。色々あって、闇の書さんと戦っているの!≫
≪もしかして動きが鈍くなったのって……≫
「私が魔導書本体からはコントロールを切り離したんや……切り離したんはええけどその子が走ってると管理者権限が使えへん、今そっちに出ているのは自動行動の防御プログラムだけやから!」
≪え?えっ!?どう言う事?フェイトちゃん!≫
≪え~とつまりね、はやてがここにいる防御プログラムとのリンクを切ってこれ以上強くならなくなったけど、防御プログラムがここにいる限りはやて達が出られないんだよ≫
≪じゃ、じゃあどうすればいいの!?≫
≪アレを止めれば良いんだけど………≫
何か悩んでるみたいだな………
≪なのは!フェイト!≫
今度は違う声……ユーノだ……ユーノなら分り易く教えてくれそうだな。
≪なのは、フェイト!解りやすく伝えるよ、今から言う事をなのはが出来ればはやてちゃんもコダイも外に出られる≫
≪うん≫
≪分った≫
≪どんな方法でも良い、目の前の子を魔力ダメージでぶっ飛ばして!!全力全開、手加減無しで!!≫
≪さっすがユーノ君、わっかりやすい!!≫
≪うん!!≫
………ホント分り易いな。
≪でも……大丈夫かな?≫
突然なのはが不安そうな声を上げた。
≪どうしたのなのは?≫
≪うん………救う方法は分ったけど。今のボロボロの闇の書さんを全力で攻撃したらはやてちゃんやコダイ君にも何かありそうで……≫
≪あ…………そっか、どうしよう≫
不安がフェイトにも伝染した。
「え?ボロボロなん?」
「はい……ここに居る者が瀕死の所まで追い込んでいました。たった1人で」
「コダイ君……いったい何したん?」
聞きたいのなら聞かせてやるぞ?……暴力描写の18禁ぐらいにはなりそうだけど。
「えっと……大丈夫なん?」
「はい、闇の書から切り離したのでこちらには影響はありません」
「そか………あ~遠慮なくやっていいです!こっちは大丈夫らしいんで!」
根暗女に確認を取ったはやてが外に伝えた。
「よし、次はこっちの番やな」
はやてが根暗女の頬に手を添えた。
「夜天の主の名において、汝に新たな名前を贈る、強く支える者、幸運の追い風、祝福のエール…………リインフォース」
微笑みながら優しく言った。
リインフォースが視界を埋め尽くすほどの眩い光を発した――――
――アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!
あの時………『あの子』は完璧に壊れた、いや元から壊れていたのがもう修復不可能なほどに心が粉々に砕けてしまった……
――アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!
『あの子』が壊れていくのを止められなかった……誰よりも近くにいるのに手を伸ばして触れる事も出来なかった……
――ハハハハハハハハハハ…………………ハァ―――
強くなりたかった……力が欲しかった………
――コダイ……ごめんね
力があれば……こうならなかったと思っていた………
「ん…………」
あの時とは違う温かい眩しさに目を覚ます……
「此処は………何処だ?」
目の前に広がる光景……
草や花が生い茂る草原……澄んだ雲が一つも無い青空……暖かく照らす太陽……そして俺がもたれ掛かっている大樹……
………とうとうヤバくなって頭がアレになったか………まぁ良いか。このまま俺がどうなろうが関係ないし―――
「ねぇ、どうしたの?」
……一瞬、何だか分らなかった……人の気配すら無かった俺の目の前に、膝まである黒い長髪に雪の様に白い肌、黒いワンピース、目を隠す様に黒い包帯を巻いた少女がいた。
「………………」
「ねぇねぇ、どうしたの?」
「……………誰だ」
ようやく言えた……
「ボク?ボクはね……」
嬉しそうにその場でクルリと回り……
「マテリアルC……『
そう、楽しそうに言った。
~オマケ~
闇の書から隔離、はやてとヴォルケンリッターが戻り、ヴィータがはやてに抱きつき泣きだしたりなど色々あり、少し落ち着きを取り戻した所にクロノがやって来た。
「すまないな………水を指してしまうんだが、時空管理きょ―――」
クロノは言葉の途中で固まった……
「どうしたの?」
近くにいたフェイトが恐る恐る聞いてみる………
「……………コダイはどうした?」
クロノの言葉に皆が辺りを見回す…………そして。
――ビシッ!!
全員固まった………
「もしかして……中に置き去りにしてもうたああああああああああああ?!」
はやてが絶叫する。
「だってずっと傍にいたし、てっきりついて来たとばかりに………よし!今から助けに行くで!!」
はやてが闇色のドームに向かって飛ぶ―――がシグナムによって止められた。
「やめてください主はやて!このままでは危険です!!」
「コダイ君の方が危険や!血まみれでズタボロで体中に傷があって、ショックで気を失いそうになったんやで!?」
「何だって!?よし、私が行くからはやては此処で「やめろ!!」って離せザフィーラ!!」
今度はヴィータが行きそうなのをザフィーラが止めた。
「はやてちゃん、ヴィータちゃんも落ち着いて!!」
羽交い絞めされてる2人に落ち着く様に言うシャマル………
「やっぱり大丈夫じゃ無かったんだ……行こう!フェイトちゃん!!」
「うん!」
「ダメダメダメ!!ストーップ!!」
「行ったらこっちも死んじゃうって!!」
「フェイトもなのはさんも落ち着いてください!!」
その隣でなのはとフェイトがはやてとヴィータと似たようなやり取りをして闇色のドームに向かって飛んでいく―――のをユーノとアルフに止めら、リニスに窘められていた。
liqueur様、桜日紅葉雪様、シーザス様、感想を有難う御座います。
~次回もお楽しみにしてください~