魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~ 作:メガネ
今現在のコダイの状態は自分の力による自業自得で、見た目平気そうだけど中身がボロボロです。
「≪ザフィーラ、居たぞ≫」
病院に付き辺りを捜すと真下の辺りに仮面の男達がいた。
「≪コダイ此処は任せろ。お前は仲間を≫」
「≪ありがとう≫」
急降下して行くザフィーラ……っと俺も急がないと。
「飛ばすぞ」
≪OK♪『スタイル・イレイザー』≫
装甲がレザーの様な黒い服に変わる。
イレイザー限定機能『エアーシューズ』を使い、空中を思い切り蹴り、なのはとフェイトに向かって突っ込み。
ぶつかる寸前で体勢を変えてなのはとフェイトを脇に抱え近くのビルへ駆ける。
「よし此処までくれば大丈夫だろう……」
病院の近くにあるビルの屋上の病院から影になる位置に2人を寝かせる。
「レイ、2人の状態は?」
≪ん~と……大丈夫、魔力を取られただけ見たい≫
「そうか。このまま放置も危険だな、魔力を回復させないと」
だけど俺にそんな器用な魔法は覚えて無いし、出来る事は魔力光を変えられるだけ………あ。
「その手があった」
その時、思い出しのはジュエルシードをフェイトと封印した時の事。
アレが出来るんなら問題は無い。
「『
魔力光を桃色に変える……そしてそのまま、なのはに翳して魔力を送り込んだ。
さすがAAAランク、ごっそり持ってかれた。次はフェイトだ……
「『
今度は金色にしてフェイトに魔力を送る。
送り終えると魔力が残り少なくなっていた。
「よし、これだけ送れば魔法は使えるだ――――」
「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
はやての悲鳴と共に闇色の光の柱が登った。
「コレが闇の書の魔力」
≪コダイ、ヴィータの反応も……≫
「完成したから恐らくな……」
守護騎士になのは、フェイトと魔力を蒐集して、思ったよりも早く完成したか。
「?………誰か来る」
急いで身を隠し気付かれない様に覗き込む。
仮面の男が転移して来た………高みの見物って所か?
「よし、結界は張れた……デュランダルの準備は?」
足元に魔法陣を展開し、結界を張った仮面の男はもう一人の仮面の男に尋ねる。
「出来ている」
もう一人は指に間に挟んだカードを見せた……あれか。
「後は暴走開始まで待って封印「だ~れだ?」っ!!」
――パシッ
スタイル・イレイザーの超高速移動で男の1人が持ってるカード形態のデュランダルを奪い、それを口に咥えて両手を男達の胸に手を添える。
これも一瞬があれば可能だ。
「≪ディレィスペル・アウト≫」
≪ガンブレイズ!!≫
「「ぐあぁっ!!」」
零距離の砲撃クラスの衝撃を受けた仮面の男達はフェンスに激突する。
「これがデュランダルか………」
口に咥えてたデュランダルを手に持ち替えプラプラさせる。
「それを返せ!!」
「やだ」
即答で返した。
「と言うより前に俺言ったよな?貴様らのやっている事はただの八つ当たりだって」
分っててやっただろうけど。
「本心は色々先手打たれるわ不意打ちされるわでムカついたから色々邪魔してやろうと思っただけだ」
実際そうだし、何か面白く無さそうだったし。
「そんな小さい理由で!!」
「ふざけるな!!」
2人が駆けだそうとするが―――
――ガチッ!!
「ぬっ!?」
「はっ、あっ!?」
周囲に魔力の粒子が現れその直後、バインドで拘束される2人。
この魔力光は……
「相変わらずタイミング計った様な登場だな………クロノ」
俺の隣にバインドを掛けた張本人のクロノが下りて来た。
「すまない、僕は空気を読めないらしいから」
「別に良いけど……」
仮面の男を拘束しているバインド見る。
今までクロノが使っていたバインドより発動が遅い、このバインドはもしかして……
「ストラグルバインドか」
「相手を拘束して強化魔法を無効化する。使い所はあんまり無いけど………こう言った局面では役に立つ」
「確かに拘束力や発動速度は劣るが魔法を無効化するから変身魔法も解除できるんだ」
「「ぐっ……ああああああぁぁぁぁぁ!!」」
仮面の男達は光に包まれ変身が解除される、そこにいたのは仮面の男では無く。
「クロノ!このぉっ!!」
「こんな魔法、教えて無かったよ…」
「一人でも精進しろと言ったのは君達だろ?……アリア、ロッテ」
先日クロノが言っていた通り、リーゼ姉妹だった。
「……見ているんだろ、ギル・グレアム」
俺がそう呟くと上空にギル・グレアムが映っているモニターが現れた。
「リーゼ達の行動は貴方の指示ですね……グレアム提督」
目を伏せ、感情を押し殺しながらクロノは言った。
「違う!クロノ!!」
「アタシ達の独断だ!父様には関係ない!!」
「ロッテ、アリア……良いんだよ」
クロノに反論するロッテとアリアを優しく諌めるギル。
「クロノと……トキガワコダイ君だったね、2人はあらかたの事はもう掴んでいる、違うかい?」
「その通りだ」
クロノに変わって俺が答えた。
「11年前の闇の書の事件の後、貴様は独自に転生先を探し出し……そして見つけた。闇の書の主の八神はやてをな」
グレアムは黙って聞いている。
「だが、完成前の闇の書と主を抑えても意味が無い、どっちを抑えても結局は転生されるだけだが、それが完成していれば話は別だ。闇の書は完成すると蒐集活動を行う必要が無いから自ら動く事は無い、その隙に闇の書ごと主を封印する………それがこのデュランダルだな」
デュランダルをギルに見せる。少し伏せた後、静かに話し始めた
「――両親に死なれ、身体を悪くしていたあの子を見て心は痛んだが、運命だと思った…孤独な子であれば、それだけ悲しむ人は少なくなる」
「はやてに父親の友人を偽って援助していたのも貴様か?」
「永遠の眠りにつく前ぐらいせめて、幸せにしてやりたかった……偽善だな」
「そう思っているのは自分だけだろ」
あまりにも誂えた言葉に悪寒が走り気持ち悪くなる。
「封印の方法は。コダイの言った通り、闇の書を主事凍結させて次元の狭間か、氷結世界に閉じ込める………そんな所ですね」
俺が気持ち悪がっているのに代わって今度はクロノが話し始めた。
「そうだ、それならば転生機能は働かない」
「これまでの闇の書の主だってアルカンシェルで蒸発させたりだってしてんだ!それと何にも変んない!!」
「クロノ、今からでも遅くない、アタシ達を解放して、凍結がかけられるのは暴走が始まる瞬間の数分だけなんだ」
未だに拘束されているリーゼ姉妹がクロノに言っている。
俺が来たのはギリギリだったのか……やった邪魔できた。
「その時点ではまだ闇の書の主は永久凍結をされるような犯罪者じゃない…………違法だ」
「その所為で!そんな決まりの所為で悲劇が繰り返されてんだ!クライドくんだって………アンタの父さんだってそれで!!」
「―――それよりも早く終わってくれないか?いい加減アレをどうにかしたいからそんな映画でよくある回想とかどうでもいいから」
ロッテ達の言葉を遮ると辺りは一気に静まった。
「さっきから聞いていれば、何だ?『例え悪だと言われても世界を救う』つもりなのか?世界よりまず自分の頭を救ったらどうだ?」
モニターのギルを見て言った。
「11年もあったのにその間何をしていた?主見つけて凍結封印考えた後は主を覗き見か?歳を考えろ、趣味悪いぞ?」
自分の言ってる事は綺麗事なのは分っている、だけど言わせて貰う―――
「この2人には言ったが。大体誰にだって大切な物があるのは当たり前だろ。それが何かを決めるのは個人だし、他人から思えば下らない物もあるのは当然だろ」
俺だって守りたかった物があったんだ、たった1人―――
「俺からすれば………貴様らのやっている事は詰まらないし、もう勝手にしろって言えるぐらいにどうでもいい」
奪われた――――人間共(あいつら)に………復讐何てただ失うだけ、その所為で――――
「ヴォルケンリッターがプログラムだろうがはやてにとっては家族なんだ、それを目の前で消しておいて心が痛むやら悲しむ人が少なくなるとか、よく言えたものだな………」
何度も…何度も…見た。自分のナニカガ壊れる………
「11年前クライドが死んだのは……闇の書の所為だけじゃない―――貴様らが弱かった所為だ」
誰にも負けない力があったら、誰でも救えると思ってた―――
「幸せにしてやりたかったか………ここまで来るとおめでたい言うか何か怒る気も失せる。要は自分が自分で背負った物から楽になりたいだけだろ?それを平和など因縁など響きのいい言葉で被せてどうなる」
でも結局は力はただ奪うだけだった――
「それに、運命とかで勝手に人を殺すなよ。例えどんな理由があっても人を殺した時点でもう人殺しだ……殺すのに理由付けるなよ」
コワレタサキハ……シヨリモオソロシイキョウキニノマレル―――
「お前!!訂正しろ!!」
「これ以上の父様への暴言は許さない!!」
何かリーゼ姉妹が言っているけど
「それに結局アレだろ?そんな涙溢れる言葉を言いながら本心ではそんな事全く思ってないだろ?」
「……何だと?」
ギルの表情が変わった。
「貴様は単に、今まであらゆる物を奪い取ってきた闇の書やその守護騎士と主があたたか~い家庭でのうのうと暮らしているのがムカついて堪らなかったんだろ?だからはやてをワザと絶望の淵に叩き落してその後はカッコ付けて、はやてを絶望したまま永久封印………これ凄いな映画作れるよ、超王道の大作だな。スタント無し、CG無しで唯撮って入場料支払えさせればぼろ儲けだ……しかもノンフィクションとくれば満席間違いなしだ」
芝居がかった様に、静かに拍手を送る。
「それはちが「違わないさ」―――!!」
「ふざけるの「ふざけてないさ」―――!!」
また反抗してくるアリアとロッテの言葉を被せて遮る。
「同じだろ?家族も、幸せも、全て何もかも目の前で奪い取っていく闇の書と今までの貴様らの行動……貴様らの言う『闇の書』と全く変わらない」
「「っ!!あ………あぁ……」」
リーゼ姉妹は自分のした事に気付いて震えている。
「…………」
ギルも黙り込んだ。
何だよもう終わりか?あそこまでする気なら最後まで貫けよ……
「クロノ」
俺はデュランダルを渡す。
「あっちの方が面白そうだから行ってくる。あそこの影になのはとフェイトがいる。魔力は俺が
「そうか……そっちの魔力は大丈夫なのか?」
「どうだろうな、ただ此処に居るよりはマシだ……」
バリアジャケットを維持できるぐらいはありそうだな。
「アリア、ロッテ……2人に1つ謝る事がある」
「「え?」」
2人が声を揃えて言う。
「私にも大切なものがあった………いや、それが唯一私にあるモノだったの。命だろうか何だろうが全てを賭けて守りたいと思った――」
産まれて初めての気持ちだった――
「けど守れなかった………目と鼻の先にあったのに、手を伸ばす『強さ』も救う『力』も無かった……だから強くなった、力になるなら何でも鍛えた。体も何度も死に掛けて鍛えたし、頭も血反吐を吐いてでも良くした、あらゆる才能と呼ばれるのモノを………努力で手に入れたよ」
誰にも負けたくないから………負けない強さがあればどんな物でも救えると思ってたから。
「でもそんな力も……奪う事でしか活かされない。気付くのが遅すぎたの…………『力はどう使おうと奪うだけ』って事を」
もうその時には私はただ殺すだけのモノになっていた
「私はね、悲劇の主人公よりヒロインなの。誰も助けてくれなかった、誰も見てくれなかった……」
可笑しいな………過去話は嫌いだったのに。
「じゃあ………行ってくるね」
フェンスを飛び越え、完成された闇の書の元へ向かう。
病院の屋上に―――はやてだったモノが一人立っていた。
「また………全てが終わってしまった………一体幾度こんな悲しみを繰り返せばいい―――」
「お~い、何で誰も居ないのに演説口調なんだ?イタイ奴か?闇だからか?」
俺の声にはやてだったモノは振り向く。
それにははやての面影は一切無い、体は大人に、髪は銀の長髪に……そして光の無い赤い瞳からは涙が溢れ出ていた。
「お前か―――」
闇の書に完璧に支配されてる……闇の意志って所か。
「はやては――――その中か?」
「主は……永遠に覚めぬ安らぎの夢を見ている」
「なら話は早い。叩き起こしてやらないと、ご馳走してもらう約束があるんだ」
「その必要はない、この世界ももうすぐ滅びる――」
闇の意志が手を掲げた。
≪デアボリック・エミッション≫
闇の書が光り、頭上に黒い巨大な黒い魔法球が現れた。
「そんな面白くない事、させる訳にはいかない」
と言ってもどう戦う?もう魔力はバリアジャケットを維持するぐらいしか残ってないし、仮に全快だったとしても、アレに決定打を負わせる程の魔法何て無いし――
「闇に―――」
ん~…………よし。
「そま―――ッ!!」
まずは顔を目がけて闇の意志を殴る――が障壁に防がれた。
「壊れたテレビは叩いて直す。コレ常識な?」
これしかないな……
アキ様、liqueur様、プー坊様、感想を有難う御座います。
~次回もお楽しみにしてください~