魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~ 作:メガネ
………本当はクリスマスに投稿したかった。
シードが映しているモニターをすべて消す。
「手がかり無しか」
アレから数日、あらゆる方向で検索して見ても手掛かり無し。いくらシードでも歴史の長い『夜天の魔導書』と『闇の書』の情報は絞れなかったか……
最低でも5桁の情報数から探せって言うのは無理がある。
守護騎士も遭遇していない……慎重になっていると言う事は完成間近と言う事か。仮面の男もそれと言った情報も無い……予定通り完成を待つつもりか。
ここでギル辺りに脅しを掛けても良いが………あそこまではしゃいだからには会わせてはくれないだろうな。
「時間は無いのはお互い様か……」
何も出来ない以上、適当にかき回して狂わせて邪魔をして、利用すればいいか……どうせ対策とばかりにかなりの代物を持ってきそうだし。
――♪~
「メール…………すずか?」
近くに置いてある携帯を取りメールを開く。
『明日の終業式の帰りの件、みんな大丈夫ですか?』
明日?そう言えば昨日すずかが、はやてにサプライズでクリスマスパーティーをすると言っていたな。
『大丈夫だ』
簡単に返信する。
そう言えばはやての家のアレ―――ちょうどいいな。
「さて、もう一度再開するか………レイ」
≪OK♪シード展開!≫
あの2人にいつまでも先回りされたら腹が立つ。
翌日、終業式なので普段よりも早く学校が終わり。月村家の車で病院に向かってる。
「冬休みか……これで教師共の小言を聞かなくて済む」
「それはアンタが授業を真面目に受けてないからよ……」
あからさまに嫌な感じで言うとすぐにアリサが反応した。
「今日の終業式も校長先生の話を聞かずに携帯弄っていたわよね?」
「あんな頭に比例して薄い話を聞いて何の意味がある?寝言聞いている暇があるなら携帯でネットしてる方がマシだ」
というか話の途中の『えー』とか『あー』とか溜め多過ぎ、それが無ければどれだけ短縮されるか―――
「あーソレちょっと分るかも。私も何言ってるのかサッパリだし」
うんうんと頷くアリシア。
こいつ途中から器用に寝ていたな……
「コダイ君、はやてちゃんのプレゼント持ってきた?」
「もちろんだ」
すずかに黒い直方体のアタッシュケースを見せた。
「コ、コダイ君?……プレゼントなんだから包むぐらいしないと―――」
「あんな安っぽい物で包めるほどの安い物ではないんだよ」
渡すものはこの中身だけ何だが、流石にそのままはな……
「え?……じゃあコダイ君の傍にあるその袋は何なの?」
なのはが指差した先にあるのはかなり大きめの袋。これも俺が用意して預かって貰った物だ。
「これもプレゼントだ」
「えっと…………あ、もしかして前にはやてが話していた家の人の分?」
フェイトが少し考えてそれっぽい事を言っている。
「ある意味全員分だ」
「「「「「?????」」」」」
その言葉に首を傾げるだけの5人娘だった。
病院――はやての病室前。
「皆行くわよ」
アリサの言葉に全員が無言で頷く。
「すずか」
「うん」
すずかが扉をノックする。
「こんにちは」
――……はい、どうぞ!!
向こう側からはやての声……ん?気配が複数いる……石田医師か?
「「「「「「こんにちは!!」」」」」」
「「「―――――ッ!!」」」
え?………ヴォルケンリッター(ザフィーラ以外)集合?
ヴィータは俺は何度もあってるけど人見知りが激しいし、シグナムも表情は隠れているけど警戒心丸出しだし、シャマルは何か慌ててる様だ。
なのは、フェイト、アリシアもその3人をみて固まっている。
「「サプライズプレゼント!」」
「わぁ!」
そんな一触即発の空気を余所に盛り上がっているアリサ、すずか、はやて。
………ここでドンパチやるのはまだ早いし、仮面の男もとい……リーゼ姉妹が何してくるか分らないし―――ここは。
「ほら、俺からもだ」
事前に仕掛けておいて良かった……
はやての目の前にアタッシュケースを置く。
「うわごっつ?!」
「ケースは付属品だ、渡す物は中に入ってある」
ケースのロックを外して、中身を見せる。
「包丁や!しかもムッチャ高そうな」
高そうでは無く高いけどな。
ケースの中身は包丁、牛刀とペティのセットに砥石と錆落とし付き。
「あの包丁、そろそろ寿命みたいだしちょうど良い思ってな。俺も使っているから前よりは使い辛いと言う事は無いと思う」
「ホンマに?!私もそろそろ包丁変えよかと思ってたんや」
「ついでに研いでおいたから直ぐに使えるぞ?」
「家の子といい包丁といい何か世話になりっぱなしやな……そや、退院したら遊びに来てな。お礼を兼ねてごちそうするで」
「そうか………で、そこの3人は何固まっているんだ?」
振り返るとさっきから動かないでいるなのは達魔導師組。
ヴィータはなのはを睨んでいるし、シグナムはアリシアに庇われる様にされているフェイトを見て警戒をしている。
「そうよ、何突っ立ってんのよ?」
「あ、うっ……ううん何でも無いよ」
「あはははっ……ちょっと沢山人がいてびっくりしただけだから」
「ちょっとご挨拶を………ですよね?」
「はい……」
アリサに言われて挙動不審になった、なのは、アリシア、フェイト。
フェイトに振られたシグナムも小さく頷いて便乗する。
「あ、皆コートを預かるわ」
シャマルが少し声を上ずらせながらも空気を変えようと話題を変えた………ナイスだ、これを逃す手は無い。
「では頼む」
シャマルにフードまでスッポリ被っていたコートを手渡す。
「はぇ?!」
まず、一番近くのシャマルが変な声を出す。
「ブッ!!」
次にそれを聞いて速く反応したシグナムが噴き出す。
「なっ!!」
ヴィータが口を開けた状態で固まった。
「えっと…………メリークリスマス」
「テンション低っくいわ!と言うか何て格好しとるん?!」
直ぐにツッコミが返って来たのは、はやてだけだった。
「サンタだろ?クリスマス何だし」
「見ればわかるわ!!せやけど何で、ミニスカで!ニーソで!ツインテール何や?!」
「女装はオシャレだ、それに去年翠屋で接客した服を態々ここに来る前に着替えてきたんだぞ?」
自分でサイズを仕立て直してな。
今着ているサンタ服を詳しく説明すると、裾に白いファーが付いた袖なしの赤いワンピースにサンタポンチョ。二の腕まである赤い長手袋。
ニーソックスの色は白で靴はワンピースやポンチョにもある白いファーがあるひざ下まである赤いロングブーツだ。当然三角帽子も被っている。
「アンタ……車降りるの遅かったのって………」
「これに着替えるためだ」
「威張んな!!」
アリサの拳をかわす。
「まだまだこれでは終わらない」
持ってきた大きな袋を目の前に置き、そこから黒ゴスとメイド服を取り出した。
「折角のサプライズだし催し物をと思ってな……他にも沢山あるぞ?みんなのリクエストに答えれる様に」
「アンタただ女装したいだけでしょ?!」
何当たり前な事を言っているアリサ……
その後、こにゃいくん(すずかリクエスト)、黒ゴス(アリシアリクエスト)、ナース+紺のカーディガン+眼鏡(シャマルリクエスト)などと……リクエストした奴は少なかったが過去3位に入るほどのオシャレをした……1位は桃子に着せ替え人形にされた時、2位は忍だ。
そして現在、唯のメイド服(はやてリクエスト)を着ているんだが……
「…………」
「…………」
何故か俺の左腕に抱きついてるヴィータとなのはの間が絶対零度の空間が発生している。
「何でヴィータちゃんはコダイ君に抱きついてるの?…………」
なのは……トーンが低い。これ半年前にクロノが介入してキレた時に似ているな……
「私が誰に抱きつこうが私の勝手だろ!」
睨み返すヴィータ……だが俺からすれば……凄い腕が震えている。
「じゃあ、私は反対側からコダイ分補給~♪」
右側から抱きついてくるアリシア………コダイ分って何だ?そんな栄養素あったか?
「「「「あぁっ!?ずるい!」」」」
「へっへ~ん♪早いもの勝ち~♪」
ちょっと待った。コダイ分は量が限られてるのか?
――ポフッ!
ん?後ろから柔らかい感触が………
「ほな、私は後ろからや」
俺の立ち位置がベットの傍だったからはやてが体を起こせば足が不自由でも抱きつけるよな………って何が『ほな』?
「クッ………こうなったら、なのは!すずか!フェイト!コッチも応戦よ!!」
何に対しての応戦だよアリサ……
「「「オーッ!!」」」
え?何でコッチに向かって――――
「貴方達、病院では静かにするものだって言われなかったのかしら?」
――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!
「「「「「「「ゴメンナサイ!!」」」」」」」
その後、石川医師のイイ笑顔に絞られたバカ娘共………ちなみに俺は。
「大丈夫か?トキガワ」
「シグナム、コレが大丈夫に見えるなら是非とも管理局の医療スタッフに見て貰うと良い」
死に掛けでも治るから。
「アレがはやてちゃんの言っていた
「いや……ただのリンチだろ、女子に埋もれて圧死とか………………笑えないぞ」
ちゃっかりシグナムに助けられて無傷だったり。
「こ、怖かったよ~」
「自業自得だ」
抱きついてくるアリシアをかわす。服は制服に戻している。
騒ぎが治まった後、はやて達と別れて帰ったが、なのはとフェイトが忘れ物をしたとか行って病院に戻ってしまった。恐らく闇の書関連だろう……
俺達はそのまま家に帰る事に。
アリサが半ば強引に引っ張られただけだが……直ぐ行くと言っていたから大丈夫だろ。
「全く2人もドジね~」
「あはは、でも2人らしいんじゃない?」
「ん~そう言えばそうね!」
なのは、フェイト、知らぬ間にバカ認定されてるぞ。
「ん?………」
視界の端に何かが……
アレは?ザフィーラ?…………何で慌てているんだ?
「悪い………忘れ物をした」
そう言って、ザフィーラの向かった先に駆けだした。
「≪ザフィーラ≫」
「≪む、コダイか!!≫」
シードを使ってザフィーラの位置を検索して、先回りをしてザフィーラと並走した。
「≪何があった≫」
「≪通信が取れない≫」
「≪通信が?……………レイ≫」
≪うん……………うゆ?なのはとフェイトも連絡が取れないよ!?≫
妨害されてる?シャマルが妨害したとしても
「もしかして、ヴィータがなのはぶっ飛ばしてそのまま交戦…………とか」
≪う~………う~!…………うゆ?!≫
「レイ?」
≪シグナムとシャマルの反応が……………………消えた≫
「≪何だと!?≫」
レイの言葉に普段冷静なザフィーラが声を荒げた。
「≪他の奴の反応は≫」
≪えっと………なのはとフェイトは魔力の反応が小さいけどあるよ。ヴィータもまだ無事!後………反応が2つ≫
仮面の男だな………ちょっと待て。何で闇の書を完成させる為に動いてるアイツらが居るのにシグナムとシャマルが消えないといけないんだ?
なのはとフェイトの魔力が小さいのは蒐集されるから分るが……待てよ?
「≪ザフィーラ、1つ聞く……闇の書が完成したのを見た事があるか?≫」
「≪分らない、だがなぜ今それを聞く?≫」
「≪だったら最悪の展開だぞ……直ぐに戦える準備しておけ≫」
シャマルが闇の書の完成した時の記憶が無いと言っていた。闇の書は何度も完成した……それなのに闇の書が元の守護騎士が憶えていない。
闇の書に干渉できない以上考えられるのは完成前に守護騎士が消えている。
戦力の要である守護騎士を消すまで必要な事はただ一つ――――
「≪シグナムとシャマルは闇の書に蒐集された………≫」
~おまけ~
コダイ逃亡後?のアリサ達………
「全く!何であいつは何時も何時もいきなり消えるのよ!」
「アリサちゃん、落ち着いて!」
暴れるアリサを落ち着かせるすずか。
「フェイト達……大丈夫かな~」
――ピクッ!×2
上の空で呟いたアリシアの言葉に二人は反応した……
「アリシアちゃん………何が大丈夫なのか教えて欲しいな~」
「す、すずか?」
「そのセリフ………何か知ってそうよね?もしかして忘れ物とかは別で他に用事があるんじゃないの?」
流石天才児………
「え……えっと………ゴ、ゴメンナサアアアアアアアアアアアアアイ!!」
――ピュ~
アリシア逃亡。
「ちょっと待ちなさ~い!!」
――ピュ~
アリサ追跡。
「2人とも~そんなに走ると滑っちゃうよ~!!」
――ピュ~
すずか追跡。
桜日紅葉雪様、夢物語様、liqueur様、不屈の心様、感想を有難う御座います。
~次回もお楽しみにしてください~