魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~   作:メガネ

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コダイのマジギレ……当時はコダイの『アレ』はイメージが上手く決まって無かったんですよね。


ノイズbyコダイ

――xmdbf。lmmbw、jl、;jm。d、エvm、・;jv;k、vstsj、vc;fk、v;ヘ、jfv;lmh

 

 

 懐かしいな……

 

 

――dglhvx;lv。sj;ms、;jfm:pソv、ks、zcj@kx@アジェリprhンpdms@mファエdg

 

 

 そうそう、こんな感じだった。

 

 

――hsrjg@オd@オssンg。fz、ld;v:jrz。セsmsr:pmdpg:オrsジェmf」ペmhw「オ

 

 

 前の夢より鮮明でリアルで……

 

 

――gk;d、v;rジョfjdパ@イjハp:jhp:wラh」オrjhfl」mtj」エwポア」@ロmj」gth

 

 

 このノイズが嫌な時でもそうで無い時でもずっと一緒だった……

 

 

――gfxjk、ポrvdパst:pmgジョpジェアオ「jrm」アエmd」オ@rhjm@」マmhg」アエmw

 

 

 確かこれを初めて聞いたのは…………

 

 

――djホ@pjmhヲ@prmh@クォエj「オwtrmb@アdmbv、mpmbd;mbfslm@リsグィラvfl

 

 

 

 ―――『私』が出来た頃だっけ?

 

 

 

 

 

 

「あ~……最悪なのか良く分らなくなって来た……何よもう」

 

 よりにも寄って『あの子』の夢を見るとか……

 

「別に、死ななくても良かったのになぁ……」

 

 仕方ないよね。あの時は子供だったしもう手遅れだったし………

 

「………何か出来てたのかな?」

 

 

 あの子は優しすぎた………優しすぎたから狂いすぎた。

 

 世界は『あの子』を棄てた―――

 

 その先がどんなに底抜けで滅茶苦茶になっていようと―――

 

 悲鳴を上げて逃げ回るなどと言う選択肢も無く―――

 

 いつか積み重なった狂気の重さに理性が屈する、その日まで―――

 

 それが……『あの子』に唯一残された選択肢だった――

 

 どんなに汚れようと―――

 

 狂気に染まり。スガタを変えても―――

 

 

「何で……生きているんだろう」

 

 そう、小さく……誰にも聞こえない様に呟く…………

 ん?何でかって?それはだな……

 

 

 

「すぅ………すぅ………」

 

 ヴィータが腕にしがみ付いたままで離れられない。

 

「むにぅ……コダイ~」

 

――ギュ!

 

 前回からずっとこの感じ。いや、正確には時々離れて一番抱き心地がいいのか探っていた……寝ぼけながら。

 

 

「ん~コダイの匂いがする~」

 

――スリスリ

 

 そんなにくっ付いていたら匂いはするだろうな。

 

「ん~……?」

 

 あ、目を覚ました。

 

「おはよう」

「んにゅ……おはよ………ん?」

 

 目があった…………

 

――ボンッ!!

 

 あ、爆発した…………

 

「なななななななななななななななっ!!」

「落ち着けヴィータ、取り敢えず深呼吸を「アイゼン!!」え?」

 

 突然デバイスを起動するなよ。こうなったらレイで………

 

≪すか~……すぴゅ~………≫

 

 まだ寝てる。

 レイが寝ていると起動出来ないんだ。それ以前に蒐集で魔力が無い……

 

 俺→『幻痛(ファントム・ペイン)』発動→デバイス=魔法→明確な死……

 

 

「なああああああああああああああああああああああああっ!!!」

 

 

――グシャッ!!(明らかに頭骨的な何かを叩き潰した音)

 

 そんな事を考えていたら、アイゼンはもう目の前に…回避不可能。

 

「うぐっ……ヒック………コダイがぁ~」

「落ち着けヴィータ!トキガワはまだ死んでない!」

「だって!だって頭が……グシャッ!!って!…うわ~ん!!」

「まさか……二度も助けられるとは………」

「喋っちゃだめです!直ぐ治しますから!ザフィーラ、タオルを出来るだけ沢山持ってきて!」

「分った!!」

 

 ヴィータの早朝殺人未遂事件により八神家の朝は賑やか(?)だった。

 

 

 

 

 

「何事かと思ったぞ、悲鳴が聞こえた直後にヴィータが血まみれで部屋から出て来た時は…」

「アハハ…………シーツを買い替えないと」

 

 治療から数分後、何とか動けるようになったが未だにクラクラする。

 ザフィーラとシャマルがかなり疲れた顔をしている………

 ヴィータはシグナムと一緒に部屋の血の処理だ。

 

「けど、どうしてコダイ君は死に掛けたんでしょう…ヴィータちゃんは非殺傷設定にしたって言ったのに………」

 

 ん?シグナム言って無いのか?

 

「それは俺の『幻痛(ファントム・ペイン)』…………強制殺傷設定体質の所為だ」

「強制殺傷設定体質?」

「簡単に言えばどんな魔法も非殺傷設定にしても俺が受ければ強制的に殺傷設定になる体質だ。シグナムに戦闘の途中で実践を踏まえて見せたんだ……左手首の傷がその時の」

「あ、だから自業自得って…………ちょ、ちょっと待って!?そしたらコダイ君は、どんな攻撃でも死んでしまうかもしれないの?!」

「もう慣れた、それに死ねないし問題ない」

「死ねないって……」

「さて、この話は終わり。朝食作りたいから台所借りるぞ」

「え、ちょっと!」

 

 シャマルの制止を無視して台所に向かう……

 今日は特に過去には触れて欲しく無い……あの夢を見た所為かもしれない………

 

 

頭に

   ノイズガ……

          ヤマナイ………

 

 

 朝食の後、シャマルははやてのお見舞い。シグナムとヴィータとザフィーラは蒐集活動をすると言ったので弁当を渡した。

 

「うぅ……良い匂い……」

「ヴィータ、我慢するんだ……昼まで我慢するんだ」

「すまない……」

 

 何かに耐える様なヴィータとシグナムと普通に礼を返したザフィーラ………

 

「何時の間にそんなのを作ったんですか………」

「ん?朝食と同時進行で作った昼食を弁当に詰めただけ、決して残り物ではない」

 

 いざとなれば、夕食の下拵えも同時に出来るぞ?まぁ余程凝った物を作らない限りやらないけど………

 そう言えば昨日もそうだったけどあの包丁使い辛いな。はやてが研いでいると思うがあれでは逆に怪我するぞ。

 後でシャマルに砥石を出して―――

 

「あ~何て言いうかコダイ君………」

「ん?」

 

 思考を中断すると。

 シャマルが頬を掻いて乾いた笑みを浮かべている。

 

「あの……言いにくいんだけど、お母さん見たいね」

 

 言われた………また言われた。

 

「それだ!!」

 

 突然、ヴィータが叫びだした………

 

「何がそれなんだ?」

「シグナム、『お母さん』だ!コダイの懐かしい感じは『お母さん』なんだ!」

「何?………確かに、思い返してみれば母親といた様な気分だった……」

「あの~二人とも、そんなにお母さん連呼しちゃうとコダイ君が……」

 

 いや、いいよ?…………慣れてるから。

 そんな事があって、多少慌ただしく3人は転移して行った………

 

「それで…はやての見舞いは何時頃行くんだ?」

 

 それに合わせて動くから。

 

「えっと、後片付けをしてはやてちゃんの着替えとか」

 

――~♪

 

 シャマルが指折り数えているとシャマルのポケットから携帯の着信音が……

 

「あ、すずかちゃんからメールだわ」

 

 すずか?……そう言えばこの前すずかと友達になったって言ってたな。

 

「すずかちゃん、いい子ね………え?!」

「どうした?」

「コダイ君………どうしよう!」

 

 何か慌ててる……

 

「待て、一体何をどうすればいいか分らない、理由を教えてくれ」

「あ、そうだった!コレ!」

 

 シャマルが突き付けた携帯にはすずかのメールが表示されていた……

 

『シャマルさんへ

 こんにちわ、月村すずかです。

 今日の放課後、友達と一緒にはやてちゃんのお見舞いに行きたいんですが行っても大丈夫でしょうか?』

 

「何だ見舞いのメールじゃないか………」

「その添付の写真を見てください……」

「写真?」

 

 言われた通りに添付ファイルを開く……

 

「あ…………」

 

『もしご都合が悪いようでしたら、この写真をはやてちゃんに見せてあげて下さい』

 

 そこには、なのは、フェイト、アリシア、アリサ、すずかが映っている写真だった………

 そしてメールには続きがあった。

 

『あと!ここには居ないけどもう一人男の子の友達がいて、料理がとっても上手だからはやてちゃんと気が合うと思うよ?』

 

 その分の下にある添付ファイルを開くと学校の制服を着た俺の画像があった。

 

「ど、どうしようコダイ君!テスタロッサちゃんとなのはちゃんが……管理局魔導師2人がはやてちゃんに会いに来ちゃう!すずかちゃんのお友達だから、どうしよう!?」

「あ、女子制服着ているのはスルーね。それ以前に俺も管理局の魔導師ではやてと大分前から交流あるし……それに大丈夫だろ?別に戦う訳では無いのだから」

 

 キング・オブ・お人よしの2人が速攻ではやてを捕まえる訳無いし、第一闇の書の主=はやてと知らないしな。

 

「う~ん、顔を見られちゃったのは失敗だったわ……出撃した時変身魔法でも使ってればよかったわ」

「鉢合わせなければいいだろ、それかその時は席を外すとか」

「う~ん…石田先生が何て言うか」

「事前に説明しとけ、名前を出さない様にとか」

「はやてちゃん、変に思わないかしら」

「他に何かあるとでも?」

「……ないです」

 

 シャマルの準備が済んだ後、俺達は病院へ向かう事になった。

 

「≪シャマル、昨日聞き忘れてた事があるんだ≫」

「≪え?聞き忘れていた事って?≫」

 

 病院に行くまでの道は結構長いので、その時間で本題に入ることにした。

 

「≪超個人的な理由でな………闇の書ってなんだ?≫」

「≪闇の書の事ですか?……≫ってえぇっ―――!」

 

 シャマルが叫ぶ瞬間に服を引いて頭を下げさせて口を塞いだ。

 

「≪念話の意味無いだろ≫」

 

 周囲の視線が痛い、ちなみに今バスの中な?

 

「≪だ、だっていきなりそんな事言うから……≫」

「≪別にそれを如何しようとも思っていない。俺の目的は仮面の男だ≫」

「≪仮面の男ですか?≫」

「≪完成させる動機がいまいち分らない……そっちは大体予想は出来ている≫」

 

 少し落ち着いたみたいだから、口から手を離す。

 

「≪今までの仮面の男の言動を考えるに、あっちは闇の書を管理局よりも深く知っている可能性がある。出なければロストロギアを完成させようとは思えない≫」

「≪そうね……その事については私達も思いました、完成してもマスター以外使えないのに……≫」

「≪完成前には手を加える事は出来ないか……≫」

 

 少し遠のいた気がする。

 完成するのにあれだけのリスクがある闇の書が完成すればその力は間違いなく強大、利用するのはまず不可能だな。

 

「≪そんな感じで俺達は闇の書について知らない事が多すぎる。今調べているが時間が掛かれば更に後手に回る……ならてっとり早く専門家に聞けば良いと思い――≫」

「≪私たちを訪ねた訳ですね?≫」

「≪その通り、後はやてとの約束もな≫」

 

 あいつ、電話してくる度に『いつ家に来るんや?』と言ってくるし。

 

「≪先ずは完成前は主以外の干渉は不可能と分った。他に何か無いか?≫」

「≪………ちょっと待って。みんなに聞いてみるから≫」

 

 シャマルの手に突然指輪が嵌められる。

 多分デバイスで、シグナム達と連絡を取っているのか。

 

「≪―――皆に話したら、管理局には絶対伝えない条件なら良いって≫」

 

 随分優しいな……懐かしいからって警戒心無さ過ぎだろ。

 

「≪そうか、なら超個人的な理由だから話すつもりも無いと伝えてくれ≫」

 

 仮面の男が局内にいるんだ、話せる訳が無い。

 

「≪そう言えばコダイ君、私達が闇の書を完成させる理由は予想できるって言ったけど……≫」

「≪ん?一応予想な………言っても良いか?聞いて修正したいから≫」

 

 それに真剣な顔で頷いたシャマル。

 

「≪守護騎士達の動機は……はやては何か障害を抱えている、それも闇の書に深く関係している。原因がわかっても完成前は主以外干渉出来ないから完成させて治す……少なくても悪化を防ごうとした≫」

 

 今までシグナム達の言葉、そしてはやてから電話で聞かされた話を元に簡単に推測すると………

 まず、シグナム達は主の為と蒐集をしている、だがそのことを当の主が一切関与していない。あのお人よしみたいな奴がこんな事させるつもりは無いだろ。

 つまり、はやてには知られてはいけない事がはやてに起こっている、もしくは知らぬうちに起きていた。

 

「≪今回倒れたのも闇の書のが――――どうしたんだ?≫」

 

 話を聞いていたシャマルがキョトンと場違いな顔をしていた……

 

「≪何と言うか………大体……と言うかほぼ完全に当たっているんだけど≫」

「≪そうか、でないと予想した意味が無いからな。分るのはそこまでだ……闇の書をいつはやてが持っていたか、それとさっき言った様に闇の書の詳細についてはさっぱり≫」

「≪そう………なら私達がはやてちゃんと出会った時からを話した方が分ると思うの―――≫」

 

 

 はやてがシグナム達にあったのは今年の6月……はやての誕生日に闇の書が起動した。

 何時所持したのかは分らず本人も生まれた時から置いてあったらしい。

 闇の書の第一の覚醒、それが守護騎士の召喚。

 はやてはシグナム達を家族として共に暮らした……それが感情が出た理由だろう。

 蒐集活動を行う事になったのはそれから2か月の事だ。はやての主治医の石田医師の話ではやての謎の下半身不随が徐々に上に進行していると告げられた。

 原因不明なのは闇の書の魔力が主であるはやての未成熟のリンカーコアを蝕むどころか生命活動にまで影響を与えた。

 はやてを蝕んでいるのは闇の書ならそれを何とかすれば助かる……そう思い立ったシグナム達は闇の書の完成の為に蒐集を行った。

 

「≪成程……大体分かった≫」

 

 はやてが何時もっていたのかはさっぱりだったからな、となると浸食の進行具合からかなり危険みたいだな…………だけど。

 

「≪はやての事がわかっても肝心の闇の書に関しては分らないんだが……大体言った事だし≫」

「≪そ、それはその………≫」

 

 ………え?何その反応。もしかして……

 

「≪し……知らないって訳ないよな?身近な物なのに……≫」

「≪えっと………ごめんなさい。知らないんです……≫」

 

 謝るなよ………知らない?

 

「≪どういう事だ、歴代の主で完成させたのは居ないのか?≫」

 

 今思えば守護騎士の行動だ。闇の書が完成すればはやては治る『かもしれない』という、予想の行動。書と共に旅をした守護騎士は闇の書について誰よりも知らないといけない筈、なのに―――

 

「≪それは仮面の男について話した時にヴィータちゃんが言ったんだけど。『何か大事な事を忘れてる気がする』って≫」

「≪忘れている?それは一体――――≫」

 

 

――~♪

 

 

 バスのアナウンスが病院前を知らせた。

 

「やば、もう病院」

「すいません、降ります!」

 

 中断して急いでバスを降りた。

 そう言えばバスの中って事忘れてた………

 

 

 

 

 

 

 アタマノ ノイズガ キエナイ……

 

 

 

 

 

 

 

「って事があったんですよ」

「ブッ!!」

 

 シャマルはさっき家であった『お母さん』の話をしている。

 見舞いに来た時はかなり驚いていたが、その後凄く嬉しそうにしていた……そんなに嬉しいのか?

 

「お母さん…お母さん……ブッ!!……アカン!ツボッ………ツボッ入った!アハハハハハハハハハ!!!」

 

 最初は笑いをこらえていたが、耐え切れず大爆笑するはやて。

 

「そんなに笑う事か?」

「ピッタリ過ぎるやろ!!朝ご飯の支度と昼ご飯の支度同時進行しとるねん!それ完璧お母さんやろ!?アハハハハハハハハハ!!!」

 

 その方が手間掛からないからだよ。

 

「はぁー笑った………でもビックリしたわ、コダイ君も騎士やったなんて」

「俺は魔導師だが?」

「へぇ~……うちの子以外の魔導師は見たこと無いんや~どんな事出来るんや?」

「そうだな……一応稀少能力(レアスキル)持ちだしな……」

 

 ………そうだ。

 

「シャマル、デバイス貸してくれ」

「え?何をするんですか?」

「レアスキルを見せるから……」

「はい……どうぞ」

 

 シャマルから首に掛けてた鎖を通した4つの金の輪を貸して貰う。

 

「このデバイスの名前は?」

「クラールヴィントです」

「分った……『同調(チューニング)』シャマル」

 

 俺の魔力光がシャマルの緑に変わる……いやコレは青磁色(せいじいろ)だな。

 

「クラールヴィント……セットアップ」

 

 光りに一瞬だけ包まれ、俺はシャマルの騎士甲冑を纏い、髪型は三つ編みにして前に流している姿になった。

 

「コレが俺のレアスキルの『同調(チューニング)』だ、一度見た魔力なら完璧に変えれるし、そいつが物質変換資質持ちならソレごと変えれる。それを応用すればこんな感じに他の魔導師のデバイスも起動出来るって所だ」

「凄いんか?」

「凄いと言うか反則」

「だがこれには決定的な欠点がある」

 

そう……重大で……決定的な欠点が……

 

「――俺、ミッドもベルカも使えないから、これだけの能力何だよ」

 

「「ええっー!」」

 

「コレのいい所は物質変換が出来る事だけ…返す」

 

 シャマルにクラールヴィントを返す。

 

「えっと…ごめんなさい……」

「私も…こういう時、どんな顔すればいいか分らへん………」

「俺が知るか」

 

 取り敢えず愛想笑いでもしておけ。

 

「あ、そうだ……ほら。見せる約束だったろ」

 

 はやてに携帯を投げ渡す。

 

「覚えてたんか?……わ~!ホンマ凄いな~指の通りに動く……コレ色んなゲーム取れるって言ったけど何かある?」

 

 新しいおもちゃを手に入れたみたいに目を輝かせて携帯を操作しているはやて。

 

「ん?そんなの興味無いから購入時のままだぞ?」

「よっしゃ、じゃあ私がテレビで見たおっぱいが揺れるアプリ落としたる」

「自分で買ってやれ」

 

――スパーン!

 

 はやての顔面をハリセンで叩いた。

 のけ反った時に上に放られた俺の携帯を空中で掴む。

 

「ウヴォッ!もうチョイ手加減せや!リアクションとれへんやろ?!」

「心配するな、結構取れてる………ってあれ?シャマルは?」

 

 さっきまでいたはずのシャマルが居ない……

 

「シャマルなら何か慌てて出てったで?」

 

 あれ?……大事な事忘れている様な?

 

――コンコン♪

 

「は~い!どうぞ」

 

 ノックの音に返事をするはやて。

 …………あれ?待てよ……確か今日見舞いに来るのって―――

 扉が開き、翠屋のケーキの持っているなのは、花束を持っているすずか、アリサ、フェイト、アリシアの順に部屋に入ってきた。

 

 

「「「「こんにち――――」」」」

 

 

 横一列に並んで挨拶の途中で、俺と目が合い………

 

 

――ピシッ!!

 

 

 固まった……

 

「そう言えば今日あいつら来るってメールしてたな……」

「え?コダイ君すずかちゃんと知り合いなん?」

「小学1年の時からな」

 

 だからシャマル消えたんだ………でも一応警戒の為に近くに居そうだな。

 

「な…………」

 

 あ、このパターンは……

 

「何でアンタが居るのよおおおおおおおおおおおおお!!!!」

 

 アリサがバーニングした。と言うかここ病院だぞ?

 

「見舞いだ。見てわからないのか?」

 

 取り敢えず煽る事にした。

 煽ったは良いが。フェイトとアリシアが止めて、さらにここが病院と言う事もあって直ぐ収まってしまった。

 その間になのはとすずかは、はやてに見舞いの品を渡していたのを見て俺は。

 

「近くの自販機で適当に飲み物買ってくる」

 

 とアリサらしき文句の声を何事も無い様に病室を出て。自販機で人数分の飲み物を買った………のは良いが。

 

「何やっているんだ?」

 

 はやての病室の外に体をスッポリと隠すロングコートに身を包み、サングラスを掛けた。外に居たら間違い無く通報物の格好をしているシャマルみたいな………まんまシャマルだった。

 狙っているのか?ウケ狙いか?ツッコミ待ちか?隙間から覗いている表情が真剣だからより犯罪臭い。取り敢えず何時気づくか動画で撮ろう………

 

 

 

「シャマルさん?何やっているんですか?」

「あっ……その……ちょっと気になりまして……」

 

 

 撮り始めて数分後、1人の女医に見つかってしまった。

 でもお互いの反応から見知った人間なのか?とするとあれが石田医師か?

 2人は2,3言話した後、シャマルは医師に連れられてどこかに行った………

 

「……よし、タイトルは『まさに伝統芸』でいいか」

 

 病室に戻り、はやてにだけにこの動画を見せたら噴き出して呼吸困難になり掛けて、すずか達に凄い心配されてた。

 

 

 

 

 

 

                アタマノ

        ノイズガ……

フエテイク………

 

 

 

 

 

 

「――――――――――――」

 

 はやての見舞いも終わりなのは達と別れて、俺は1人公園にいる。

 

 

 

ノイズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキエナイ

 

 

 

 いい加減ノイズがうるさい………

 ちょうど近くに噴水があり、逃げる様にそこに飛び込んだ。

 

――バジャンッ!!

 

 水中に潜り視覚も聴覚も嗅覚もシャットアウト。これで少し静かになった……

 絶対あの夢の所為だ………どうして『私』何かがここに居るんだろう。私はだたあの子に生きて欲しかったのに――

 ……駄目だ、別の事を考えよう、過去話は大嫌いなんだ………

 

 

マダ………

             キエナイ………

 

 

 仮面の男は時が経てばそれが正しいと分ると言っていた……完成するまで待てって言っているのか?

 あいつらが管理局の人間だって事は分っている……このまま完成しても結局管理局にアルカンシェルで退けられるだけだろ…………え?今なんて言った?

 

 

――ザバッ!!

 

 噴水の中で仰向けに寝ていた体を起こした。

 

「アルカンシェルで……?」

 

 待てよ?シャマルの話では主以外は干渉できない事になっている筈だ、なのに何でアルカンシェルが効くんだ?もしかして干渉できる条件が――――――あ。

 

「そうか………分った、仮面の男の目的が……」

 

 だけど、完成したら世界を破壊し尽くすとか言われている物を態々完成させてまでやるなんてどれだけ恨んでいるんだよ………で。

 

「………何時まで隠れてるんだ?」

 

 噴水から出て、何もない所に呟く。

 瞬間、空の色が変わる……結界だ。

 

「……何時から気付いてた」

「家を出る時から……やっぱり監視していたか」

 

 思った通り……あそこまで煽ってはやてに近づけば何らかのアクションを起こす。

 振り返ると、これまで幾度も邪魔をしてきた仮面の男が二人立っていた。

 

「警告だ……これ以上アレに深く関わるな」

「こちらの邪魔をしないで貰おうか」

 

 

    ノ

 

          イ

 

            ズ

 

  ガ

 

          キ

 

  エ

 

          ナ

 

               イ

 

 

 

「関わるなと言うのは…闇の書について何か知っているのか?」

「それを答えると「思ってるわけ無いだろ」…ではなぜ聞く」

 

 ワザとだよ。

 

「だから俺がある仮説を話す貴様はそれに嘘をついても良い…『はい』か『yes』で答えろ」

「いいだ―――いや待て!それでは肯定だけだろう!!」

「古臭いお約束を……」

 

 少し遅れての仮面の男達のツッコミが入った。

 

「良く分ったな………だがツッコムのが少し遅いな、ノリツッコミにしても勢いが無い」

「まさかのダメだし!?」

「貴様と漫才をするために来たのでは無い!真面目にやれ!!」

「真面目にやっている………真面目にふざけている」

 

 よし………調子戻った。

 

「さて、最初の質問だが……」

「待て!このぶち壊しの空気を何とかしろ!!」

「あ?俺は空気を読まないから、無理」

 

「「性質が悪い!!」」

 

「全く、コレ飲んで少し落ち着け」

コートからお茶のペットボトルを二人に渡す。

「………どういうつもりだ」

 

 アレ?怒ってる………あ。

 

「ゴメン仮面(ソレ)じゃあ飲みづらいよな、このストローで…こう……仮面との間から」

「そういう問題じゃない!お前も何か言ったら…」

「チュー……ん?」

 

 もう一人の仮面の男は仮面と顔の隙間からストロー通して飲んでいた。

 

「飲むなあああああああああああ!!」

 

 

 

 

 

 

 

「まず闇の書を完成させる理由についてだ」

 

 落ち着かせるのに数分掛かったが。さっさと始める。

 

「これは『闇の書の力を自分の物にする』か『この世界を破壊する』の二択になる。だが、貴様らにはその選択肢に矛盾が生じる」

「………………」

 

 仮面の男達は黙って聞いている。

 

「まず『この世界を破壊する』はその行動が問題だ、敵でも味方でも無いような行動を取る必要が無い。そして次に『闇の書の力を自分の物にする』も同じ理由。それに加え闇の書は主以外使えない…自分の物とするなら主を洗脳するしか無い……………となると新たに出た選択肢はこうだ………『アルカンシェル以外での対処法を持っている』だ」

 

「「!!」」

 

 仮面で分らないが、どうやら図星の様だ。

 

「闇の書は完成前だと主以外干渉できない……だとすると完成を見計らって主ごと縛ってブラックホール的な物に捨てる……と言うのが対処法か?」

「………………その通りだ」

「おい!」

「もうバレたんだ…黙っていても仕方ない」

「此処までする理由は………復讐か」

「復讐と言えば復讐だな、闇の書は多くの命を奪ってきた、今まではアルカンシェルで消していたがそれもただの先延ばしに過ぎない………だが我らは見つけた、闇の書を封印する方法とその主を!!」

「それで、体も不自由な子を闇の書ごと封印してポイッか…それを誰もが望んでいると思っているのか?」

「思わない……それを偽善と言われても甘んじて受けよう……だが!このまま放っておくと更に多くの命をあんなものに奪われてしまう!!」

「貴様のは偽善じゃない……貴様のはただの復讐いや、八つ当たりだ」

「コノッ!!……大切な物を奪われる悲しみを…子供の何が分る!!」

 

 黙っていたもう一人の男が拳を強く握り叫んだ……

 

「貴様の悲しみなんか知らない……大切な物が無くなって悲しいのは誰だって同じだ、悲劇の主人公ぶるな……」

 

 仮面の男たちを見下すような目で見る……

 

「くだらない……どんな理由を並べても殺せば唯の殺人だ…それ人の為とか世界の為とか聞くと…正気の沙汰とは思えない」

 

 そう……だから俺は殺す時の理由はない……強いて言うなら『殺したいから』だ……

 

「さて……俺の話はもう終わりだ。そろそろ出してくれないか?」

 

 今日は特に疲れた……

 

「いや、知ってしまった以上帰らすわけには行かない!!」

「残念だが消えて貰うぞ!」

「はぁ………」

 

 ど突いて気絶させれば、結界も解けるか?

 

「さっきから言いたい放題言って……そう言う貴様は何だ!!正義の味方でも言うのか!!」

 

――ブチッ

 

 あ?……コイツナンテイッタ?セイギ?………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 ――『幻想』が……………

       『現実』を犯す………――

 

 

「何だ、これは!?」

 

 

 

 地面はひび割れ。

 

 遊具は壊れ。

 

 噴水は暴発し、人工的な雨を降らす……

 

「魔法!?……違う!魔力なんて欠片も感じない!それにアイツは魔力を―――」

 

 

 もう何よ、せっかく気分が良くなったって言うのに地雷踏んじゃうのかなこのお兄さんたちは……あ、地雷は踏ませる為に有るんだった♪

 早く帰りたいんだけど、このお兄さんたちが私を帰してくれないから仕方ないよね?じゃあ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「殺しちゃおっか♪」




アマデウス様、シーザス様、感想を有難う御座います。

~次回もお楽しみにしてください~

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