魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~ 作:メガネ
「う~ん~……?」
ん~と、朝だよな…朝でいいよなコレ……
携帯が指した時刻は午前3時。
「正確には明け方だなこれ……二時間以上暇になるなこれ。」
眠気はもう無いしどうするか……
考えた結果。こんなに時間があるのならかなり凝った弁当でも作ろうと寝間着のままエプロンを着けてキッチンに直行。
「えっと…」
昨日買った物を思い出して、メニューを考える。本格的な和食も良いが弁当用に作ると余るしな……よし。
「主食はパンにしてサラダとデザートを一品づつにするか……」
早速パン生地から取り掛かる事にした。
~約三時間後~
「よし、こんな物かな?」
出来上がった弁当は焼いたイングリッシュマフィンをベーコンエッグを挟んだのと、レタス、トマト、クリームチーズを挟んだマフィン。プチトマトよりやや大き目のトマトの中をくり抜き(中身はマフィンのソースに使用)細かく刻んでドレッシングを和えたサラダを入れた一口サラダ、渋皮を剥いたオレンジとグレープフルーツをヨーグルトと混ぜたデザート。
「それにしても何であのロリショタコン、何で唯一の趣味の料理を知っているんだ?」
出ないとあんな業務用冷蔵庫とか意味ないだろ……
「――いいか、ロリショタコンだからって言葉で片付ければ」
崩れないように包んでバックに入れて、キッチンを掃除した。
次に学校の準備だが昨日の内に済ませたので、後はシャワーを浴びて制服に着替えれば良いだけだ……だと、思った。
「―――――――――」
それで今俺は、姿見の前で制服を着て睨んでいる。
「全然似合わない……」
制服は男子の物だが、コレが全然合わないと言うかミスマッチと言うかアンバランスと言うか……簡単に言うと女子が無理に男装してる見たいだった。
「確か裁縫器具は……あった」
何故か荷物と一緒にあった女子の制服もあるしこれを改造するか。
「丈を詰めて、動きやすい様にスリットを入れて。となると下が見えるからズボンでも穿いて置くか」
改造が終わった頃には丁度良い時間だったので。改造した制服に着替えて家を出た。
「少し早すぎたか?」
改造した制服着た俺はスクールバスの停車場にいる。髪型は適当に後ろで白いリボンで二つに縛ってる。
「あの~……コダイ君?」
「ん?そうだが?」
呼ばれた方を向くと、やや困った顔をしたなのはが俺を見ていた。
「良かった~昨日と全然違ったから別人かと思ったの」
別……ああ、髪型変えてるからか。
「学校ではコレで通そうと思うんだが……」
「すっごく可愛いの!」
「ありがとう……あ、バスが来た」
時刻表の時間にピッタリにスクールバスが着いた、今度からなるべく遅く起きた方が良いか?
「おはようございま~す!」
なのはが運転手に挨拶をしてバスの奥に迷わず進む。
俺も席を探すか……
「コダイく~ん!コッチ空いてるの」
「え!?あのツインテールの子コダイ!?」
「嘘!?全然気づかなかった!」
最後尾の座席で俺を呼ぶなのは……その隣にいたのは昨日会ったばかりのアリサとすずか。この二人はなのはが呼ぶ俺には気付かなかった見たいだな。
後、名前を呼ぶのは構わないが大声で呼ぶな、乗客に迷惑が掛かるだろう………無視すると後が面倒だから三人の元に向かう。
「はい、コダイ君」
「ありがとう」
なのはがアリサとの間を一人分開けた所に座るとバスが動き出した。
「と言うか……なのは良く気づいたわね?」
アリサが隣の俺を上から下まで見ている、別に変えた所は無いと思うが……
「にゃはははっ……!」
「笑ってごまかすな、俺と言うまで半信半疑だった癖に」
そう言ったら逆の隣のなのはが『うっ』と黙った。
「あ、そう言えばコダイ君。それって女子の制服だよね?チョット違うけど」
ここですずかがようやく改造した制服に気付いた。
改造した女子の制服はスカートの丈が膝上で動きやすい様にスリットを入れて、革の紐で交差するように調整して。その下には黒いズボンを穿いている。
「コレか?男子の制服が有り得ないほど似合わなかったからだ。ホラ」
証拠に携帯で撮った男子の制服を着た姿の画像を見せる。
「「「うわぁっ……」」」
三人とも予想通りの反応をしてくれた。
「無理に男装して居るみたいだろ?」
何度も頷く三人……もう、このままでいいと推してくれた。
学校に着いてから職員室に行き教師に軽く挨拶して教室に案内され、紹介されたんだが…………
「「「「質問!男子ですか!?女子ですか!?」」」」
クラスの生徒の殆どが手を上げて声を揃えた。上げて無いのは、はなのはとアリサとすずかが嬉しそうな顔をしている。
「残念だな、一応男子だ」
――ビシッ!!!
やっぱり固まるか……え?制服の所為?仕方ないだろう、似合わないのだから。
「……で、どこに座れば?」
「え!?……えっとトキガワ君は高町さんの後ろの席でお願いします」
いや、教師も固まるなよ……渡したものに書いたあっただろ。
なのはの後ろは一番後ろでその席に座った。あとアリサもすずかも席が近い。
それと様々な視線がコッチに集中……この際無視だ。
「じゃあ、一時間目はトキガワ君への質問会にしましょう」
それでいいのか教師?でもつまらない勉強聞かされるよりマシかな………
「誕生日と星座は?」
「六月六日の双子座」
「何処に住んでるの?」
「翠屋から徒歩10分の一軒家」
「何で男子の制服着ないの?」
「有り得ないほど似合わないからだ」
「趣味と特技は!?」
「共に家事」
「好みのタイプは!」
「恋愛には興味はない」
「ののしってください」
「この豚野郎…………おい待て、今の質問じゃないだろ、誰だ」
何だこの状況?前の世界と違う………それとそこの三人娘はメモしてないで止めろ。
質問会、特に後半は俺の罵倒会も終わり、面白くない授業を聞き流し、昼休み。
なのはに誘われアリサとすずかと共に屋上で弁当を食べる事になったんだが……
「明日からサボろうかな」
だって期待してた程学校がつまらない。授業はレベルは小学校にしては高いけど、在り来たりで面白くないし……
「転入早々何言ってんの!」
後ろから来るアリサの拳をかわす。
「当たりなさいよ!」
「当てろよ」
再びアリサの攻撃、そしてかわす。
「しかしこの学校は転入生がそんなに珍しいのか?それともう落ち着け、時間が無くなるぞ?」
アリサの拳を受け止めて、動きを止める。
「ふん!覚えてなさい!!」
何を?
まあ、アリサを落ち着かせた事だし良いか。
「あ、コダイ君のお弁当かわいい~」
「そうか?」
弁当を広げると、隣にいたすずかが俺の弁当を覗き込んだ。それを聞いたなのはとアリサも覗き込んだ。
「わぁ~お店で売ってるみたいなの~」
「彩りも良いし、トマトを入れ物にしたサラダもセンスいいわね」
三人が手放しで褒めてくる、料理は前の世界では子供の頃からやっているから不味いわけが無い。
「これ、コダイ君のお母さんが作ってくれたの?」
すずかが弁当から目を離さず聞いてくる……なのはもアリサも俺の弁当をずっと見ている。そんなに珍しい物を入れた覚えは無いが……
「自分で作ったぞパンから全部」
「「「嘘ぉ!?」」」
おいその反応は心外だぞ、言っておくが家事……事料理に関しては同年代(実年齢)に負けるつもりは無いぞ。
「けどパンってかなり時間掛かるんじゃ………」
「今日は三時に起きたから凝ったものを作ろうと………」
「凝りすぎよ!ってか早すぎ!」
アリサがコッチに詰め寄ってくる。仕方ないだろまだ長く寝るのが慣れないんだよ。
「凝っている分、味は申し分ないぞ?ほら」
「アムッ!?」
さっきから詰め寄ってくるアリサの口に一口サラダを放り込む。
「どうだ?」
「お、美味しい」
目を丸くして驚くアリサ……
「コダイ君、私も良い!?」
「私も……食べさせて欲しいな」
「ん?いいぞ」
サラダを今度はなのはとすずかの口に放り込む。
「おいし~♪」
「ん~♪」
なのはもすずかも、美味しそうに食べてる……
実は久しぶりに料理をしたんだが腕は鈍って無い様だな。
「ねぇねぇ、コダイ君」
「ん?」
「はい!」
肩を突かれ振り向くと、すずかが自分の弁当のおかずを箸で掴んでこちらに差し出していた。
「お返しに私のおかずと交換ね……えっと、あ~ん」
「………は?」
え?何コレ……どうすれば良い?
なのはとアリサの方を見ても口を開けて絶句しているから、役に立たない……
「は、早くしてよぅ……恥ずかしいんだから」
徐々に顔を赤くして俯くすずか、それでも箸は俺に差し出されたままだ。
コレを食べればいいのか?
「アム……美味しい」
差し出されたおかずを口に含む。
成程、こんな味付けもあったか……今度試してみよう。
「コダイ君、私も!……あ、あ~ん」
「アタシだけ貰ってちゃ不公平でしょ、だからア、アタシのも食べなさいよ」
ズイ、と目の前に差し出されるなのはとアリサのおかず。すずか同様に顔が赤いなのはとアリサ、ただ食べ物を渡すと言うだけで恥ずかしい物なのか?と言うかしなければいいのに。
……分かった、食べるから睨むな。
「アム……これも美味しい」
なのは、アリサの順に食べる。三人の弁当のレベルが凄い気がする……明日からは気合入れて作るか。
それと今更何だが、こちらを見る視線が徐々に黒く……
「「「「「ふざけんな~!!!」」」」」
突然、周りの男子の大部分が立ち上がった。見知った顔が無いから違うクラスか……にしても何があったんだ?
「さっきから見せつけやがって!」
「アイドル三人と昼食でしかもあ~ん合戦だとぉ!?」
「転入早々ハーレムか!?」
え?何?―――言ってる意味が全然分からない。それよりも……
「何で男って分かったんだ?」
「アンタの名前が辛うじて男だったからじゃない?」
あ~成程、冴えているなアリサ。
まあ、そんな事よりも……
「食事中は静かにした方が良いぞ?」
――ブチッ!
あ、何か切れた音。それと同時に男子群の黒さが上昇……
「「「「「ぶっ殺す!!」」」」」
「穏やかじゃないなっと」
屋上から飛び降りる。
「逃がすな追え!」
「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」」」
そうして俺の逃走劇が……始まるわけがない。屋上から飛び降りるふりをして縁に捕まっていただけ。
「よいしょっと」
縁から屋上へよじ登る。
「「「コダイ(君)!?」」」
「どうした変な顔して」
「変って…………で、でも、さっき飛び降りて男子達に追いかけられてるんじゃ…」
「面白くないし、面倒くさいから」
屋上への出入り口と俺を交互の見ているすずかに即答すると。三人の引きつった笑いを浮かべていた。
昼休みも終わり、午後の授業も消化。
初めての学校が終わった。
あ、何か男子は昼休み後も探してたらしくて教師に説教されたらしい。
「ねぇねぇ、コダイ君、学校どうだった?」
放課後の帰り道をなのは、アリサ、すずかの四人で歩いていると。なのはが顔を覗き込んで聞いて来た。
「一応…全員の顔と名前は覚えた」
「一日で覚えたんだ……凄い」
「そうか?」
素直に驚いているすずか。
「今後の為に嫌でも覚えないと……」
懐から黒いノートを取り出して。学校の人物を書いて行く。
「「「何のために?!」」」
ソレは例え三人が綺麗にツッコミを入れても言えないな……
~次回もお楽しみにしてください~