魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~   作:メガネ

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やるなと言われたら、やりたくなるのは何故?byコダイ

「さぁ………奪え」

 

 後ろから聞こえる冷たい声、リンカーコアを取り出されたのか。

 痛いけど意味無いんだよな、この前の瓦礫で心臓何て無いし……痛いけど。

 と言うかようやく来たのかよ遅すぎる……

 

「貴様!!」

 

 シグナムが怒っている………蒐集出来るのに何でだ?

 

 

「何をしている………早く蒐集し………何!?」

 

 何を驚いているんだ?

 

「な……何なんだソレは……」

 

 シグナムも驚いてる?ソレってリンカーコアの事か?

 

「何故……リンカーコアが半分割れている!?」

 

 仮面の男が驚きの声を上げてる……

 俺のリンカーコアは球体が半分に割れている形だった……

 え?個人によって形が違わないのか?魔力光と同じ様に。

 

「……形はどうであれリンカーコアには変わりない……奪え」

「ふざけるな!そんなモノを蒐集したら一体何が起こるか……」

「闇の書を完成させるのが優先だ……」

 

 そんなモノの持ち主の前で勝手に話を進めるな。

 それよりもさっきから胸を貫かれてる俺は放置?

 

「シグナム……」

「ト、トキガワ………」

「あのまま続けていても負けていた。良いから早く奪え、リンカーコアが割れようがリンカーコアには変わらないんだ」

「だが、お前の身に何かあったら……」

「俺は死ねないから安心しろ」

「ッ!―――だが」

「やれ」

 

 正直、この状態かなり痛い。

 

「………」

「………分った」

 

 無言のまま見つめ合う事数秒、シグナムが折れた。

 

「≪リニス、一旦戻れ≫」

「≪コダイさん!?どうして!?≫」

 

 いまだ戦闘中だろうリニスに念話を送った。

 

「≪相手側の目的は蒐集のみだ、もうここにいる必要は無いから一旦戻れ≫」

「≪ですが……≫」

「≪今こっち来たら餌になるだけだ……≫」

「≪…分りました。けど、後でクロノ執務官の説教が待ってますよ?≫」

「≪あ……忘れてた≫」

 

 リニスに念話で伝え戻る様に言った。

 

「…すまないトキガワ」

「謝るなら早くしろ」

「くっ…!」

Sammlung(蒐集)

 

 シグナムが目を背け、闇の書に命じると。闇の書は怪しく光り、俺の魔力を絞り取って行く…………

 

「闇の書を完成させるのだろう?………手段など選んでいる場合か?」

 

 蒐集が終わると仮面の男が腕を俺から引き抜かれて行く―――

 

「ちょっと待った、こっちは聞きたい事がかなりあるんだ」

「何だと?!」

 

――ガシッ!

 

 引き抜かれている腕を掴んで動きを止める。同時にスタイル・イレイザーを消す。

 

「何故………闇の書を完成させ様とする。あれは赤の他人が使える代物では無いぞ」

 

 さっきのシグナムの口振りからは味方とは考えられないな………

 今までの話からしても、闇の書を完成させても仮面の男にメリットが一切無い事だ。

 

「知る必要はない………時を待て、それが正しいとすぐ分る」

「話す気は無いと?」

 

 返ってくる言葉は無い……

 

「なら………用は無い」

 

 残りの魔力を全部この魔法に使用する。

 俺を中心にベアトリス式の魔方陣が展開、その上に大量のスローナイフが出現した。

 

「な、何だこの大量の魔力刃の数は……蒐集された筈なのに!」

「種明かしは簡単、俺の魔法の基本はキープするディレィスペル、維持するのにも魔力がかかるがキープした魔法には何も必要ないんだ」

 

 そうで無いとなのは以下の俺の魔力が簡単に底を尽きる。

 ギリギリ残してくれたお陰でキープ分だけは足りた。

 

「トキガワ!!やめろ、これ以上は―――」

 

 これと同じ魔力刃を散々見てきたシグナムはコレがどんな魔法なのか分かったみたいだ。

 

「取り敢えず歯は食い縛っておけ、これ……威力以外は度外視だから」

「やめ―――――」

 

 仮面の男が何か言おうが何も躊躇なく足元の魔力刃を蹴る。

 次の瞬間、魔力人がまるで繋がっている様に全て同時に爆発した―――

 

 

 

 

 

 

 

――ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

「……そう言えば、2人いたんだっけ?」

 

 爆発の直前にバインドで拘束されて仮面の男から逃げられて。完璧自爆と言う結果……

 

「何て奴だ……」

「何も躊躇いも無く、自分事攻撃するとは………」

 

 向こう側には無傷に近い仮面の男の2人転移の準備を始めている。

 このまま逃がすわけにはいかいないが。さっきの魔法で魔力はもう空、魔法的にも物理的にもバインドを壊すのは不可能。

 ……………残る可能性はたった1つだが、この状態じゃ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≪―――――――ゃだ≫

 

 

 

 

 

 

 

 

 小さく、消え入りそうな声なのにやけにこの場に響いた。

 シグナム、転移しようとしている仮面の男達の動きが止まった

 

 

 

≪いやだ…………もう、いやだ………≫

 

 

 

 拘束されている体が独りでに動いている……これはレイが動かしている。

 

 

 

≪コダイが傷つくの―――コダイが怪我するの―――コダイが苦しむの――――――もう……いやだ!!!!≫

 

 

 

 右手にはいつの間にか握られているカートリッジ、それが口元まで近づいている………

 成程……お前も同じ考えか、乗ってやる。

 

「何をしている?」

「カートリッジを咥えた?」

 

 俺の行動に不思議に思っている仮面の男達……

 

「考えなくてもいい――――すぐ思い出すから」

 

――バキィン!!!

 

 カートリッジを噛み砕く。

 さっきまでとは比ではない激痛と高熱が全身を襲う―――絞りかすしかないリンカーコアが暴れ狂っている―――宝石のレイから金色の管が血管の様に脈動して熱い――――

 凶悪なまでの魔力の奔流と同時に、一瞬気が遠くなる―――次の瞬間には全身が灼熱を帯びた金色(こんじき)に染まった装甲を纏っていた。

 

「―――――――」

 

 熱い……全身の血と言うより水分が沸騰通り越して蒸発しそうだ。

 あの時の映像で喋っていないのは気絶が理由じゃない、熱で頭がおかしくなって喋れないんだ。

 意識はあるが動かない、レイが動かしているのか?くっ付いているからあり得ない話では無いが……

 

――ジュゥゥゥゥッ!!!

 

 全身を縛っていたバインドが煙上げ溶け初め、魔力に還っていく……

 

「その姿……あの時の化け物?!」

「速く転移を!速くしないとやられるぞ!」

「――――――――――」

 

 全身を縛っているバインドを溶かし切ると、そのまま突っ込み仮面の男の頭を掴み投げ飛ばした。

 

「「グワアアアアァァァァァァァッ!!!」」

 

 投げ飛ばした先に狙いを定め、両腕には大量の環状魔法陣が出現した。

 

 

 

――ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!!!!

 

 

 

 仮面の男を投げ飛ばした先に向かって。殴る動作と共に拳の先からバニシングバスター……いやそれ以上に圧縮された砲撃が乱打の如く打ち出された。

 殴るたびに環状魔法陣が消えていくが、残りが2,3個になると新しく環状魔法陣が出現する、それを何度も繰り返していた………

 

 

 

――ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!!!!

 

 

 もう完璧にレイが動かしているなこれ……

 連発のしすぎで相手がどこに居るのかが分らない。

 

 

 

 

――ズドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 乱発した砲撃で撒き上がった砂煙で見えなかったが一つだけ分った………逃げられた。

 最後のトドメとばかりに右腕にある環状魔法陣をすべて使い極大の砲撃を放った。

 大きさは…半年前になのはがフェイトに使ったスターライトブレイカーよりも大きい。

 だがそれを放つ隙が逃がす時間を作ってしまった。

 

 

≪……≫

 

 金色のバリアジャケットが解除され、目の前に壊れたカートリッジが落ちてく……

 

 

――ドクンッ!!!

 

 

「ゴフェッ!!!」

 

 その直後、胸………リンカーコアに激痛が走り吐血した……

 

 

――ドクン!!!

 

 

 体が…脳が…神経が…ヤケル……アツイ…アツイ…………アツイ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――……やっぱり………たしに……

 

 

 ……ん?声…………誰の?

 

 

――いや…………が………を持って……

 

 

「………ん」

 

 目を開けると………え?何これ?どうなってるの?

 

「目が覚めたか」

「シグナム………目が覚める云々よりこの状態は何だ…………それとそこにいる女は誰だ」

 

 俺は今シグナムに上半身だけ抱えられた……えっとこれは腕の中?

 そんな態勢で、上からもう一人知らない金髪より少し薄いクリーム色のセミロングの女に覗き込まれている……なんなの?

 

「いや!それは……怪我人を砂地の上に寝かすはどうかと思ったし………それに…………」

 

 それなら慌てるなよ。

 

「えっと、初めまして私はシャマルといいます。どうしてこうなったかと言うと―――」

 

 シャマルから聞く所によると。

 あの後、気絶した俺をシグナムが抱えて治療にシャマルを呼んだらしく応急処置が終わった頃に俺が目を覚ました………らしい。

 

「リンカーコア以外は治療しているから、命に別状は無いけど、怪我が相当深いから暫くダメージも残ると思うの、それ以外は問題なしよ」

 

 流石シグナムがエキスパートと言うだけあって処置が正確だ……コッチのスタッフより優秀なのかも。

 

「左肩と胸の刺創(しそう)に全身のには至る所に爆傷(ばくしょう)……更に左手首を深く切っての出血多量。更に全身の骨に亀裂骨折………酷い物は砕けているし………シグナムちょっとやり過ぎなんじゃ……」

「なっ―――!だからそれは両者合意の上での決闘をだな……!」

 

 若干非難の目で見ているシャマルに弁解をしているシグナム……黙ってても良いが言った方がいいのか?

 

「あ~………左手首と全身の骨についてはこっちの自業自得だ。左手首は自分でやって、骨については……スタイル・イレイザーが原因だな」

「スタイル・イレイザー………あの高速戦闘形態か」

「確かに速いほどその分防御が薄手になるけど……骨に影響を与えるなんて」

 

 俺の上で話していたシグナムとシャマルがこっちを向く。

 ただ速くなると言うだけだと都合がよすぎると思ったが忘れていた。

 デバイスも魔法だ……簡単に言うとスタイル・イレイザーは頑丈さを無くして『魔法』で速く動ける形態。

 魔法で速くなった分、高速移動したときに掛かる負担を『幻痛(ファントム・ペイン)』が鮮明に表していたって事か。

 あれだけ超高速に動いていたんだ……骨に歪みが生じないのはあり得ないしな。

 

「そう言えば………」

 

 レイは大丈夫だろうか?

 右腕を見ようとするが、動かす度に激痛が奔るが何とか右腕を持ち上げる………

 

「あ……………」

 

 その右腕は酷いものだった………

 シャマルが治療してくれから血は止まっているが、青い宝石と皮膚の間から血が流れ出ていた……………

 

「レイ―――」

≪――――――≫

 

 読んでも返事は無い

 

「………レイ?」

 

 宝石を耳元まで近づけてみると………

 

 

 

≪……………スカ~……スピ~……スピュ~≫

 

 

 

「「「………へ?」」」

 

 寝てる?

 

「デ、デバイスが……寝ている」

「あ、あはははは………不思議なデバイスですね」

 

 シグナムとシャマルがかなり驚いてる。

 

「こればっかりは持ち主でもさっぱり分ら………な……い」

 

 あれ?……力が……

 

「大丈夫よ、この子と同じで疲れて眠くなっているだけだから」

 

 シャマルがレイがある右手を優しく手に取った。

 

「今は眠れ……その間、お前は我らが守る」

 

 もう無理…………眠い――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん………?」

 

 周りが騒がしいので目が覚めた。大体数十分寝ていたのか?

 体は少し痛みが引いた、シグナム達が最後に寝る前に言ってた通り守ってくれた様だ………………何だけど。

 えっと…何これ?

 

「シグナム……」

「何してたんですか……」

 

 俺が見るからには……

 

「待て、落ち着け!テスタロッサ、高町!」

 

 シグたんミ☆がハイライトが消えた目のなのはとフェイトに睨まれてビビってる…………

 あれ?俺寝るまでシグナムに抱えられてたけど何で今はシャマルなの?

 

「何でコダイを抱き抱えていたんですか?」

「それはだなテスタロッサ。怪我人を砂地に寝かすのはどうかと思ってだな………」

「でも………何であんな優しそうな顔をしてたんですか?」

「そ、それはだな」

 

 フェイトの尋問に冷静に答えるが、なのはの一言で一歩後ずさる………

 

「どうなってるんだ?」

「コダイ君、目が覚めたんですか!?だったらあの子達を止めてください!!」

 

 シャマルが若干青ざめてる…………

 

≪んみゃ~…ふにゅ?……………ふぇ!?何でなのはとフェイトがここに!?≫

 

 レイが起きた…………と言うかのんきだな。

 

「コダイ君!?レイちゃん!?」

「目が覚めたの!?」

 

俺に気付いた瞬間、二人の目は元に戻っていた。

 

「もう大丈夫だ………シャマル離してくれ」

 

体を確認しながらゆっくりと立ち上がる、しかし何でシャマルは少し残念そうだったんだ?

 

「度々すまない……」

「いや、今のはコッチが完璧に悪いからな。借りもある………だが、礼は言わないからな?」

「………それはさっきの仕返しか?」

「その通り」

「……フッ」

 

俺がそう言うと、シグナムは軽く笑い、踵を返しシャマルと共に転移しようとする。

 

「ま、待ってください。お願いです、お話を聞いてください!」

 

 それをなのはが止めようとするが……

 

「すまない……我等には止まる事は許されぬ」

「本当にごめんなさい」

 

 そう言い残し、シグナムとシャマルは転移してしまった。




桜日紅葉雪様、liqueur様、感想を有難う御座います。

~次回もお楽しみにしてください~

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