魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~   作:メガネ

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あの店に行くのは巨大な意思を感じるbyコダイ

「あ、あの!私と付き合って下さい!!!」

 

 ……どうしてこうなった。

 今俺は『翠屋』という喫茶店でケーキとコーヒーを頼んだら、それを持ってきた此処の店主の娘だろうか?

 茶色の髪をツインテールにしてる少女が隣に座って。顔を赤くして告白された。

 さて、どうしてこうなったか思い出してみるか…………

 

 

――数時間前――

「ん?ここか?」

 

 扉を抜けると無人の家の居間らしき所だった。どうやらここが女神の言っていた俺の家だが……広すぎないか?業務用冷蔵庫や大型テレビ、絶対一人用でないクローゼットやら必要最低限の家具は置いてるみたいだな。後は日用品を………ん?

 ――絶対!開けてね♪by女神――

「…………………」

――ビリッ!グシャグシャ!シュッ!――

 大型の段ボールの上に蓋をする様に貼られていた紙を無言で破り、丸め、窓から全力投球した。

 あのショタ女神は語尾に星以外を入れればいいと思ってるのか?……………ん?ポイ捨てするな?すまないがここにはまだゴミ箱はないんだ、更に言えばあんな物を例え残骸でも家に入れたくない。

 さてこの段ボールはおそらくこの世界で必要な物だろう。

 

「一応、全部確認するか。あのロリショタコンが手を加えているかもな」

 

 まず出たのはカードと貯金通帳そして財布、中身はかなりあるな。こっちの世界用に換金してるらしく、総額は大きく言えないが億は越してる。

 次に出てきたのは白を基調とした制服、私立聖祥大学付属小学校と書かれている履歴書、つまりここが俺の通う学校か。案内書を見る限りかなりレベルが高いみたいだ、前に籍だけ置いた学校も私立の中でかなりのレベルが高かったから丁度いいだろう。教科書とバックもあるみたいだし後は筆記用具だけか。

 そして最後に段ボールにピッタリフィットする様に入っているアタッシュケース4つ、これは見なくても分かる。前の世界に使っていた武器だ、もう使うことは無いけど念のために常にナイフ二本とハンドガン一丁にマガジン5、6本持って行こう。

 後は買い物に行くだけだな。適当に歩いて此処の周辺を把握するか。鍵は玄関の扉に掛かっていたので、それを持って家を出た。

 

 

 

 適当に歩くと近くに大型スーパーがあったのでそこで筆記用具、日用品、服などを買い揃えた、食料に関しては深夜まで営業してる所か閉店間近の店に行けばいい。

 必要な物を買い揃えた後荷物を置きに一度家に戻り、今度は市内探索することにした。一応女神から土地の知識を貰っているが、それは何があるのかであって何処にあるかでは無い。実際スーパーも帰りより、行きの方が三倍時間が掛った。

 

「なるほど…………海鳴市については大体分かった」

 

 予想以上に時間が掛ったな、流石に子供の体で市内を探るのは無理があったな………

 いや、その他にも色々あった…………例えば廃墟に迷っていたら不良に見つかりそれを山にしたり、ナンパしてきた変態を吊るしたり、ヤのつく職業の連中に当たり屋の様な難癖を付けてきたので裏路地に連れ込まれたと同時に半殺しにしたりと気づけば昼を過ぎていた。

 

「何か食べるにしても家の冷蔵庫は空だから外食一択か………」

 

 特に好き嫌いはないが和食、洋食、中華料理は自分が作ったの方が美味しいので却下、ファーストフードは……店の近くで変態を吊るしたので行きたくない………となると消去法として………軽食喫茶にするか。

 

「確かここの近くに喫茶店が………あった、翠屋だ」

 

 少し歩くと翠屋を見つけた、最初に見た時はかなりの客で込んでいたが今はピークを過ぎたか空いていた。

 

「いらっしゃいませ……あら?」

 

 店に入ると女性店員俺を見て首を傾げた。

 

「あなた………さっき店の前を通った子よね?」

「よく分かったな」

 

 前、通った時はピーク時だった筈。

 

「とっても綺麗だったから目に入ったわ♪」

「そうなのか?」

「そうよ♪」

 

 今の姿は鏡で見て無いから知らないが……

 

「こちらへどうぞ」

 

 嬉しそうに笑いながら案内された、一つだけあいてる窓際の席だ。

 

「ご注文は何にしますか?」

 

 お冷とメニューを渡せされメニューを開いた…………これとこれでいいか。

 

「ケーキセットAとブレンドコーヒーを」

「かしこまりました、少々お待ちください」

 

 そういって店員は離れた。さてケーキが来る間に何をしようか………………そうだ、この世界で携帯が使えるか確かめるか。ポケットから携帯を取り出し確認する。電波は三本、普通に使えるようだ、インターネットも問題なし、念のため前のアドレスや電話帳は全部消すか…メールは……これも消すか。

 

「お待たせしまし………………わぁ~」

 

 携帯をデータを整理していると、おそらくさっきの店員に似た……娘だろう少女が注文した品を持って来たが、俺を見ると顔を真っ赤にして固まった。どうしたんだ?

 顔も赤い……熱な訳は無いだろう。飲食店だし。

 

「……どうした?」

「ふぇっ!?ご、ごめんなさい!」

 

 俺が声を掛けて再起動したらしく、かなり慌てている……それでケーキやコーヒが倒れないのは奇跡だ。

 

「で、では!ご、ごゆっくりどうぞ」

――テッテッテッテッテ…………

 どうしたんだ?そんなに慌てたらころ「にゃっ!」あ、転んだ。すぐ起き上がったから大した事はなさそうだ。

 さて、ショートケーキ、ガトーショコラ、ロールケーキどれにするか。

 

「あ、あの~」

 

「ん?」

 

 さっきの子がまたこっちに来た、ケーキを持ってる。

 

「追加か?」

「えっと、これはお母さんが休憩しなさいって」

 

 チラリと見てる方に視線を追う、さっきの店員……つまり母親が満面の笑みでサムズアップをいていた。一緒に食べなさいと言ってるかの様だ。

 

「席が無いのだろ?ならここでも良い」

「いいんですか?」

「断る理由がない。早く座った方がいい休憩時間がなくなるぞ」

「はい!あ、ありがとうございます。お隣良いですか?」

「構わない」

 

 それに礼を言って頭を下げると隣に少女が座る。その子の前にあるのは俺と同じケーキセット、違うのは飲み物が紅茶なだけ「あ、あの!」…ん?

 声がした方を向くと隣で何かモジモジソワソワしている……何かあったのか?

 

「言いたい事があるなら言ったらどうだ?」

「ふぇ!?は、ハイ!」

 

 姿勢を正して、何度も深呼吸を繰り返している……

 

「あ、あの!私と付き合って下さい!!!」

 

 冒頭に戻るというわけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「付き合うって……どこに?」

 

 と言うか何故俺?

 

「へ?……付きあっ―――!!!」

 

 一瞬呆けた顔。そこから下から上に顔が赤くなって行った。

 

「にゃあああああああああああ!!違います!付き合うって言うのはそういう意味じゃなくてっ――イタッ!」

 

 混乱した様に目を回し腕をバタバタさせて、テーブルに腕をぶつけた………何がしたいんだ? 

 

「あらあら♪なのはってば大胆ね~」

 

 なのはと呼ばれた奴の後ろから先ほどの店員が楽しそうな顔をしてやって来た。

 

「違うのお母さん!そうじゃなくて!!」

「こら。店の中で大声をださない」

「ご、ごめんなさい」

 

 弁解しようとしたが、怒られてシュンと落ち込んでいる……一々反応が面白いなコイツ。

 

「ゴメンなさいね~なのはったら、アナタがあまりにも美人だから緊張しちゃったのよ。私は高町桃子、この子の母親ね」

 

 後ろからなのはを抱きしめて自己紹介をする桃子。確かに髪とか色々共通点あるな……見た目の若さは置いといて。

 

「で……何が言いたかったんだ?」

「えっと、そのぉ……」

 

 再び顔を伏せるなのはに後ろから小声でエールを送る桃子。

 

「私と、お友達になってください!」

 

 ………え?それだけ?

 顔を見るに、多分それだけだろう……

 

「一つ、聞いていいか?」

「え?何ですか?」

「名前聞いて無い」

「………言ってませんでした?」

 

 桃子に呼ばれたのは聞いたがコイツから一切聞いて無い……その反応から、単純に忘れた見たいだな。

 

「第一声が付き合ってだから」

「はぅ……」

 

 思い出してまた顔が赤くなっている。分かりやすいな……

 

「えっと……高町なのはです」

「トキガワコダイだ……」

「トキガワさん、私の事はなのはで良いです」

「そうか、コッチも名前で良い。ついでに年も同じ様だから敬語もやめろ」

「え?………同い年?」

「今年で確か6歳だ」

 

 年齢を聞くとなのはが驚いた表情でこちらを見た。いや、見た目は俺の方が年下だろう……背が低いし。

 

「ゴメン、年上かと思った」

「よく言われる、確かに間違っていないけど……」

 

 前は確か……何歳だっけ?今はどうでも良いか。

 

「どうしたんですか?」

「いや、コッチの話……」

 まだ手を付けていなかったコーヒーを飲む。

 桃子は何時の間にか、居なくなっていた。

 

 

 

 

 その後、なのはの質問に答える者だけ答えた。聖祥に通うと言ったら同じ所らしく、すごく喜んでいた。

 

「それでね、今日はアリサちゃんとすずかちゃんが来てくれるの」

 

 その二人は確か喧嘩してその後仲良くなったとなのはが話していた。丁度いいその二人が来たら適当に挨拶して帰るかと思ったんだよ…………

 

 

 

 

 

 

 

「私も友達になりたいからすずかって呼んで?」

「アタシもアリサでいいわ、アンタの事も名前で呼ぶから!」

 

 どうしてこうなる?

 適当に自己紹介して少し話して帰ろうとしたらこうなった。

 

「へぇ~アンタ髪の毛サラサラじゃない。膝ぐらいまであると手入れとか難しく無い?」

「もう慣れた」

「わ~お肌スベスベだよ。何か付けてるの?」

「何も付けて無い……」

 

 帰ろうとしたがアリサに髪を触られるわ、すずかに手を握られるわで動けなくなった。

 

「じ~」

 

 そして何故か食い入る様にコッチを見て来るなのは。

 

「アラアラ♪モテモテのハーレムね♪」

「桃子……これのどこがハーレムに見える」

「どっからどう見てもよ♪百合ハーレムなんて珍しいじゃない~」

 

 どうしてくれようかこの女……………

 

「えっと……ちょっといい?」

 

 なのはがそう言うと同時に俺の顔の半分も隠している前髪を上げた。と言うか断りと同時にかよ。

 

「わぁ~……」

 

 なのはが俺の前髪を上げて息を漏らしていると。さっきまで髪や手を触っていたアリサと、すずかが目の前に移動していた。

 

「うわ、綺麗……」

「顔が小っちゃくて、目が大きくて……お人形見たい」

 

 人形か。前の世界では他人から容姿に付いて評価された事は無かったし鏡何て見る機会が少なかったし……

 客観的に自分の容姿はそうなのか……

 

「うわ~……何て言うか。もう女として全部負けてる気がする」

 

 俺の顔をじっと見ている三人の後ろにいる桃子の隣の女、確かなのはの姉の美由希だったか?そいつがコッチを見てかなり落ち込んでいる。

 それに、やっぱり全員予想通りというか何というかものの見事に勘違いしてる、この状態で訂正したらどう反応するか………面白そうだな。

 

「何を勘違いしているんだ美由希。いつ女だって言った?」

 

――ピシッ!

 全員固まってる。

 

「え………まさか、キミ……もしかして男の子?」

 

 美由希の俺の指している手が震えている……何だよその信じられない物を見る目は。

 

「女で無ければ男しかないだろ。それと指さすな」

 

 この後のリアクションは確定済みなので耳を塞ぐ。

「「「「ええええええええええええええええええええええ!!!」」」」

 

 予想通り。客も含めほとんどの人が驚いてる、目の前にいた、なのは、すずか、アリサも飛退いてるし………。だが桃子だけ物凄く嬉しそうな反応だな、騒がなかったし。

 

「嘘って言いなさい!!そんな超美人顔が男!?」

「だからそう言ってるだろアリサ。それと指さすな」

 

 他は……なのはとすずかは石化してる。どんだけショックだったんだよ。

 

「丁度よかったわ!なのはに接客の時に着せようと思っていたんだけど、サイズが小さくて、でもあなたなら着れるわ!この白ゴス」

 

 満面の笑みでやって来た桃子がどこから取り出したのか白一色のフリルが沢山あるゴシックロリータ服。

 

「桃子………黒の色違いがあれば着る」

「「「「着るの!?」」」」

「あるわよ、もちろん!」

 

 白ゴスを仕舞うと、また何処からか今度は黒ゴスを出してきた。しかも白と比べてスカート丈が短いな……

 

「「「「あるの!?」」」」

「あと、あまり露出は嫌いだから二ーソックスとかないのか?無ければガーターでも」

「両方あるわよ。縞々の二ーソ何てどう?」

「良し、それで行こう」

「「「「何か着る前提で進んでる!?」」」」

 

 何だよさっきから外野がうるさいな……あ、すずかの石化が治った。

 

「ちょっと待って!何で言ってくれなかったの!?それよりお母さんは何で男の子と分かってそれを着させるの?!」

 

 今度はなのはが石化を直して俺に詰め寄ってくる。

 

「聞かれなかったし、女装はオシャレだし、第一に………」

「そんなの決まってるじゃない」

 

 

 

「「その方が面白いから………え?」」

 打ち合わせも無く桃子と同時に同じ事を言った………

 

――ガシッ!

 

 無意識に俺達は握手を交わしていた。

「やるわね……」

「そっちも……」

 

 桃子とはかなり気が合いそうだ。

 

「にゃははははは……お、お母さんが二人いるみたい………」

 

 なのはの引きつった笑いが印象的だった。他の人も同じ顔なので多分同じ事を考えているんだろう。

 

 

 

 

 まあ、そんな事でゴスロリ服を着た。

 ただ着るだけじゃ詰まらないので髪型をツーサイドアップ、簡単に言えばストレートとツインテールを足した……と言うかアリサみたいな髪型にした。

 

「お母さん、本当にだ、大丈夫?」

「病院に行った方が良いんじゃ……」

「大丈夫よ………むしろとても幸せな物を見れたから………」

 

 少し遠くでは心配そうにする美由希に椅子に座り、上を見て鼻を押さえる桃子が鼻声で返す。その表情は幸せそうだ……

 それが気になっているのか、アリサが隣でやって来て俺に耳打ちしてきた。

 

「ねぇ、桃子さんに何かしたの?」

「ん?着て居る時、何を狂ったのか桃子が抱き着いてきて暴走してな。止まらないからこう、上目つかいで……おねーちゃんって言っただけだ」

「アンタには、男のプライドってもんがないの!?」

「そんな安い物、女装(オシャレ)には必要ない」

「そのオシャレの使い方絶対間違っている!!」

 

ボケれば的確にツッコミを返してくるアリサ。コレはなのはと違って反応が面白いな。

 

「さっきから気になっていたのだが。すずかが固まったままだぞ?」

「え?……ちょっすずか!?」

 

 微動だにしないすずかを見ると、アリサが駆け寄って肩を揺する。

 

「何で固まって……」

「俺が来たときには、まだ息はあったぞ」

「殺すな!!……って事は十中八九アンタのその恰好が原因って訳ね……」

 

 腕を組んで、ジト目で俺を上から下までじっくり見るアリサ……

 

「兎に角ショック療法だ、桃子にしたおねーちゃんをやって見るか」

「止めさすな!!!」

 

 アリサとの口論の結果、すずかは猫騙しで起こす事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「人と話すのも悪くは無いかな?」

 

 ベッドの上に寝転んで今日の事を思い出していた。

 復活させた後も話は長くなり、空が暗くなった頃。アリサとすずかが帰る時に俺も帰ることにした。その時にアリサが車ですずかと共に送って貰うことになった。

 

「何時でも遊びに来てね♪」

 

 店を出る際の桃子の笑顔がやたら印象的だった……たぶん、また何かを着る事になるだろう……どうでも良いが。

 家に着いた時、食料が無い事を思い出し速攻で商店街に買い物に行った。それで体が子供だから、お使いと間違われ色々おまけしてくれたのは嬉しい誤算だ。

 後は食材を冷蔵庫に入れて。忘れていた部屋の確認、放置した物を整理等と休む暇もなく動き回り全てが終わる頃には10時過ぎ。

 夕食も食べる気分では無いのでシャワーを浴び、寝間着にYシャツ……俺が着ると色んな所があまりブカブカだけどな。

 

「あ……そう言えば、明日からなのは達と同じ学校だった筈……まさか同じクラスって事か?」

 

 ………嫌な予感がする。

 こうして、俺の転生して一日目が終了する。




氷屋様、アキ様、鉈豆様、感想をありがとうございます。

~次回もお楽しみにしてください~

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