魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~   作:メガネ

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海のジュエルシード封印の時とプレシア・クローンの時の傷はまだ全然治ってません。
つまり死に掛け当然です。


優しい言葉が本当に優しいとは限らないbyコダイ

 アースラのブリッジに着くと慌ただしい中リンディが迎えてくれた。

 

「貴女がフェイトさん?≪コダイ君、何時でも行ける様に準備してください。後、フェイトさんを別の部屋へ案内して≫」

「≪準備は既に済んでる≫なのは、フェイトにアースラを案内してくれ。話す事があるだろ?」

「うん。行こうフェイトちゃん」

 

 なのはがフェイトの腕を引くが、フェイトはその場を動かない。

 

「――母さん?」

 

 フェイトが見据える先には武装局員とプレシアのクローンが対峙しているのがモニターに映っていた。

 

「プリシア・テスタロッサ!時空管理法違反、及び、管理局艦船への攻撃容疑であなたを逮捕します!武装を解除し、ご同行を願います」

 

 本当はクローン何だけど、その事は伏せて貰ってる。この事はフェイト自身の目で確かめないとな……

 モニターに映る武装局員の一人が奥にあった隠し扉を開き、そこにあるモノを見つけた瞬間、プレシア・クローンの顔が怒りに歪む。

 そこにあったのは、生体ポッドに入ってるフェイトを幼くした子供が入っていた。

 アレがアリシアか……マズイな、クローンも本物のプレシア同様にアリシアの蘇生が目的、今の狂気染みたクローンの精神状態では……

 

「私のアリシアに近寄らないで!!!!」

 

 案の定――プレシア・クローンは大量の雷を局員達に落とした。

 

「いけない!!早く彼らを戻して!!」

 

 一人残らず倒れていた局員はリンディの迅速な命令で転移魔法によりアースラに運ばれた。

 

「もう時間が無いわ………9個のジュエルシードでアルハザートに辿り着けるかどうか……………」

 

 クローンがアリシアの入った生体ポッドを背に話し始めた。

 

「アルハザート?」

「次元世界の狭間に存在し、今は失われた秘術の眠る地の事よ」

 

 リンディが説明してくれた。次元の狭間にある所か――

 

「つまり、ジュエルシードを集めた理由は、その次元干渉能力を使ってアルハザートに行くという事か」

「その通りよ………でも、もういいわ………」

 

 クローンが俺の問いに答えると今度はフェイトを睨んだ。

 

「アリシアを亡くしてからの暗鬱な時間を身代わりの人形に記憶を与えて娘扱いをするのも……貴女の事よフェイト……貴女はやっぱりアリシアの偽物よ、折角アリシアの記憶もダメだった」

「ど、どういう事なの!?」

 

 なのはが驚きの声を上げる……………

 

「プレシア・テスタロッサはとある事故で実の娘のアリシア・テスタロッサを亡くしている。そしてそいつが最後に研究していたのが。対象の遺伝子をクローニングして対象を複製する、つまり死者蘇生の秘術。その時の開発コードがプロジェクトF.A.T.Eだろ?」

「えぇ、そして私の目的はアリシアの蘇生………それだけよ。だけどダメね……ちっとも上手くいかなかった。所詮作り物は作り物。アリシアの代わりにはならない。ただの偽物、贋作でしかないわ」

 

 プレシアも言っていた様に、いくら記憶や肉体を複製しても性格や人格は複製できない。つまりifの存在を作る事――

 

「アリシアを蘇らせるまでの間に、私が慰みに使うだけのお人形。だからアナタはもうイラナイわ。何処へなりと消えなさい!」

 

 もしかしたら、本物のプレシアもこうなっていたのかもしれないと言う事だな。。

 

「イイ事を教えてあげるわ、フェイト………アナタを造りだしてからずっとね、私はアナタが………大嫌いだったのよ!」

 

 その言葉を聞いた瞬間、フェイトの目には光が無くなり、力無く崩れ落ち、なのはが慌てて抱き止めた。

 

「フェイトちゃん!」

「フェイト!」

 

 なのはとアルフの呼びかけに全く反応しない。

 

「ハハハハハハ………!ハハ、ハハハハハハ……!フフフフ…!」

 

 そして相変わらずの三流じみた笑い方だな。

 

 

 

「そんな人形より……………私はあなたに興味があるのよ」

 

 

 

 クローンが俺を指す……………

 

「あなたの右腕にあるジュエルシード……………人体と完璧に結合しているのに暴走が一切起きない――つまりあなたはロストロギアを完璧に制御できている。あなたを調べれば、確実にアルハザートに行けるわ」

 

 つまり、俺にジュエルシードを使わせるって事か…………

 

「どうでも良い―――が、今回は貴様のその顔に5,6発殴らないと気が済まない」

 

 あの時は仕留めそこなったけど……………

 

「待っているわ―――」

「庭園内に魔力反応多数!全部クラスはA。数は………100……200………どんどん増えていきます!」

 

 モニターが消えると同時にエイミィが魔力反応をキャッチした。

 

「ジュエルシードの発動を確認!」

「小規模ながら次元震の発生を確認!徐々に規模が大きくなっています!」

 

 他のオペレーターも報告する。

 

「まさか本当にアルハザートに行くつもりか!あんなものはお伽噺だ!」

「クロノ、あの女が俺を直々に呼んだんだ、庭園へ転移してくれ」

「待って!私が現場に出て次元震を何とかして抑えるから、その間にクロノとコダイ君達は……≪あの事をフェイトさんに話しても………≫」

「分ったリンディ。行くぞなのは≪今は何を言っても無駄だ………自分の目で確かめさせる≫」

 

 そう言ってブリッジから出ていく。

 

「――待ってるぞ」

 

 去り際にフェイトに手を乗せて、そう言い残して。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「コダイ君!」

「何だ?」

 

 ゲートに向かう途中、後ろから来たなのはに腕を掴まれた。

 

「アレしか言う事無いの!?」

「は?」

「フェイトちゃんに言う事、アレだけなの!?フェイトちゃんはお母さんに嫌われて一人ぼっち何だよ!?なのに何であんな事言うの?もっと他に言う事があると思うの!」

 

 掴まれてる腕強く握られる、どうやらかなりのご立腹の様だ。

 

「一人ってアルフがいるだろ?」

「そ、それは……」

「今の、フェイトには俺達の言葉は届かない……それに、優しい言葉が本当に優しいと限らない」

 

 フェイトに取ってあのクローンは心の命綱の様なものだった。それが無い今本当にただのフェイトと言う人形だ。

 

「どんなに言葉を並べても意味が無いだろ。なら分からせればいい、一体、誰の為に戦ってるかを見せてやれ」

「ふぇ?…………うん!…うん!!」

 

 あ、そうだ…………今の内に。

 

「なのは―――を」

「え?それなら大丈夫だよ?」

 

 準備は整った。さて……行くか、時の庭園へ――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何………コレ………」

 

 時の庭園に着くとなのはが唖然としていた。

 目の前には大量の傀儡兵が道を塞いでた…………

 

「クソッ!何て数だ!」

 

 ユーノが焦っている………時間が残り少ない…………

 

「よし、軽く掃除してくるから待ってろ」

 

 傀儡兵に向かって走る。

 

「アクセス」

 

 レイを起動して、一番近い傀儡兵の足を掴んで持ち上げる。

 

 

「「「「ひょっとして………………」」」」

 

 

 なのは、ユーノ、クロノ、アルフの四人は俺が何をするか分ったようだ………………

 

「俺が用があるのはあの女だけだ…………人形で遊んでる暇は無い」

 

 傀儡兵の群れを駆け抜けながら何度も傀儡兵を振り回す。

 

 

――ブォオン!! ブォオン!! ブォオン!! ブォオン!!

 

 

「「「「やっぱりぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」」」」

 

 

 何度も傀儡兵を傀儡兵で薙ぎ倒し、持っている傀儡兵が使い物にならなくなったら思いっきり前に投げ飛ばす。

 時々、『にゃああああ!』とか聞き覚えのある逃げ惑う声が聞こえたけど。

 

 

――ズガァァァァァァァァァァァァン!!

 

 

 遠くの傀儡兵や壁を打ち抜き道が開けた。

 

「よし、掃除完了」

「にゃ――にゃはははははは……」

「み、味方でよかった~…」

「以前なのはが言っていたジュエルシードより危険って意味がよく分ったよ…」

「アタシは、こんなのと戦っていたのか…」

 

 後ろからこんな声が聞こえるが無視だ。

 

 

 

 

 

 庭園を傀儡兵倒し、その時傀儡兵の持っていた武器を拝借して進んでいると、床の所々に穴があいてる………

 

「クロノ、この穴は?」

「あの穴のようなものは虚数空間。次元断層によって引き起こされる次元空間に空いた穴だ。魔法は全てキャンセルされてしまうから、飛行魔法や転移魔法が使えない。だから落ちたら二度と上がってくることは出来ない。全員、落ちないように気を付けるんだ」

 

 クロノが説明してくれた、俺でも助かるかどうか分らないな…………

 

「コダイ君、怪我は大丈夫?」

「ん?問題無い」

 

 なのはの心配を即答で返す。

 

「アンタ、確か死に掛けじゃなかった?」

「頑丈なんだ」

 

 アルフの疑問も即答で返す。

 

「そんな理由で…………」

「いや、いくら頑丈でもあの怪我は普通に動けないから……」

 

 クロノとユーノが頭を押さえてる。

 実は正直に言うと。右目の視力も戻って無いし、骨折もまだ治って無い………

 

≪コダイ!まえになにかあるよ!≫

 

 ん?…………あそこにあるのは……

 

「階段か……二手に分かれるか?」

「その方がいいな。皆、これから二手に分かれよう。君達はこの階段を上って駆動炉を封印してくれ。僕とコダイはプレシアの方に向かう」

 

 クロノが階段を指し、なのは達を促せた。

 

「駆動炉を封印すれば少なくともこの庭園は完全に停止する」

「責任重大だな、逝って来いなのは」

「煽らないでよ~それに、字が違う~」

 

 なのはは膨れながら階段を上り、ユーノとアルフもそれに続いた。

 

「コダイ、僕達も行こう」

「そうだな」

 

 

 

 

 

 

 なのは達と別れて走り続けると、そこには分かれ道があった――

 

「まさか………君が作戦前に言っていた事が本当にあったなんて」

「言っただろ?悪党の考える事は同類だから分ると…………」

 

 俺がクロノ達に作戦を告げる前に言った予想が的中した。

 

「他にも色々考えていたが――これで当初の作戦通りに行けるな」

「僕がプレシアを…………」

「そして俺が時間稼ぎ…………」

 

 お互いに頷き合い、目的の場所に向かった。

 

 

 

 

 

「さてと、バリアジャケットを解除して……………」

 

――バキャッ!!

 

 目的地に着いた俺はレイを解除して、目の前のドアを殴り壊した。

 

「おじゃましますっと」

 

 壊れた扉で煙が上がり周りが見えなくなった…………ちゃんと掃除しろよ。

 

「最近の子供はノックも出来ないのかしら?」

 

 煙の向こう側から声が聞こえた…………

 

「ちゃんと手で叩いたぞ?文句はその脆い扉に言えよな?」

「…………物に当たれって言うの?」

「貴様にピッタリだろ?いい年して今まで人形遊びをしていて、気に入らなかったらそれに当たっていた貴様に――プレシア・テスタロッサ」

「………相変わらず口の減らない子供ね」

「貴様よりは喋って無いが?」

 

 煙が晴れると、ジュエルシード、アリシアの入った生体ポッドと共にいた。プレシア・クローンだった……




シーザス様、感想を有難う御座います。

~次回もお楽しみにしてください~

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