魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~   作:メガネ

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死でも慣れるとそんなに怖くない。ん?慣れるワケ無い?byコダイ

「えっぐ――ヒック――うえええぇ~ん」

 

 あ~どうしてこう……いや、俺の所為か。

 

「≪ヒューヒュー≫」

 

 おい、そこの犬、ワザとらしい口笛するな。

 

「アリサ、一先ずはなれ――」

 

――ギュウウウウウウウウウ!!

 

 

 一回死ぬかもしれないから………回想どうぞ。

 

 

~回想~

 

「ここは……しらな……いや、アリサの部屋か」

 

 目を覚ますと俺はアリサの部屋で寝ていた。

 

「≪コダイ!!生きていたのかい!!≫」

「アルフ?というより殺すな」

 

 ベットの傍には包帯を巻かれた狼状態のアルフが寝ていた。

 えっと………あの後は、アリサに見つかって運ばれたんだよな。それで治療されて現在に至るという訳か………

 

「ところで怪我はどうだ?」

「≪いや~あの時のアンタの友達のお陰でもうスッカリ。もう少しで全快するよ≫」

 

 さすが犬好き。

 

「さて、これからどうするか」

 

 まず、アースラに行ってあの映像端末を再生して――

 

 

――ガシャン!!

 

 ん?……何だ今の音。

 

「……………アリサ?」

 

 音の正体はアリサが何かを落とした音だった。

 

「アリサ、一体あの後どうな「バカァッ!!」は?」

 

 ベットから身を起こそうとしたが、その前にアリサに押し倒された。

 

「ちょっと待て一先ずおちつ「この、バカ!死んだかと思ったじゃない!!」人の話を聞け」

 

 馬乗り状態で肩を揺すられる……

 

「どんな事をしたらそんな怪我するのよ!医者が普通なら死んでもおかしく無いって言ってたのよ!」

「揺するのやめろ……本当に死ぬから、頼むから落ち着け」

「……………う」

「う?」

「…………うえええぇ~んっ!!」

 

 揺するのはやめたかと思うと今度は首に腕を回して抱きついて泣きだした……っていい加減怪我人から降りろよ………

 

~回想終了~

 

 

「うぅっ……グスッ……………ゴメン」

「いや、気にするな」

 

 回想中に一回死にました。その所為で更にヒートアップしたアリサに無理やり起こされた。ちなみにまだ抱きつかれたままだ。

 

「ワン!≪モテモテだね~≫」

「≪何が言いたいんだアルフ≫」

「≪いや~何でも、こりゃあフェイトも大変だね≫」

 

 何が大変なんだ?

 

「この犬に感謝しなさいよ。アンタが起きるまでずっと離れなかったんだから」

「そうか、ありがとう」

「ワン!≪アンタも恩人だからね!これ位しないと!≫」

 

 これは今度、御馳走してやらないと………

 

「それはそうとアリサ、そろそろ降りろ」

「は?何を言ってるの「お嬢様、そろそろ学校に………おや?」ふぇ?」

 

 何時の間にか鮫島が………そしてアリサの顔がどんどん真っ赤に…………面白いな。

 

「ぁ…………………にゃぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!!」

「これはこれは、今日はお休みした方が「行くわよ!!早く準備して!!」畏まりました」

 

 綺麗にお辞儀をして何事も無く部屋を出る鮫島……

 

「アリサ、その「か、勘違いしないでよ!べ、別にアンタの為に寝ないで看病したわけじゃ無いんだからねっ!!」いや、いいから降りろ」

 

 更に顔を真っ赤にする。後、自爆してるからな。

 

「とにかく!アンタのコートと替えの服は机に置いてあるから!」

 

 顔が赤いまま部屋を飛び出す。

 

「何か嵐が去った後見たいだな……」

「≪あの状況で感想はそれだけかい!?≫」

 

 それしかないが?

 

「さてと………もういないな。早速あの「≪チョイ待った≫」アルフ?」

 

 机のコート取ろうとして起き上がると、アルフに止められた。

 

「≪アンタは絶対安静にさせる事と医者が言っていたから、アタシが取ってやるよ≫」

 

 そう言うとアルフは俺のコートを咥えて持って来た。

 

「≪あいよ≫」

「ありがとう」

 

 頭を撫でる、犬だからね。

 

「≪……はぁ~≫」

 

 撫でると、アルフが蕩けた。

 

「どうした?」

「≪ん~?何でもないよ………ん~♪≫」

 

 全然そうには見えないが?

 今度は首元を撫でてみる……

 

「≪ふぁ~≫」

 

 って和んでる場合じゃない。今は日記と端末を調べないと。

 

「≪あ…………≫」

 

 手を離すとアルフが寂しそうだったが。まぁ、フェイトが心配なのは俺も同じだ。

 

「日記は……うん、特にもう無いな。後はこの端末だけだな…………」

 

 端末を再生させると、モニターが現れ、そこにはさっき見た時よりも若干若いプレシア………つまり本物のプレシア。

 そしてその隣にいるのは恐らくリニス。そして後ろにいるのは生体ポットに眠るフェイト――

 

『生まれてくる貴女へ……………』

 

 プレシアが話し始めた………………

 

『まず貴女には話しておくわ。貴女は私の死んだ本当の娘のアリシアから生まれたクローン…………このプロジェクトFによって生まれた存在。クローニングした素体に記憶を定着させる事により、従来の技術では考えられない程の知識や行動力を最初から与える事が出来る。その最大の目的は、元となった人物の肉体と記憶の複製。つまり本物と寸分違わない存在を産み出す事よ…………でもそれは死んだ人間を蘇らせるに等しいわ。元となった人物の完全再現だけは不可能に近いのよ…………けど、それがどうであれ、娘のクローン、私の娘に変りは無いわ……うっ―――ゴホッ!』

 

 突然、プレシアは吐血して、崩れそうなところをリニスに支えられた。

 

『ハァ………見ての通り私はもうあまり長くない―――だから』

 

 モニターの視点がずれる。

 

「ハァッ!?」

 

 モニターの先に映るモノにアルフが思わず驚いている。俺は納得した………という感じだ。

 そこには、後ろのフェイトと同じように眠ってるプレシアと瓜二つの人間が…………

 

『もしもの時のバックアップとして私の遺伝子をクローニングして作った私のクローン。もし、私が死んだ時これを貴女に渡すように頼んでいるわ………………って、そうね。娘なのに何時までも貴女って呼ぶのは不自然ね……そうだわ、この計画の当初の名前はプロジェクトF.A.T.Eと呼ばれていたわね、だったら貴女の名前はフェイト………フェイト・テスタロッサよ………………フェイト良く聞いて。貴女の産まれ方がどうであれ貴女は私の娘。だから私はフェイトを―――貴女を愛するわ――』

 

 映像はここで終わった。フェイトの名前を決めた頃からプレシアの表情が段々と優しくなっていた。

 

「……やっぱりあのプレシアはプロジェクトFで生み出されたプレシアのバックアップか」

「つまり、アタシ達はあのニセ鬼婆にいい様に利用されていたって言うのかい!?フェイトにもあんな事して!!」

「落ち着け、詳しい事はアースラで調べて貰う。フェイト達の罪を軽く出来るしな」

 

 母親を人質に取られて無理やりやらされていたとなれば。無罪は無いと思うが被害者として扱われるはずだ。

 

 

――PiPiPiPiPiPiPi

 

 

「ん?携帯………なのはか。どうし『コダイ君!!!!!!!』――――――――――――っ」

「≪耳がぁ~≫」

 

 遠くにいるアルフにも被害が及ぶ程の大声…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「コダイ君!コダイ君!」

「うえええぇぇぇん……………」

「頼む………死ぬから離れてくれ………………」

 

 只今、さっきのアリサ同様になのはとすずかに抱き締められている――いや、こっち怪我人…………

 

「今まで何処行ってたの!?」

「見つかったと思ったらこんな怪我して!!」

「キュー!≪泣き喚くなのはを落ち着かせようとしたこっちの身にもなってよ!!≫」

「≪……………何かイラッっと来たんだけど…≫」

 

 ユーノ、俺が悪かったから止めてくれ。アルフ、俺に聞くな……………

 

「チョットアンタ達!いい加減離れなさいよ。コダイは怪我人よ!」

 

 止めてくれるのは良いが。人の事が言えるか?アリサ……………

「ゴメンね、コダイ君…………」

「でも私達アリサちゃんから聞いて凄く心配して………」

 

 アリサに言われてようやく離れたなのはとすずか。もう一回死ぬ所だった。

 俺は死ねないが決して不死身とは少し違う。回復量は普通の人と変わらない、死ねないから文字通り死ぬ程痛い思いが出来る。俺にとって死は軽い気絶と変わらない位だ。

 いい加減慣れたい物だな……

 

「全く、コダイもその犬も怪我してるんだから、休ませなさいよ」

「ご、ごめんね。コダイ君、ワンちゃん≪アルフさん≫」

「気にするな…………」

「ワン!≪さっきは死ぬかと思ったよ~≫」

「えっと…………私たちはリビングでお茶しているからね。ちゃんと怪我を治してね」

「分った。それとなのは、ユーノをこっちに渡してくれ」

 

 頼みたい事もあるし…………

 

「え?うん、ユーノ君」

「≪分ったよ≫」

 

 ユーノは俺の元へ跳び移った。

 

「じゃあね~」

「元気出してね♪」

「さっさと怪我治しなさいよ!」

 

 なのは、すずか、アリサが手を振り部屋を出た。

 

「ユーノ、早速だがアースラに転移してくれ」

 

 ベットから起きて、コートを着ながらユーノに言った。

 

「はぁっ!?何言ってるんだ!君は絶対あんせ「時間が欲しいんだ、頼む」うっ…分ったよ………」

 

 渋々といった感じで転移の準備をしてくれたユーノ。

 

「アルフ、後はその他諸々任せろ」

「≪分ったよ――けど、死ぬんじゃないよ。死んだらダメだから……≫」

 

 それは問題無い、死ねないから。

 アルフの言葉を後ろで聞いて、アースラに転移した。

 

 

 

 

 

 

 

 アースラに戻って最初に待ち受けたのは。

 

「何であんな無茶な事をしたんだ!!!!」

 

 クロノの怒声だった……………

 

「問題無い、昔から体は頑丈な方だ」

「何が問題無いだ!君がフェイト・テスタロッサと共に失踪する時のバイタルは死亡寸前だったんだぞ!良く見ればその時より怪我が多いじゃないか!?」

「まぁまぁ、クロノ君。コダイ君もこうして生きているんだからね?」

 

 詰め寄ってくるクロノをエイミィが引き離す。

 

「くっ……………まぁいい」

「そう怒るな、怪我の功名でプレシアについて良い物が手に入った」

「プレシア・テスタロッサについてだと!?」

 

 クロノの声でここにいる局員が全員こっちを見る。

 

「どうしたんだ?」

「実は今回の事件はプレシア・テスタロッサが起こした可能性が高いとされるのよ。いまどんな些細な情報でも調査している所よ………」

 

 リンディが答えた。

 あの時の魔法で誰か分かったのか?

 

「成程、まずそっちが分った情報を教えてくれ………」

「分ったわ、エイミィ」

 

 エイミィはモニターに情報を表示させた。

 

「プレシア・テスタロッサ。私達と同じミッドチルダの魔導師で。昔、中央技術開発局の第三局長を勤めていて、当時彼女が研究してた次元航行エネルギー駆動炉実験の際、違法なことをしたらしくて失敗。結果的に中規模次元震を起こしたとか何とかで中央を追われて地方に左遷。それにしてもずいぶん揉めたみたいだよ? 事故は結果に過ぎず、実験材料には違法性は無かったとか。辺境に異動後も数年間技術開発に携わってみたいだけど、しばらくして行方不明になってる」

 

 ここまでは日記で書いてあったな…………

 

「その先は?」

「それが抹消されててさっぱり………」

「そうか――なら、俺の情報はその情報に一つ訂正とその先の話の様だな」

 

 俺はリニスの日記にを見せた。

 

「それは?」

「プレシアがいた……………時の庭園にあった。プレシアの使い魔のリニスの日記だ」

「何ですって!?」

「リンディ、読んでみろ。おそらく……………そっちが驚く事ばっかりだぞ?」

 

 俺はリンディに日記を渡した。ここの艦長なら説得力あるだろ。

 リンディは日記を皆に聞こえるように朗読し始めた……………

 

 

 

 

 

「こ、こんな事って…………………」

「あの、実験の事故はプレシアの元上司がプレシアに責任を擦り付けただ何て…………………」

「嘘だ!管理局が情報の隠蔽だなんて!」

 

 三人は驚きを隠せないようだ………………まぁ、仕方ないよな。

 

「言っておくが。これは被害者の情報だ、娘が死んでいるのに嘘なんか付くか?」

「だが!「だったら証拠を見せてやる」え?」

 

 俺はクロノにそう言うと。エイミィが向かっていた、モニターのコンソールを叩いた。

 

「なにしている?」

「実験が失敗した理由が違法なだけなのはおかしい。本当に実験に失敗したのならその原因、または材料の違法性の詳細を残して同じ事を繰り返させない筈なのに………ほら、どうやっても実験の失敗は材料の違法としか出てこない。警察と裁判所と軍隊が一緒になってる管理局だ、黒い噂の一つや二つ隠し通せて当然という事だ」

「確かに………管理局の力ならそれも可能でしょうね…………」

 

 リンディは納得した様子だ…………………

 

「さらに言えば当時の実験の時、そこにプレシアは反対していた筈だ……………そこは今は置いといて、後でクロノが執務管として調べればわかるだろ。今はプレシアのその先に着いてだ」

 

 俺はあの映像端末を取り出しエイミィに投げ渡した。

 

「それを再生しろ。きっと面白い物が見れるぞ?」

「え?………………うん」

 

 エイミィが端末をモニターに再生させた…………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「プレシア・テスタロッサが二人!?」

 

 映像がちょうどクローンのプレシアが移った所でクロノがかなり驚いた声を上げた。

 

「ちなみに、今回の事件はそのクローンが引き起こした事だ、会って鎌掛けたら見事に引っ掛かってそれを否定しなかったよ。それにクローンが言う限り、本物のプレシアもどこかにいるようだ。リンディこの場合どうなるんだ?」

「そうね…………………本物のプレシア・テスタロッサはクローン……プレシア・クローンと言いましょうか。プレシア・クローンに監禁されて、フェイトさん達はそれを人質に取られて命令させられた………無罪にはならないけど、罪はかなり軽くなるわ……でも問題は……………」

「プレシア・クローンの見分け方………」

 

 実はこれはいくら考えても分らない。

 クローンはおそらくプロジェクトFの成功体……一度会ってる俺なら分るが。他の人が分らないとフェイト達の罪が軽くならない…………

 

「こうなったら意地でも探すぞ………」

「僕だって同じだ!エイミィ、映像を再生してくれ!プレシア・クローンの所からだ!」

「了解!」

 

 エイミィは再び再生を始めた……………

 

 

 

 

『もしもの時のバックアップとして私の遺伝子をクローニングして作った私のクローン――――』

 

 これで約30回目の再生、手掛かりは無し。

 

「もう少しって言う所で……!」

 

 手掛かりが見つけられず歯を食いしばっているクロノ。

 

「プレシアの奴、偽物と区別が付く様にマークぐらい付けていろ―――ん?」

 

 あれ?これってアレだよな?―――あったな。

 

「エイミィ、クローンの腕を拡大してくれ」

「え!?うん!」

 

 慌てて、映像を拡大するエイミィ。その映像には。

 クローンの腕にバーコードの様な模様があった。

 

「何だアレは?区別の為には派手すぎないか?」

「おそらく、定期的に状態をチェックするための者だろう。けどこれで!」

 

 俺の疑問にクロノが答えてくれた――よし、だったら。

 

「クロノ、リンディ耳を貸せ………………………良い作戦がある」

 

 こっちに来たクロノとリンディにある作戦を耳打ちした。

 

 

 

 

 

 

「とまぁ、こんな感じだ。質問は?」

「「大アリだ(です)!」」

 

 さすが親子息ピッタリ。

 

「それは君がすれば良い事だろうが!第一目撃者何だし」

「民間協力者の俺がやるより。執務管のクロノがやる方が都合がいいんだよ」

「でも、今のあなたじゃ…………武装隊に頼んで…………………」

「無理、アイツのランクは少なく見積もってもAAAランク以上束になっても敵わない」

 

 クロノとリンディの意見を悉く切り捨てる。

 

「後、分らないのはジュエルシード何だよ……いくら願望を叶えるとしても前例を見た感じでは蘇生させるにはまさに俺の様に奇跡の確立じゃないと……」

 

 それに次元干渉もある、あんな物を十数個発動させたらどうなる事やら……

 

「とにかく、俺はこの作戦を変更させるつもりは無い。後、この事はなのはとフェイトに言わない事……っとそろそろ戻るか…………こっそり抜け出したし」

「分ったわ、今転移してあげるわ」

 

 リンディに頼んで俺は元のアリサの家に転移した……………

 

 

 

 

「「「何処行ってたの(よ)!!!」」」

 

 その後三人娘に怒られた後、厳戒態勢で看病された…………

 コッソリ抜け出そうならアルフがガッチリ付いてくるし……




~次回もお楽しみにしてください!~

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