魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~   作:メガネ

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こっからかなり急展開。


おい女、理由や事情はどうでもいい、取り敢えず一発殴らせろbyコダイ

「……え?ここ何処?」

 

 目が覚めたら行き成り知らない所に居た――本当にここどこ?

 えっと確か、最後に見たのは紫の光でそれで……そこから覚えて無いな。

 

「お、目が覚めたのかい?」

 

 扉が開く音を向くとそこにはアルフがいた。

 

「アルフ?」

「他に誰がいるって?」

「そう言う意味では無い、そんな事より此処はどこなんだ?」

「此処は時の庭園って言って、フェイトの実家みたいなものさ。アンタあの鬼婆の魔法を喰らった後気を失って此処に運んだんだよ」

 

 あの紫の光は魔法だったのか、それより鬼婆とは誰?

 

「ちょっと待ってな、今治療するから」

「治療?――あ」

 

 自分の姿を見て気付く………全身に包帯が巻かれている、多分顔にも巻かれている。それにその包帯が血でかなり滲んでいる……うん、重傷だ。

 

「重度の火傷と裂傷、右目は……火傷で一時的に失明、両腕の大部分が骨折、その他数十ヶ所亀裂骨折、筋肉及び内臓は雷の影響で機能低下か」

 

 体を動かして、自分の症状を確認する。

 動く分には問題なさそうだな……

 

「……何でそんな重傷で平気でいられるのかね」

「俺は頑丈だし怪我慣れてるし」

「いや、慣れるという問題じゃ」

「そう言うものか?」

 

 慣れてしまったら仕方ないだろ?

 

「はぁ……今、包帯を変えるから」

 

 何故溜息を吐く?

 

「ハイ、ヤバいのは気絶してる時に魔法で治しといたから」

 

 包帯を変えてもらっている時に自分の怪我を見たが……予想以上にグロかったな、火傷に裂傷じゃ仕方ないか。

 

「フェイトの用事が終わったら帰してやるからしばらくそこにいな」

「分っ……?」

 

 偶然、視界の端に変な物を見つけた。

 

「アルフ、ここ最近この部屋を模様替えしたのか?」

「はあ?ここはフェイトの部屋だけどそんな事は無かったね、それがどうしたんだ?」

「いや、何でもない」

「そう……まぁ大人しくしてるんだよ」

 

 そう言って、アルフは出て行った………

 

「…………よし」

 

 ベットから降りて、隣に掛けてあったコートを取る……とある違和感が起きた。

 

「何で俺がこんな重傷なのに着ていたコートは無事なんだ?」

 

 掴んでいたコートは傷一つ無く新品同様、幾ら頑丈に作られてるとは言えコレは流石に無いだろ。

 ん?ポケットに何か入ってる……コレは手紙?

 

『はぁ~い☆コダイ君元気にして―――』

 

――シュッ!ボオッ!!

 

 見た瞬間、ライターで燃やした。

 何だあのロリショタコン、何時の間にこんな物を用意……え?まだ何かあるのか?

 

『コダイ君の事だから、さっきの見て読まずに捨てると思ったから細工しました☆これを読まない限り永遠とです仕組み☆』

 

 その殺意が沸く星はやめろ……読めばいいのか。

 

『これを読んでるって事は気付いてるかもしれないけど、実はコートにちょっと細工したの。見た感じ思い入れのある一張羅っぽいし……で簡単に説明するとまず自動修復機能ね、これはコダイ君が着て無い時に壊れた部分が修正されていく機能、大抵の傷は寝ているうちに直るわよしかも殺菌と消臭付き!次はフィット機能、これはコダイ君が成長するとコートもそれに合う様にサイズを調整するの。これでいつも着られるね☆』

 

 ……凄く感謝はしたいが星が台無しだな。

 今度こそ手紙を燃やして、包帯だらけの上からコートを着る。

 

「レイ」

≪……すか~すぴゅ~≫

「こんな時にも昼寝かよ―――さてと」

 

 さっき見つけた変な物……一部違う色の床だ。

 

「アルフが言うにはここに物が置いてあった事は無い……となると…………」

 

――ガコンッ!

 

 床を叩くと違う色の床のが持ち上がった。

 

「何かを隠しているか……」

 

 開けてみるとそこにあったのは。

 

「本?いやこれは日記の様だな……」

 

 フェイトのか?こんな面倒くさい隠し方するか。ん?奥に何か……映像端末?

 アースラーでみた結構古いタイプだ……何か記録しているのか?

 

「これは後でもいいか、まずは日記だ」

 

 端末をコートにしまい日記を開く。

 

「えっと……リニス?誰だ?……えっと…」

 

 そこにはフェイトやアルフ、そしてフェイトの母親のプレシア・テスタロッサの事が書かれていた………

 

「フェイトの教育係としてプレシアと契約した山猫の使い魔でバルディッシュを作ったのもリニスか――」

 

 そう言えばフェイトがこにゃいくん(命名・すずか)を見て知ってる人に似てたとか言ってたな、もしかしてこの山猫の使い魔の事か?

 日記には今日はどんな魔法の勉強をしたのか、プレシアが研究室に籠りっきりだとか……………

 

「特に変わった事は書かれてないな―――」

 

 ある文字が目に入った……

 

「フェイトが?もう一度読み返すか」

 

 もう一度読みなおす……間違いは無い様だ。

 

「フェイトがクローンね……」

 

 フェイトは『F計画』によって生み出されたプレシアの死んだ娘、アリシア・テスタロッサのクローン。

 アリシアは管理局でプレシアの実験……正確には上司の安全基準を無視した無謀な命令により、その時の事故で亡くなったと日記に書かれていた。

 

「ジュエルシードを集めさせたのはプレシアでジュエルシードでアリシアを蘇生させるの気か」

 

 いくら願望を叶える特性があると言っても正しく叶えられる可能性は少ない……

 

「元管理局ならジュエルシードの事ぐらい知っている筈だ……なのになぜ?」

 

 他にもっと分らないかと、ページを捲っているとまたとんでもない事が書かれていた。

 

「一体どうなっているんだ」

 

 日記はここで終わっていた。後は一緒にあった端末を……………

 

 

 

 

――ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!

 

 

 

「今の爆発はフェイトとアルフか?」

 

 日記をコートにしまい、音の方へ向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「爆発は確かこの辺りに……いた、フェイトだ」

 

 奥の部屋に駆け込むと、そこには倒れているフェイトがいた。

 フェイトに駆け寄り、抱き上げてると、僅かに呻いた。

 

「気を失っているだけか……しかし何だこの鞭の跡は……」

 

 該当者はただ1名、プレシア・テスタロッサだな。

 

「じゃあ……アルフとプレシアはこの先の爆発音の先と……」

 

 煙が溢れている奥の間に続く階段を下りる………………

 

――コツ コツ コツ………………

 

「何と言うか薄気味悪い所だな……埃っぽいし」

 

 奥の間に着くと奥にアルフ、その手前には後ろ姿でよく分らないが黒髪の女がいた、アレがプレシアか………

 無言で女に近づき、肩を掴んで――

 

「だ、誰っ!ガハッ!!」

 

 そしてこっちを向いたと同時に、顔面を思いっきり殴った。

 

「貴様か、俺に盛大にデカいのかましたのは……1回死んだだろ」

 

 吹き飛び、無様に倒れているプレシアがこっちを睨んでる。

 

「貴方……一体誰よ」

「…………」

 

 答えるつもりはない、そのままプレシアに近づく。

 

「くっ――答えなさい!」

 

 プレシアが放つ雷を素手で受け止める。

 

「なっ!私の魔法を素手で受け止めて平気だなんて…!」

 

 勿論平気なはずはない。ただ顔や態度に出さないように我慢しているだけだ。

 

「…………」

「答えなさいって言っているのよ!!」

 

 プレシアは杖を鞭に変えて振い、俺の首に巻きつけた。

 

「………」

 

 俺は何事もないように鞭を掴み思いっきり引きよせ。こっちに来るのに合わせてカウンターを腹に打ち込む。

 

「グハッ!!」

 

 プレシアの体がくの字に折れる、間髪いれずに顎を跳ね上げる。

 

「ガッ!!」

 

 首に巻きついていた鞭が解け、その隙に体をひねり後ろ廻し蹴りで地面に叩き付ける。

 

「グフッ!!」

「……………………………」

 

 倒れているプレシアを無言で見下ろす。

 

「一体誰よ!貴方は一体何者よ!」

「………………………………」

「くっ………………なら!」

 

 プレシアが離れたと同時にバインドで拘束される。

 

「このまま消えなさい!」

「コダイ――――――――!!」

 

 アルフの悲鳴と共に。

 巨大な紫の落雷が俺に何発も落ちる……

 何発か落ちると落雷は止み、辺りを煙が包んだ。

 

 

「フッ……アーッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!」

 

 やけにうるさい笑い声だな。と言うか三流っぽい。

 

「さっきの質問の答えだが……そのセリフそのまま返すと言っておく」

「はははは…………………何っ!!」

 

 バインドはもう消えている。折角治して貰ったのにな―――今はどうでもいいか、あの女に向かってゆっくりと歩く。

 

「こ、来ないで!この化け物!」

 

 プレシアが放つ雷の嵐の中を平然と歩く。

 いや、例え化け物でもこの雷は耐えきれないから……

 

「来ないで!!来ないでって言ってるでしょ!?」

 

 実はもう限界寸前だ、後一撃喰らえば動けなくなる……………?

 さっきまで怯えていたプレシアが……嗤った?……何処を………足元?

 

――ガシィッ!

 

 もう一歩踏み込んだ瞬間、紫のミッド式の魔法陣が展開されて帯が全身を縛り上げてる。

 

「設置型か……」

「幾ら頑丈でも……コレは耐えきれるかしら?」

 

 目の前に手がかざされて、次の瞬間に視界が紫の雷で覆われた。

 

 

 

 

 

――グシャッ!!!

 

「っ……受け身は流石に無理だったか」

「コダイ!」

 

 どうやらアルフの傍まで吹き飛ばされた見たいだな。

 ヤバい、調子に乗って喰らいすぎた。

 

「フフフフ、散々手間をかけさせて……」

「クリーンヒット1発でつけあがるな露出狂。何だよその襲って下さいって言ってる様な服は歳を考えろよ」

「……口の減らない子供ね」

「少ししか喋って無いぞ?」

「――――――」

 

 あ……上げ足を取ったからイラついてる。

 

「コ、コダイ?」

「ん?アルフ、怪我は?」

「アタシの事はどうでもいい!「フェイトの事か?それなら安全な隅っこに寝かせたぞ?」そうじゃなくてアンタの事だよ!!」

「そんなにはしゃげるなら問題ないか。俺がアレに用がある、逃げるなら今の内だぞ?」

「それじゃあアンタが!」

「俺の心配するより、自分のご主人様の心配をしろ」

 

 体は頑丈な方なんだよ。

 

「所詮あの子の使い魔、余分な感情が多過ぎる。あの子、使い魔作るの下手ね」

「人の事が言えるか?貴様の使い魔も余計な事をしてくれてたみたいだな」

 

 俺はプレシアにリニスの日記を見せた。

 

「これにはフェイトを教育していた事は勿論、貴様の秘密もな」

「っ!!それは!」

「コダイ、それはどう言う……」

 

 アルフがいる、ここではフェイトの事は伏せて置こう……どうせ近いうちに知るだろうし。

 

「貴様は本当のプレシアじゃない」

「フッ、何を言い出すかと思えば。その日記にそう書かれてるのでも?」

 

 俺が突き付けた言葉にプレシアが嘲笑った。

 

「さてね、だがプレシアの事が書かれていた………プレシアは病気を患っている」

「それがどうしたっていうの?」

「日記に書いてある様子からしてプレシアの病名は……………………恐らく肺癌だ」

「それで、私が肺癌に掛っていない証拠でもあるの?」

「肺癌の重さは日記から大体レベル4以上、期間から見て、他の臓器に転移している。そして肺癌の症状は血痰、慢性的な激しい咳、喘鳴(ぜんめい)、胸痛、体重減少、食欲不振、息切れなどである。レベル4となればそれは酷いモノだ…………………だがあんな激しい運動をした筈なのに貴様は咳どころが息一つ乱れて無い。それにプレシアがしていた事を考えれば貴様が何者かは予想が付く……………まぁ、最後のはあくまで予想な予想」

 

 あ~流石に傷だらけで長々と喋るのは疲れるな。

 

「フッ――――フフフ―――アーッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!!!」

 

 さっきまで黙っていたプレシアが突然笑い出した。

 と言うかその笑いどうにかならない?傷に響く……

 

「さっきから聞いてみれば貴方の唯の推測じゃない!それがどうしたっていうの?例え、私が偽物だったとしたら。問題の本物はどこにいるって言う「やっぱり、本物は生きているか」っ!!」

 

 俺が被せると驚愕するプレシア。

 

「日記を見せた時のあの驚き様……この日記が何かを知っている。ただの使い魔の日記にあんな驚き方は普通しない……内容も知っているようだな、自分が偽物だって事を。さらに言えば日記と一緒にあったこの映像端末の中身もおそらく自分が偽物と言う決定的な証拠もな……」

 

 確信は無かったが鎌を掛けたら見事に嵌ってくれた。

 

「くっ!!……貴様ぁ!!」

「おいおい、どういう事何だい?アタシにも分りやすく説明してくれよ」

 

 置いてきぼりを喰らったアルフが困惑している。

 

「理由は後で話す………さて、反論はあるか?あっても全部論破してやるが?」

「――――――」

 

 プレシアが無言で杖を振るうと部屋を埋め尽くす程の大量のスフィアが出現した。

 

「って何だいこりゃ!?」

「追い詰められて、強硬手段に出たが」

 

 つまり、口封じ。

 

「フフフフ………これで死になさい!フォトンランサー・ファランッ!!……ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!」

 

 魔法を発動しようとした寸前、突然プレシアが頭を抱え叫び出した。

 その悲鳴に呼応する様にスフィアは暴れ狂った。

 

「一体何が…………………」

「コダイ!今は逃げよう!」

 

 アルフが俺の腕を掴んだ、あの隙に転移の準備をしていた。

 

「この状態ではフェイトの所には……無理か」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≪あの子の事は私に任せて――――≫

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え?……」

 

 突然念話が届いた…誰だ?

 

「おのれえええええええっ!!!おのれプレシアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」

「コダイ!何やってんだ!早く」

 

 今、考えてる暇は無いな………俺はアルフと共に転移した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――シュン

 

「うわっ!!」

「くっ……」

 

 転移の際、座標がズレたのか地面よりやや高い位置に転移された。

 

「アルフ……ここは?」

「適当にやったけど、多分アンタの街だと思うよ」

 

 だとすると…家からはそんなに遠くは無いな………

 

「アルフ、俺が来る前にだいぶ痛めつけられただろう?俺が家まで運んでやるから寝てろ」

「それはこっちのセリフだよ………アンタなんてズタボロじゃないか…………」

「治った」

 

 嘘だけど。いくら頑丈でも治りはそんなに良くないし……

 

「あははは………そうかい、だったらお言葉に………甘えて………………………」

 

 アルフが眠りに着くとアルフの姿が狼に変っていく…………

 

「誰にも見つからず帰れるか……っと」

 

 アルフを背負い、家に向かう………………だが。

 

「っ―――」

 

 その重さで傷口から血が滲み出た。

 

「これは、失血覚悟でいかないと」

 

 壁を伝って家に向かう………………………

 

 

 

 

 

「これは…………本当にまずいかも」

 

 後ろを………見なくてもいい。絶対大量の血の跡がある。

 唯一見える左目も霞んできたし、足もほぼ引きずってる…………

 

「転んだら、起き上がれないなコレ………って」

 

――ズシャッ!!!

 

 道の僅かな出っ張りに足を引っ掛け転んでしまった。

 

 

 

「チョット、アンタ!!!!」

 

 

 

 

 誰だ?見憶えのある金髪――アリサ?

 

「その犬どうしたのよ!それにアンタのそのケ…………ってコダイ!?チョット!!」

 

 ダメだ……もう1回死ぬ……

 これ……次目を覚ましたら絶対アリサはキレるだろうな……




~次回もお楽しみにしてください~

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