魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~ 作:メガネ
なのはが泣きやんで、ユーノが目を覚ました後。クロノの転移魔法で戦艦アースラという場所に転移した俺達は………………
「わぁ~映画みたいなの~」
「まぁ何というか……コテコテのSFだな」
「す、すごい……」
似たような感想を漏らしていた。確かにまさに映画に入ったような機内だな。
「艦長室に案内する。後、バリアジャケットは解除してもいいよ。君も元の姿に戻ってもいいんじゃないのか?」
そうだった、ずっと着たままだった。バリアジャケットを解除する。
「――――中身とは随分似合わないデバイスだな……」
だって起動したら勝手にこうなったし……
「そういえば、元の姿にって言ったよな?一体誰の事だ?」
「あっそうだった」
突然、ユーノが肩から降りて緑の光に包まれると、大体同い年ぐらいの少年になった…………
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
なのはが物凄く驚いてる。
「ユーノ?」
「驚いた?実はこれが僕の本当の「大きくなったな」って反応違く無い!?」
ユーノの頭を撫でる。撫で心地がフェレットとあんまり変わらないな………
と言うか俺よりも背が高い。
「ここまで成長すると育てた甲斐があるというものだな………」
「確かにフェレットとして飼われたけど、もっと他にする反応がない!?」
「ん?……………………進化?」
「違うから!もっとするリアクションがあるでしょ!?なのはみたいに」
「そ、そうだよ!コダイ君!私みたいに何で驚かないの!?」
「え?喋ってる時点で普通じゃないって知っていたし」
人間になるとは思わなかったけど……
「えっと……もういいかい?艦長を待たせているから…今は大人しく付いて来て貰いたいだが……」
「「ご、ごめんなさい」」
クロノに謝るなのはとユーノ。
俺達は大人しく付いて行った…………
クロノに艦長室に案内された……艦長室?なのか?
「わぁ………」
なのはが声を漏らす……まぁ無理もない。
何せそこは畳部屋に日本らしいインテリアを所々散りばめた部屋だった…………
「まるで、日本文化を覚えたての外国人の部屋だな」
「コ、コダイ君!」
小声で呟いてみた。なのはが焦っている辺り同意見っぽい。
「わざわざ来ていただきありがとうございます。リンディ・ハラオウンで……あら?」
リンディがこっちを見て…………ん?
「……………」
「……………」
無言で見つめ合う事数秒……………
――ガシッ!
俺達は無意識に握手をしていた。
何故って、それは同じ匂い(弄る側)がしたからだ。
「うふふふ、よろしく♪」
「勿論だ」
何か色んな事で気が合いそう……
「うわ~、艦長が二人いるみたい…………っと、はじめまして!通信主任兼執務官補佐のエイミィ・リミエッタです。よろしくね!」
リンディの後ろからお茶と羊羹を持ってきた女が現れた。
「高町なのはです!」
「ユーノ・スクライアです」
「トキガワコダイだ」
俺も一応、自己紹介をした。
「早速ですけどお話を聞いてもいいかしら?」
「あ、ハイ………」
ユーノはこれまでの事に付いて話し始めた………
「――というわけです」
ユーノがこれまでの事を話し終えた。ちなみにレイの事は話してないようだ。
「立派だわ」
「だが、無謀でもある」
無謀に関してはクロノに同意見。
「ほっておくと街や大切な人達を巻き込んじゃうから、そうしないために集めていました」
なのはが答えた。
「そうでしたか……では、次はこちらから」
リンディは時空管理局やロストロギア…………ジュエルシードについて話し始めた。
「なるほどね………」
管理局は簡単に言えば軍隊・警察・裁判所の3つを統合した、強大な組織………何か叩けば叩く程埃が出そうだな、その組織。管理というより支配の方が合っている気がする。
これは今の内に釘でも刺しとくか……利用されるかもしれないしな。
「次元震というのはなのはとフェイト、あの黒衣の魔導師がぶつかった時に起きた振動の事か?」
「そう、たった一つであれほどの次元震を起こすの…複数を特定の方法で起動すれば、いくつもの並行世界が消滅する次元断層が起きるわ……」
世界の消滅……ずいぶん話が派手だな。あんな小さい宝石で世界が何個も崩壊なんて、世界はかなり安く出来てるな。
「世界の……崩壊」
なのはが真に受けている……次元震はなのはが身をもって経験したものだしな。
「そんな悲劇を起こしてはいけないわ」
そう言って、リンディは緑茶に砂糖を入れる。
「コ、コダイ君!アレ!」
なのはが小声で聞いてきた、別に念話でもいいだろ……
「リンディがどうした?」
「おおおお茶にお砂糖を……………」
「別に気にする事は無いだろ?緑茶に砂糖は実際外国にある習慣だ」
でも、流石に入れすぎじゃないか?
「……………ん?お砂糖いる?」
ずっとこっちを見ていたのでそう言ったリンディ。
「じゃあ一つ」
俺は砂糖を一匙入れた。
「「「「貰うの(か)!?」」」」
なのは、ユーノ、クロノ、エイミィが同時に突っ込んだ。
「………………甘い、けど悪くない」
基本的に嫌いな食べ物は無いからな…………
「でしょ?皆に勧めているのに誰もしてくれないのよ~」
リンディがメソメソと言いながら泣きマネをする……………
「それは砂糖が顆粒だからじゃないか?コーヒーによくある、底に溶け残った砂糖が溜まるからだろ。シロップの様な液状なら問題無い」
「そうだったのね!今度勧めてみるわ!」
「か、艦長!話が脱線しています!」
「そ、そうだったわ。話がこんなに合う人は久しぶりだからつい…………」
クロノの言葉に正気に戻る。
うん、リンディもノリが良いがクロノのツッコミも良いな……あ、俺も本題から逸れた。
「オホン―――これより、ロストロギア、ジュエルシードの回収については、時空管理局が全権を持ちます」
咳払いをして、さっきとはまるで違う真剣な顔で言う。
「えっ!?でも!」
「次元干渉が関わっているんだ。民間人を出る話じゃない」
「クロノの言う通りだな。あんな危険な物を子供が持ち歩いていい様な物では無いしな…………」
「その通りだ」
俺の言葉にクロノが頷く。
「でも、急に言われても気持ちの整理がつかないでしょう?一度戻って、三人でゆっくり考えて。後日、改めてお話しましょう?」
―――――――は?
こいつ今何ていった?……………そうか、結局はそういう事か………
――パチパチパチパチ……
俺は思わず拍手をしていた
「……………何かしら?」
リンディが俺の気配の変化に気づいて僅かに警戒している。
「いや、実にいい演出だと称賛しているんだ」
「おい、何を言っているんだ?」
「クロノ………さっきのリンディの会話、何か気付かなかったのか?」
「何の事だ?………」
「……『これより、ロストロギア、ジュエルシードの回収については、時空管理局が全権を持ちます』」
「!?」
俺はリンディの声で先ほどリンディが言った事を復唱した。
「で、その後クロノは何て言った?」
「確か、次元干渉が関わっているんだ。民間人を出る話じゃないだったな」
「その通り。だがリンディはその後こう言ったんだ『でも、急に言われても気持ちの整理がつかないでしょう?一度戻って、三人でゆっくり考えて。後日、改めてお話しましょう?』と。そんな危険な物が関わっているのに民間人の気持ちなんて関係ないだろ?矛盾しているんだよ、貴様の言葉は」
俺はリンディから目を離さない。
「コダイ君、私は「言い訳を聞きたいんじゃない」ッ!!」
俺はリンディの胸倉を掴んでこっちに引き寄せた。
「な、何をしてい「動くな、動いたらこの女を殺す」っ!!」
俺は、銃を取り出してチラつかせる。
「流石艦長になった者だ、人の上に立つ能力があるな……だが相手を子供と言う先入観で見過ぎたな」
「……………………………」
リンディの顔が若干青ざめている。
「どうしたんだよ?褒めているんだぞ?もう少し喜んだらどうだ?」
「コダイ!管理局の人に何やっているんだ!」
ユーノが俺を引きはがそうとする。
「黙っていろ。今こいつの化けの皮剥ぐ所だ」
「化けの皮って……………」
「さて、質問に答えて貰おうか…………クロノ・ハラオウン、今回の件何で一人で来た?増援とか呼べるだろ」
「そ、それは緊急で他の局員は別の任務で「俺が聞いた話ではロストロギアは最優先じゃ無かったか?」くっ!!」
と……すると考えられる事は一つ。管理局はかなりの人手不足か。
「世界が崩壊なんて言って、その次はゆっくり考えろだと?おかしなこと言うものだな……そんな事をするより手を組んで片付けようと考えられないのか?答えてみろ、リンディ」
「っ!!」
銃でリンディの頬を撫でる……
「どうした?……まさか竦んで喋れないのか?だったら俺が代わりに言ってやる……………危機感を煽る事を言って、此方側から協力させるように仕向けて、使い勝手がいい道具にするつもりだったんだろ?なのはを客観的に見ても今までの話を総合しても協力すると言うだろう思ってな。間違ってるか?」
図星を突かれて目を見開くリンディ。
「艦長!!何黙っているんですか!?このままじゃ我々管理局が誤解されてしまいます!」
「言い返せないんだよ、誤解だったら直ぐに否定できるはずだ………全く、素直に協力して欲しいと言ってくれれば快く手を貸してやったのに」
俺はリンディの胸倉から手を離す。
「さて、クロノの言った通り、これでもう民間人だ、もうジュエルシードとは一切関係ない。ここにいても仕方ない――帰るぞ、なのは、ユーノ」
「え?え!?」
「チョ、チョット!」
状況がまだ飲み込めていないなのはとユーノ。さて、コレでどう動くか………
「ま、待ってください!」
「あ?」
部屋を出ようとするとリンディに引きとめられた……………よし。
「ごめんなさい。あなたの言う通り、私の立場上協力の要請は出来ない。だからこんな形で協力させようとしたのは事実です。本当にごめんなさい!」
リンディが頭を下げる。
「ど、どうしてですか!?」
「理由を聞かせてください!」
「代わりに答えてやる。人手不足による戦力の不安だろ?」
クロノとエイミィに俺が答えるとリンディが頷いた。
「ええ、そんな時に観測された強力な魔力値。それも管理局にほんの僅かにしかいないAAAランクの魔導師が3人…………コダイ君となのはさんとフェイトさんの事です。正直に言って、喉から手が出るほど貴方達が欲しいです――」
「で?………」
「お願いします!事件解決の為に私達に協力して下さい!」
再びリンディは頭を下げる……………
「リンディ…………さっき言ったよな?素直に協力して欲しいと言ってくれれば快く手を貸すって」
「それじゃあ!」
「勿論、手を貸してやるさ」
司法機関に借りを作るのも悪くない。
「私も手伝います!フェイトちゃんとの決着も付いてないもん!」
「僕も構わないよ。管理局が協力してくれるなんて、こんな心強い事なんて無いよ」
二人も快く承諾してくれた。
「だが、さっきの事を忘れたとは言って無いからな。多少の独断行為は目を瞑ってもらうぞ。人手不足な組織とかはあんまり信用できないからな」
「わかったわ、協力お願いします。コダイ君、なのはさん」
「はい!こちらこそよろしくお願いします!」
なのはが頭を下げる。これで落ち着いたか……その前に釘打ち釘打ち。
「後、上の奴らが従わせようとかしたら………」
「し、したら?」
「………個人情報やある事ない事流して、管理局を内部崩壊させるからそのつもりで」
全員に見せる様に黒いノートを見せる。
釘は刺さないと。1日でもあればここにいる局員の個人情報は全部取れるし。
「は……はい」
リンディが引きつった笑いを浮かべていた。
「ま、まぁ………協力してくれる以上、僕達は全力で君達を守ろう。さっきも言った様にジュエルシードは危険な物だから」
「問題無いの!」
クロノの言葉に両手でガッツポーズをしたなのは………自信を持つのはいいけど、張り切りすぎないか?
「コダイ君の方がジュエルシードより危険なの!だから大丈夫なの!!」
ソレは貴様の砲撃も同じだろ……
≪ガクガクブルブル……≫
「ん?どうしたレイ?」
突然震えだしたレイを確認するため右袖を捲り、隠している包帯を取る……特に変わった様子は無い様だな?
≪なのは……こ、こわかった~≫
今までそれで震えていたのかよ……
「「「―――――――――」」」
え?……あれ?管理局の三人が物凄い顔でこっちを見ている………
「何でジュエルシードを付けている!!今すぐそれを外すんだ!!」
あ、思い出した。これロストロギアだった……クロノに言われるまで忘れてた。
「いや無理、人体に完全に定着して離れないんだよ……ほら、何か血管見たいな管が伸びてるし」
「そんな危険な状態を何で今まで放って置いたんだ!!」
「特に支障は無かったし………それに何かデバイスになったみたいだし。レイ、挨拶」
≪レイ・モモ・ブラッ―――またかんだぁ~このなまえながすぎぃ~!!≫
と言うか舌あるのかよ……
「ロストロギアが自我を持って、デバイスに生まれ変わったのか!?」
「ジュエルシードは願いを叶える特性があるだろ?その特性で何かこうなったとユーノと推測」
「理屈は通っているけど無茶苦茶だ……」
頭を押さえたクロノ……
その後、納得してもらうためにクロノの案内で精密検査を受ける事に……
「って!男だったのか!?」
あ、男って言って無かった……
緑茶に砂糖って外国では当たり前らしいですよ?ペットボトルで売られているらしいです。
~次回もお楽しみにしてください~