魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~   作:メガネ

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味見と言って食べる奴は本気で食べるbyコダイ

 右腕を怪我した翌日、学校を休んだ。

 ユーノからは派手に動かさなきゃ問題無いと言われた。両利きだから別に家事に支障は無い。

 

「さて…………暇だ」

≪だね~≫

 

 ユーノは昨日からなのはの所にいる。理由は魔法の訓練、デバイス無しでも出来るらしい……

 怪我はレイにはほとんど影響が無かったらしく普通に活動している。

 

――PiPiPiPiPi♪

 

 ん?携帯に電話?

 

「何だ」

「コダイ君、みんなのアイドルの桃子です♪」

 

 電話の相手は桃子だ。

 

「桃子か、どうした?」

「あららスル―?今日コダイ君、怪我で休んでいるんでしょ。だったらお昼こっちで食べない?」

「そっちって、金取るのか」

「取らない取らない♪コダイ君には居てくれるだけでいいから♪」

 

 居てくれるだけ?……

 

「要するに客寄せ人形か」

「正解♪」

「分った」

「了解、リーダー♪」

 

 そう言って桃子は電話を切った……あ、いつの間にかリーダーになっていたな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 今、翠屋で昼食を取ってる。それと桃子が客寄せのために渡してきたのは黒ゴス、しかも以前よりもフリルが多め。

 

「……アム」

 

 サンドウィッチを食べながら周囲を見回す。

 俺が来てから凄い込み様……それに視線が凄い……

 

「流石リーダー、人気バッチリね♪」

 

 食べ終わる少し後にデザートのケーキを持ってきた桃子が来た。

 

「コダイ君、今来るお客さんの相席お願い出来るかしら?実は席が無いのよ」

 

 と言っても。こっちは断れない身だし――

 

「問題無い」

「ありがとう、コダイ君」

 

 桃子はケーキを置いて、恐らく待たせてる客の方へ行った。

 そういえばこの時間帯ピーク時だったな……

 

「あの……」

 

 もう来たのか早いな……………え?

 

「ふぇ?」

「アンタ……」

 

 俺の気の所為ならいいが………何でここにフェイトとアルフがいる?

 

 

 

 

 

 

 

 

 もう何度目か知らないが、何度も言う…………

 

「どうしてこうなる……………」

「ん~どうしたんだい?」

「ア、アルフ!次私ね!?」

 

 何がって?只今俺はアルフの膝の上で人形の如く抱き締められてる。

 その隣にフェイトがいる……

 

「はぁ~こんなに可愛いのに男ってのが信じられないよ」

「ん?フェイト、アルフに話したのか?」

「え?うん」

 

 そういえば。アルフがいつも話題になっていると言ったな。

 

「で、その時の反応は?」

「…………耳が痛かった」

 

 つまり予想通りのリアクションをしたと。

 

「ごめんよ~フェイト、だってこんな美人が男だ何て詐欺にしか思えなくて」

「うん………でも、何で男の子なのに女の子の服を着てるの?似合うけど」

「え?女装はオシャレだろ?」

「「違うから!」」

 

 流石、主と使い魔。息ピッタリだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「コダイ、質問があるんだけど」

 

 フェイトは俺の隣に密着しながら聞いてきた。何故密着?と言うと。フェイト曰く自分の番らしい………何の?

 後アルフはフェイト達がなのはと俺の友達と知って桃子がサービスしてくれた物に文字通り喰い付いてる。

「ん?何だ?」

「あの――――お母さんにあげたら喜ぶ物って知ってる?」

「喜ぶ物?」

「うん、実は――――」

 

 フェイトは母親と離れて暮らしていて、今度戻るらしく、その時のお土産を考えているようだ。

 

「良く分らないな、親に物を渡すという機会は一切無かったからな」

 

 寧ろ親すら居ないし……

 

「無かった?」

「いや、こっちの話だ。在り来りだが、心が篭っていれば物だろ?」

「う、う~ん……でもそれが難しいんだよね」

「フェイトは何を渡すつもりだった?」

「えっと―――ケーキかな?」

 

 だから翠屋に……それなら。

 

「ならケーキで決定だな、ただし――――それは買うので無く、作るんだ」

「え?―――――――え!?」

 

 何故か二度も驚いたフェイト……

 

 

 

 

 

 

 

「材料はこんな感じだな」

「だ、大丈夫かな?………」

「大丈夫だって!フェイトなら出来るよ!」

 

 緊張してるフェイトをアルフが落ち着かせる。

 あの後に桃子にフェイト達の分を勘定をして、ケーキの材料を買いに行った。

 あ、勿論着替えたぞ?

 今俺に家で、ケーキを作る準備をしている所だ。

 それとフェイトのバルディッシュは一応両者の警戒の為、全員が見える位置に置いた。

 

「アンタのデバイスは?」

「寝てる……」

 

 フェイトがバルディッシュを置いてる時、アルフが聞いて来たので簡単に答えた。

 レイは現在昼寝をしている……

 

「……デバイスって寝るもんなのかい?」

「俺に聞くな。何でも昼寝しないと持たないらしい……寝ている以上起動も出来ないしな」

「何かガキンチョみたいなデバイスだね……」

 

 それは俺も思った……

 

「あ、聞くがフェイト、料理経験は?」

「い、1度も……」

「そうか、アルフは?」

「アタシは食べる専門だよ!」

 

 威張んな。

 料理経験無しか……下手に凝らさずに完成の見栄えが良い物にするか。

 

「――今回は普通のショートケーキを作る……アルフ、摘み食いをするなよ?」

「アタシが、まるで大食いキャラ見たいに言わないでくれ!」

 

 だって「せめて食うなら肉だよ!」その通りだろ。

 

~ケーキ製作中~

 

「えっと、薄力粉と砂糖と…………」

 

 フェイトが手を洗ってから製作開始。

 まず材料の分量を量る事から。フェイトがカップで薄力粉と砂糖を計っている。

 俺は事前にバターと牛乳を湯煎した。

 

「ケーキ作りで分量は重要だからしっかり計るんだ」

「うん………」

「計ったら、薄力粉をふるいにかける。粉が塊になっているのを解すんだ」

「うん………あ、本当だ固まっているのがある」

「あったら指で潰して、もう一度ふるいにかける。確認な」

 

 

 

「次に卵だがこうやって」

 

 小さめの容器に片手で割る。

 

「別の容器に割って、殻や異物が入って無いかを調べてから入れる。こうしないと味が落ちるから」

「うん、分った……」

「あ、でも卵は両手でな」

「うん―――あっ」

 

 卵はグシャっと潰れた………

 

「まずは割り方を教える」

「はい………」

 

 

 

 次に湯煎だが、これは俺がやって。人肌程度になってから、フェイトに渡した。

 

「ハンドミキサーで混ぜて、白っぽくなったら高速にして混ぜる。後、あんまり変な角度にすると飛び散る「きゃあっ!」って遅かった」

 

 服や顔に生地がべったりくっついてるフェイトが………………

 

「一応、あっちに汚れても良いYシャツあるから、脱衣所で着替えてこい。後、その服は水の入ったバケツあるからそこに入れておけ、その間これは俺がやるから」

「ごめん」

 

 

 

 フェイトが着替え終わり、調理再開。後、赤くなりながらYシャツの事を聞いたから。『俺の寝間着』と言ったら更に赤くなった。

 

「俺が薄力粉を入れるから。さっき言ったようにボールを回しながら、泡を潰さないそうにさっくり混ぜるんだ」

「うん」

「…………そうだ、その調子だ」

「うん……よし……………」

 

 ここは大きな失敗は無かった。

 

 

 

 最初に湯煎したバターと牛乳、そしてバニラエッセンスを入れて混ぜ。その生地を型に流し込み、オーブンで焼く。その間にクリーム作りだ。

 

「うぅ~腕が~さっきの使わないの~」

 

 今、フェイトが使っているのは泡だて器だ。

 

「ハンドミキサーを使うほど混ぜる必要は無いし。それに……また飛び散るぞ?」

「うっ―――それはやだ」

 

 フェイトは慎重にクリームを混ぜる。

 

 

 

「出来た…………」

 

 後は特に失敗も無く、盛りつけは基本を教えてフェイトに好きにやらせた。

 

「上出来だ。初めてにしては中々だ」

「おいしそ~」

 

 アルフがよだれを垂らしている……

 

「これは、冷蔵庫(業務用)に入れて、今日は泊まっていけ」

 

 もう夕方だしな。

 

「そんな、いいよ!そこまでしなくても「その格好で帰るのか?」はっ!!」

 

 今頃思い出したのか……

 

「夕飯は何にするか考えてくれ。俺は後片付けをするから……それと、顔…………拭いとけよ。面白い事になってる」

「ふぇ?」

 

 分っていないのか、首を傾げるフェイト。

 あ、後ろのアルフが震えている……

 

「くっ――――あははははははははははっ!!ゴメン!もう我慢出来ない!あはははははははははっ!!」

 

 最初にアルフが腹を抱えて爆笑した。

 

「あ、アルフ!?どうしたの!?」

「鏡が後ろにあるぞ」

「え?……………あっ!!」

 

 鏡を見てようやく気付いてフェイト。その顔にはクリームやら粉などが所々付いていた……

 

「か、顔洗ってくる!」

 

 フェイトは急いで洗面所に向かった。

 フェイトが消えた後、我慢をやめたのか、アルフが更に爆笑していた。

 

 

 

「さて、リクエストは決まったか?」

「えっと……何でもいい」

「肉!」

 

 フェイトが戻って来て夕飯のリクエストを聞いたんだが……何で主と使い魔でこう違うんだろう。

 

「―――カレーにするか。持って帰れる様に寸胴で多めにつくる、カレーと御飯を1食分ずつ分けるから、そっちで食べる時はカレーを事前に自然解凍してから温めて、出来なかったら湯前、御飯はレンジで温める。料理をした事無いって言うからどうせコンビニ弁当かレトルトで過ごしていたんだろ?」

「うっ……全く持ってその通りです」

 

 フェイトが何か刺さった様に胸を押さえる。

 カレーにしたのは意味がある。コンビニ弁当やインスタントは栄養が偏るのもあるが。カレーの香辛料は中国の漢方を使うから体に良い物を一気に摂れる。

 ただ、市販のカレールゥは油分があるので最初から作る必要があるがな……特に問題は無い。

 

「ハフハフ……おかわり!」

「えっと……私も!」

 

 コレでアルフ5杯目、フェイト3杯目……

 かなり食べるだろうと、10人前ほど仕込んだのに無くなりそうだったので、急遽5人前追加した位だ。

 カレーは大量に作った方が美味しいからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、フェイト……言い残す事は無いよな?」

「へ?何の事?…………………」

 

 夕食も終わり……俺が指す先は八等分にした七つのケーキ。

 

「ふぇ!?わ、私じゃないよ!」

「クリームが付いて、説得力無いな」

「えっそんなはずは―――あっ!」

 

 自分の頬を触るフェイト……………うん、自爆したな。

 

「こここここれは、出来上がりに自信が無いから味見を「味見で一個食うのはもはや実食だ。O☆SHI☆O☆KIシヨウカ」ヒィッ!」

 

 フェイトの襟首を掴んで引きずって逝く……………字はあってる、多分。

 

「ゴメンナサイゴメンナサイ!!!だからO☆SHI☆O☆KIはやめてええええええええええええええ!!!!」

 

 こうして夜は更けていった―――――あ、お土産用はシッカリと確保しているから問題なし。

 さて、朝食の準備しないと。




NACHT様、感想を有難う御座います。

~次回もお楽しみにしてください~

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