魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~   作:メガネ

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遅れて本当にすいません……理由は体調不良とスランプです。
引き続きユグドラシル戦です、と言うか強くしすぎたかも……
関係ない話ですが漫画なのはVividでなのはの魔王呼びが出ましたね……しかも娘が。


これ本当にどうしよう……byコダイ

「取り敢えず現状を報告してくれないか?」

 

 分断されていたなのは達が恐る恐るとナハトヴァールに降りるが居心地が悪そうだ。

 シグナム、ヴィータ、シャマルに至っては少し浮いている。

 そこにクロノが場を切り替えるように切り出した。

 

「は、はい!ユグドラシルに飛ばされましたが、全員軽傷ですが戦闘には問題ありません」

 

 佇まいを正したフェイトが答える。

 

「これからの作戦を伝える。コダイ、結界の方は大丈夫か?」

「残り3層、長く持たないぞ?」

「それで良い、作戦を伝える為の時間稼ぎができれば」

「分かった」

 

 残った結界を維持。時間稼ぎと言っても、あのパターンで来られたら10分も持たないな。

 

「はやての案でユグドラシルの自滅を狙う……がこれはコダイが先ほど実行したから、2度目を行うとしたら止めだ。さっき思いついたもう1つの案を並行して実行しようと思う」

「……もう1つの案?これだけのエースを引っ提げても殆どダメージを与えていない。通るのか?」

 

 クロノに聞き返すと小さく頷いた。

 

「今までの攻防を見て、自滅以外にユグドラシルに僅かだが効いた魔法があった」

 

 その言葉にそこにいる全員が驚く。今まで効いたかどうかさえも怪しいあれに有効な手―――

 そう言われて今まで使った魔法でユグドラシルに直接効いた魔法を思い出す……

 

「俺とはやての合体魔法か……」

「そう……正確には複数の高ランク魔法のコンビネーション攻撃。コダイが最初に使った3つの魔法の一斉射撃も効いていた」

「……理屈は分かったけど、それにあれは俺とはやて……正確には夜天の書と祝風の書のだから成功しただけだ。即興で出来るとは限らないぞ?」

 

 全員が難しい顔をしている。いくら古い仲とは言え即興で合体魔法を使うのは無理があるだろう。

 そう言えば前に1度だけなのはとフェイトがはやてとの相殺で3者ボロボロになった合体魔法を使っていたな。

 あの時はユーノが結界を強化して大事には至らなかったけど……

 

「……まあでも、それしか方法は無いみたいだしな」

 

 口では言ったものの他の代案が思い付かなかった。

 

「よっしゃ、ならもう1度『ナトゥーア・カタストロフィ』をお見舞いして―――」

「いや、今回はコダイとはやては不参加だ」

「って―――何でや?!」

 

 意気揚々と杖を構えたはやてがクロノに止められ空中で躓くと言う器用な事をした。

 

「君達のその魔法は1度吸収されている。2度目が効くとは限らない……それに最後の氷結魔法に魔力を温存してもらいたい」

「そう言う事なら了解や。で……そのコンビネーションの組み合わせは決まってるんか?」

「まず、なのはとフェイトは確定として―――」

 

 クロノがなのはとフェイト見て、少し苦しそうな顔をして2人を指名する。

 ああ……こいつらにはあったな物騒な奴。こっちは間近で見たからな……思い出し苦しみって奴か?

 確か5年ぐらい前だっけ?管理局で俺とアインとマテリアルズを除いてなぜかミッド対ベルカで模擬戦をする事になった……

 そもそもの原因はシグナムが身内(ヴィータ)を煽り、ヴィータが何故かなのは噛み付き周りが便乗する形でこうなった。

 そこで勝負終盤なのはとフェイトがえげつない魔法使ってたな、それにはやてが応戦して………

 全員軽傷とは言えボロボロにされたしな。あの時、ユーノが居なければどれほどの被害があっただろうか……

 

「あとは……」

 

 そう言って黙り込むクロノ……おい言いだしっぺ。

 ――だが黙りたくなる理由も分かる。

 

 

 クロスレンジ特化―――シグナム、ヴィータ、ザフィーラ、アリシア(どちらかと言えば)、エル。

 

 ロングレンジ特化――シャマル、サクラ、アンズ。

 

 

 能力が偏りすぎてる………本当にどうしよう。よく考えたら火力が強すぎて纏めて囲まれたら終わりなメンバーだこれ。

 

「――――はい!」

 

 静まる中に聞こえた声に目を向けるとなのはが手を挙げていた。

 

「えっと……要は長所と短所、互いの資質の相性を考えて2人1組(ツーマンセル)にすれば良いんだよね?だったら――――」

 

 そう言ってなのはが全員の中央に見えるようにモニターを出す。そこにはなのはが考えた組み合わせが載っていた。

 

 

 『シグナム&サクラ』

 

 『エル&アンズ』

 

 『アリシア&ヴィータ』

 

 

「シグナムさんとサクラちゃんは同じ炎熱資質でクロスレンジとロングレンジ、相性も短所も補えるの。エルちゃんみたいに直感で動く子は長年一緒にいたアンズちゃん合わせれば問題なく動けると思う。アリシアちゃんとヴィータちゃんに関しては短所を考えず超重量の高火力同士の組み合わせ、ユグドラシルに与えるダメージ最も高いコンビだと思うの―――」

 

 組み合わせ表を見ながらスラスラと解説して行くなのは。

 

「えっと……私達が無いのは?」

「はい、シャマル先生とザフィーラさんにはコダイ君達の護衛をして欲しいんです。3人の氷結魔法が成功率を上げるためにサポート出来ますか?」

「当然、私の本領ですもの!」

「2つ名に恥じぬ働きを見せよう」

 

 なのはの答えに納得して頷くシャマルとザフィーラ。

 

「良く思いついたな………こっちも考えては見たが、能力が偏りすぎて全員1発殴りたくなった」

 

 周りから『逆ギレ?!』と言われたが無視だ。

 

「にゃははははっ……私教導官だから、今みたいに組んで練習ってよくやってたの。えっと……どうかな?クロノ君」

「ああ、それで行こう。この中で集団行動に長けて、なおかつ全員の実力をしっかりと理解できているなのはだからね」

 

 まあクロノも思いつかなかったしな……

 思ったより早く解決したようだ。

 

 

 

――ガシャアアアアアアン!!!

 

 

 

「えっ?!何々?!」

 

 突然の轟音になのは達合流組が周囲を見渡す。

 

「ユグドラシルだ……結界を破壊し始めたんだ」

 

 全員がなのはが放った巨大砲撃の爪痕の先にいるユグドラシルを捉える。

 

 

――ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

 

 

 先ほどの巨大砲撃の事など微塵にも介さぬほど本能のまま雄たけびを上げるユグドラシル。

 

「ってあのなのはのバカデケェ砲撃喰らってもピンピンしてんのかよ!!」

「………俺とはやての合体魔法でようやく焦げたくらいだ。決定打はあいつの吐き出した魔力の塊をナハトヴァールで押し返した時だけだ」

「はぁっ?!」

 

 依然と変わらずにいるユグドラシルに驚くヴィータに更に事実を教える。

 

「えっとさ……私の目の錯覚だと嬉しいんだけど……ちょっと大きくなって無い?あれ」

「た、確かにさっきより威圧感が―――」

「……確かめてみるか」

 

 アリシアの恐る恐るな問いに苦笑いを浮かべるフェイト……それを確かめるべく、発見当初のユグドラシルの映像を出して現在のと比べてみる……

 これは間違いなく大きくなってる……と言うか膨らんでる。

 

「魔力吸って膨らんだんだろ。どっちにしろやる事は変わらないしな」

「うん知ってた……こうなったら特大のをお見舞いしてやる」

 

 淡い希望を打ち砕かれたアリシアだが再び気合いを入れる。

 

「全員、次に備えろ。次の結界が破壊されたと同時に仕掛けろ」

 

 ユグドラシルの隙は攻撃の直後、壊した後なら同じ攻撃は絶対しない。

 次は対魔力だから来るのは尻尾での攻撃、ユグドラシルの魔力攻撃は溜めがある。その隙があれば充分だ――――

 

 

――ガシャアアアアアアン!!!

 

 

 これで結界は残り1層―――

 

「今だ」

≪御武運を―――!!≫

 

 俺とアインの言葉と共に最後の結界を解除。それと同時になのはが編成した4組がユグドラシルに向かった――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まずは私達からだ!」

「参ります―――我が魔導の総てを懸けて!!」

 

 先陣を切ったのはシグナムとサクラのペア。

 納刀状態のままのレヴァンティンを構えたシグナムが内蔵されているカートリッジをすべて使いそれを維持したままユグドラシルの手前まで近づく。

 

「龍には龍だ―――火龍よ!!」

 

 抜き放ったレヴァンティンはシュランゲフォルムに変化して連結刃が炎を纏い龍の形を模してユグドラシルの周囲を周る。

 

「ハアアァァァァァァッ!!」

 

 そこからシグナムがレヴァンティンを振り上げると炎の龍は螺旋を描き天に昇る。

 

「ここでっ――――!!」

 

 更にシグナムがレヴァンティンを引くと炎の龍は描く螺旋を狭めユグドラシルを囲む炎の竜巻となった。

 

「ユグドラシル!私の剣では貴様は斬れん……だが!」

「ええ、焼き払う事なら出来ます―――!!」

 

 いつの間にかサクラはユグドラシル真上にいて下に向けてルシフェリオンを構え、カートリッジ4発使いルシフェリオンの先に赤い炎を圧縮させる。

 

「これが私の限界っ……最大出力!」

 

 サクラの限界まで高められた炎そのものがユグドラシルに放たれる。

 

「2つの炎から生まれし火龍の息吹!」

「一片も残さず焼滅しろ――――!!!」

 

 シグナムとサクラ――2つの炎がユグドラシル飲み込む。

 

 

「「アーテム・デス・サラマンドラ!!」」

 

 

 サクラの炎がユグドラシルを焼き、それを逃がさない様にシグナムの炎がその周囲を焼き払う。

 

 

――ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

 

 

 炎の中でも雄叫びを上げるユグドラシル、それでも2人の炎は弱まる事無く焼き続ける。

 ……そうか、魔力でも変換されたら吸収の効率が下がるのか。だとすると氷結魔法の効果はありそうだな。

 

「――――くっ………離脱するぞ!」

「っ……はい!」

 

 ユグドラシルが炎に包まれて数分、突然シグナムがシュランゲフォルムを解除。サクラも攻撃をやめて即座に戦線を離脱。

 さすがの合体魔法でも息切れはこっちが早いか……

 

 

――ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

 

 

「……で、特に聞いた様子は無いと」

 

 炎を吸収しきったユグドラシルは全身が焼け焦げ一部が炭化していた。だがそれも吸収した魔力が再生に使われる。

 

「畳み掛けるんだ!奴に回復の隙を与えるな!!!」

 

 その様子を見てクロノが声をあげる。

 

 

 

 

 

「次は僕たちだ!」

「我等が闇の魔導の力を思い知るがいい!!」

 

 シグナム、サクラと入れ替わるようにユグドラシルの前に現れたのはエルとアンズの組み合わせだった。

 

「……で、どうすれば良い?」

「勢いだけか!……まあ良い、剣を掲げよ」

「えっと……こう?」

 

 エルがバルニフィカスを超刀形態ブレイバーモードにして頭上に掲げる。

 

「そのままにしておれ、これを――!」

 

 アンズがエルシニアクロイツを掲げると、アンズの魔力がバルニフィカスの水色の魔力刃を覆い闇色の魔力刃に変化した。

 

「おおっ!何かカッコいい!!」

「それで何時も通りやってみろ」

「了解!」

 

 黒い刀身のバルニフィカスを振りかぶり、ユグドラシルに接近する。

 

「喰らえええええ!!」

 

 勢い良く振るわれたバルニフィカスは黒い魔力刃を飛ばした。

 色以外特に変化は無い。だが飛んだ魔力刃がユグドラシルに直撃した瞬間――――

 

 

――ズガガガガガガガガガガガガガ!!!!!

 

 

 雷鳴と黒い雷撃がユグドラシルを襲った……

 

「何これ、スゴッ!?」

「簡単な話よ、エルの魔力刃をユグドラシルに当たるまで一切漏らさず我の魔力で覆ったまでよ」

「そっか!つまり今までよりパワーが上がったって事だよね!」

「その通り。さあエルよ襲撃者(スラッシャー)の名を冠するその力―――存分に振るうが良い!!」

「言われなくても―――!!」

 

 仕組みを理解したエルがユグドラシルの周りを飛び回りバルニフィカスを振り回して黒い魔力刃を何度も飛ばしユグドラシルに浴びせ続ける。

 黒い魔力刃が直撃したまでは良い――だが魔力刃そのものが小さいのでユグドラシルの鉱物の様な体を滑り当たった直後は外に逃げてしまう。

 ……それでもアンズは不敵の笑みを浮かべていた。

 

「戻れ!」

 

 

――ズガガガガガガガガガガガガガ!!!!!

 

 

 手を翳しアンズが命令すると。

 ユグドラシルから通り過ぎた魔力刃が反転し再びユグドラシルに直撃した。

 

「フハハハハハハッ!!見たかユグドラシルよ!我がただ強化しただけだと思ったか?我が魔道を宿し黒き雷は我自身の魔道も当然!この様に誘導操作も造作も無いわ!」

「まだまだあああああああああああ!!!」

 

 高笑いするアンズを余所に黒い魔力刃を増やし続けるエル。

 その魔力刃を操作してユグドラシルを刻み続けるアンズ。しかも吸収させない為に当てるのは一瞬、カマイタチの様に斬り付ける。

 

「うむ……そろそろ幕を下ろそう。エル!」

 

 アンズがエルに呼びかけ上空を指す。

 呼ばれたエルは止まって上空を見上げると無数の黒い魔力刃が滞空していた―――

 

「止めは分かっておるな?」

「へへっ―――モチロン!!」

 

 アンズが不敵の笑みを見せるとエルも同じく笑い返し、バルニフィカスを頭上に掲げ黒い魔力刃を肥大化させ黒い雷を帯電させた。

 

「これが僕とアンズのコンビネーション!」

「鳴り響け黒雷よ!その空を!その地を!その敵を漆黒に染め上げろ!!」

 

 それと同時にエルのバルニフィカスとアンズの無数の黒い魔力刃が全て同時にユグドラシルに向かって振り下ろされた。

 

「「暗黒・雷刃剣!!!」」

 

 

――ズガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!

 

 

 黒い雷撃がユグドラシルを飲み込み、今までで1番の雷鳴を響かせた。

 

 

――ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

 

 

「イェーイ!やっぱり僕達って最強?」

「クックックッ………フハハハハハハッ………アーハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ!!!!」

 

 アンズの前に降り立ちポーズを決めるエル。

 その後ろでアンズが悪党の高笑いをしだした…………

 

「なあ……アンズちゃんって何時もああなんか?」

 

 その高笑いを呆然と眺めてたはやてが恐る恐る聞いてきた。

 

「戦闘中は……あの高笑いはともかく攻撃中の不敵な笑みとかセクハラ直前のお前にそっくりだな」

「ええっ?!私そんな悪い笑い方してたん?!」

 

 してたしてた。

 

「それにしてもだな………あいつらよく即興で技の名前思いつくな。打ち合わせでもしたか?」

 

 あのノリはついていけない。

 

 

――ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

 

 

 黒い雷撃が晴れて雄叫びと共にユグドラシルが現れた。

 炭化した部分は焼け崩れ、体中に無数の斬られた痕が残っていた。

 それもただの傷跡ではなく雷撃の高温で溶解された痕だった。

 

「あんま効いた様子では無さそうやな……」

「元々自滅させるための代案だからな」

 

 残りは2組か……

 

 

 

 

 

「エル、引くぞ。後は後続に任せよう」

「分かった!じゃあ後よろしくねー!」

「任されたー!!」

「ここまで来たんだ、ぜってー後に繋げる!」

 

 アンズと戦線を離脱、次の組のアリシアとヴィータに手を振る。

 それに手を振りかえすアリシアとアイゼンを担ぎなおすヴィータが入れ替わりユグドラシルと対峙した。

 

「んじゃあ、頼んだぜ!」

「オッケー!とびっきりスゴイの行くよ!」

 

 まずヴィータがユグドラシルの遥か上まで飛翔する。

 

「ハルバード、カートリッジロード」

Load Cartridge.(ロードカートリッジ)

 

 アリシアがハルバードを掲げてカートリッジを使う、弾数は3発。

 ハルバードの先から水色のスフィアが形成されそれが一気に膨張しユグドラシルと同じサイズにまで形成された。

 

「まだまだああああああああ!!」

 

 アリシアがされに巨大なスフィアに交差させるように環状魔法陣で囲うと巨大スフィアは徐々に縮小……いや圧縮されていった。

 圧縮されたスフィアは人1人包むぐらいの大きさまでに収まったがスフィアとしては巨大すぎる。

 

「これで……!準備は良い?!」

「おう!いつでも来い!!」

Gigantform.(ギガントフォルム)

 

 自分の準備が終わったのかアリシアは上空のヴィータに声をかける。

 それに応えヴィーだがアイゼンをギガントフォルムに変える。ただ何時ものように巨大にするのでは無く、ヴィータの倍ほどの大きさに収まっている。

 

「それじゃあ――」

 

 アリシアがハルバードを構える。

 

「一球!入魂!!!」

 

 ハルバードを振り下ろして圧縮したスフィアを剛速球で投げ飛ばす………ヴィータに向かって。

 

「よし来た!振りかぶってぇぇぇぇぇぇぇっ!」

 

 それを待ってたかの様にヴィータがアイゼンを持ち回転しながら向かってくるスフィアに接近する。

 

「ぶっ飛ばす!!!」

 

 

――ギイイイイイイイイイイイイイイイン!!!!

 

 

 勢いと遠心力を乗せた一撃をスフィアに振り下ろした。

 

「これがっ……騎士と魔導師の鉄槌だ!」

「降り注げ!!!」

 

 

――ピキッ……

 

 

 ヴィータとアリシアに答える様にスヒアに亀裂が入り、その直後……

 

 

――バアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!

 

 

「「これが――シンフォニックレーゲンだ!!!!」」

 

 

 圧縮されたスフィアが破裂、無数に広がる魔力の塊が破片となってユグドラシルに一斉に降り注いだ。

 破片はユグドラシルに触れると炸裂して小規模の爆発を耐えま無く浴びせ続ける。

 

「バリアブレイクと着弾時炸裂が付加された魔力弾の嵐だ!吸収出来るもんならしてみやがれ!」

「やっぱり魔法はパワーだね~」

 

 アイゼンをもとの形態に戻して肩に担ぎ一息つくヴィータと腕を組んで何度も頷いてるアリシア。

 ヴィータのシュワルベフリーゲンの鉄球をアリシアのスフィアに代えたのか……

 

「けどさ……前の2組からこんな事してるけど効いて無いんだよね?」

「そうみてーだな……闇の書の事件の時のあれが可愛く見える……アインの言ってた意味じゃなくて」

 

 いまだに降り注ぐ魔力弾の雨を眺めながら苦笑いするアリシアとヴィータ。

 と言うかヴィータ、お前そこまでナハトヴァールが嫌か。

 

≪可愛いと思うのだが……主はどう思います?≫

「召喚生物に可愛さ求めてどうするの?」

 

 と言うか俺に振らないで……

 

 

――ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

 

 

 再び咆哮するユグドラシル。魔力弾の雨が止み姿を現す。

 魔力弾の雨が当たった部分、つまり上全体は爆発の跡の様な小さな窪みが出来て、翼の被膜には穴が幾つも開いていた。

 だが炭化していた部分は既に再生され、溶解していた傷跡は見るからに浅くなっていた。

 次で最後か……

 

 

 

 

 

「んじゃあ最後、頼んだぜなのは!」

「ビシッと決めちゃって!フェイト!」

 

 ユグドラシルの状態を一瞥したヴィータとアリシアが戦線を離脱、振り返りながらなのはとフェイトにエールを送る。

 2人が振り返った先には既に発動準備に入っているなのはとフェイトだった。

 

「行くよ、フェイトちゃん」

「うん、なのは」

 

 2人は隣同士に立ち、足元には桃色と金色のミッド式の魔法陣が重なって足場として展開されている。

 なのははレイジングハートをエクセリオンモードにしてユグドラシルに狙いを定める。

 フェイトがバルデッュをザンバーフォームにして上に掲げ魔力を集中し始めた。

 

「「N&F中距離殲滅コンビネーション!」」

 

 2人の周囲にはそれぞれの魔力弾が幾つも形成されていく……

 なのはが構えたレイジングハートから衝撃波が放たれユグドラシルに直撃、だがそれ自体に威力は一切無い。

 直撃を受けたユグドラシルが僅かによろめいた直後痙攣し始めた……いや、拘束されて動けなくなった。

 なのはの放ったバレルショットは命中対象を拘束し照準、弾道安定に発射直後の暴発や拡散を防ぐための補助効果付きの複合高速砲撃魔法。

 これが当たった対象となのはの間には砲撃の通り道しか無い。

 

「全力全開!」

「疾風迅雷!」

 

 その詠唱と共にフェイトが掲げたバルディッシュの大剣の魔力刃になのはの魔力が集中。

 

「「ブラストカラミティ!!ファイヤ―――――!!」」

 

 

――ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!!

 

 

 フェイトがなのはの魔力を乗せたザンバーを振り下ろす。

 2つの魔力の斬撃は何も損なう事無くユグドラシルに直撃。その直後になのは、フェイトの砲撃がバレルフィールド内を満たして行く。

 更にダメ押しとばかりに周囲に展開されていた魔力弾が一斉にユグドラシルを包囲する様に発射された。

 桃色と金色2つの魔力光がバレルフィールド内から一切漏れず空間を満たしユグドラシルを覆い尽くす。

 

「はやて……よく、あの攻撃に向かっていったな」 

「いやーあの時は杖を新調したんのもあるし、広域攻撃Sランクの意地っちゅーか」

 

 そんで壊れない訓練室がボンッ……と。

 

「さて、そろそろこっちの番か………クロノ、見てたよな?」

「ああ、どうやら変換された魔力は吸収されずらい様だ……」

「ほなら氷結魔法行けそうやね」

 

 クロノとはやてと共に氷結魔法の準備に掛かる。

 

 

――ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

 

 

 魔力が満たされたバレルフィールドを破り姿を現したユグドラシル。

 アリシアとヴィータのシンフォニックレーゲンで受けなかった部分にも被害が及び無事な所はなかった…………

 だけどエルとアンズが負わせた傷はもう無かった。

 

「ダ、ダメージは通っている……はず」

「ちょ、クロノ君そんな自信なさげに言ったらあかんて」

「通ってなかったら無駄に餌喰わせただけになるぞ……」

 

 その様子を見て、クロノがかつて防衛プログラム戦の際に言ったセリフをかなりネガティブに言う。

 はやての言いたい事は分かるが俺も自信無くなって来た……本当に通っているのか?このまま作戦通りで成功するのか?

 

 

――ガアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァ

 

 

 今までと違う雄叫びを上げるユグドラシルの口の中に魔力が集まる……それだけではなかった。

 ユグドラシルの周囲の物体が次々と浮き上がり、ユグドラシルの口に集まり魔力に変換されて吸収されて行く。

 その吸引力はナハトヴァール以外を吸い込む勢いだった。

 

「周りの物を魔力にして吸収って………もろ集束魔法やん!魔力変換と吸収に集束って反則やろ?!」

「全く、事ある毎に余計な事を学ぶ……」

 

 ナハトヴァールの触手でその場にいる待機組を固定する。その時シャマルが小さな悲鳴を上げてたが緊急事態なので無視。

 目の前の状況にはやてと悪態をつく。

 

「しまった!大規模の魔法行使の後だ、なのは達がもたない!!」

 

 クロノ言葉に上空を見る。組んでいた同士は近くにいたがそれ以外は互いに離れすぎている。

 

「もう1度旅の鏡を―――」

「待って!ここは私が皆を集めます!」

 

 回収し様とするとシャマルが待ったを掛け、召喚魔法を準備し始めた。

 

「彼方より此方へ―――我等の戦友を此処へ―――」

 

 シャマルが召喚魔法で遠くにいたなのは達をナハトヴァール上に召喚した。

 召喚された先から触手で固定。シグナムとヴィータが嫌そうにしてたが無視。

 

「あ、ありがとうございます」

 

 肩で息を整えながらサクラが礼を言う。

 

「お礼を言うのはまだ早いですよ♪……ザフィーラ」

「ああ」

 

 それに笑顔で返すシャマルがザフィーラと共に何かを始めるらしく全員が首を傾げた。

 

「俯かず、立ち上がる勇気を―――」

 

 シャマルの両手から魔力が集まり1つのスフィアが出来上がり、それがザフィーラに向かって行く。

 スフィアはザフィーラの翳された右手に宿る。

 

「再び戦う力を我等に――――」

 

 ザフィーラはスフィアが宿る拳を握り締めてそれを足元に展開しているベルカ式の魔法陣に振り下ろす。

 

「「聖なる城塞――――」」

 

 振り下ろされた拳が当たった魔法陣ドーム状の防御結界を形成して俺達を包み、結界内に流れる心地良い風が頬を撫でる。

 

「何だこれは?……ザフィーラの結界内にシャマルの魔力が対流している?」

 

 見た感じザフィーラの白いドーム状の結界の中をシャマルの魔力が風になって吹いている……

 

「……ん?これは?」

 

 変化はすぐ起きた。

 大幅に魔力を消費した時の倦怠感が徐々に抜けていく……魔力が回復している。

 周囲を見ると、軽傷者の怪我も治っていくのが本人の反応で分かった。

 

再生魔法(リジェネレイション)か………」

「正解!さすがコダイ君。これは結界内にいる限り回復し続け、攻撃されようともザフィーラの結界が守ってくれるから安全。その効果は結界が壊れるまで継続だから私達が維持する必要が無い優れものよ!」

 

 意気揚々と説明するシャマル。

 要するに即効性は無いが自分を含め体力と魔力を長時間回復出来る魔法か。

 

「と言うか何でわざわざ2人掛かりで?回復させるだけなら態々こんな風にしなくても……」

 

 最もな事を聞いてみるとシャマルがあからさまに視線をそらす。

 

「えっと………皆あれだけ決めていたのに私達だけ合体魔法が無いって言うのも、その………ね?」

 

 ………理由それだけ?

 

「………で、ザフィーラが乗った理由は?」

「私は守護獣だ……仲間を守るためには尽力をつくす」

 

 つまり結果は変わらないと……

 

「≪……アイン、どうだ?≫」

≪旅の扉5基同時展開に12層式複合結界、それにニアSランクの魔法の連続使用……総魔力は50%にまで回復されてます≫

 

 その半分って具合がユニゾン状態だと分からないな。魔導師2人分だし。

 自分の状態をアインに確認して貰いながら絶賛集束中のユグドラシルを見る。

 ………だが腑に落ちない。自分の周囲に物質があればほぼ無限に魔力を行使できるユグドラシルが何故集束なんて燃費の良い魔法を使う必要がある?

 吸収した魔力があれば幾らでも大規模の魔力を行使できる筈………

 

「ナハトヴァール、あいつに砲撃だ……魔力ありったけで」

 

 俺の指示にナハトヴァールが口を開き魔力を溜め始めた。

 

≪待ってください主!ナハトヴァールの砲撃を今使っては次のユグドラシルの迎撃の効果が無くなります!それに魔力も―――!≫

「氷結魔法を使える分あれば良い。それにあの状態を野放しには出来ないだろ」

 

 アインの警告を遮り、ナハトヴァールに魔力を送り続ける。

 本来は止めに使う筈だったが予定変更……出掛かりを潰す。

 

 

――オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!

 

 

 限界まで溜めた魔力が闇色の砲撃としてナハトヴァールから放たれる。

 吸収でも何でも良い。こいつの攻撃はもうナハトヴァールではもう防げない、攻撃し続けるしかない。

 

 

――ゴオオオオオオオオオオウッ!!!!

 

 

 迫る闇色の砲撃にユグドラシルは羽を羽ばたかせて上空を飛び砲撃を回避した………

 

「やっぱり避けるよな…………ん?」

 

 あれ?今すごく違和感があった………ユグドラシルが砲撃を避けた?

 自分の放った魔力さえも吸収する反則じみた能力。なのは達ニアSとオーバーSのコンビネーション魔法の連続攻撃を浴びても大して効果が無く即座に再生されていった。

 なのにそっちからしたら大した脅威でも無い単発の砲撃を避けた?あの集束を止めればそれで良かったが……

 あれ位なら棒立ちのまま吸収される筈なのに……態々避けるって事は――――

 

 

 

 

 

 ―――もう吸収出来ない?

 

 

 

 

 

 次の瞬間、空を飛翔してユグドラシルに接近する。それと同時にクロノ、少し遅れてはやてが後に続いた。




合体技考えるのが一番きつかった……

アルクオン様、リボーンズガンダム様、ミラ ランドラス様、kurage様、利杏様、感想を有難う御座います。

~次回もお楽しみにしてください~

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