魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~   作:メガネ

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リアルで色々事情が込み合って今日まで遅れました。

引き続きユグドラシル戦。

ユニゾン中なので再びアレが登場します。


色んな意味でシャレにならないbyコダイ

 ユグドラシルを閉じ込めた嵐と雷撃の球体は勢いが緩まる事無く光と轟音を撒き散らせている。

 

「私………こうなるとは思わんかった」

「祝風の書は元・闇の書で元・夜天の書だからな…………それに嵐に雷だし相性は間違い無く良いだろう」

 

 雷鳴と暴風の音に混じってユグドラシルの咆哮が聞こえる……と言うか効いて無さそう。

 

「コダイ君、アイン、準備の方は?」

「とっくに出来てる、後は発動するだけだ」

≪はい。後は相手が思った通りに動いてくれるか……≫

 

 

 

――ドォン!!ドォン!!ドォン!!

 

 

 

≪主!≫

「分かってる」

 

 ナトゥーア・カタストロフィから雷撃が放たれ俺達の周りに3つ落ちて来た。

 

「ナトゥーア・カタストロフィから雷が降ってきよった!」

「ユグドラシルが攻撃を?」

「いや、クロノ……そうだったらこんな物じゃ済まさない。恐らくナトゥーア・カタストロフィのバランスが崩れたんだ。祝風の嵐をユグドラシルが取り込んで押し込めていた夜天の雷が外に溢れ出たと言う事だ」

「オーバーS同士の合体魔法さえもか」

 

 まあ、これで倒せるとは微塵とも思ってないけど。

 

「コダイ君!ナトゥーア・カタストロフィが……!」

 

 はやてが指したナトゥーア・カタストロフィは風船の様にグニャグニャと歪に形を変えながら雷撃を撒き散らせている。

 

「そろそろ破裂するな。皆雷撃に巻き込まれるな」

 

 

――ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!

 

 

 その直後に嵐の球体は弾け、今までため込んでいた夜天の雷が所構わず落ちて来た。

 

「うわっと!……これ、シャマル達に当たってへんやろか?」

「如何だろうな……だが騒ぎで着くのが速くはなりそうだな」

≪主、前です!≫

 

 アインの合図で高度を下げる。

 その先には先程より一層黒い……いや、焼けた様に黒ずんでるユグドラシルに合わせる。

 

「このタイミングで出すぞ」

≪分かりました!!≫

 

 祝風の書が勝手に捲れ黒いページが現れる。

 

「っ!!全員なるべく遠くに逃げろ!」

 

 いち早く察知したクロノが他の全員に指示を出した。

 

「絶望に沈め――」

 

 地上に超巨大のミッド式の魔法陣が現れる。

 

≪咎人を喰らえ――≫

 

 それに重なる様に同じサイズのベルカ式の魔法陣が現れる。

 

「星は消え――」

 

 続いてベアトリス式の魔法陣が展開。

 

≪光さえ届かぬ――≫

 

 3つ重なった魔法陣の周りに幾つもの闇色の柱が上る。

 

「闇に―――呑まれよ」

 

 魔法陣の中央から闇色のドームが盛り上がる。

 

「永遠の闇―――」

≪ナハトヴァール!≫

 

 

 

――オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!

 

 

 

 詠唱を終えた瞬間、闇色のドームと柱が割れてその中にいた元・闇の書の防衛プログラム……ナハトヴァールが雄叫びを上げた。

 6本の脚に硬質な羽、肩から生えている巨大な2つの砲身、青白い殻1枚で覆われた下は赤黒い魔力が渦巻き。それとは全く異質に背に縦にある淡く光を放つ後光の様な怪物の半分はあるだろう巨大なリング………

 俺が取り込んだ事で元々幾つもの生物を集めた整合性の無い姿は完全に1個の生命体としてその姿を禍々しく醜悪で無機質な巨大な怪物へと生まれ変わっていた。

 ナハトヴァールが召喚されたと同時に左腕が赤黒い魔力光に包まれると制御装置である大型の手甲が装着された。

 

≪何ですかあれわあああああああああああああああああああ!!!!≫

「ち―――ちょお待って?!あれって……あれやろ?!闇の書の―――何でここに?!」

 

 突然の怪物の召喚にリインが絶叫した。はやては元所持者なだけあってこれが何なのかが分かった様だ。あのザフィーラでさえ目を見開いて固まっている。

 

「俺が闇の書の防衛プログラムを取り込んだ際に、召喚魔法になっただけの話だ。完璧に制御してるから問題無い」

「ならええんやけど………なんか心臓に悪いわそれ」

 

 無理も無いか……あれだけ苦労して倒した奴が目の前にいたら。

 

 

――ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

 

 

 こっちに気付いたユグドラシルは雄叫びを上げる。

 

 

――オォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!

 

 

 ナハトヴァールも対抗する様に雄叫びを上げる。先程のサクラが言った怪獣大決戦の再現だ。

 唯一の違いとすれば両者魔力の塊の怪物だと言う事。

 

 

――ゴオオオオオオオオオオウッ!!!!

 

 

 突如として巻き起こる暴風、それはユグドラシルが更に上に飛び上がった際に起きた物だった。

 

「ユグドラシルが上に―――!!」

「当然だよな。ナハトヴァールはユグドラシルと同じ魔力で出来た生命体、こいつの脅威を理解したんだろ。下がってろはやて、キツイのが来るぞ」

 

 上空に居るユグドラシルの口から尋常ではない魔力が圧縮され、眼下の俺達にあのボスに放った巨大な魔力の塊となって吐き出された。

 

「全く、はやても面白い事考えるな」

 

 あの時にはやてに耳打ちされたのは『あの魔力の塊を打ち返す事が出来ないか』と言う事。そのためにユグドラシルを転ばせて怒らして頭に血(は無いが)を登らせて、大きな攻撃を誘った。

 

「………打ち返せ」

 

 迫る巨大な魔力の塊を指し。ナハトヴァールが口から放った闇色の砲撃と衝突した。

 拮抗したのは少しだけ、闇色の砲撃が巨大な魔力の塊を押し返した。

 

「よっしゃ!成功や!!」

 

 離れているはやてがガッツポーズをしていた………だがユグドラシルもそう簡単に行かなかった。

 押し返している魔力の塊が僅かに縮小している、それだけでなく砲撃に威力も弱まり始めた……吸収して無効化する気か。

 

≪主、ユグドラシルが……!≫

「そう慌てるな。こうなる事は予想済み、それに弱点とは言わないが欠点は1つ見つかった」

 

 持っている祝風の書に魔力を送り、ユグドラシルの左右にベルカ式の召喚魔法陣を展開する。

 召喚されたのは先に鉤爪が付いている大量の触手がユグドラシルをこれでもかと捕縛した。

 触手はユグドラシル触れると魔力に分解されて吸収される。それも構わず魔力を送り続け次々と触手を召喚し続けて捕縛し続ける。

 吸収しても増え続ける触手を分解し続けるユグドラシルはナハトヴァール押し返された自分の攻撃に気づくのが遅れた――――

 

 

――ガァァァァァァアアアアアァァァアアアアァァァァァァァァアアアア!!!

 

 

 爆発した時の強烈な閃光と爆音の中に今までとは違うユグドラシルの咆哮が響いた。

 ダメージはある様だ。

 

「これだけでして決定打がこれだけか……」

「さすがのユグドラシルも自分の攻撃には対処出来へんみたいやったな。ところでコダイ君が言っていた欠点って何なん?」

 

 作戦が上手く行き、若干安堵の笑みを浮かべるはやてだが直ぐに切り替えて俺に聞いてきた。

 

「それで如何にかなると言う訳ではないが、今までのユグドラシルの吸収を見てい分かった事だが。吸収はほぼ自動で行っていて、魔力に近い物ほど吸収する優先度が高い、中でも『魔法や魔力で形成された物体』より『魔力に依存しない物体』の方が吸収されるのが遅いのが分かった」

 

 吸収はON/OFFはできるが対象は選べず、自分から近い順に魔力に近い物から優先して吸収を始める

 物体の方が遅いのは魔力に変換する工程が加わるから少しだけ時間がかかると言う事。

 

「対象を自由に選べないのは正直有難い……それでなかったら全員魔力枯渇で即退場を喰らってる所だ……」

「そうやった……魔力の源のリンカーコアを吸収されたら終わりや……」

「吸収されるのが騎士甲冑だけで良かったな。だから吸収するのが遅い触手生物を召喚して捕まえてゼロ距離にすれば撃ち返される魔力の塊よりそっちの方が優先されるだろ?」

 

 あとは吸収されても絶え間なく召喚し続ければ逃げられる心配はない――――

 

「だけどここで使ったから。使えるのはあと1回だと思う……あいつ学習してるみたいだし」

「ダメじゃん!?」

 

 そう言うとエルからダメだしを喰らう……

 

「だから残り1回は確実に止めを刺せる機会を狙う」

「そうやな。所でコダイ君、ナハトヴァールの砲撃はあと何回撃てる?あと残りの魔力量は?」

「まだまだ余裕で撃てる。魔力量に関しては問題ない、アインとユニゾン中は2人分の合計だ」

「せやったら発射場所を変えたりは?」

「シャマルが使っていた旅の鏡を使えば問題無い」

「……よし、じゃあ皆で囮になってあの攻撃を誘う。コダイ君は合図した所に砲撃で撃ち返しや」

「場所の指定は僕に任せてもいいか?攻撃手段が分かった以上残りの魔力を凍結魔法に回したい」

 

 2,3質問したはやてが作戦を立てると。それを聞いていたクロノが俺のそばに降り立ちそう告げる。

 クロノの総魔力量はこの中では低く高火力の手札が少ない。それに凍結する役割が残っているからこの判断は正しいかも。

 

「じゃあ、お2人に任せて貰うわ。クロノ分隊の3人はこれから私の指示で動くこと。内容は先程の攻撃を誘うために私の分隊が囮になってユグドラシルの周囲飛び回る。ただし魔力を吸収されない様に攻撃を控え相手に近過ぎない事―――ええな?」

「「「「「了解!!!」」」」」

 

 はやてが通信で指示を飛ばし。はやてを含む計5人が散開してユグドラシルの元に向かう。

 対してユグドラシルも触手をすべて吸収して口へと魔力を圧縮し始めた。

 

「早速来たぞ……真正面、12時の方角」

「了解、発射と同時に出かかりを潰す」

 

 こちらもナハトヴァールに砲撃準備をさせる。座標を設定して旅の鏡をいつでも使える様にキープする。

 ユグドラシルが圧縮している魔力が最高潮に達し、その魔力の塊が吐き出される瞬間――――

 

 

 

―――バンッ!!!!!

 

 

 

 ―――爆ぜた。

 ユグドラシルの目の前で……爆ぜた魔力は無数の小さな魔力の雨になり拡散していく。

 

「っ―――――コダイ!!!」

≪主っ!!!≫

「分かってる」

 

 クロノとアインに叫ばれるまでも無く、祝風の書に指示を送る。

 

「設定座標消去、はやて・ザフィーラ・サクラ・エル・アンズの進路へ再設定、旅の鏡5基一斉展開」

 

 旅の鏡を使い5人をこちらに引き寄せる。

 すぐさま嘗て闇の書の防衛プログラム使っていた複合式のバリアの準備にかかる―――

 

「魔力・物理複合4層―――」

 

 ……いや、足りない……ユグドラシルの性質を考えると―――

 

「―――訂正、12層式複合結界起動」

 

 防衛プログラムの時の3倍にもなる層のバリアでナハトヴァールを覆う。

 完全に覆い尽くされたと同時に無数の魔力の塊の雨が辺り一面に降り注がれた。

 劈く様な地響き、地面に打付けられる魔力の奔流に森が呑まれていく。

 

 

――ドドドドドドドドドドドドッ!!!!

 

 

「し……死ぬかと思った。完全に出鼻挫かれてもうた」

撹乱(かくらん)の為に散開した所を広域殲滅攻撃………トキガワが転移していなければあの攻撃に呑み込まれていた」

 

 転移された体勢のまま冷や汗を垂らすはやてとザフィーラ。

 

「威力を犠牲に範囲を速さを上げて撃ち返せない攻撃を出すとは……威力が死んでもユグドラシルにとっては俺達なんて羽虫見たいなものだしな。嫌な攻撃だな本当に」

「お前も似た様なの良く使っているだろ、ガンブレイズ」

 

 知ってる。クロノに言われなくてもわかってる。

 

「このバリアの構造が分からなければ幾ら攻撃してこようが無駄だが。防戦なのは変わらないな……」

 

 吹き飛ばされる時に1人捕まえておけばよかったな。火力の高い人員があっちに行き過ぎた……

 

「アイン、広範囲サーチ。はぐれた連中を見つけろ」

≪了解、発見次第状況を連絡――――≫

 

 

――ガシャアアアアアアン!!!

 

 

 ふと、上が陰り見上げた瞬間。上から叩き付けられる衝撃が複合結界内を揺らすと同時に何かが割れる音―――音の正体何て分かり切っている。

 

≪主、結界が―――?!≫

「構うな探索を続けろ」

 

 驚愕しているアインに続行を促す。

 いつの間にかユグドラシルは魔力を吐き出すのはやめて、尾を高く振り上げていた。

 

 

――ゴオオオオオオオッ!!!!

 

 

 尾がしなり、空気を千切る轟音と共に尾を複合結界に叩き付けられる。振り下ろされた尾は振り切った尾を返す刀で再び振りぬかれる。それの繰り返しだ……今度は対物理用結界だったから割れずに済んだが。

 ユグドラシルが数度尾で叩き破壊できないと分かると尾を下ろし。口の中に魔力を溜め再び無数の小さな魔力の塊をばら撒いた。

 

 

――ガシャアアアアアアン!!!

 

 

 そして再び結界が割れる音―――残り10層。

 数があっても状況が最悪……ユグドラシルに物理と魔力による攻撃を覚えさせてしまった。

 魔力を吐き出し少ししたら尾を振り回し、少ししたらまた魔力を吐き出す………

 仕組みに気づいたと言うより自分の手札を交互に出しているだけみたいだが。どっちにしろ時間の問題……

 

 

――ガシャアアアアアアン!!!

 

 

 残り9層……

 

「コダイ君!これって闇の書の時のあれやろ?せやったらこれアカンやろ?!」

 

 

――ガシャアアアアアアン!!!

 

 

 残り8層……

 

「分かっている……引き籠ったのは失敗だったか?」

 

 

――ガシャアアアアアアン!!!

 

 

 残り7層……

 

≪主、なのは達を見つけました!先程状況を伝えました≫

「場所は?」

≪後ろ、6時の方向数十km先、ユグドラシルと向かい合ってます!≫

 

 アインの報告に後ろを振り返ると遥か遠くになのはの魔力があった。他にもいる、全員無事の様だ。

 目の前にモニターが表れてなのはの横顔が映し出された。

 

「コダイ君確認するよ、みんな結界内に居るんだよね?!」

「全員居る、どうするつもりだ?」

「近くに大っきいの行くから気を付けてね!!」

 

 

――ガシャアアアアアアン!!!

 

 

 残り6……いや待て、いま何て言った?近くに?大きいの?

 突如として後方にいるなのはの魔力が膨大に膨れ上がっていた。

 

「え……なのはちゃん。何て言うたん?」

「察するに……超遠距離(スーパーロングレンジ)からの砲撃魔法だろう」

「撃てるんか?あの距離から?……ってそんなエゲツないもん撃ったらなのはちゃんの体に負担が―――!」

「それは昔の話だ……以前になのはの砲撃への負荷を抑えるために事前に土台を鍛えたと言っただろう?負担は解消されてるし体の方も出来上がっている頃だから問題なく撃てるぞ……あれ」

 

 それを聞いてなのは達の方を見るはやてとマテリアルズ。クロノとザフィーラはそっちを気にしつつもユグドラシルを警戒している。

 遥か後ろからなのはの魔力光が目に見えて分かるほど膨張している……にしてもこの規模は―――

 

「なのは……1つ質問良いか?」

「え?……どうしたの?」

 

 大規模の砲撃の準備中にも関わらず、視線を変えず普段の調子で答えるなのは、並列処理(マルチタスク)様々だな。

 

「遠目から見て凄い事になっているけど……カートリッジ幾つ()ぎ込んだ?」

「えっと……1本とちょっと!」

 

 単位がおかしい……マガジン1本使い切ったと言う事は最低6発。

 

「長距離砲撃行きます!」

「了解。全員ナハトヴァールに着地、固定するから動くなよ。さすがに衝撃の余波は考慮してないから」

 

 なのはからの合図でナハトヴァールに降りた全員を触手で巻きつけて固定。

 それと同時に遥か後ろから桜色をした巨大な砲撃が俺達の頭上を通過してユグドラシルに迫る。

 ユグドラシルもそれに気づき無数の小さな魔力の塊を吐き出した。だがなのはの巨大砲撃は小さな魔力の塊を呑み込みユグドラシルに直撃した。

 

 

 

――ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!

 

 

 

 巨大砲撃はそれだけに留まらずユグドラシルを後ろへと押し込んでいく。その直後に砲撃の余波が突風として襲いかかった。

 全員触手で固定してるから吹き飛ばされる事は無い。巨大砲撃はその威力を弱らせる事無くユグドラシルを押し込み続け数秒後、徐々に光を細めて消えていく。

 巨大砲撃から解放されたユグドラシルは体を仰け反らせそのまま落ちて行き地面へ墜落した。

 

 

――ドオオオオオオオオオオオン!!!

 

 

 巨体が落ちた地響きがここまで届き、立ち上がる土煙がユグドラシルを覆い隠すほど立ち上がった。

 

「………残り3層。ギリギリセーフだな」

 

 全員の触手を解き、残りの複合結界を見上げる。なのはが砲撃を撃つまで3層も壊されたのか……念のために3倍にして助かった。

 

「ねぇねぇサクラ、サクラならあれ撃てる?」

「……無理ですね。カードリッジの数が多すぎです、衝撃で吹き飛びますね……あらゆる物が」

 

 砲撃が通った痕を見ているエルが普段の調子とは違く静かにサクラに問うと。サクラは首を横に振る。

 なのはを元に生まれたマテリアルであるサクラそう言うのならあの砲撃の凄さが全員に伝わる……すると今度はこっちに視線が向いた。

 この視線の意味を察すると出来る?と言う意味だろう。だけど……

 

「絶対無理。魔力足りないし」

 

 手を振り否定する。

 俺の総魔力量はなのは、フェイト、アリシアの少し下だ。

 

「しかし……なのはの砲撃は凄まじかったけど1発だけであのユグドラシルが倒れるものなのか?」

 

 クロノが難しい顔の顎に手を当てユグドラシルが落ちた先を眺める。

 最初の交戦から立て続けに大規模な魔法を喰らい吸収し続けたユグドラシルが不意打ち気味の砲撃に対応出来なかったのか…… 

 

「………考えるに学習能力が仇になったのかも」

「学習能力が?」

「ユグドラシルが吐く魔力の散弾には防いだだけだったからな。この攻撃には対応できないと判断して、なのはの砲撃にも同じ攻撃で対抗しようと思ったんだろう。まさに新しい物を見せびらかす子供の様にな」

「例えに迫力が無いな………」

「それに不意打ちに成功したのもなのはの砲撃より魔力の塊のナハトヴァールの方が近かったから、吸収の優先順位を変えれなかったと思う」

 

 おまけにナハトヴァールを挟んで撃っていたから、偶然にもこっちが囮になった見たいだな。砲撃よりナハトヴァールの方が魔力大きいし。

 

「そんな偶然を含めて1発で逆転すると言うのは……さすが不屈のエース様って所だな……」

 

 もう一度後ろを振り返るとなのは達が俺達の方に降りてくるのが見えた。

 

「皆大丈―――って何か凄いのがいるぅ?!」

 

 ナハトヴァールを見たなのはが盛大に驚き、降りるのをやめて再び上昇した。

 それにフェイトやアリシアが青い顔して固まっている。

 

「伝えてなかったのか?」

≪いえ、召喚魔法を使ったとは言いましたが……≫

 

 つまり何を()んだか言ってないと。

 

「心配するな噛みはしない……時々蛇が出てきて絡んでじゃれてくる位だから」

「蛇が?!」

「絡んで?!」

「じゃれる?!」

 

 その言葉になのは、フェイト、アリシアが更に引いた。

 

「って!それってあれだろ!?闇の書の―――何でここに居るんだよ!!」

「防衛プログラムはトキガワが取り込んだ完全に消滅したのではなかったのか!!」

「それ以前に姿形も変わって――――以前より悍ましい姿に……」

 

 守護騎士のヴィータ、シグナム、シャマルはこの存在にいち早く気づいたようだな。

 

≪心配するな。防衛プログラムはお前達の言う通り、主に取り込まれて完全に無害化されて新たな力『ナハトヴァール』としてここにいる。見た目はああだが見慣れると中々愛嬌のある顔をしてて可愛いぞ?特に正面から見た顔はカエルの様で―――≫

「「「「正気か?!アインス!」」」」

 

 アインの説明に声を揃える守護騎士の4人………こいつ等からしたらたまったものでは無いな。

 

「取り敢えず降りてこい。話ができない……」

 

 そう言うと渋々降りて来るなのは達………どんだけ嫌なんだ?




リボーンズガンダム様、アルクオン様、汐音様、アルティ2様、感想を有難う御座います。

~次回もお楽しみにしてください~

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