魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~   作:メガネ

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レイついては。考えた当時、ここまで話が広がるとか思ってもみなかった。


そろそろ本題に入らなければ……byコダイ

「……………無いな」

 

 深夜、レイが寝静まったのを確認して。シオンに頼まれたナナの身元を探すがあらゆる方向から探しても掠りもしなかった。

 名前と顔が分かれば分からない事は無い、それでも掠りもしない。親の身元も一切掴めないし、ナナ自身も名前以外がシオンから聞いた以外不明だ。

 

「すると考えられるのは……………偽名?」

 

 つまりナナと言う名前が本名ではないと言う事。

 そうなると厄介だ……名前と顔を揃えて出ないと無理だ。

 

「記憶喪失みたいだったし名前も本物かどうか怪しいしな………それに」

 

 あの本は一体なんだ?中身が何も書いて無い本何て……

 

「魔道書関連で調べてみるか―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

「………まさか全滅とはな」

 

 魔道書関連は全滅。無限書庫にでも行きたいが、生憎探索魔法なぞ微塵も使えないから無理だ。

 シオンに関してはもう殆ど揃えたんだがナナとは繋がりは無い、両親共に全うな人間。

 気付いたらもう朝になっていた……

 1度、頭を切り替える為に起きたレイを連れて食堂で朝食を摂る事にした。

 

「ん?メッセージか?」

 

 受信した端末を操作するとシオンからメッセージが………あ。

 

「レイ、今日は公園に行くのはナシだ」

「うゆっ?!」

 

 レイとマテリアルズ専用に厨房が用意した山盛りパスタ(1つ3人前相当)と特盛サラダ(1つ3人前相当)を食べ切るレイの手が止まった……朝から絶好調だな。

 

「シオンからメールでナナが風邪をひいた。ただの風邪だから数日で治る」

「そっかぁ~……」

 

 落ち込んでいるが、空腹の為めスピードは落ちない……

 

「そうだ!今日皆いるからナナのおみま「ダメだ」えぇ~何で~!?」

「騒ぐからだ」

 

 お前とかエルとかお前とか。

 

「それに風邪を移したくないそうだ。分かったら早く食べ終えろ、何人前食べるつもりだよ」

「うゆ~………はぁ~い」

 

 因みにメッセージを一番下までスクロールすると『実はお風呂の時、1人で頭を洗うのに時間を掛けすぎて風邪を引いちゃった見たい……』と書かれていた。

 ………これは両者のプライド(大人ぶり)に懸けて伏せておこう。

 

「よし、ナナの分まで食べよう!おか「いい加減にしろ」うぎゅっ?!」

 

 殴ると危なそうなのでデコピンにする。と言うかまだ食えるのか?

 

「家では存分にして良いが、それ以外は遠慮しろと言っただろう」

「ごめんなさぁい………ごちそうさまでした」

 

 涙目になっても両手を合わせるレイ、今度は頭を撫でてやる。

 

「にゅ~♪」

 

 頭を撫でていると端末に連絡が。相手はリンディか……ターエンが侍らしてた死体の事で何か分かったみたいだな。

 

「集合だ。レイは先に行っていろ、俺が片づける」

「ダイジョーブ、私が食べたから私が片づけるよ!」

 

 レイは大きなトレイを持ち、何度もよろめきそうになったが無事運ぶ事が出来て、受け取った厨房スタッフに頭を撫でられご満悦になっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふにゃ~♪」

「あの……主コダイ?レイは一体……」

「良い事をして褒められてご満悦何だ。騒がしくないからそのままにしておけ」

 

 集合場所に向かうと、以前の無人世界捜索のメンバーにユーノを加えた人数がここにいた。マテリアルズはアリサとすずかの護衛で不在、後でアインが伝える様だ。

 

「全員揃いましたね……ではシャマル先生お願いします」

「はい」

 

 リンディに呼ばれてシャマルが前に出て、皆の中央にモニターを展開した。

 そこに映っていたのは操られていた局員や死体の首の後ろに取り付けられた丸い金属だった。

 

「表から見ると何も無い様に見えますが、裏にはロストロギアの様な高エネルギー結晶体を中心にミクロ単位の繊維が確認されていて、恐らくその繊維が体内に隅々まで侵入して死体を操ってると思います」

 

 モニターに次々と情報が展開されていく。あのロストロギアがコア代わりになっていて、ターエンはこれに少ない魔力で操っていたのか。転生者でも大人数を操るのは骨が折れると言っていたし。

 

「これを破壊すれば動きは止まります、ですが中の結晶体が暴発してコダイ君と同じように爆発に巻き込まれます。対処法としてはこれもコダイ君がしたように死体を焼却して装置だけを残すのと装置が暴発する前にそれごと破壊の二択ですね」

 

 これは報告の際に伝えた事で、決して質量兵器云々は伝えていない。念のために。

 

「それともう1つ」

 

 次に出てきたのはユーノ。展開されたモニターには前に出てた装置のロスロトギアだけを撮った映像と色、形、大きさなどバラバラの結晶がいくつも映っていた。

 

「今皆が見ている結晶体は全部操っていた装置から回収されたんだ。形とかがバラバラだけど共通するのは高エネルギーの結晶体と言う事何だけど妙な点が幾つかあって……どう説明して良いか分からないんだよ」

「どう説明して良いか分からないって………どういう事や?」

 

 はやてが首を傾げる。それにユーノは眉間に皺を寄せて考え込んでいる。

 

「えっと……まず結晶体何だけど、まず特徴や情報を照らし合わせても強奪されたロストロギアに一致する物ばかりなのにロストロギアの反応が無い。更にコダイが戦った死体の数が盗まれたロストロギアよりも圧倒的に多いんだ」

 

 ロストロギアじゃないのか?でもターエンはロストロギアと言っていたし……あそこで下らない嘘を言っても意味無いしな、俺なら絶対言わない面白くないし。死体の数は俺の勘違いって事に………ならないな、ちゃんと覚えてるし。

 数が合わないと言うのもある。ロストロギアはそう簡単に見つかる物じゃないしな……

 

「コダイ君……」

 

 小声で呼ばれた方を向くと隣のなのはが神妙な顔でこちらを見ていた。

 

「前にも無かった?ロストロギアなのにロストロギアの反応が無いって事」

「……そう言えばあったな。確か俺がクローン戦の最中にジュエルシードを取り込んで……その後だな。だが今は取り込む云々は関係ないと思うぞ?アレはジュエルシードの『願いを叶える特性』が起こした奇跡だからな。闇の書もプログラムを一部取り込んだだけだ」

「そっか……」

 

 取り込むとしても何起こるか分からないしな……

 

「この結晶体とターエン等については僕達が全力をあげて調べています。もしこの死体と遭遇しても装置の回収は危険すぎるので、先ほどシャマル先生が言った2つの方法で対処してください」

「ではこれからの事を説明する」

 

 ユーノが戻りクロノが前に出た。

 

「皆は死体が発生した周囲の次元世界の調査、マテリアルズは引き続き護衛を……コダイは医療班の検査でOKが出次第現場に復帰してくれ」

「あ、そう言えば怪我してた……」

 

 すっかり忘れてた。

 

「じゃあそれまで(レイとマテリアルズの)子守でもしている」

 

 また迷子になったら困るからな………

 

「では、今日はしっかり休んで明日に備えてくれ……解散!!」

 

 今回の会議はこれで終了か………ターエンについては無理かもな、転生者は転生時の年齢に差異あるがそこに来た以前の記録がない以上調べようが無い。

 アスカは生前と容姿と名前が変わらないから分かったが、ターエンは名前も恐らく容姿も変わっている……あの悪ふざけの塊(ロボット)は無視だ、関わりたくない。

 ………でも転生者だよな?否が応でも関わらないと行けないんだよな?…………嫌だな~……あれだけは死んでも嫌だ。

 とにかくこの世界に居る転生者は俺を除き3人か。

 

「それよりも今はあいつの身元捜しだな……」

「あ、ちょっと待ってコダイ君」

 

 立ち上がった所をシャマルに呼び止められた。

 

「この後コダイ君の部屋で怪我の経過を見たいから部屋で待っててくれる?」

「分った」

 

 特に部屋を出る用事は無いしな。

 未だにニヤけているレイを引き摺ってその場を後にした………

 

 

 

「唯一の情報源はあの本か。どうせなら聞いておけば……って記憶喪失に行っても無駄か」

 

 部屋に戻りナナについての情報を整理する。

 名前が偽名だと仮定して、何でボロボロでいたのか………

 何かの理由で捨てられた。あの珍しい髪に瞳だ、忌子的な感じで捨てられても不思議では無い。物凄い力を秘めている……様には見えない、見た所魔力は全く感じられ無かった。

 忌子ならボロボロなのも迫害で理由付られるし、記憶も思い出したくないから無意識に封じたと言うのもある。だがそれだったらシオンには懐かない。いくら封じたとしても精神的外傷(トラウマ)は必ず残る。

 それでも情報が掠りもしないと言う事は………

 

「ナナも転生者?………は無いな」

 

 アスカやターエンなどに感じた殺したくなる程の嫌悪感は無かったからこの可能性は除外。

 

「それに1番の謎はあの本だ」

 

 魔道書関連で探しても掠りもしない、あんな豪華な装飾で自由帳とか言ったら張り倒す。掠りもしないと言う事は最近出来たもの、恐らくナナに必要不可欠として作られた。魔力は無かった………と言う事は。

 

「………失敗作の廃棄」

 

 白紙の本は何かを書き込む前と言う事か?となると桃色の宝石は何かのコアか?その線で探すとして。

 昨日までで最後の雨天のミッドに漂流してきた反応を調べると同時に桃色の宝石についても探す………あと、昨日調べた通り魔については地上のレジアスに端末で送ってもらうとして。後は………

 

「………特に異常は無いよな?」

 

 袖を捲り、右腕に戻したレイを眺める。あの時本に触った時に感じた違和感……ロスロトギアの反応では無かった。だとすると他の何か………

 

「反応……では無いな、もっとこう本能に響く様な………もしかしたら今回のこれと何か関係があるのか?」

 

 右腕にある宝石を眺めるが変わった様子は無い……調べる範囲が更に広くなったな。

 

 

――コンコンコン

 

 

 

「コダイ君いますか?」

 

 悩んでいると、ノックと声が聞こえた。

 

「シャマルか、今開ける」

 

 さっきの条件で自動検索にかけてモニターを閉じてからロックを解除すると、シャマルとアインが入って来た。

 

「………なんでアインまで?」

「アインは手伝いよ。では早速検査を始めます、アイン手伝って」

「分かった」

 

 シャマルとアインの言う通りに動いて検査を受け始めた。

 

「う~ん………今思うに不思議なデバイスよね~レイちゃんって」

 

 一通りの検査の後、シャマルが右腕を持ってレイをじっくりと見ていた。

 

「コダイ君が重傷なのにこのデバイスは傷一つ付いて無い何て……」

「え?重傷なの俺?」

「当然。前回の無人世界で負った全身数十か所の骨折。それが治りきって無いのにこの前の戦闘で直撃は無い物のの傷が広がって……内臓やリンカーコアには異常はなし」

 

 アインがカルテを読みながら結果を報告をする…………以前(PC事件や闇の書事件)と比べたらまだマシの方だな。

 

「う~ん……コダイ君のデバイスって元ロストロギアのジュエルシード何ですよね?もしかしたらはやてちゃんの時見たいにその影響で痛覚がマヒしたとか――」

「いやシャマル、今でも痛いし動くと物凄く痛いから。ただ我慢してるだけだ」

 

 多少痛がった方が良いのか?……でももう慣れたし。

 

「支障と言えば『幻痛(ファントム・ペイン)』だけだしな」

「それが1番の謎ね『強制殺傷設定体質』何て魔導師や騎士にもデメリットだらけの特性がなんであるのか………それに『extend(エクステンド)』という自動的に強化されるのと。挙げれば挙げるほど不思議なデバイスね」

 

 シャマルのクラールヴィントが俺の右腕の周囲を回り始めた、どうやらデバイスを検査しているようだ。

 

「基本はインテリジェントデバイスに近く、ユニゾンデバイスでは無いのに人型……つまり実体化したり、処理速度はストレージ以上、恐らく人体と融合しているから可能な事。後、聞いただけですが『extend(エクステンド)』で本来無かった封印機能と再構成機能に当時ベルカのみだったカードリッジシステムも搭載された。レイに聞いた話だといつの間にかこうなっていたと――」

「だがインテリジェントデバイスにしては思考が幼い、今でも次元を超えた迷子になってたし。性能は昔は魔法が一切使えない状態だし飛ぶぐらいしか無かった。それに武器の類が一切出てこない、多分あの鎧が武器とバリアジャケットと兼用かもな。それに体と融合してるせいか魔法以外つまり機能を変えたり等が一切出来ない。それにレイが実体化している間はデバイスを使用できない。後、全身が金色になる奴。これは何度もやっても1度も上手くいかない」

 

 アインが幾つも美点を挙げた後に俺が今分かる限りの欠点を挙げた。

 

「あのバリアジャケットが金色になるやつ?成功して無いんですか?」

 

 右腕の検査を終えたシャマルがこっちに向き直った。

 

「唯魔力を溶かすしか分かって無いのに成功とは言えない。それに時間が使用する度に短くなってる、負担も大きいらしく使った後はレイが必ず寝る。その状態の時は熱で思考回路がおかしくなるぐらいでまともに言葉を発せ無いし……中に魔力が渦巻いて気持ち悪くなるし。リンディにも初回で止められたほどだしな」

 

 まともに使えたのは意識を失っていた初回と砂漠で仮面の男……リーゼ姉妹に蒐集されてレイが切れた時だけ。

 

「それを聞くと、よくここまで生きて来れましたねコダイ君」

「それを言うな。俺だってそう思っている……」

 

 もし俺が死ねないだけの素人なら終わってただろうな。

 

「後、特に性能には関係ないんですけどデバイスにはレイの部屋があると言う事ですね」

「あ~……あれか」

「部屋?」

 

 あの事を思い返してアインと頭を押さえる。それに首を傾げるシャマル。

 

「いや、主とユニゾンして気づいた事だがレイが戻っている時にその中で過ごす自分の部屋見たいのがあるんだ通常とは別に」

「成程、レイちゃんはコダイ君の中にいるからアインがユニゾンした際にレイちゃんと出会うのは必然ね……で、そのレイちゃんの部屋ってどんな感じ?」

「一見してみればぬいぐるみやおもちゃ等、可愛らしい色合いの年相応の少女の部屋だな。ただ……」

「ただ?」

「………異様に散らかっているんだ!!最初の頃は足の踏み場も無い位に―――!!」

 

 アインがワナワナと頭を抱えて震えている。

 

「………もしかして地雷?」

 

 シャマルがこっちに耳打ちしてきた。

 

「多分……ユニゾンする度にレイに説教と片付けをしているしな、デバイスの中は俺でも見えないからどんな悲惨な状況かはアインの反応を見てくれ。あれでも最近はマシになった様だし……何かは知らんが部屋にはお菓子とジュースとかもある様だ。アインが片付けた後、少しの間処理が結構速くなった」

「クリーン機能!?」

「ユニゾン関連は今の所これ位だな。お~いアイン帰ってこい」

「……はっ!すいません、もう大丈夫です!!」

 

 取り敢えずアインを現実に戻す。

 

「やっぱりちゃんと調べた方が良いんじゃない?今度マリーさんに見てもらったり」

「アイツに言ってみろ……矢継ぎ早に質問責めされた挙句にレイもろとも分解されそうだ……」

 

 

 『人体と融合したデバイス!?見せて!!触らせて!!出来れば解剖(バラ)させて!!』

 

 

 何て言うな絶対……

 全身甲冑のデバイスが珍しいのか最初の頃は不思議がられたが実体化したレイを見せてユニゾン系と認識して貰えた。

 レイを見せた時なんて、いきなり抱きしめて頬ずりをしだしたからな。

 技術者関係はマジで遣りかねない……シャリオもしかり。

 

「特に異変はないし放置でいいだろ。変わったと言えばレイがよく手伝いをしたがるぐらいだし」

 

 1人で留守番とか荷物運んだりとか……漢字は読めないし、左右も分らないがな。

 

「レイちゃん、成長したわね~そう言えばはやてちゃんからそれを聞いたヴィータちゃんとリインがはやてちゃんの手伝いをする様になったわ」

「何対抗しているんだあいつら……で、この後俺はどうすればいい?」

「しばらくは待機です、激しい運動は『絶対』やめてください。本当は歩くのもダメなんですけど」

 

 絶対を強調するシャマル。

 ナナも風邪を引いて暫くはミッドには行けないし丁度いいかもな。しばらくレイ達の子守りとアリサとすずかの護衛でも手伝って、端末と睨めっこでもしてるか………




 アルクオン様、楽描筆、頭翅様、感想を有難う御座います。

~次回もお楽しみにしてください~

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