魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~   作:メガネ

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成長してもまだ子供byコダイ

 アースラが来たのは、ターエンが消えて数分後だ。

 シグナム達が置き去りにされた傀儡死体を回収。

 

「「コダイ……」」

 

 その報告を済ませてアリサとすずかは充てられた部屋に俺が暇しているとフェイトとアリシアが少しやつれた顔で入ってきた。

 その後ろのなのはも同じ様な顔をしていた……

 

「「リンディ母さん(母様)がお赤飯作っていた」」

 

 確かに昨日の夜そんな事言っていたな……

 

「泊まった時の状況を詳しく聞かれた」

「どこまで行ったかとか迫られた……」

「一生懸命誤解を解こうとしたのに……」

「リンディ母さんが何か変な風に誤解して……」

「シグナム達に迫られて……」

「色々大変だったの……」

「「「はぁ………」」」

 

 フェイト、アリシア、なのはの順に話最後に揃って溜息を吐く……仕事した後より酷いな……

 

「お疲れ様。紅茶淹れるから座ってなさい」

 

 アリサが席を外して入れ替わる様に別のソファーに座る3人。

 

「ん?レイとはやては?」

 

 本来ここに来るべき約2名が居ないのに気づく。

 

「レイちゃんはさっきの事でサクラちゃん達に、はやてちゃんはヴィータちゃんに尋問されている……」

「置いて来たのか……」

 

 疲れ切って肩を落としているなのはが小さく答えた。

 

「そういえばアリサとすずかは家に連絡したのか?」

「うん、そうしたら『家にいるより安全だな』ってアリサちゃんの所も……」

 

 アリサが離れているのですずかが答えてくれた……

 

「まあ、今現在アースラ以上に安全な場所は無いかもな」

 

 本局は1度狙われている。この艦内なら戦力も充分だし出入り口は限定される……迅速に対応は出来そうだ。

 そんな事より問題は転生者だな……ターエンは俺を殺した奴を連れてきたと言ってたし何人いるのやら………そう言えば転生者と言う事はあの女神(ロリショタコン)が転生させたのか?

 …………まず無いな。あいつは俺のバグ処理のための転生だと言っていたしあいつ等が関係あるとは考えにくいな……言質取るにも連絡手段が無いしな……取ったとしても―――

 

 『はぁ~い☆女神は今お留守にしているのでメ―――』

 

 予想しただけで殺意が湧いた、しかも何で留守電なんだ?

 

「はい……ってどうしたのよ?頭なんか押さえて」

「あー………何でも無い」

 

 ちょうど戻って来たアリサから紅茶を貰う。

 

「みんな居る?……あら、何もなかったのね?」

「何を求めてる甘党」

「それは面白い事よ」

 

 トレーに赤飯のおにぎりを載せてやってきたリンディ……その後ろには。

 

「た、ただいま」

 

 まさに九死に一生といった感じのはやてがバインドで拘束されて浮遊していた。

 

「「「はやて(ちゃん)!」」」

 

 あ、3人が復活した。

 

「レイは?」

「レイちゃんはリインちゃん達に捕まっていたわ」

 

 はやてをソファーに座らせて笑顔で答える。と言うか置いて来たのか……

 

「何でここに?何か分かったのか?」

「それはまだよ、ここに来たのはもうお腹空いている時間じゃないかなと思って軽い食事を持って来たの。それと今後の事で……」

 

 時間的には夕食に近いしな……

 

 

――パシャ!

 

 

「……何をしている?」

「女子制服のコダイ君を撮っているわ♪」

 

 そういえばそのまま着ていたな……

 

「ん~でも何かコダイ君らしく無いわね~」

 

 女装はオシャレだから個性は無いと思うが俺らしい個性とは?

 と言いつつシャッターを切るのをやめないリンディ。

 

「カーディガンや!!」

 

 遅く来たはやてがもう復活した。

 

「コダイ君は何時も学校ではカーディガン着とるから普通の制服に違和感があるんや!誰かカーディガン持っとらん?」

「持ってるわよ?」

 

 どこから取り出したのかリンディがブレザーと同色のカーディガンを持っていた……

 

「着て頂戴♪」

 

 凄い笑顔で突きつけるな。

 着るけどさ………あれ?

 

「ブカブカ……」

 

 リンディの事だから丁度良いサイズかと思ったら2サイズ位大きいサイズ。裾はスカートをほとんど隠して袖口から指先しか見えない……

 

「リンディ……これブカブカ……」

 

 

――パシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャ!!

 

 

 シャッターを切るスピードが上がった……

 ご機嫌で写真を撮っているリンディの後ろで飛びかかりそうなアリシアと手をワキワキさせてセクハラ間近なはやてがいた。

 

「何度も見るけど……本当に性別疑うよ……ねぇコダイ、本当は女の子って事無い?」

 

 フェイトがアホな事言い始めた。

 

「子供の頃に温泉で全裸見ただろうが……」

「み、見てない!見てないよ―――!」

 

 いや、視線感じたし。

 

「ますます色気に磨きが掛かっているわね~……ねぇ?どうせなら髪型変えてみない?」

 

 写真を取るのをやめて、どこからかムースとブラシと取り出したリンディ。

 

「髪型は時々変えているだろ」

「そう言うのじゃなくて、なのはちゃんやフェイトやアリシアみたいにイメチェンするのよ」

 

 つまりなのはのサイドポニー、フェイトのストレート、アリシアのハーフアップみたいに髪型を固定しろと?

 

「別にいい……この髪型も一応理にかなっているし」

「もうこうなったらメイクもしてみない?私がしてあげるから♪」

 

 イイ笑顔のリンディがズイと迫ってくる。

 あ、聞いて無い。何が何でもする気だ……

 

「メイクか……」

 

 今まではする必要無かったが……この歳だと社交の場に出る必要もあるな。ならここは……

 

「じゃあ頼む」

 

 ここの流行を把握しておこう。

 

「フフフフ……じゃあお楽しみのために皆後ろ向いててね~♪」

 

 

~数分後~

 

 

 リンディ曰く『素材が最高級だからナチュラルで』と言らしく、メイクはナチュラルで髪型は前髪分けて顔が見える様にして後ろは三つ編みで1つになった。

 鏡で見た所、シャドウで垂れ目にしてリップはピンク系か………

 

「はい完成♪皆いいわよ?」

 

 リンディの合図に6人娘が振り替える……

 

「「「「「――――――――」」」」」

 

 こっちを見た瞬間固まってしまった

 

「ねぇ………悪い事は言わないわ。1発殴らせて、思いっきり」

「何でだよ……」

「何でも何もないわよ!!!」

 

 アリサが突然物騒な事を言い出して肩を掴んできた。

 

「なによその可愛い垂れ目にぷっくりとした唇は!!お人形さんから可愛い系にチェンジって―――――どんだけ女のプライドへし折れば気がすむのよ!!」

「………どうせなら行き着くところまで?」

「これ以上って何よ?!子供でも産む気?!」

 

 ……ごめんアリサ、私―――と言うよりこの体、既に産んだ事があるから……無理やりだけど。ここでも自称・娘(リイン)がいるけど。

 

「それよりもアリサちゃん。今からコダイ君を取るけど……2ショットにする?」

「お願いします!!!」

 

 欲望に忠実だな……

 その後は予想通りと言うかなのは達とも写真を取る事に。

 

「こんなに綺麗なお母さんが居るレイちゃんとリインちゃんが羨ましいわ~」

「誰がお母さんだ」

 

 ホクホクとした顔で写真データを整理し始めるリンディ……早速送る気か。

 

 

――レイずるいぞ~!僕だってコダイの学校行きたいのに~!!

 

 

――神よ!なぜ我らに『成長』と言う奇跡(システム)を下さらなかったのかっ!!

 

 

――ならまずはその幻想をブチ殺します!!!

 

 

 マテリアルズの叫び声がここまで響いている……プログラムだから構成体を弄らないとまず望みなしだろ。

 ……だが、アンズの言う神がロリショタコンだから更に絶望的だろうな。

 

「なんかセリフが芝居かかってるな……何かのアニメの影響か?とにかく止めるかこのまま放置だとまたレイが爆弾置きかねないし……」

「あ、その前におにぎり渇いちゃうから食べちゃってくれない?」

 

 1個手に取ると少し乾いているのが分る。一口齧るともち米と小豆の触感と絶妙な塩味が口に広がる……色からしてご丁寧に小豆の煮汁で炊いてる。

 

「アム……アム……あ、チュ……ご馳走様」

 

 早めに食べ進み手に着いた米粒を舐めとり食べ終える。

 赤飯のおにぎりを何個か取って部屋を出る………向かう道中すれ違うクルーが全員俺を二度見してた。やっぱりメイクして分りにくかったか?

 

「お~い、さっきの儚い望みが部屋まで聞こえたから静かにしろ」

 

 騒ぎの部屋に入ると子供組がマテリアルズとレイの間にヴィータとリインが入って仲裁をしている様だった―――が俺が入って来たのを見ると……

 

「「「「誰だ(ですか)?」」」」

 

 女性陣全員が首を傾げた。やっぱりさっきの周りの反応から分らなかったしな。

 

「コダイか……」

「はぁ………何やっているんだコダイ」

 

 ザフィーラとクロノは1発で分ったみたいだ。

 2人の答えで首を傾げていた奴らが全員同時に驚いていた。

 

「しかし何だ?髪型と服装は何時もの女装と変わらないがその顔は……」

「…………化粧か」

「ザフィーラ正解。良く分ったな」

「化粧品の匂いがしたからな。何時ものお前なら嗅ぎ取る事は無い匂いだ」

 

 さすが守護獣……何かこうして聞くと改めて狼だなって思う。

 

「何で化粧何て……」

「文句はそちらの母親に「すまなかった」って速いよ」

 

 主犯をバラすとすぐに頭を下げたクロノ。

 取り敢えず今は……

 

「コダイコダイ!僕も学校「エル、おにぎり持ってきたけど?」食べる!!」

「姫よ!祝風の書の力で我らの「アンズはどう?」貰おう!」

「コダイ様!「サクラ、おかわりたくさんあるよ?」頂きます!」

 

 マテリアルズが此方に来るのを見計らってその目の前に持ってきた赤飯のおにぎりを出すと3人は大人しくそれを食べ始めた。

 

「ほらレイも」

「わ~い♪うゆ?このおにぎりピンク色だ!」

 

 レイにも1個渡すと4人で仲良くおにぎりを食べ始めた。

 

「さすがに慣れてるな」

 

 先程の騒ぎは嘘の様に静かになった光景にクロノが呟く。

 

「それで何しにここに来た?」

「騒がしかったから止めただけ。ついでに今後について聞いておこうと」

「そうか。コダイは当分待機だ……アリサとずずかだがアースラ艦内で保護してマテリアルに護衛させる。なのは達は比較的軽傷で本人の希望で明日から周辺の次元世界の調査だ。それとお前が捕獲した物は今調べている所だ」

「ん、了解クロノ。こっちは何時でも出れる準備はするから緊急で何かあったらすぐに呼んでくれ」

 

 報告を聞いてその場を後にする。レイ達は……良いかおにぎりに夢中だし、食べ終わったらレイとエルは騒ぎの理由を忘れそうだし。

 

「ただいま~」

「おかえり~♪」

 

 部屋に戻ると紅茶を飲んでいたリンディが気付いてこっちに手を振った。

 

「どうだった?みんなの反応」

「クロノとザフィーラをすぐに分った」

「彼は守護獣……狼素体だから匂いで分りそうね。けどクロノも分るなんて成長したわね~」

 

 クロノの場合は俺の女装(オシャレ)を間近で見てるから分ったんだと思う。

 

「………で。まずそこで固まっている集団について説明を頼む」

 

 指した先には、なのは達が円陣を組む様に固まっていた。

 

「今のコダイ君の写真を送っただけよ。ついでにさっきおにぎり食べて手に着いた米粒を舐めとるっていうシーンも♪」

 

 それも撮ったのか………

 

「呆けているだけならいいや、これから家から荷物取って来るから伝えといて」

「行ってらっしゃ~い♪」

 

 ハンカチを振っているリンディに見送られて、また部屋を出る。荷物を取りに戻ったら集団は元に戻っており、全員に荷物を渡してその日はそれで終わった。

 次の日。なのは達は早速調査に向かい、マテリアルズは昨日言った様にアリサとすずかの護衛になった。

 俺は怪我が治るまで待機………食堂で時間を潰していた。

「あ、ここにいた」

「ここ、良いわよね?」

 

 取り敢えずコーヒーを飲んで座っていると後ろからすずかとアリサに声を掛けられた、その後ろにはサクラが居た。

 

「ん、構わない……他は?」

「あの子達なら今レイと一緒にいるわよ?」

「交代制で護衛してくれているの」

 

 アリサとすずかが席に着きながら答えてくれた………

 

「それよりもコダイ君。まだその制服のままなの?」

「特に動き辛いと言う事は無いからな」

 

 すずかが俺……正確には俺の着ている服を指す。昨日の女子制服(ブカブカカーディガン着用)のままだしな。髪型もそのままでメイクもばっちりした。

 

「そうだ、コダイって怪我治るまで暇なんでしょ?だったら勉強見てくれる?暫く学校に行けない以上やっておかないと」

「あ、私もいい?」

「それもそうだな」

 

 アリサの突然の案にすずかと賛同する。

 

「なら早速取り掛かるとするか―――」

「コダイ様、すみませんが……」

 

 コーヒーを飲み干して立ち上がろうとした時、サクラが止めに入って来た。

 

「どうした?」

「アンズから通信です……レイが消えました」

「また迷子かよ……」

 

 これで通算何度目だ?

 

「と言うか一緒に居たんだろ?一体なんで………」

「エルとアンズがジュースを選んでいる隙に消えたそうです」

「―――レイ」

 

 レイと通信を取る…………………反応無し、仕方ない。

 

「どうせ、隅で膝を抱えて泣いているだろうし拾ってくるか」

 

 アースラ艦内なら場所は限られているし。

 

「コダイ君、私達も手伝っていい?」

「一緒にいたら護衛にもなるでしょ?」

 

 俺に続いてすずかとアリサが立つ。一緒に居れば護衛にもなるし問題ないか……

 

「よし、アリサとすずかは俺、サクラはエルとアンズに合流して二手に分かれて探すぞ。何かあったら連絡しろ」

「分かりました」

 

 

 

 

 

 

 

 

「レイちゃ~ん!」

「居たら返事しなさ~い!」

 

 二手に分かれて艦内を歩く。すずかとアリサが呼びかけても反応無し。

 

「レイが行きそうな心当たりは全部当たってみたんだが……」

 

 危険な場所には見張りがいるから近づけば捕まえられてるはずだ。

 

「私達のお部屋に戻っているんじゃないかな?」

「もしかしてすれ違ったとか」

「あり得る……レイの行動は時折予想斜め上を行くからな」

 

 夏祭りの時面白いすれ違いの状況にあったしな。

 

「コダイ様」

「サクラ?見つかったのか?」

 

 サクラからの通信を繋ぐとモニター越しのサクラの顔が僅かに引き攣っていた……

 

「いえ、他の局員の方達に聞きいてみたんですけど目撃情報がありませんでした……ですが、1人の通信士の話によると。少し前にミッド行きの転送ポートの使用履歴があったとか……」

「――――つまりそう言う事か」

「ハイ……恐らく」

「ミッド行の転送ポートに集合。許可は俺が連絡で取って置く」

「分かりました、それでは」

 

 通信が切れる。

 つまりレイは迷子になった挙句転送ポートでミッドに転移して更に迷子になったと……次元超えた迷子とか斜め上過ぎる。

 

「………今度からアイツに首輪付けようかな」

「辞めときなさい捕まるわよ」

 

 アリサに真剣な顔で止められた。

 

「これからミッドに行くけど持って行く物があれば準備しとけよ。どうせレイの事だ、蝶でも追っかけ回しててまた探す事になるから」

「そ、それは流石に……」

 

 すずかが苦笑いを浮かべた………

 

 

 

 

 

 

 

 

~おまけ~

 

 一方その頃レイは……

 

「うゆ~……ちょうちょ追っ掛けてたら迷子になっちゃったぁ~」

 

 ドンピシャリ。コダイの言った通りになっていた……

 

「ここどこ~?コダイ~!リイ~ン!アイン~!サクラ~!エル~!アンズ~!エリオ~!」

 

 手当たり次第に名前を呼ぶレイ………その時。

 

 

――ガサガサッ!

 

 

「うゆっ?!」

傍の茂みが動いて思わず飛び上がるレイ……

「え………え~っと………誰かいますか~」

 

 

――ガサガサッ!!

 

 

「ぷはぁっ!」

 

 茂みから出てきたモノに首を傾げたレイ。

 肩口で切り揃えらたフワフワしてそうな銀髪が日の光に照らされて紫を帯びて、綺麗な青紫(バイオレット)の瞳をしたレイと変わらない背をしている少女だった………

 

「………………」

「………………」

 

 レイと少女はしばらく見つめ合い………

 

「「だれ?」」

 

 同時に首を傾げた。




イメチェンしたコダイはToLOVEの黒咲芽亜がイメージです。

アルクオン様、桜日紅葉雪様、零崎 式様、ユーステミア様、感想を有難う御座います。

~次回もお楽しみにしてください~

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