魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~ 作:メガネ
あの無人世界が崩壊した原因の詳細は未だに不明。
レイが一瞬感じ取ったロストロギアの反応はアースラでも見つけたらしいが同じく一瞬だったと言っていた。
突然現れたあの物体も妨害されて逆探知不可能……分っている事は例の犯人達に関係がある事が分った。あれだけ派手にやって操られた局員が攻撃して無いと言う事は間違いなくその通りだろ。
現在クロノ達が他の周囲の世界に影響は無いか調査中。時間が掛かると言う事で俺達中学生組は地球に戻された。
緊急まで暫く待機、随時連絡をするとの事を今日の昼休みににアリサとすずかに伝えた。
「「変形ロボット……見たかったな~」」
今回の事件について掻い摘んで……死体云々は無しで話した後のアリサとすずかの反応である……そんなに良い物なのか?
「言って置くがな、あんなのが目の前に現れてみろ……リアクションに困るぞ」
「あははは……さすがの私も映像で見たけどどっからツッコんでええか分からんかった」
はやてが頬を掻いて苦笑い……目撃者のなのは達も苦笑いをしていた。
「全員苦笑いの中、エルとレイが目を輝かせて喰い付いてたが」
あの映像を見せた時、リンディに『映像間違えてない?』と真剣な顔で返された。それ位リアクションに困るものだった。
実際……あの悪ふざけの塊みたいな物体は地面を殴っただけで、帰ってしまった。
今回の事件と関係があると踏んで捜査が進められてるが………俺は関わりたくない無視したい……何て言うか存在レベルで否定したい。
「で……アンタはいつもの様に重傷と」
アリサがこちらを見た。制服の下は包帯を巻いているが怪我はシャマルに治して貰いある程度治っている。
シャマルの検査結果は前面の骨の大半が折れていたらしい。どうりで動きづらいと……
「もう殆ど治っているがな……それにシャマルは腕が良いしな、腕が2,3本飛んでも何とかなるだろ」
「腕は2本しか無いわよ!!」
アリサが思いきり詰め寄る。
こちらが怪我しているのでいつもの拳は無かった。
「ま、まあまあアリサちゃん落ち着いて」
詰め寄っているアリサの間にすずか割り込み離れさせる。
「それで捜査の方はどうなの?」
「ん?今のところ進展無し。強襲隊もフル(クイント&ティーダを除く)に出ているけど手掛かりが掴めないみたいだ」
死体云々についてはクロノが念話で事前に全員に伝えてマテリアルズには伏せている。暴走されたら面倒くさいし……
ホラーがダメなアインは仕事と言う事で割り切っているので問題無し。
「と言う事は……今日はコダイ君お家1人?」
俺の家に居る奴を指折り数えたすずかが俺に聞いて来た。
「いや、レイも地球に戻ってる……今は留守番している」
レイがいないと空も飛べないからな……
「1人って………大丈夫なの?レイってデバイスだけどまだ小っちゃいわよ?」
アリサが心配そうに聞いてきた。
「本当は連れて行く予定だったが――――」
~回想中~
家を出る前の事だ……
「私、お留守番する!」
「………は?」
「コダイが帰ってくるの待ってるよ!」
学校に向かう時、レイが両手を胸の前で小さく拳を作り気合を入れる仕草をした。
「いや連れていくつもりだったんだが……何でまた?今日はアイン達は帰ってこないぞ?帰ってくるまで大丈夫なのか?」
「ダイジョーブ!この家は私が守るモン!チャイムが鳴っても電話が鳴っても出ないから!」
……何と言うか最近のこいつは少しおかしい。やたら手伝いたがるし………
「そこまで言うなら………大人しくしてろよ?」
「いってらっしゃーい!」
~回想終了~
「と言う事があって弁当作って持たせて今留守番を――――ってお~い?」
何で全員顔を仰いで手で押えているんだ?
「あ~もう……何それ?めちゃくちゃ可愛いんだけど……」
「うん、もう天使だよ……レイ天使過ぎるよ」
アリシアとフェイトが何言ってるが分らない……
「レイちゃん……大きくなったね」
え?……すずか?もしかして泣いてる?
「あれ?……おかしいな。目からしょっぱい水が出とる」
「奇遇ね……アタシもよ」
はやてとアリサは同じように手で顔を押さえているが下を向いて肩を震わせていた。
「コダイ君!!」
なのはが突然俺の肩を掴んで……って鼻声というか目が赤い、何でこいつまで泣いているんだ?
「今日コダイ君の家に行って良い?!と言うか泊っても良い?!」
「そっちが問題無ければ良いが………なんで?」
「1人でお留守番頑張っているレイちゃんを応援したいの!!」
「「「「「その話乗ったぁっ!!!」」」」」
泣いてた5人も手を顔から離した……なのはと同じように泣いて目が赤くなってるし。
「全員!今日の放課後コダイの家に行くわよ!良いわね!!」
「「「「「了解」」」」」
アリサに向き合って敬礼をする他5人……え?何が起こった?
「コダイ、帰りに寄って行く所ある?車で行くから送っていくわよ」
「ん?……そう言えば冷蔵庫の中身がそろそろ危なかったから買いに行こうと思ってるが、アリサ達の用事を優先で良い」
泊るとか言っていたし着替えとかだろうけど………そして午後の授業と言う無駄な時間を過ごして、放課後―――――
アリサが呼んだ車で最初はなのは達の荷物を乗せた後、いつも行く店の住所を鮫島に教えて連れてってもらった……
「今思うといつもコダイにくっ付いていたあのレイがお留守番ね~」
「何か感動しちゃった」
店に向かう車の中でアリシアとフェイトがしみじみと言ってた。
まあ……感動と言うか思いっきり泣いてたな。
「まあでもあれ位の歳なら手伝いぐら―――ってあれ?レイって今幾つ?」
「そう言えば考えた事無かったな……」
アリサに言われて今気が付いた……
「どれ位にしておくか……」
「見た目は6歳位なんだよね?」
「リインとヴィータと比較したら背は大体そうだった……ここは無難にジュエルシードがレイになった時にするか」
「そうすると私が初めて魔法を使った日だから……小学3年生の春位だよね?」
「その日まで逆算すると………大体5~6歳か」
この中で俺の次にレイといたなのはと話し合いレイの年齢を決めた。
「それだと体に中身が追いついて年相応になったって事かな?」
「すずかの予想で間違いないと思う。前にもこういう事が何度かあったし……」
「なんやと?!そんな胸キュンシーンが私らの知らない間に?!」
「と言っても荷物もちたがったりとかぐらいだが……」
「想像しただけで悶えてまう……レイちゃんマジ天使や」
どんな想像しているんだこの狸は……
「あ、所でコダイ君……家事やっとる身として聞きたいんやけど………大体の買い物でどれくらい買うんや?」
店に向かう車の中ではやてが恐る恐ると言った感じで聞いて来た。
その時、泊まりと言う事もあって賑やかになっていた車内が静まり返った―――
「何でまたそんな事……」
「よう考えたらコダイ君の家ってレイちゃん含めてやたら食べる子達おるやろ?」
「ああ、そう言う事か」
要は家の冷蔵庫事情と懐事情が心配と―――
「これから向かう店は安く買えるから問題無し、多少大目に買わないと間に合わない―――あの4馬鹿の胃袋は」
「それはええ事聞いた……でどれくらい買うんや?」
「えっと……確かこれ位」
携帯を取り出して買い物リストのメモを開いてはやてに見せる。
「――――え?」
上からゆっくりとリストを読んでいたはやてが固まった。
「はやて?どうしたのよ――――――は?」
それを見たアリサがはやてが持っている携帯を抜き取りメモを眺めて……変な声を出した。
「コダイ………これって1回分の買い物?」
「そうだが……ああでも、今日はレイ位しかいないから普段の半分以下で済んでいる」
そう言いうとアリサの顔が更に引き攣った……他の奴にもメモの内容を見せると似たような反応をしたと思ったら6人娘が固まって話し合ったかと思うと全員で手分けして俺の買い物を手伝う事になった……
「ちょ――なんやこれ?!安っ!鶏肉2kgでこれでええの?!それにアイスでかっ!?これヴィータに見せたら喜びそうやな……」
「業務用スーパーだから当たり前だろ……というか来た事無いのか?」
「ないない……アカンわこれ……主婦達の聖域やわ。焼き鳥50本入り?!これとご飯と1品で食卓が潤うってまう」
初めての業務用スーパーに感動しているはやて、ついでにここと似たような近所の店を紹介したら手を取って強く握られ感謝された。
「フェイト~」
「あ、姉さ―――ブフッ!!姉さん何それ?!」
「昆布!」
「いや、見ればわかるけど……」
フェイトがアリシアが抱える様に持ってきた約1mもある昆布を見て噴き出していた……
「コダイ、ここって皆大きい物ばっかりだね」
「業務用スーパーだからな」
「うわ……パスタがこんなに……何人前だろう」
「因みにこれ1つでエリオを含めた大食い計5人の1食分になるからな?覚悟しておけよ」
「…………頑張る」
枕と呼べる程袋に詰まったパスタ(5kg)を持ち上げていたフェイトは模擬戦の時と同じ位真剣な顔になっていた。
「ちょっカレールゥ50皿分とか炊き出しの量じゃない?!」
「アリサちゃん!あっちにサラダ油が一斗缶で売られてたよ?!」
「見て見て!お菓子がこんなに袋詰めで―――」
アリサ、すずか、なのはは駄菓子屋に来た子供みたいにテンションが上がっている。
「………お前ら終わったのか?」
「とっくに終わったわよ。と言うかこんなのがあるんだから毎度ルウから作らなくてもいいんじゃない?」
「そう言う訳にも行かないんだ……あいつ等限界の辛さが違いすぎるから。俺とサクラとエリオは辛口以上。アインとアンズは中辛まで。エルとレイは甘口だから。一々辛さ毎に作ってられないから各々で調整して貰ってる」
「綺麗に分かれているわね……」
「コダイ君!あそこにサラダ油とかラードとか一斗缶で売られてたよ?!」
「知ってる……と言うか家で使ってるから」
使っては濾して綺麗にするから。あれ買って以来油は殆ど買った事が無いな……
「コダイ君、このお菓子レイちゃん喜ぶかな?」
「あ~それなら子供組全員好きだから入れて置け、ついでに各味もな」
………とまあこんな感じで脱線もしているがで全員で手分けした甲斐もあり、予定より早く買い物を終えて、家に向って貰った………
「ただい「お帰り~!!!」っ」
――ドコォ!!
扉を開けると、恐らく玄関前で待機していたレイが飛びついて来たと言うか飛んできた。両手が荷物でふさがって回避できなかった……
「大丈夫だったか?」
「うん!………うゆ?みんなどうしたの?」
抱きついていたレイが俺の後ろにいるなのは達に気がついた…
「どうやらレイの為に遊びに来たらしい」
「私の~?」
「そうだよ。レイちゃん1人でお留守番偉いね~」
なのはが抱きついたままのレイの頭を撫でる。
「ふぇ?………その………ぅ……にゅ~」
何時ものようにでなく恥ずかしさも混じった顔をしているレイは顔を赤くして………
「あのね……お留守番できたけど……すこし……さびしかった……かも」
俺に抱き着いたまま顔を半分隠して途切れ途切れ呟いた。
「何やこの萌えっ娘!!アノ性格最悪のコダイ君から出て来たと思えへん天使や!!」
「チョット!いつまで玄関に固まっているのよ!!」
「あ、ごめんアリサちゃん。そんじゃあ……おじゃましま~す」
レイに抱き着かれたまま玄関を上がってリビングに買ってきた荷物を置いた。
「コダイ君これ、お母さんが持って行きなさいって新作ケーキ詰め合わせ」
なのはが取りだしたのは大き目の箱だった。
「桃子の?冷蔵庫に入れといてくれ」
「ケーキ♪ケーキ♪」
レイがケーキと聞いてテンションが上がる。
「それにしても一杯買ったね~」
「手分けして買ったけど……1か月分はありそうだね」
アリシアとフェイトが置いてある袋の中身を覗いている。
「それで1週間、以て10日だ」
「「「「「え?」」」」」
それを聞いたはやて以外が此方を向いた……
「家には育ち盛りが後3人いるからな」
「私の所もこれ位は買っとかんと以たないで?」
「だから節約とかやりくりが欠かせない」
「そうそう、閉店前とかタイムサービスが狙い目や」
「あと詰め放題とか」
「お1人様1つなんて場合は家族総出で買いに行くなんてしょっちゅうや」
「当然」
――くぅ~
「うゆ~……おなかすいたぁ~」
はやてとそんなやり取りをしているとレイの腹の虫が鳴っていた。
「あ、もうこんな時間か……早速作るから待っててくれ」
「コダイ君、ちょっと待って」
エプロンを取ろうとしたらはやてに止められた。
「夕食何だけど……私達で作ってもええか?」
「『私達』とは?」
「コダイ君とレイちゃん以外の皆で……じつは買い物中にコッソリそれ用の食材も買うたんや」
だから手分けしてとか提案したのか。それに支払いも何故か割り勘だったし……
「スペースはあるが……良いのか?客なのに」
「ええって!今日はレイちゃんの為や、コダイ君達はゆっくり寛いでや………駄目?」
……本当は料理したいけど、今回は……………良いか。
「あそこのボックスの中に予備のエプロンあるから好きに使ってくれ」
そう言って俺は冷蔵庫近くのカラーボックスを指すと礼を言って全員エプロンをつけ始めた。
「みんなの料理……どんなのかな~♪」
「ずいぶんテンション高いな……」
玄関からずっと抱きついてるし……
「うん!」
……一応シャマルじゃないから問題ないだろ……
はやては問題無い、フェイトとアリシアは良く知らないから未知数、なのは、アリサ、すずかは過去の愚行があるから微妙だ……だが、桃子に扱かれたらしいし、フェイトとアリシアもリンディとプレシアが教えてそうだし………
期待は持てるな。
「ねぇ、どうせなら料理対決しない?審査員レイとコダイで」
「「「「「乗った!」」」」
…………うん、問題無い………よな?
天城様、アルクオン様、桜日紅葉雪様、感想を有難う御座います。
~次回もお楽しみにしてください~