魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~ 作:メガネ
アスカ―――確かに俺が前の世界で殺した人間だ。
しかし何故今になってこの世界に転生したんだ?アスカの言葉からするにまだターエン以外にも俺が殺した転生者がいる事は確かだな。
詳しい事は後に
転生してきたとして正確な数が分らない。あっちでは世界滅亡寸前まで恐怖の底に追い込んでたしな……全員ならまた皆殺し出来て個人的には嬉しい限りだけど。
1番の問題はあの攻撃だ。見えないし気配も無い……魔法の類では無いらしい、それに挙動からもどんな攻撃かも予測できない………
この事件で功績と言ったらあの未確認体が生体ガジェットと言う名前である事と連中が持っていたあの金属が何なのかだけだな。
「結局後手………問題は山積みだな」
呟きながらアースラの廊下をクロノと歩く……あの日から翌日の事である。
「そうだな。しかしその怪我で大丈夫なのか?アインの話だといきなり斬れたと聞いたが……」
「まったく言葉通り、いつ斬られたのかもわからない……」
これと似た様なのが後何人も居るとなると考えると正直面倒くさいな……
「そっちの方は?」
「かなり深刻だな……負傷者と言う訳で無く襲われた場所だ……」
「バレたら危険な所か?」
「ロストロギアの保管庫だ……かなりのロストロギアを盗まれた」
「いろんな意味で危険だなそれは……」
ロストロギアの中には管理局が改造した物もあるしな……それに管理局を襲ってロストロギアを奪うとはな。
「んで、この騒動の唯一の死亡者は?」
「この局員だ」
クロノがデータのモニターを出して目の前に寄越してくれた。
「個人データを見る限り変わった経歴は無さそうだな……ロストロギア保管庫の警備員か……襲われたのは保管庫だけか?」
「そうだな」
「だとしたら前々から計画してたかもな。鮮やか過ぎる」
「恐らくな。それに犯人は最低でもSランク以上はあると考えて、本局は今回の部隊を編成した……」
「本局ねぇ………まあでも今回の事件に管理局が絡んでないのが唯一の救いだな」
アイツらSランク以上か、つまり俺達と同じ……実戦経験の多さから見て2つ位上に見てもいいかもな。
この世界に来たとなると当然魔法も持っている……だとすると前の様には行かないか……やばい、今から面白すぎてどうしていいか分らない。
「クロノ……その犯人とは俺が戦う」
「勝てるのか?……1人でもかなり後手に回っただろ」
と言うか取るな。楽しみが減る………
「おもし―――じゃなく、恨みを売っていた様だから釣りを返してくる」
「今物凄く不謹慎な発言が聞こえた気がするが……」
気のせいじゃない?
「なあ、聞きたくないが編成された部隊って……」
「まあ…………予想通りだ」
ですよね~
アースラの会議室に着くと予想通りのメンバーが居た。
「まだ時間があるから他の人と話して来い」
そう言うとクロノはリンディの元に向かって言った。他の人って言っても……
「見知った顔しかいないな……」
なのはやフェイト、アリシア、はやてに守護騎士、アインにマテリアルズと言った錚々たるメンバーが集結している……エースが多すぎるだろう。
レイはリインと何か話している………と言うかレイ、居ないと思ったらここに居たのか。
「あ、コダイ君!」
「なのは……何か久しぶりと言う気がしないな……」
「にゃははは……この間も一緒だったからね」
「ねぇコダイ、今回の事件って闇の書事件より危険って聞いたんだけど……」
さすがフェイト執務管、情報速いな。
「危険で無ければ事件とは言わないだろう……」
「うん……そうだけど……」
「今回は犯人がハッキリしているし、闇の書事件よりは簡単だろ」
その犯人がかなり強いってだけでな。
「ん~?あれ?コダイって謹慎してたんじゃ」
「ん?……ああ、これ」
アリシアの問いに『DEATH NOTE』を見せると納得したように苦笑いをしたアリシアだった。
「しかしこの面子……AAA~Sランクって戦力過多だろ、戦争でも起こす気か?」
「仕方あらへんよ、ロストロギアがぎょーさん盗まれたとなるとこんなに居ても足らへん位やし」
はやての言う通りだけど……
「けどよー管理局に殴り込んでロストロギアを盗むって相当ヤバイ相手って事だよな」
「そうだな……襲われた局員も決して弱い訳では無い。だがそれを軽くあしらう様に一蹴したとなると実力は相当だな……」
そこにヴィータとシグナムが話に入って来た。
「シグナム、その時の事詳しく分かるか?」
「いや、私も聞いただけで詳しくは知らないが………どうやら魔法が一切効かないらしい」
魔法が効かない………AMF関連か?それはともかく。
「シグナム、ヴィータ……ベルカ式に見えない魔力刃を飛ばす魔法ってあるのか?」
「あ?見えない魔力刃?」
「どう言う事だ?」
ヴィータとシグナムにあの時の事を転生者関連以外を話した。
「ん~………見えない魔法かぁ……」
それを聞くとヴィータは腕を組んで唸り始めた。
「体系がベルカ式だったから知っていると思ってな」
「さすがに私でも詳しくは知らない。細かい事はシャマルに聞くと言い、私達よりも良い答えが返ると思う」
「そうか……ありがとうシグナム、早速聞いてみる」
辺りを見回すと、はやての近くにいるシャマルが居たのでさっきの事と同じことを話した。
「そうですね……コダイ君、その人はどんなデバイスを持っていましたか?」
「デバイス……見てないな」
そう言えば転生したのだからデバイスは持っているのか?
「自分を見えなくする認識阻害系の魔法ならあるけど、さすがに魔法その物を見えなくするのは難しいわね。あるとすればその人の
「何かを持っている様子は無かった……前2つの可能性が高いな」
魔力を見えなくするレアスキル……厄介だな。
「つまりベルカ式にはその手の魔法が無いという事か?」
シャマルが申し訳なさそうに頷く。
「ゴメンなさい。力になれなくて」
「いや、分ってても見えないから対処のしようが無いしな……」
ベルカでも無いか……ミッドでも無さそうだよな。アスカの魔法体系はベルカだけだと思うし……
「主コダイ………その、大丈夫ですか」
「ん?アイン?」
「あの時の怪我の方は……」
「怪我?……幸い血は止まっている」
かなり深い割には綺麗に切れている。腕は相当あるな。
「正直驚きました……まさか主が前触れも無く傷を負わせるなんて。それに主の体質を考えると今度の敵は相性は悪いと思います……」
「そうだな。ほぼ直感で避けたみたいなものだし」
魔力も気配も消してこっちの後ろを2回も取っていたし……この際ぶっつけで探ってみるか。その方が面白いし……
「そろそろ会議に入る。全員座ってくれ」
クロノの言葉を聞いて全員が席に座り一気に周りが静かになった……
「今回の事件は非常に危険だ、管理局が襲撃されて保管されている複数のロストロギアも盗まれている」
クロノが今回の事件に関して説明している。
今までで分かっている事は、犯人が3人。俺が見たアスカとターエンと管理局を襲った1人、そいつはベルカ式らしい。
その3人のランクは最低Sランク、デバイスも使ってないらしく実力はまだ未知数―――共にレアスキルかロストロギア持ちと暫定して進める事になる。
「それと、盗まれた複数のロストロギアだがどうやら無差別と言う訳ではないらしい」
そういったクロノは次にロストロギアの情報が載っているモニターをいくつも開いた。
「これらのロストロギアはすべてジュエルシードの魔力の高エネルギーの結晶体の様な性質……またはそれに近いものだ」
「それって……ジュエルシードみたいに願いを叶える事も?」
「いや、フェイトが言う願いを叶える性質はジュエルシードだけだ……これは高エネルギーの結晶体と言うだけだ」
「それだけ?………ほかにもヤバイロストロギアとかあるのに?」
犯人の行動に首を傾げるアリシア。確かに管理局にはたった1つで次元世界を破壊するロストロギアも保管されているが、それには全く手付かずだったらしい……
「そうだな……だがロストロギアの他に盗まれたコレがあるなら説明がつく」
次に開かれたモニターにはある金属が映し出された。
「これは………なんなの?」
今度はなのはが首を傾げた……というか殆どが傾げていた。
「コダイ、説明頼む」
え?ここで俺?
「……これは『ギガメタル』簡単にいえば力を制御する金属でどんな力も抑え込め、コントロールが出来る性質を持っている。デバイスにもこれを少量混ぜて使用されている。希少だがデバイスには1つまみでも有れば足りるから……あんまり目には止まらない代物だ」
「へぇ~デバイスにそんな金属が……と言うか何でそんな事をコダイ君が?」
「なのは………俺、一応デバイス技師の免許持ち」
「あ………」
忘れるなよ……
「コダイが説明した『ギガメタル』も盗まれている……そこから考えられる事は。それを使って盗んだロストロギアをすべて制御して何か行う……それなら高魔力の結晶体のみを強奪したのに説明が付く」
………それが分らないんだよな。
アスカは目的は
「分かっているのはこれだけだ。犯人の居場所や情報についてなどはさっぱり分からない……コダイ、分かるか?」
「さっぱり、顔も名前も知っているが情報が無い……つまり今の今まで鳴りを潜めてた見たいだな」
今回の場合転生者だから、分かっても探せるかどうか……
「そうか……それに関してはこっちも全力で捜査に当たるとして、今回は部隊を3つに編成して、1隊に1人指揮官を置く。まずは八神はやて特別捜査官」
はやてが立ち上がり敬礼をする。
「次に今回協力してもらう事になった犯罪事件強制襲撃隊の指揮を自分が……最後の1人はコダイにして貰う」
はやてにクロノに俺か………………は?
「おい待て。何で俺なんだ?俺なんかリーダーに向いてないだろ?」
「そうだな」
はっきり言うなよ即答で。
「僕は強襲隊、はやてはヴォルケンリッター、コダイはなのは、フェイト、アリシアを頼む」
「俺にロデオをやれと?」
「コダイ君それどういう意味なの?!」
「そのままの意味だ」
なのはが突然詰め寄ってくる、その後ろにはフェイトとアリシアもいた。
だって連携無しで単騎で殲滅可能な奴らを全振りとか何考えているんだよ……あ、良く考えたらクロノとはやて以外指揮取れる奴いない、シャマルは外したらはやて側が崩れる……消去法か。
「ん?と言う事はその間アースラは?」
現在クロノがアースラの艦長だ、その艦長が分隊の指揮を取ると言う事は離れるんだよな?
「ああ、その為に特別に元艦長に戻って貰った」
「もう乗る事無いと思ったけどまた乗る事になるとわ思わなかったわ~」
クロノの隣にいるリンディが感慨深そうに緑茶を飲んでいる―――って。
「まだ飲んでいるのか?」
「まだ?フッフッフッ………これは前のリンディ茶とは違う『NEWリンディ茶』よ!」
自慢げに持っている湯飲みを掲げるリンディ……
「―――具体的にどう違う?」
「砂糖を黒糖にミルクを低脂肪の物にして健康志向に―――」
「緑茶に入れている時点で不健康な気が……」
良いんだけどさ、別に飲むわけでもないし……
「……まあ、今はこれだけだ。全員いつでも出撃できるように準備してくれ、以上……では解―――」
――ビー!!ビー!!
軽く咳払いをしてクロノが最後に締め様とした時、突然響くアラート。
「無人世界から調査中の局員からの救難信号!!場所は―――」
エイミィが艦内に通信で知らせている………
「エイミィ、状況は?!」
「さっきから通信してますが応答しません!」
「僕たちは現場に向かう、引き続き頼む!!」
「了解しました!」
早速お出ましか……
「レイ、戻れ」
「OK!」
レイを戻して、その無人世界に向かう。
さて、アスカかターエンかもう1人か……
頭翅様、アルクオン様、桜日紅葉雪様、ミラ ランドラス様、感想を有難う御座います。
~次回もお楽しみにしてください~