魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~   作:メガネ

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空港火災。だけどコダイは何時もの様に通常運転。


やっぱり碌な事無いな……byコダイ

 あの仕事から数日後。と言うかなのは達と約束したゴールデンウィークの連休初日………俺はなのは達と決めた集合場所では無く、臨海第8空港に来ている。

 理由はクイントがこの日に娘2人が父親のゲンヤの所に遊びに来るという情報をレジアスから貰い、場所が近い事もあって俺がその2人の様子を見に行く事になった。

 見るだけだしすぐ終わるだろうからなのは達には遅れるとしか送って無いが……

 さて、それで様子を見に行く事になったが――――

 

「名前なんだっけ?」

 

 クイントから『娘を色々とよろしくね♪』と言われて、多分クリミナルになる前に取った写真を見せて貰っただけで名前など一切聞いて無い。

 仕方ない……もう1度聞いてみるか。

 

「クイント」

「あら?どうしたの?もう会った?」

「―――その娘を知らないのだが」

「え?写真見せたよね?」

「見せて貰ったが娘としか言って無いから名前を聞いていない」

「…………………てへ♪」

 

 …………よし。

 

「会ったら娘に貴様が(ピー)を「やめてえええええ!!!年頃の娘にそれはやめてええええええ!!!!」だったら笑ってごまかすな」

 

 内容は娘が聞いたらドン引き物の黒歴史だ……R指定のな。

 

「それで名前は?」

「クスン……髪の長い方が姉のギンガで歳は今年で13歳、髪の短い方が妹のスバルで今年で11歳の筈よ」

「年齢まで聞いて無いが分った」

 

 通信を切って再度周りを確認する。この周辺で特徴と一致する人物は見当たらないな……

 

「さて、逸れていなければいいが……ん?」

 

 空気が変だ………人の気配では無い……だとすると何だ?

 行き交いの激しい人波の中でも濃厚でハッキリしているのに周りは気づいて無い………

 

「………レイ、『シード』だ」

≪何かひさびさ~!≫

 

 手のひらから青い菱形の宝石を数個取り出しそれを滑らせるように地面に落とす。

 落ちたシードは周囲を散開、地面を這うように高速で移動した。

 

「8:2で異常の調査と戦闘機人の探索だ、戦闘機人の反応があったらそれがクイントの娘だ」

 

 残りのシードでモニターを展開して10分割でシードからの情報を確認する。

 

「………見つけた。ここは……輸送物資仕分け室か。結構近いな………レイこのまま戦闘機人の探索続行させろ、写真があるから問題無い。俺はこれを調べる」

≪OK♪≫

 

 異常の調査に分けていたシードの資格情報を1つにする。

 映像にあったのはミッドの文字で危険物扱いと書かれたベルトで厳重に縛ってある箱……危険物なら金庫に入れろよ箱とかじゃなくて………

 

「待てよ………この箱ってまさか。あの時のロストロギア―――」

 

 

――ピシ!

 

 

 その時、映像の箱に複数の罅が入った……

 箱の中身を透過すると。どうやら時限爆弾式で一定時間で発動する仕組みの様だな。

 

「調査は中断、シードは全部回収して衝撃に備える。レイ……念の為にバインドをキープするぞ」

≪OK♪ディレイスペル≫

 

 俺の右腕に何個もの環状魔法陣が展開した。

 

「あ、これ使うの久しぶりだな」

 

 

――ドオオオオオオオオオオォォォォォォォォォン!!!

 

 

 そんな呟きは爆音に消えた……

 

 

――ドコンッ!!!

 

 

「………受け身失敗した」

 

 爆発に飛ばされ受け身を取ろうとしたが柱に背中を強打した。

 辺りを見ると、爆発で崩れ落ちた瓦礫、立ち上がる炎、悲鳴を上げて逃げ惑う人間……

 何とも懐かしい光景だな~昔は自分が首謀者だったけどまさか被害者側になるとわな~

 

≪あ、はやてから通信だよ!≫

 

 はやて?こんな時に何だ?……

 

「繋げてくれ」

≪OK♪≫

 

 右腕にくっ付いてる青い菱形の宝石、レイからモニターが現れてはやてがアップで映っていた……もしかして騎士甲冑を着てるのか?

 

「コダイ君大変や!」

「どうした、またシャマルが料理していたのか?」

「そんなボケかましとる場合やない!!」

 

 怒られた……

 

「第8臨海空港で大規模火災が発生したんや!まだ中には何人も救助者がおる……悪いんやけど、救助作業手伝ってくれへん?」

 

 え?第8臨海空港………?

 

「それは無理だ」

「え?もしかして今任務―――」

 

 

――バゴォォォォォォォォン!!

 

 

 はやての言葉を遮る様に俺の近くで何かが爆発した。

 

「何や!?まさかレイちゃん達ケンカしとるんか?」

「だったらこうはならない。実は今……その第8臨海空港の火の海のど真ん中に居る」

「………………………」

 

 はやてが固まってる。

 

「……………って何、悠長に言っとるん!?もっと驚かんかい!!」

「いや、ここでこそ冷静になるべきだろ。あと俺の見た範囲では殆ど逃げ切った様だが?」

 

 幸いに出入り口から近かったからな……

 

「実はまだ何人かおるんや。今なのはちゃんとフェイトちゃんが突入したから、合流して手伝ってくれへん?」

「そんなモノは首都航空部隊任せればいいだろ。今日はそっちは休暇だろ?」

「その首都航空部隊やけどな………来るのにまだ時間が掛ると……」

 

 ……やっぱり物理的に潰すか?管理局。

 

「後、10分で来なければ俺が『死ね鈍亀』と言っていたと伝えてくれ」

「…………ウチがもうチョイ偉くなったら伝えたるわ」

 

 あ、はやてもそう思っていたんだ。

 

「取り敢えず奥を見てくる。一応仕事何で……」

「遅れる理由ってこれの事だったんか………でも、火の海の中を行く仕事って」

「仕事は仕事だ」

 

 はやてとの通信を切る。

 

「親バカお母さんからの迷子の捜索っていう仕事をな。まずは……エントランスから探すか」

 

 道が塞がって無ければ良いが……

 開けた場所に出れば何とかなりそうだし。

 

「っと、立ち止まっている暇は無いな。ここで1回死んだら無事に生き返るかどうか」

 

 焦げても死なないけどさ……取り敢えず道が塞がっていない内に正規ルートでエントランスに向かう………

 

 

――ドオォォォォォォォォン!!

 

 

「ギリギリだったな」

 

 行動が速かったからか、そんなに被害は少なく……爆発と炎上は何度もしたが、難なくエントランスに着いた。

 と言ってもさっきの爆発で来た道が塞がった。

 

「コレはなのはと先に合流した方が良かったか?」

 

 流石に救出に使える様な魔法は持ち合わせて無いしな……バリアもろくに張れないし、転移だって上手くいくかどうか……

 

 

――……ぐすっ………ひっく……

 

 

「………声?」

 

 何処から………あそこか?

 天使像の近くに居る座り込んでいる短い青い髪の子供が1人……あれがスバルか?

 話をして見ないと分らないのでスバルの元に向かう……

 

――…………ピキ

 

「この音……もしかして」

 

 天使像を見ると徐々に亀裂が入っていく。

 この壊れ方だと……あの子供に落ちる。

 

「このままだと直撃コースだな……」

「ひっく……ギン姉……ギン姉ぇ……」

 

 座り込んで泣きながら恐らく姉の事を呼んでいるスバル。

 当然、上の天使像は見ていない。

 

「え?………きゃああああああああああああああああああ!!!」

 

 スバルが異変を感じた時はもう遅く、天使像はスバルの方に倒れて行く―――

 

「―――全く、たまに良い事すると碌な事が起きない……」

 

 一気に駆けだす、目標はスバルでは無くあの天使像……

 

「羽があるのに落ちるな」

 

 天使像に向かい跳んで。

 

「浮いていろ―――」

 

 天使の顔を蹴り上げた。

 

 

――ドコォォォォォォォォン………!!

 

 

「あ、やり過ぎた……」

 

 スバルの前に着地して天使像を確認してその状況に思わず呟いた。

 本当は、反対側に倒すつもりが強過ぎて、天井に頭が突き刺さった――

 

「まあ……本当に浮いたから良いか……ん?」

 

 不意に、引っ張られる感覚……振りかえると、スバルが俺の服を強く掴んでいた……

 

「…………た…」

 

 何か言った様だが、俯いていて良く聞こえなかった。

 

「どうした?」

「………った」

「は?」

「怖かったよぅ!!うええええええええええええええええん!!!」

 

 突然俺に抱きついて泣き始めた………確か11歳だよな?………背が俺より少し低い程度だ。

 

「あー盛大に泣いて……ほら、これで鼻かめ」

 

 ティッシュ取り出してスバルの鼻に宛がうと『ビー!!』と盛大に音を立てて鼻をかんだ。

 ゴミは……いいやそのまま焼却処分にする事にした。つまりポイ捨て。

 

「あの……ありがとうございます!」

 

 何度か鼻をかんでいると落ち着きを取り戻して、少し泣き止んだスバルが恥ずかしそうに佇まいを直して改めて礼をしてきた。

 

「……えっと……」

 

 ん?……あ、名前か?

 

「コダイ・T・ベアトリスだ」

「ありがとうございますベアトリスさん。でもすごいね、私と同じ位の女の子なのにあんな石像を吹き飛ばすなんて……ギン姉より凄いかも」

「比較対象が分らないが………2つ訂正。こんな容姿でも性別は一応男で歳は15だ」

「え?………男の人で……年上?」

 

 スバルの問いかけに頷く……

 

 

――ボン!!

 

 

「あぅあぅあぅあぅ!!」

 

 スバルが行き成り爆発して両腕をジタバタ振っていた……

 

「ベアトリスさんは綺麗で可愛いのに男の人で、小さくて細いのに私より年上?……?……??」

 

 混乱して目が回っている……

 

「ギン姉とあんまり変わらないのにギン姉より年上?……???」

 

 良い感じに混乱している……だが。

 

 

――パン!

 

 

「わっ!!」

 

 猫だましで正気で戻す。

 と言うか理解できなくてショートするって初の反応だな。

 

「落ち着いたか?」

「はい、ありがとうございます」

「今は他の局員が付くまで大人しく「あぁっ!?」ん?」

 

 スバルが俺の後ろを指したので振り向くと………さっき、天井にめり込ませた、天使像の頭が抜けている……というかコッチに倒れてないか?

 ……スバルを抱えてかわす事は出来るが、倒れた時に壊れて、飛び散った破片が何かに当たって二次災害も考えられるし第一に安全な場所が一気に狭まる……

 

「スバル逃げろ」

 

 スバルを押して逃がす。

 

「ベアトリスさんは?!」

「やる事は1つだ――――」

 

 倒れてくる天使像を………受け止める。

 

 

――ズゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!!

 

 

 落ちてくる天使像を受け止める。結構重いが問題無いな、あるとすれば炎で熱せられて素手で受け止めているから熱い位だ。

 

「え……ええええええええええええええ!?」

 

 傍で見ていたスバルが驚いていた……というか逃げろと言っただろ。

 とにかくこれを投げて、砲撃……はダメだな砲撃は他も壊して倒壊する恐れがある、天使像だけ壊すのは技術的に無理。退路確保のためだけにしておく必要がある。

 だったらさっきキープしたバインドで天井に固定すれば―――

 

「ん?この魔力はなのはか?」

 

 こっちに近づいている……天使像の所為で全然見えないけど――丁度良いな。

 

「見つけた!……そこの子!コダイ君!大丈夫?!」

「なのは」

「え?コダイ君どこ?」

 

 もしかして天使像で見えない?まあいいか……

 

「砲撃準備、これパス」

 

 なのはに向かって天使像を放り投げる。

 

「えっ?!ちょっ――――――レイジングハート!!」 

≪all light.≫

 

 

――ドオオオオオオオオオオオオオン!!!!

 

 

 放り投げた天使像に慌てながらもレイジングハート構えて短距離砲撃を放ち見事に『天使像だけ』を破壊したなのは。

 やっぱり砲撃はあいつに任せて正解だったな。

 

「コダイ君!いきなりあんなもの投げ飛ばす何て酷いよ!」

「ゴメン。けどあの場合二次災害起こすよりなのはに任せた方が確実だったし……俺の砲撃そこまで器用ではないしバインドはあんなもの縛る為に創った訳ではないし」

「む~……」

 

 反論の余地を潰されてなのはが拗ねた。そんな事より……

 

「あ……あの大丈夫なんですか?」

「あ!ゴメン大丈夫?怪我は無い?」

 

 スバルがオロオロしているのを見て、なのはがスバルの元に駆け寄り目立った外傷が無いか確かめる。

 

「体中の煤の汚れと転んだ時の擦り傷以外目立った所は無しだな。火災の規模が少ない所で泣き崩れていたのが功を奏したな……」

「そうなんだ……もう大丈夫だよ。私達が助けに来たから」

 

 スバルの事はなのはに任せても良いだろう。

 

「なのは、俺はもっと奥を探す。そいつを連れて早く逃げろ」

 

 大分火の手が回ったしな―――

 

 

――クイッ!

 

 

 奥へ向かおうとすると、後ろに引っ張られる感覚が。

 

「っと……ん?」

「ま、待って下さい!」

 

 引っ張ったのはスバルだ。

 

「あの!私……お姉ちゃんと離れ離れになってそれで……!!」

 

 スバルの姉?……と言うとギンガ?だったな。

 

「大丈夫だよ、きっと他の局員が助けているから」

 

 なのはが優しくスバルの肩に手を置く。

 

「でも……私、弱くて泣いてばっかだから。心配させない様にって絶対私の事探してると思うんです!だから……」

 

 コートを掴むスバルの手が強くなる。

 ついでに探しに行くと言ってもスバルが離してくれない限り動けない、どうすれば………あ、そういえばクイントが泣いているレイ達を泣き止ませてた方法を試してみるか。

 

「スバル」

「え?……あ」

 

 スバルの名前を呼んで顔を上げさせる、そしてコツンと軽く額同士を合わせた。

 コレはクイントが怖い夢を見たりして、泣いているサクラ達にやっていた。聞いてみた所泣いている娘に良くやっていたらしい。

 

「あ……これ」

 

 スバルがコートを掴んでいた手で額に触れ、少し驚いた感じでコッチを見ている。

 

「俺に任せろ、知り合いを手伝うついでに拾ってくる」

「あの……これ!」

 

 スバルに何か聞かれる前に奥へ向かう。

 ………レイがうっかり話そうだから。




アルクオン様、頭翅様、鍛冶様、コキュラ様、零崎 式様、桜日紅葉雪様、感想を有難う御座います。


~次回もお楽しみにしてください~

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