魔法少女リリカルなのは~ある転生者の新たな世界~ 作:メガネ
≪ふわぁ~ねむぃ~≫
レイの間の抜けたアクビをした。
デバイスって寝るものなのか?
現在の時刻は学校に行くにはまだ早すぎる時間。朝食も済ませてる。
制服を着て、準備を済ませているには理由がある……
「そう、集中して。心の中にイメージを描いて」
「ん~……」
ユーノの隣で難しい顔をしてデバイスのレイジングハートを握っているなのは。俺もユーノの隣にいる。
神社のジュエルシードの日から、ユーノをなのはの家に預かる前に、なのはと広い場所を探して朝食が出来るまでの短い時間を魔法の訓練に使うらしい。
「そのイメージを手にした杖に、レイジングハートに渡して」
「うん……レイジングハート、お願い」
≪Stand by ready≫
「イメージに魔力を込めて、呪文と共に杖の先から一気に発動」
ユーノの講師が続く……え?俺は良いのか?
――したいのは山々何だが……
「イメージに魔力を……リリカル!マジカル!えっと……捕獲魔法!発動!!」
レイジングハートの先から桜色の魔力が膨れ上がる。
……それを見て少し後ろに下がった。
「やった!成功!?」
「いや、してない!」
「ふぇ…ふぁぁああ!!」
――ドオオオオオオオオオオン!!!
爆発音が響き桜色の光が破裂して、なのはが俺が後ろに下がった場所まで吹き飛んだ。
ユーノが事前に張った結界が無ければ騒ぎになっていたな。
「あ、丁度位置ピッタリ」
「うぅ~……ってコダイ君!?」
目の前で尻餅を着いていたなのはが俺に気付いて起き上がった。
「さっきまで隣に居なかった?!」
「あの魔力を見て絶対暴発するなと確信して下がった」
「助けてくれなかったの!?」
「いや、集中している時に声掛けたら巻き込ま――じゃ無く気が散るかと思った故の気遣いだ」
「気遣いのきの字も無いの!と言うか今巻き込まれとか言ったよね!?」
「言って無い、言い掛けただけだ」
ツッコミの度に詰め寄るなのは。
そこにユーノが俺の肩に乗ってきた。
「なのは、大丈夫?」
「うん、なんとか……はぁ、中々上手くいかないね」
「でも凄いよ、たった数日でここまで出来る様になっているんだから」
「う~ん、そうなのかな?」
ユーノの言う通りだから。
そうしろと言われてすぐにそうできる奴なんて才能以外無いから。
――~♪
また難しい顔をしているなのはの携帯がなった。
「あ、もう朝ご飯の時間だ」
「じゃあ、今朝はここまでってことで」
「うん!ありがとう、レイジングハート」
なのはがレイジングハートを待機状態に戻す。
鞄を拾いその場を後にして、なのはの家に向かう、勿論ユーノを預けるためだ。
「確かユーノが持っていたのが1つ、俺のデバイスになったのが1つ、そして先日に神社で封印したのが1つで……残りのジュエルシードは18個か」
家に向かいながら、現在のジュエルシードを確認している。
数を見ると先が長いな……
「うん、速く残りのジュエルシードを見つけないと……」
「封印出来るのはなのはだけだしな……」
ユーノと一緒に隣のため息を吐いているなのはを見ている。
「はぁ……攻撃とか防御とかの魔法は何とかコツが分かって来たんだけどなぁ」
「なのはは、エネルギー放出系が得意みたいだからね。元の魔力が大きい分、集束とか微妙なコントロールが苦手なんだよ」
「そのぉ……それは私が、力任せで大ざっぱな性格と言う事では……」
「え!?いや!!そうじゃないよ!?」
なのはにフォローしようと焦るユーノ。
「でもそう聞くと納得だな。ユーノ、なのはの友達のアリサとすずかは知っているよな?」
「うん、あの時2人と一緒に居た子達だよね?」
「そう、今でこそ仲がいいが聞いた話だと。アリサがすずかを虐めてた時になのはが初対面のアリサを殴ったんだ……な?」
「……あ~」
「いやいや!納得しないでよユーノ君!?」
「ま、まあ、捕獲と結界とかの魔法は僕がサポート出来る筈だから」
納得しかけたユーノが上手くフォローした。
――~♪
「コダイ君、携帯なってるよ」
「メールか……アリサ?一体なんだ?」
受信したメールを開くとなのはも覗き込んできた。
『アンタ、昨日の事を忘れたとは言わせないわ!!ぜっっったい来なさい!!!凸(─皿─#)』
「………『忘れてた』と、送信」
「にゃははははっ……」
「なのは、コダイ、昨日の事って?」
「えっとねユーノ君」
一緒に覗き込んでいたユーノになのはが説明している。
ユーノと出会う前に、新しく出来た温水プールになのは達と遊ぶと約束してその日が今日と言うだけ。
「そう言えば、コダイ君って水着持ってるの?」
「一応な……」
何故か転生した時に一緒に入っていた……あのロリショタコンが。
「≪ねぇ……コダイ?水着ってまさか……≫」
ユーノが恐る恐る念話で聞いてきてる……
「≪そのまさかだ≫」
「≪やっぱりかあああああああああああああああ!!≫」
少し早い朝にユーノの念話は俺だけに良く響いた。
≪うゆっ!?なに!?≫
あ、レイを忘れてた。
その日の放課後。チャイムが鳴り、教室が騒がしくなる。
「さて、授業は終わり~♪」
「準備オッケー♪」
「それじゃあ待ち合わせの場所に――」
「「「しゅっぱ~つ!!」」」
その中で、多分一番騒がしいのはアリサ、すずか、なのはとこの三人ぐらいだろう……
「テンション高……」
「あれ?どうしたのコダイ君、具合悪いの?」
同時に教室を出ていく3人から少し下がって付いていくと。なのはが呑気にトコトコとやって来た……
「誰の所為だと」
俺はその馬鹿の肩を掴み、アリサとすずかに向かせて。
「思っている」
「ぶぶぶぶ~!?」
後ろから顔を掴んで、口を強制的にくちばし見たくする。
なのはが腕をバタバタさせているが無駄な抵抗だ。
「ブッ!ちょっ……アハハハハっ!!変な顔~!」
「っ!!……ダメだよコダっ~!!」
当然見せているから、アリサは吹き出してすずかは口を押えて悶えてる。
よし、もう飽きたし良いか。
「にゃぁ~酷いよコダイ君……」
手を離すとなのはが自分の頬を摩りながら涙目で見て来た……が無視した。
「コダイ、アンタちゃんと水着持って来たわよね?」
次はアリサが睨んできた。今朝のメールを根に持ってる見たいだな。
「ちゃんと持って来てる」
鞄とは違うバックを見せる。
「コダイ君、一緒に競争しよ?」
すずかが腕を掴んできた、確か運動神経がかなり良かったな。ドッヂボールでも男子止められなかったし。
「ぅ……アタシは美由希さんやノエルさんに泳ぎを教わらなきゃ……」
アリサは苦手だったな。
「浮き輪使っても良いみたいだから、ファリンに持って来てもらってるよ」
「あ、それナイス!」
「浮き輪でプカプカもいいよね~」
「抜け目無いな月村家」
4人で話ながら校門に向かう……後ろの男子の視線は無視だ。
校門前に行くと、一目で分かる高級車が止まっていた。すずかの所の車だった。
学校から直接プールに行くみたいだ。確か人数は俺とユーノ、なのは、すずか、アリサ。
そしてすずかの家のメイドのノエルとファリン。
現地集合の恭也と美由希を含めて9人か。
「あ……」
車に入る時、ファリンがこちらを見ていた。
「どうした?」
「あ、いえ?!今日はその子と一緒だと思いまして」
ファリンが指したのは俺の肩、正確にはそこに乗っているユーノだ。
プールに行くと言った時に何故か一緒に行きたいとかいきなり言い出した。
念話で聞くと美由希に連れ込まれるのが理由らしい。詳しくは知らないが小さいから鞄に入れればバレないだろうと思ったが。あの
ソレが放課後の制裁の理由だ。
「ユーノってすっかりコダイに懐いちゃってるわね」
「ユーノ君、凄く賢い子でいいよね」
「だってさユーノ」
「キュウ」
アリサとすずかにジッと見られて、反対の肩に移動したユーノ。
「ぁ……」
すると突然乗せている俺にしか聞こえない程度の小さな声を漏らした。
ユーノが見てる窓の向こうに見えたのはあの時の動物病院だった。事故の爪痕が真新しく遠くからでも分かった。
「≪声、出てるぞ≫」
「≪ゴメン、次のジュエルシードはまだ見つからないと思うとさ……≫」
成程、1つ1つであんなに手間を取ると、18個何て数はユーノにとってかなり気が遠くなる様だ。
「≪なのはやコダイに頼ってちゃダメだって、僕も頑張らないと……≫」
俺を数に入れるな。封印も出来ない役立たずもいいとこだ。
目的地の温水プールに着くと美由希と合流、そのまま男女に分かれて、またプールサイドで合流となる。
「にしても……」
辺りを見回す。
やたらと目配せをしている人間が数人、多分監視員か……それにしても数が多いな。
――ピー!!
「はい、すみません。周りに気をつけて下さいね」
恭也が笛を吹いて客に注意していた。
「監視員お疲れ様」
「お、コダイか。まだ疲れてないから大丈夫……だけど」
「ん?どうした?」
「――時々、本気で性別を疑ってしまうんだが……」
「心配するな、生物学上しっかりと男だ」
確かに今は、水着の上に白い丈長のパーカーを着て、髪型を学校の時と同じにしているがな……
「あれ?ユーノは一緒じゃなかったのか?」
「ユーノならパーカーのフードに仕舞ってる」
後ろを向いて、フードの中を見せる。
何故かは知らないが着替え終わったら『あんなの魔法だ……魔法に違いない……』とブツブツ言ってたけど何があったのか?
「あ、コダイ、恭也さん!」
一番手はアリサか。
「あ~あ、一番乗りだと思ってたのに」
「何の競争だよ……」
「楽しみだったのは分かるけど他の人に迷惑を掛けない様に」
「は~い!」
本日監視員の恭也に注意されて元気に返事をしたアリサ。
「コダイく~ん!アリサちゃ~ん!お兄ちゃ~ん!」
「コダイ君、恭也さん」
「こんにちわ~」
「こんにちわ、恭也様」
あ、なのはとすずか、ファリンにノエルと一気にやって来たな。
「あぁ、皆お揃いだな」
「うん、お姉ちゃんはもうすぐ――」
「お待たせ~」
そうなのはが言っているうちに美由希がやって来た。
「お~恭ちゃん、監視員姿似合う~」
「うん……」
それ褒めてるのか?恭也が微妙な返事しているぞ。
「こっちはどう?今年初の皆の水着姿は?」
「ビシッと決めて見ました!」
「あ、えっとその……なんだ」
「セクシー?」
「うん……」
俺と恭也の前でポーズを決める、すずかとアリサ。また恭也が微妙な返事をしている……
「コダイ君はどう?」
「そうね、アンタだけダンマリはダメよ!」
「えっと……どうかな?」
って今度はコッチに期待の眼差しで見ている、すずかとアリサ、それになのは。
「……店で試着した時にも言わなかったか?」
その水着は俺に選ばせた水着だろうが。
「「「もう一回!」」」
「……似合っている」
「と、当然よね!」
「ありがとう」
「えへへへ」
三者三様。アリサ、すずか、なのはは嬉しそうにして美由希達の元に向かった。
本当に意味が分からん……
「あれ?ユーノ君は?」
なのはがまたコチラにやって来た、ユーノが居ない事に気付いたらしい。
「フードの中だ」
「あ、本当だ……何かあったの?」
「着替えた時にはこうだった」
「そっか……きっと疲れが出たんだと思うよ?≪ほら、ジュエルシード探しに私の魔法の訓練とかで≫」
確かに気を張っていたし、自分の責任って言ってたしな。
一応飼い主には相談して欲しいな……
「≪今の内に休ませるのも良いかもな、ユーノがいないと探せないしな≫」
「≪うん、ユーノ君には夕方にはジュエルシード探しするからって伝えといて≫」
「≪伝えとく≫」
なのはが少し離れた所に居るアリサ達が固まっている所に戻って行く。
この前に2日連続で発生したんだ、あんな小さい石がそう簡単に誰かが見つけると思わないしな。
「でもここ凄いね、飛び込みプールもあるし、流れるプールあるし……」
少し離れた所で美由希が皆と話していた。
≪……うゆ?≫
「≪ん?どうした?≫」
突然、声を上げたレイを隠してる右手首包帯越しに見る。
≪あれ?あれれ~?ぅ~なんだろ~≫
「≪一人で解決しようとするなよ……≫」
「≪この場所には微かに魔力の残滓があるんだ……≫」
ユーノがいつの間にか腕に乗っていた。
「≪誰か、強い願いと後悔……ジュエルシードがそれに反応しようとしてるのかも……≫」
「≪でも何でレイが一番早く気づいたんだ?≫」
「≪レイは元はジュエルシード、同じジュエルシードに共鳴見たいのを感じたんだと思う≫」
「≪そう言えばそうだったな≫」
するとこの近くにあるのか。
さっきのなのはの口ぶりからは多分気づいていない様だ。
「コダイ!」
「は?」
アリサに呼ばれたと思ったら腕を掴まれ声の方に向かされた。
そこに居たのはヤケクソ気味のアリサとその後ろになのはとすずかが苦笑いしている。
「あそこのお立ち台で皆で歌うわよ!!」
「説明しろ」
行き成りなんだよ……
「えっと……あそこのお立ち台で歌える事を恭也さんに教えて貰って、それでその……誰かが歌うかって事になって……」
「要は言いだしっぺが発動したと」
「っ!そうよ、藪蛇よ!」
ヤケクソから逆切れに変わった。
「それで受付で複数でも良いって言われたから、なのはとすずかにコダイの名前を書いたわ!」
「ふざけるな貴様、プールに沈めるぞ」
しかも、俺は部外者だぞ。
なのはとすずかの苦笑いの原因はコレかよ……
「ほら!さっさと行くわよ!!」
「おい待て、引っ張るな……美由希、ユーノ頼んだ」
「ほい来た、任せといて!」
アリサに引き摺られる。
その時近くにいた美由希にユーノを渡した。
すぐにステージで4人で歌ったが……3人とも歌上手くないか?
歌い終わると観客から物凄い拍手と歓声が上がった。
「あはは……ちょっと気持ち良かったかも」
「うん、初めて聞いたけど、コダイ君も凄い上手だったよ」
「特技の一つの声帯模写の応用だ、それを言うならなのはがダントツだろ」
「にゃはははっ……」
歩きながらお互いに感想を言い合ってた。
美由希達の所に戻り、ユーノが美由希に愛でられてた……暫くそっとして置こう。
なのは達はプールに飛びこ……まず。準備体操をしていた、と言うかまだしてなかったのかよ……
俺は適当に見てるかな……
「コダイ、美由希、ちょっと」
「如何したの恭ちゃん」
恭也に呼ばれて美由希と2人で向かう。
「美由希には話して置いたんだが、先日ここのプールで着替えや水着を盗んだ変質者がいてな。その前にも女子更衣室荒らしの男が捕まったばかり何だ」
監視員が多かったのはそれか。被害出てるのに良く続けているよな……
確かユーノはここに魔力の残滓があるって言っていたな……行ってみる価値はあるか。
「分かった、頭に入れて置く」
恭也に礼を言って、皆と離れた。
早速行ってみるか……
「後はここだけか」
いろんな部屋を捜し、残すは目の前のボイラー室のみ。
「≪コダイ!≫」
ユーノからの念話?何処だ……あ、後ろにいた。
「≪コダイも来てたんだ!≫」
「≪偶然だ、と言う事はジュエルシードか?≫」
「≪外部からの刺激を受けて行動を開始するタイプみたい≫」
≪む!これだ!さっきのコレ!≫
レイが言うなら間違いは無さそうだな。
「≪さっきなのはを呼んだからもうすぐ―――≫」
――ガアアアアアアアアアン!!!
念話を中断させるほどの爆音でボイラー室が爆発した。
「結界を作るから待ってて!」
ユーノの足元から薄い緑の魔法陣が現れて結界を展開した。
――シュッ!
「早速来たか……っこれは、触手?」
ボイラー室から伸びて来た物を素手で掴む、やけに冷たい触手だった。
「なんだか知らないが、隠れてないで出てこい」
掴んだままの触手を引っ張ると、ボイラー室から出て来たのは………
「うわぁ!!おっきぃ……水のお化け!?」
丁度やって来たなのはが答えてくれた。
もう、それ意外の答えが無い程の答えだな。
「コダイ君、ユーノ君!!」
「何とか結界は展開出来たけど……ゴメン、切り取り範囲が広くてまだ何人か残っているんだ!」
「えぇ!?」
「急ぐぞ、さっきの化け物。プールの方に向かったぞ」
――きゃあああああああああああ!
俺が言うと同時にプールの方から悲鳴が上がった。
「あ~何て言えば良いんだろう……と言うかどんな願いだ?それ以前に水に意思なんてあったか?」
急いでプールに戻ると、そこで起きていたのは。
さっきの化け物が丁寧に女の水着を脱がしていた……
そこにはアリサとすずかがしっかりと巻き込まれてた。
「命の危険って訳じゃなさそうだけど、アレ何?!どうなってるの?!」
「≪想像なんだけど、あのジュエルシードを発動させた人間、多分捕まったって言う更衣室荒らしの願いと行為が形になったんじゃないかなぁ……と≫」
ユーノはプールのあの光景を見た瞬間に、俺のフードの入り込み、現在念話で会話中。
「ふぇ?」
「≪つまり、女の子の服を集めたいって願いだから……≫」
「それ完全に欲望だろ」
だけどコレで納得した、水はただの媒介と言う事か。
あ、2人が落ちて来た。
アリサが化け物に文句言ってる、勇気あるな……
「アリサちゃん、すずかちゃん!」
≪プロテクション≫
化け物が作った波をなのはが咄嗟に作った障壁で防いだ。
とりあえず、こっちに来た2人を引き上げる。
「ユーノ、この2人を黙らせるには?」
「僕に任せて!ゴメン2人とも……プールサイドでチョットだけ眠ってて!」
ユーノがフードから顔を出して、アリサとすずかに魔法掛けると、2人は眠りについた。
「よし、コレで……アクセス」
レイを起動して黒い全身甲冑を纏う。
なのはも既にレイジングハートを起動していた。
「そんなに服が欲しければ店で買えよな」
「コダイ君のツッコミはどうかと思うけど……リリカル!マジカル!封印すべきは忌まわしき器、ジュエルシード!!ジュエルシード、シリアル………あれ?番号が読めない」
「あ、本当だ……見えないな」
「よ、読めないけど……とりあえず、封印!!」
桜色の魔力が化け物を貫いた………が。
「は?」
出て来たのは大量の水着と下着だけ……肝心のジュエルシードが無い。
「ユーノ君、反応は?」
「消えて無い……まさか、分裂してるのか!?」
「えぇ!?」
番号が読めなかったのはそれか……
「分裂してまで欲しいとか……もう執念を感じるな」
「納得しないの!早く見つけないと!」
「分かってる、ユーノ肩に乗れ。案内頼む」
「うん!」
ユーノを肩に乗せて、反応のある場所まで向かう。
反応がある場所に辿りつくと、そこには化け物が小さくなって大量にあった。
「コレ、分裂して増殖してるのか?」
「まとめて封印しないと、また増えちゃう!!」
ユーノの焦り具合だとただ全滅させればいいと言う問題じゃないのか。
「どうすれば良いの!?ユーノ君!」
「大型の魔力放射砲で強制停止……何てまだなのはとコダイには無理だし、複数用のロックオン系魔法何か用意してないし」
ユーノが必死に考えている。
要はこの化け物を一纏めにすれば良い………まてよ?確かこのジュエルシードの願いは。
「なのは、ユーノ。俺がアレらを1つに纏める。隙を付いて封印頼む」
「えぇ!?出来るの!?」
「アレの原因を逆手に取れば一発だな。さてと……レイ、解除だ」
≪むむむっ!≫
デバイスを解除してなのはにユーノを渡して少し前に移動する……
「はい、注目」
俺は今まで着ていたパーカーを脱いだ。
「ふぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
何故かなのはの悲鳴が聞こえたが。
化け物が目標を俺に絞り迫ってくる。我先にと進むにつれて化け物が纏まりだして、ついに1つに……その額には『17』のシリアルが。
「なのは、今だ」
「ふ、ふぇ!?えっと!ジュエルシードシリアル『ⅩⅦ』封印!」
レイジングハートから放たれた桜色の魔力が化け物を貫いて、ようやく封印出来た。
化け物がとった服などが戻って行く、魔法が解けたから持ち主に返って行くのか。
「ジュエルシードもコレで4つ……あと17個か」
「コダイ君コダイ君コダイ君!!」
ジュエルシードの残りを数えていると、なのはが何度も名前を呼んで詰め寄って来た。
「何度も呼ぶな……一体如何した?」
「如何した?じゃないの!何で女物の水着を!?」
「あのジュエルシードは、女の水着が欲しいんだろ?なら目の前に餌をチラつかせれば寄って来ると思って」
「だ~か~ら~それを着ているのが問題なの!!それにその……む、胸もあるの!?」
今着ている水着は淡い緑の胸や下が気にならないワンピースタイプ。
その胸元には何故か男には無い薄い膨らみと谷間がある。
「コレか?ヌーブラとか使って周りの肉を寄せて使った谷間だどうせなら胸も作らないと」
「そこまでする必要あるの!?」
「なのは、いい加減覚えろ……女装はオシャレだ」
「ち~が~う~の~!!!!」
その後、結界を戻して、何事も無くユーノと休んでいる……隣にはアリサとすずかも寝ている。美由希、ノエル、ファリンも近くで見ている。この水着姿を見せたらかなり騒がれたが。
なのはは近くのプールに浮き輪で浮いている。
「≪残留思念でも願いを叶えられるのか……とんだ代物だな、ジュエルシード≫」
「≪うん……≫」
膝の上のユーノの反応が薄い……
「≪眠いのか?≫」
「≪大丈夫、チョット疲れただけだから……≫」
「≪少しでも寝ろ、明日も早いみたいだしな≫」
脱いだパーカーで適当に寝床を作りその中にユーノを入れて寝かせる。
「さて……っと」
「コダイ君、一緒に行こ!」
「プール遊びは、ここからが本番よ!」
すずかとアリサがもう眼を覚まして、俺の手を握っている……
2人の視線の先には呑気の浮いているなのはが……
「よし……目標なのは、突撃」
「「おー!!」」
3人同時に、なのはの近くに飛び込んだ。
「うにゃあっ!?」
その水しぶきを浴びたなのはが新しい悲鳴で鳴いた……
時間の限りプールを満喫した。
「「って!何で女の水着着てるの?!それと胸?!」」
あ、寝ていたからこの二人には言って無かった。
※コダイが行ってた偽胸を作る方法はガチであります。
~次回もお楽しみにしてください~